YKN脳死ネタ   作:綠月

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注意
この小説はスタジオわさび様のスマホアプリ「狼ゲーム」のネタバレが多少含まれています。ネタバレ?殺すか・・・な人は読むのをやめておく事を推奨します。


猫の受難

・・・・・・。

 

・・・・・・。

 

「はぁ、はぁ・・・。」

 

「あと少し・・・あと少しで助かる・・・!」

 

目の前に見える足場、この綱を渡りきれば死を免れる。

 

処刑対象にされた時は焦ったが、先に処刑されていった奴らと比べればたいしたことなかった。

 

早く終わらせよう。そう油断して次の一歩を歩もうとしたその時だった。

 

ドゴッ・・・。

 

横腹からぶつかった"何か"の重みに耐えきれず、綱を掴む手の力が抜ける。

 

宙に落ちる、自分の身体。

 

全てがスローモーションかのようにゆっくりとする中、私の目に映ったのは・・・。

 

こちらを見下ろす、あのモコモコした毛を持つ"羊"だった。

 

下で口を開けて私を待ち構える巨大なワニ。見たことのないくらい大きな牙。

 

死ぬ。脳内でそう分かっても身体はただ落ち続ける。

 

脳裏がフラッシュバックし、私に走馬灯を見せる。昔の自分、私が変わったきっかけ、双子の妹。

 

「イヤアアアアァァァ!!」

 

