トチ狂った日本国召喚   作:北限の猿

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今回でロウリア編、終了です


ジン・ハーク 陸自と空自と、時々、海自

「重装歩兵隊全滅との報告が!」

「わ、ワイバーンが全て叩き落とされました!何なんだ、あの鉄の竜は!?」

「北城壁の6番砦が崩落!遥か遠方より何かが飛来したとの報告がありますが、詳細は不明!」

 

王城の侵攻作戦司令部へと次々と届く絶望的な報告の数々。

 

「ば…馬鹿な…。何だこの被害拡大の早さは…!?あり得ん…あり得ん!!」

 

通常の侵攻、特に城攻めはそれこそ何ヶ月もかけて行うものだ。

特にこの王城は各所に砦を持つ三重の城壁に囲まれており、城門は分厚い樫材と鉄の帯で補強された頑強な物であるため、生半可な戦力では返り討ちにされるだろう。

しかし、現在は東側の城壁の2つが突破され、一番内側の城壁すら今にも崩落しそうな有様である。

 

ードォォォォォン…

 

「くっ…また鉄の魔獣(・・・・)の雄叫びか!」

 

遠くから響く轟音…パタジンはそれが王城東側に展開した鉄の魔獣(戦車)雄叫び(砲声)であると理解しており、それが響く度に城壁の何処かが崩れ落ちる。

 

「えぇい、あの鉄の魔獣をどうにかするのだ!」

 

「駄目です!騎馬隊もワイバーンも壊滅です!皆、鉄の魔獣と空の鉄の竜(・・・)にやられました!」

 

「クソッ!奴らはいったい何なんだ!?まさか本当にクワ・トイネが魔帝に下ったとでも言うのか!」

 

地を疾走する鉄の魔獣(戦車)と高速で天を駆ける鉄の竜(戦闘機)を前に成す術なくすり潰される軍勢。

パタジンはどうする事も出来ない現状に苦しむ事しか出来ない。

 


 

ジン・ハークより100km程離れた沖合い、その海中に潜む鉄の鯨(・・・)の体内では無数のモニターに囲まれた空間で自衛官達が様々な機器を操作していた。

 

「艦長、敵本拠地へのヘリボーン降下を担当する第一空挺団より支援攻撃の要請が」

 

「第一空挺団からか…奴らの実力ならそんなもの必要ないだろうが…。まあ、頼まれたからにはやるしかないな。座標は?」

 

「ドローンによる誘導を行うそうです」

 

鉄の鯨こと海上自衛隊所属の潜水艦『みかさ型潜水艦』の一番艦である『みかさ』の艦長、『飯田 一仁(いいだ かずひと)』は制帽を被り直して、命令を下す。

 

「よろしい。では、1番垂直発射筒より巡航ミサイルを発射。中間誘導は地形照合誘導、終末誘導はレーザー誘導だ」

 

「はっ。27式対地巡航誘導弾、発射用意」

 

この『みかさ』を始めとした『みかさ型潜水艦』は同盟関係にある英国(イギリス)との共同開発により建造された日本初の戦略型原子力潜水艦(・・・・・・・・・)である。

水中排水量1万8千トン、全長155m、全幅13mの船体に4基の533mm魚雷発射管と12基のSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)垂直発射筒を備え、英国では『ドレッドノート級』の名で核抑止力の一翼を担っているが、現状(・・)核戦力を持たない日本においては米国(アメリカ)の『改良型オハイオ級巡航ミサイル潜水艦』を参考に垂直発射筒を巡航ミサイル発射筒にする事で、発射筒1基につき7発の巡航ミサイル…つまり84発の巡航ミサイルを搭載する巡航ミサイル潜水艦として運用しているのだ。

 

しかも搭載する巡航ミサイルは安心と信頼の米国製ベストセラー『トマホーク』の他に、国産の『27式対地巡航ミサイル』がある。

特にこの27式は4000kmもの長射程を持ちながらも巡航速度はマッハ1.2、終末誘導時には最大でマッハ3もの速度を発揮する上、ランダム機動による迎撃回避まで備えた世界最高クラスの巡航ミサイルなのだ。

そんな高性能巡航ミサイルを前時代的なロウリア軍が迎撃出来る訳もなく、予めドローンによって記録された地形データに沿って超音速で飛行する27式は陸自が運用するドローンより照射される赤外線レーザーが作り出す反射光に向かってマッハ2.5で突入した。

 

「…命中。目標の敵拠点崩壊しました」

 

「よろしい。そろそろ第一空挺団降下を始める頃だろう。我々の出番はもうないな」

 

海上に浮かべたフロート付きアンテナで受信した、陸自のドローンが撮影した動画には27式が直撃した砦がガラガラと崩壊する様子が詳細に映し出されていた。

それを見た飯田は、警戒状態を一段階下げさせると同時に海中待機を命じた。

 


