トチ狂った日本国召喚 作:北限の猿
「はぁ〜〜……」
「総理、ため息をすると幸せが逃げますよ?」
総理執務室で深い溜息を吐く成島へ、秘書がノートパソコンをタイピングしながら淡々と忠告した。
「幸せならもう逃げてるよ…。なんだって私が総理の時にこんな…
荒ぶる成島であるが、彼がそうなるのも無理は無い。
何せ日本国は国土ごと
それによって日本は諸外国との交流が全て断ち切られてしまい、通信・貿易・外交に関わる省庁及び企業は大混乱に陥り、転移後1週間は暴動一歩手前な状態であった。
「ですが、友好的かつ我が国に不足している資源を大量に持つ国家が近くにあって良かったではありませんか。クワ・トイネ公国、クイラ王国の両国へのインフラ輸出は着々と進んでいますし、防衛装備品輸出も現実的になりつつあります。転移前と比べれば利益は少なくなりますが、投資分を回収する目処は立ちましたね」
しかし、幸運な事に日本が転移した地点の近くには食糧自給率300%以上という『クワ・トイネ公国』、そこら中に良質な原油や鉱物資源が埋まっている『クイラ王国』が存在する『ロデニウス大陸』があり、日本はその2ヶ国と接触して国交樹立から貿易協定の制定、更には安全保障条約まで結んだのだ。
「しかし
「あぁ、頼む」
異例の早さで桑・杭両国と国交を結んだとは言ってもそれは国民を一刻も早く安心させる為であった。
と言うのも日本政府は2020年代初頭に勃発したウクライナ戦争による食糧・原油価格高騰を受け、食糧・エネルギー自給率の改善に乗り出したのだ。
その結果全国の農耕放棄地は和製GPSやAI、ドローン技術を用いたスマート農業システムによって蘇り、運転停止していた原発の再稼働と平行して核融合発電を開発、商業運転にまで漕ぎ着けた事で日本は食糧・エネルギーともに自給率70〜90%を達成する事となった。
しかし、それでも日本国内では生育が難しい農作物や、兵器の燃料となる石油は輸入に頼らざるをえない。
その為、こうして異例のづくしの外交に乗り出したのである。
「ズズッ…はぁ〜…やっぱり知覧茶はいい…故郷の味だ。しかし、桑国、杭国に防衛装備を輸出するにしても彼らに扱い切れるか?彼らが持つ武力は剣や弓矢、それに魔法にワイバーンという正にファンタジーな代物だぞ?まるで10年程前に流行ったネット小説だ」
「それに関してはご心配無く。初接触の際、哨戒飛行を担当していた
「なるほど。確かに25年にT-8初等練習機が採用されたから、T-7は輸出しても何の問題もないと言う事か。それて、その後の展望は?」
「はい。まずはT-7にて航空機に慣れ親しんだ後に、T-5高等練習機を輸出しようと防衛装備庁は考えているようです」
「T-5…確か元はロシアの物だったな?」
「はい。元々はロシアのヤコブレフ社が開発したYak-130と言う練習機兼軽攻撃機ですが、我が国が買収したスホーイ社でもSu-130と言う名で製造していたようです。そして買収時期がちょうどT-4高等練習機の後継を決定する時期だったものですから、Su-130に最新鋭の電子機器を搭載した上で素材の変更や設計の小改良を施して、T-5として採用したのです。これらの
「なるほど…空はそれでいいか。陸と海は?」
成島の問いかけに秘書はタブレット端末を確認しながら答える。
「陸上兵器に関しては保管庫で眠っている89式小銃やFH70 155mm榴弾砲、新型の登場で退役予定の16式機動戦闘車を輸出する予定となっていますが…海上兵器についてはまだ未定です。防衛装備庁は『もがみ型』の輸出を目論んでいるようですが、海上自衛隊としても『もがみ型』はまだまだ新しい艦ですし、他の艦はより大きく複雑なので桑・杭両国では扱いきれないでしょう。ですので『もがみ型』をベースにより簡素な艦を建造する案も浮上しています」
「ふむ…空と陸はまだしも海は厳しいか…分かった。とりあえず防衛装備庁には防衛大臣を通して私の考えを伝えておくよ。クワ・トイネ、クイラは我が国の安全保障上最も重要な国だ。それ加え、両国の隣国であるロウリア王国は人種差別的思想で侵略戦争を企てているそうじゃないか。それを踏まえて、多少の無理はしてでも両国が自衛出来るだけの力を与える事が出来るように努力してくれ、とな」
「賢明なご判断です。では、防衛大臣との会談の場をセッティングしましょう。予定が決まりましたら、追ってご連絡します。…では、そろそろお時間です。この後は駐日クイラ王国大使の就任式となっておりますので」
「もうそんな時間か。よし、日本国民の代表として頑張りますかね…っと」
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日本と接触した各国の変化編
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