地球のどこか、山々に囲まれたコテージにゴクウブラックとザマスはヤサを作っていた。
「最初の標的は、やはり第7宇宙の界王神ということか?」
「当然だ。奴は力も無く、弱いが……奴を消せば一番厄介な破壊神ビルスを始末できる」
ザマスの問いに、ゴクウブラックが不敵な笑みを浮かべながら答える。
──破壊神ビルス。
各宇宙に存在する破壊神の中でも、ビルスこそが最強の存在であった。
いくら孫悟空の肉体を得たゴクウブラックといえど、その孫悟空は神の気をまとってもビルスには勝てない実力だった。
オリジナルの悟空以上に肉体を使いこなしている自信はあるものの、現状でビルスと真っ向勝負で勝てる可能性は低いだろう。
「不幸中の幸いは、この世界のビルスはまだ眠りについているという事だ」
「どの時空でも、ビルスが生きている世界線では奴は覚醒していたが、この世界では未だ寝ているというのか……全く、破壊神としての責任感がない奴だ」
ゴクウブラックがビルスの現状について説明すると、ザマスは呆れた様子でため息を吐く。
「フフフ……神は何人もいらない。"ザマス"と"ザマス"がいれば十分なのだ」
「不死身の"私"と、最強の"お前"こそが、世界の唯一神……」
「さあ、第7宇宙の界王神界に向かおう」
──地球の者たちが知らない所で、黒い陰謀が動き始めていた。
ところが二人の計画は、空振りに終わってしまう。
界王神界に向かったところ、そこに居たのは狸のような親子二人だけで、その親子はザマスが瞬殺したものの、肝心のターゲットである界王神がいなかったのだ。
「どういう事だ……界王神の奴、何処に行った」
「まさか我々の動きを察知して、どこかに行方を眩ませたのではないか?」
一つの可能性をゴクウブラックは考える。
「どうする? 他の宇宙の界王神どもを先に始末するか?」
「……いや、まずは最も戦闘能力の高い連中がいる地球人類を死滅させよう。そこで暴れていればいずれ界王神の奴は現れるし、恐らくビルスがすぐ起きる事もないだろう」
本来、ビルスの管轄である魔人ブウとの戦いの時ですら、ビルスは起きなかった。
ビルス本人を襲撃するとかしない限り、ビルスは目覚める事はない。
ゴクウブラックはそう考えたのだった。
「地球にいる目ぼしい戦士、孫悟空の息子二人にトランクス、孫悟空の弟子という男に一番厄介なのはベジータ……あとは孫悟空の孫娘といったところか」
「ベジータさえ消せば孫悟空の肉体にとっては雑魚ばかり……さあ、取りかかろう」
「人間ゼロ計画のために……フフフ」
◇ ◇ ◇
──地球、神殿。
界王神と老界王神は今、地球の神──デンデに会いに来ていた。
「ええ、悟空さんを復活……ですか!?」
「はい。そのためにはナメック語が話せるデンデさん、貴方が必要なのです」
「ふん。どうせお前さん、ドラゴンボールを使う気なんじゃろ?」
神妙な面持ちで語る界王神だったが、その横で老界王神は不機嫌そうだった。
「え。い、いやー……」
「バッカモーン!! あんな事があったというのに、またマイナスエネルギーを生み出す気か!!」
「そうですよ。恐らくですけど、ナメック星のポルンガでしたら、地球の神龍より強力な分、もう既にかなりのマイナスエネルギーが蓄積されているのではと思いますが……」
老界王神は怒鳴り散らし、デンデもポルンガに蓄積されてマイナスエネルギーの事を心配している様子だったが、それでも界王神は自信満々な表情を崩さなかった。
「大丈夫です。恐らく一回も使われていないドラゴンボールが、こことは違う世界にあります」
「ふん。まあ確かに一回の使用ならそう問題はないじゃろが……お前さんアテはあるのか?」
「ご先祖様も覚えていませんか? 我々、"大魔界"にいた頃の話を」
「大魔界じゃと!? お主まさか大魔界のドラゴンボールを使うつもりか!?」
「はい。提案してくれたのは、こちらの方です」
そう言って界王神が手を伸ばし、その方向にいたのは若い容姿の青年。
肌は青く、白髪で、ジャケットを着た寡黙な雰囲気の青年が界王神たちに軽く会釈をする。
「グロリオです」
「グロリオさんは大魔界の住人で、今現在魔界の王として君臨しているキング・ゴマーを倒す事に協力して欲しいとの事で、その過程でドラゴンボールを集めて使っていいとの事です」
元々、大魔界はダーブラが統治していたが、ダーブラはバビディに洗脳されて王としての職務を放棄した挙句、魔人ブウにクッキーにされて食べられてしまい、死亡してしまった。
その後、大魔界の王として即位したのはゴマーという小柄な男だったが、彼はダーブラ以上の圧政を敷き、大魔界の住人達はゴマー体制の下で疲弊しきっていた。
「ふん。じゃが大魔界のドラゴンボールは"タマガミ"という、少なくともお前さんでは勝てない猛者が守護していたはずじゃ。集められるとは思えんがの」
「ええ、ですからベジータさん達に協力を……」
「あのー、ベジータさんはわかりませんけど、他の人たちは無理だと思いますよ?」
「デンデさん、一体どういう事ですか?」
「だって悟飯さんは学者さんですし、悟天さんも今は家庭があって仕事、トランクスさんも会社を任されていますし、みなさん忙しそうなので……」
デンデが地球のみんなの現状を伝えると、界王神は思考が停止したかのように固まる。
「ふん。だからお前さんはいつまで経っても浅いのじゃ」
「すみません……」
「ナハレ、だったか。この世界には地球の戦士たち以外、強者はいないのか?」
「そうですね……」
グロリオの問いに、界王神は考え込んだ。
第7宇宙にはもともと、たくさんの星に人類が住み着いていたが、その多くはフリーザ軍による地上げの被害により、絶滅に追い込まれてしまっている。
大魔界のドラゴンボールを守る三人のタマガミは、ダーブラより強いと噂であった。
──少なくともダーブラ以上の実力。
この条件に絞ると、ベジータ達以外には思いつかないのが現状だった。
「うーん、困りましたね……ご先祖様、何か心当たりはあったりしませんか?」
「あったら苦労せんわ」
「ですよねえ……」
界王神が肩を落とした、その瞬間だった。
「……え?」
何か、嫌なものを界王神は感じ取ったのだ。
「なんですか、この地球全体に広がる邪悪で……クリアな気は」
デンデの表情がみるみる青ざめていく。
「神、のようじゃが、それにしては禍々しいのう……」
「ナハレ、どうした?」
「何か、とてつもなく不吉な予感がします……」
神の気を感じ取れないグロリオ以外、つまり神々は全員が気付いた。
地球に突如現れた二つの邪悪な神の気。
──それが地球、いやこの世界にとってよからぬものである事を。
DAIMA放送記念(今更?)という事で、ビルスが存在するならターブラが元いた世界の設定も……という事で、少しDAIMA要素を。
次回から本格的な戦いが始まります!!