 

あちこちから火の手が上がり、瓦礫が散乱する王城の上空に陸上自衛隊が運用するティルトローター機『V-280J』が飛来し、主翼両端のローター(プロペラ)を垂直方向へ向けてホバリングする。

 

「いくぞ野郎共!レイシスト(亜人差別者)のロウリアに痛い目を見てもらうぞ!」

 

V-280Jに搭乗する14名の第一空挺団所属の分隊。

その分隊の隊長である『城ヶ崎 勝(じょうがさき まさる)』が20式小銃へ弾倉を叩き込みながら部下を鼓舞する。

 

「「「「うぉぉぉぉぉぉっ!」」」」

 

無論、部下である自衛官はやる気十分だ。

精強無比と謳われり彼らは一人でも一般的な普通科隊員20人分の練度があるとされており、一分隊も居れば相当な戦闘力だ。

それ故に敵の本丸(ロウリア王城)への殴り込みを任されたのである。

 

「降下位置に着きました!いつでも降下どうぞ!」

 

「よーし、行け行け!」

 

パイロットの言葉から間髪入れず、城ヶ崎は降下を命令した。

 

「ひゃっほーう!」

「行くぞ前線豚共!」

「チェストォォォォッ!」

 

それを受けて血気盛んな(ちょっとおかしい)隊員達がキャビンから飛び降り、王城の中庭に着地する。

彼らが身に付けている34式強化戦闘服は脚部のアシスト機構にショックアブソーバーが仕込まれている為、5〜6mの高さから飛び降りても装着者にダメージが伝わらないようになっている。

しかし、第一空挺団の隊員達は着地の衝撃を受け流す特殊な受け身によって10〜15mの高さから飛び降りてしまうのだ。

 

「行け行け行けぇ!ロウリア王を絶対に逃すな!」

 

最後に降下し(飛び降り)た城ヶ崎が隊員を率いて王城に突入する。

押っ取り刀(大慌て)で王城の衛兵が駆けつけるが、隊員は直様20式小銃を発砲して瞬く間に撃破、その後に手近な部屋を片っ端から開けてクリアリングしてゆく。

 

ーバンッ!

 

「うぉっ!目が!目がぁぁぁぁ!」

 

「ボサッとしてんなぁ!」

 

ーババババッ!

 

フラッシュバン(音響閃光弾)を投げ込み、扉の向こうの相手を怯ませてる内に突入し、武装した兵士だと分かれば躊躇いなく発砲する。

 

「きゃぁぁぁ!?」

 

「おっと、悪いねお嬢さん。ちょっと大人しくしててね〜」

 

非戦闘員であればアンダーバレルグレネードランチャーを使って粘着ネットを飛ばして捕縛する。

それを何度も繰り返し、彼らはとうとう広間へとたどり着いた。

 

「ふふふ…よく来たな。我が名はランド。ロウリア王国が近衛隊大隊長にして、王の剣であり王の盾!」

 

広間には大仰な鎧と剣、盾を持った男が待ち構えていた。

 

「さあ、お前達の中で最も優れた腕前の…」

 

「うるせぇぇぇぇぇっ!」

 

ランドと名乗った男は最も強い者を一騎討ちで討ち取る事で士気を下げようとしたのだろう。

しかし、それは目にも止まらぬ踏み込みで彼の懐に飛び込んだ城ヶ崎によって阻まれた。

 

ーガゴォォンッ!

 

「シシカバブッ!?」

 

扉を打ち破る為に持ってきたバッティングラム(取手付き鉄柱)を顔面に叩き込まれ、珍妙な悲鳴と共に数メートルに渡ってぶっ飛ぶランド。

だが、第一空挺団(狂戦士達)はそれに構わず、広間の奥にある扉へと殺到する。

 

「開けろ!日本国自衛隊だ!」

「陸自や!開けんかい、ゴルァ!」

「ロウリア王、君は包囲されている。大人しく出てきなさい」

 

分厚い扉をガンガンと叩く隊員達。

その向こう側で、ロウリア王は頭を抱えてガタガタと震えていた。

 

「タスケテ…タスケテ…魔帝が来た…」

 

程なくして扉は破られ、第一空挺団の手によってロウリア王は捕縛され、後にロデニウス動乱と名付けられた紛争は終結を迎えた。

これにて一件落着、ロデニウス大陸には一時の平和が訪れたのだが…それは決して長くは続かなかった。




感想、評価お待ちしてます

魔王編の後、何を書くか(期限一週間)

  • 対パ皇戦編
  • 日本と接触した各国の変化編
  • 幻の中央歴1640年先進11ヵ国会議編
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