トチ狂った日本国召喚 作:北限の猿
神聖ミリシアル帝国、それはこの世界で生まれ育った者であれば知らぬものは居ない。
世界のパワーバランスを担う五大列強国の筆頭にして、世界最強の軍事力を誇る
そんな大国の経済基盤を担う港町『カルトアルパス』には軍の魔導戦艦や
「まるで戦時だな…」
港を見下ろす高台に設置された港湾管制塔の管制室で港湾管理局長の『ブロント・サンラクト』が編隊を組んで港の上空を旋回する天の浮舟部隊を見上げながらポツリと呟く。
確かに彼の言う通りカルトアルパスの現状は迫り来る敵を迎え撃つ為に準備しているかのようだが、もちろんそんな事は無い。
しかし、神聖ミリシアル帝国という超大国の
「局長、
「うん?確か日本は空母2隻を中心とし、巡洋艦が2隻と"クチクカン"とかいう帝国海軍の小型艦に相当する軍艦が3隻と大型補給艦が1隻、民間の客船が1隻、そして"センスイカン"なる特殊な艦が2隻という艦隊で来訪すると予告していたではないか」
「しかし、レーダーを見るに間違いありません。もしかしたら日本側で何かしら問題が発生し、直前になって変更が生じたのでは?現状、日本と我が国のやり取りは駐パーパルディア皇国大使館を介して行われていますから、艦隊の変更に関する連絡が遅れてしまったのかもしれません」
「確かにあり得るな。まったく…変更があるなら早く言ってもらいたいものだ。此方は日本艦隊の為にわざわざスペースを確保していたのだぞ。…しかし、日本の船乗りも大変だっただろう。タグボートのような船でわざわざ来たのだから」
部下からの報告を受け、憮然とした様子で日本艦隊がやって来るであろう方向を眺めるブロント。
レーダーに映ったという事はよほど鈍足でもなければもうじき望遠鏡で見えるようになるだろう。
そう考え、凡そ5分おきに望遠鏡を覗きつつ、時折レーダースクリーンを確認していると…
「君、そのスクリーン壊れているんじゃないか?」
「まさか、そんな筈はありません。一週間前に新しい機材に交換されましたし、レーダーも4日前に定期メンテナンスされたばかりですよ?」
「それは知っている。しかしだねぇ…補給艦と客船はまだしも、私の目には巡洋艦が5隻と空母が2隻に見えるのだが…」
ブロントの言う通り、水平線の先から現れた日本の艦隊はミリシアル基準で言えば巡洋艦クラスばかりであり、それに続く空母は2隻あるがどちらもミリシアル海軍の主力である『ロデオス級航空魔導母艦』よりも大きい。
と言うか空母の後に続く補給艦や客船と思わしき船も感覚がおかしくなりそうなサイズ感である。
「……確かに妙です。日本の艦隊を捉えるまでは正常に稼働していたのに…。もしや日本の艦隊はレーダーを誤認させる何らかの機能を持っているのでは?」
「分からん。しかし、もしそうならば日本と敵対した場合は肉眼でしか正当な戦力評価が出来ないという事になる。一応、我々の所感を報告書に纏めておこう」
「はい、承知しました。…あ、日本艦隊よりの通信です。では予め用意していた停泊スペースに誘導致します」
「うむ、頼んだ」
部下と言葉を交わしつつ、ブロントは日本艦隊の洗練された姿に釘付けとなるのであった。
「司令、ミリシアル側より水先人の移乗要請が来ています」
「よろしい。では水先人は本艦に移乗していただこう。是非とも
人材交流事業によってクワ・トイネ公国より派遣された魔信通信士からの言葉に、海上自衛隊第三航空護衛艦隊司令官『
彼が座乗するのは、『改しょうかく型航空機搭載護衛艦』の1番艦『たいほう』だ。
ウクライナより買い取った旧ソ連海軍空母『ヴァリャーグ』は日本の手で解析された後に完成され『ほうしょう』と名付けられ、練習空母のように運用されていたのだが、長年造船所に放置されていた影響からか各所にガタが来ており、2020年代末には限界が来るだろうと想定されていた。
そこで日本は『ヴァリャーグ』の準姉妹艦であり発展型とも言える『しょうかく型』の設計を改良した上で『ほうしょう』の後継艦の建造を決定。
これにより就役したのが、『改しょうかく型』の『たいほう』である。
2020年代の最新技術をふんだんに投入された本艦は全長320m、全幅78mと一回り以上サイズアップしており、排水量に関しては満載で8万トン以上という米海軍の原子力空母に次ぐ
しかも艦載機はF/A-18E/Fを始めとして、F-35Bや英国との共同開発によって生み出された『F-3』の艦載型を搭載している為、周辺海域の制空権を握るなぞ容易い事であろう。
因みに現在ドック入りしている『しょうかく』は『たいほう』に準じた改装を施されている最中であり、それが完了次第『ずいかく』にも同様の改装が施される予定となっている。
更に艦隊には『たいほう』を中心として『あさひ型型護衛艦』が3隻に、『ながと型打撃艦』が2隻、『ましゅう型補給艦』の後継として開発された4万トン級高速補給艦『びわ型補給艦』が1隻、『
「司令、ミリシアルのボートが接近中」
「本艦の舷側を縄梯子で登らせる訳にはいかん。搭載艇を下ろして、そちらに移乗させた上でクレーンで吊り上げるんだ」
水先人とは言え、客人を迎えるにあたって気を引き締めるように制帽を被り直す佐藤。
それを受け、他の乗組員も日本を代表する立場である事を再認識し、気を引き締めたのであった。
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日本と接触した各国の変化編
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