身体が口の中にぶつかるより早く迫る牙。そのまま私の身体は・・・。

 

~~~

 

「・・・・・・。」

 

意識が覚醒する。骨まで噛み砕かれたはずの身体はちゃんとあるし、ワニなんてどこにもいない。

 

都内のアパートの一室くらいの間取りの部屋、窓から差し込む陽の光、白いベッドの上にいる自分。

 

「・・・クソッ、またあの夢かよ・・・。」

 

隣に置かれた時計は、7時前をさしていた。

 

・・・・・・。

 

私の名前は、神木リツ。

 

双子の妹と同居し、都内の大学に通う大学生。

 

・・・いや、通っていた、というのが正しいのか。

 

今から少し前、私は何者かに誘拐された。同じく誘拐されたらしい年齢も職業もバラバラの11人の男女と共に、謎の施設に閉じ込められた。

 

そこにいた動く羊と狼の人形のような何かに脅されるように、私達は騙し合いの殺人ゲームをやらされた。

 

最初のうちは唐突なことに信じられるはずもなかったが、本当に皆の中から死者が出た。その犯人が暴かれて処刑される様を見て、自分の置かれた立場を理解した。

 

当然、私は死にたくなかった。いつか妹に知られた時に悲しい思いにさせたくなかった。

 

一日近く続く殺人ゲーム一回で殺されるのは一人。私は自分が狙われる前に、閉じ込められた謎の施設から脱出しようと騙し合いをやりながら出口を探した。

 

その内、私はついに誰か一人を殺さないと殺される"狼"のカードを引いてしまった。

 

その時他に生き残っていたのはたった4人。前の日までと比べれば、誰か一人を狙いやすくなっている。それと同時に、疑われる確率も上がっている状況。

 

誰かを犠牲にしないと殺される。けど、殺しても犯行が暴かれてしまえば処刑される。

 

他に生き残っていた奴らの約半分は頭が回る人物だったために、そいつらに対して完全犯罪をやり遂げる自信はなかった。

 

誰も殺さなかった場合に自分が殺される時間が来る前まで、私は脱出口を探した。

 

そして、ついに見つけた。施設から出る道を。

 

そこからは必死になって後ろを振り返らずに走った。施設の外は森だった。

 

あの動く人形らか何かに追われているような気がして、しばらく走っていた。

 

気づけば、前に光が溢れていた。

 

都内の光かと思い込んだ私は、飛び込むようにその光を目指した。

 

光を抜けた先にあったのは、都内の街並みではなかった。

 

さっきまで走っていた森とは何かが違う気がする、森の景色だった。

 

やがて出会った人に話を聞くと、私は夢の中にいるかのような気分になった。

 

都内なんてどこにもない、その地の名は・・・幻想郷。

 

そこでも私は、信じる事が出来ないでいた。しかし、目に見えた光景が私に現実だと告げる。たどり着いた村のような場所で互いに行き交う人々。

 

その中に混じる、人ではない何か。妖怪、獣人、果てには神・・・。

 

その姿は、施設から抜け出せて助かったと思い込んだ私を裏切った。

 

この幻想郷で最初に会った人の話を思いだした。

 

「ここでは、無差別に襲ってくる奴らがいる。」

 

あの施設で殺人ゲームをやらされている時と、何も状況は変わっていなかった。逆に死の危険が身近に迫っていた。

 

その日以来、私はその村・・・いや、正確には"人里"と呼ばれる場所からあまり出ずに暮らしている。

 

人里では襲われる事はない、そう知ったからだ。勿論、通貨も違うらしいので金なんてなく、しばらくは野宿だった。

 

すぐに逃げられるように、出来るだけ里の近くで野宿をしていた。今思えば、その間によく妖怪などに襲われなかったと思う。

 

それでも、限界はあった。ろくな寝床も食料もなく、衰弱していった。

 

いっそ生きるのを諦めた私の前に、助けの手が差し伸べられた。よりにもよって、恐れていた妖怪に。

 

その妖怪は私を"ご主人様"だとか呼んで広い屋敷に連れて行った。

 

屋敷の前にあった立て看板に書いてあったのを要約すると・・・

 

契約は不要で好きなだけ寝泊まりしてもいい、生活費などは全額屋敷側で負担、ご奉仕してほしいご主人様募集、絶対に損はさせない。

 

あまりにも怪しすぎた。けれど野宿生活に限界を迎えようとしていた私を助けてくれた屋敷の主でもある妖怪はとにかくつきっきりで私に世話してくれた。

 

それこそこっちがウザいと思えるくらいに。結局、放っておけないと言われた事もあり、半分強制的に私は屋敷で暮らすことになった。

 

以来、あの立て看板にあった通り生活費などを要求されずに完全無償で安定した環境で暮らせている。

 

しかし、ここ最近は悪夢を毎日見るようになっていた。どこかほぼ真っ暗な場所で手足を使って這うように綱渡りをしている自分。

 

しかし、あと少しで対岸につくといった所であの動く羊の人形にぶつかられて体勢を崩して下に落ち、巨大なワニに食われて死ぬその直前でいつも私は目を覚ます。

 

起きてもハッキリと覚えているその光景は、あの殺人ゲームで狼として誰かを殺した自分が犯行を暴かれて処刑されているようにしか思えない。

 

もし私が逃げずに狼として誰かを殺したら、夢の中のように処刑されて死んでいたのだろうか。同じ夢を見る度にそんな考えが脳をよぎる。

 

そんな夢のせいで、既に終わったはずの出来事を忘れられずにいた。

 

それとは別に、気にしている事もある。

 

私が誘拐されて以来、一度も会えていない妹のことだ。こんな化け物だらけの地で怯えて暮らすより、昔のように妹と共に暮らしたい。

 

しかし、どうすれば元の世界に帰れるのかが分からない。どうやら幻想郷は隔離された場所らしく、普通の方法で帰る事は出来ないらしい。

 

だったらどうすれば帰れるのか。あまり長くここにいるとあっちの方で死んだ扱いにされそうだから焦っている。

 

普通じゃない方法なら帰れるのだろうが、果たして普通じゃない方法とは何なのか。

 

その事について調べなければならない。人間じゃない奴らの事は当然慣れていないが、里から出ない限りは命の保証がされるはず。

 

そう自分に言い聞かせ、割り当てられた自分の部屋の扉のドアノブに手をかける・・・。




小説のモチベがだだ下がり中の私です。狼ゲームに続編(というかIF的なの)が出てるのを知ってプレイしてたら私の推しが結局死の運命から逃れられてなくて絶望した。せめてこっちの方で幸せにしてやりたかったのでこれを書いた。台詞少なめだし出そうか迷ったけどせっかく書いたしやっぱり出した。そんな感じの一話です。見にくいと思いますが原作に寄せたかったので勘弁してください。続けようとは思ってます。最期に一言、リツちゃんかわいい(殴
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