トチ狂った日本国召喚   作:北限の猿

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もうタイトルがネタバレですね


とある日本の超電磁砲

海上自衛隊艦船への乗艦体験の開始時間となったが、カイザルとミレケネスは他の軍関係者や政府関係者とは違う艦へ案内されていた。

 

「いやはや、よもやこんな特別待遇を受けられるとは…」

 

「当然ですよ。艦隊の司令長官がお二方もいらっしゃると知っていればもっとそれなりのおもてなしを致しましたのに」

 

音もなく滑るように走るハイヤーの後部座席に座るカイザルとミレケネスは、助手席に座る『ながと型打撃艦』の4番艦『するが』の艦長である『徳田 光太郎(とくだ こうたろう)』のエスコートを受け、『するが』が停泊する地点まで向かっている。

 

「…静かな車ね。それに乗り心地もいいわ」

 

「この車は我が国最大にして、前世界最大でもあった自動車メーカー『トヨハタ』がタクシー向けに開発した物の上位グレードでして、自衛隊内では幹部の送迎用によく使われているのですよ」

 

「私もこんな車が欲しいわね。帝国と日本が国交を結べば輸入出来るかしら?」

 

「それは政府の判断によりますね」

 

カイザルとミレケネス、徳田がそんな事を話していると『するが』が停泊する桟橋に到着した。

 

「これが日本の戦艦(・・)…我が国の『オリオン級』や『ヘルクレス級』に匹敵する大きさだな」

 

「正確には戦艦ではなく打撃艦(・・・)、あるいは巡洋艦なのですが…まあ、役割的には戦艦に近いかもしれませんね」

 

「徳田艦長、ところでこの艦は他の艦とは姿が随分と違うようだけど、何か意味があっての事かしら?」

 

「それはステルス性を高める為ですね」

 

「ステルス性?」

 

ミレケネスの疑問に徳田は『するが』の輪郭をなぞるように虚空に指先を滑らせた。

 

「はい。我々の世界において索敵方法はレーダーが主流となっており、数百km先の目標を捉える事が出来る程に高性能化したレーダーによって潜水艦以外の艦船は容易に探知されるようになりました。そこで各国は敵のレーダー照射や通信を妨害する為に電波妨害技術を発展させてきましたが、そんな中に現れたのが艦船や航空機そのものにレーダーに映らないような工夫を施す『ステルス技術』です」

 

「レーダーに映らない?そんな事が本当に?」

 

「はい。とはいっても完全に映らない、という訳ではありません。レーダー波の反射を極力抑え、敵のレーダー上では大きさを誤認させる事が可能となっていまして、例えばこの『するが』を始めとした『ながと型』であればレーダー上では小型漁船程度の大きさにしか映らないとされています」

 

「しかし、我々がグレードアトラスターのレーダーで捉えた際には巡洋艦や戦艦並の大きさに映ったのだが…」

 

「あの時は事故を防ぐために、レーダーリフレクターと呼ばれる意図的にレーダー波を反射しやすくする機材を展開した状態でしたので」

 

「なるほど…」

 

カイザルはステルス性という未知の概念に驚愕しながらも脅威を覚えつつ、徳田の案内で『するが』艦上へと続くタラップをミレケネスと共に昇ってゆく。

もちろん、海軍軍人として甲板上一歩手前で艦尾に掲げられた軍艦旗(旭日旗)へ敬礼する事も忘れずにだ。

 

「ご丁寧にありがとうございます」

 

「いや、軍人として当然だ」

 

徳田からの感謝の言葉に謙遜するように返すが、甲板上で作業をしていた乗組員が一斉に敬礼を返した事にカイザルは内心で舌を巻いた。

 

「規律が行き届いているわね」

 

「あぁ、規律正しい軍隊は多少戦力が劣っていたとしても油断ならぬ相手だ。どうやら日本軍(自衛隊)は己の力を過信せず、日々能力向上に努めているのだろう」

 

「見習いたいものね」

 

「まったくだ」

 

転移してからというもの、技術的に劣る国々ばかりを相手してきたためすっかり油断と慢心が横行してしまった帝国軍の現状と、自衛隊の士気の高さを比較しつつカイザルとミレケネスは改めて『するが』へと乗り込んだ。

 

「では始めに本艦最大の特徴である主砲から紹介致します」

 

「主砲…?砲身が無いようだが」

 

「もしかして砲身を格納しているのかしら?ステルス性とやらの為に」

 

「はい。ミレケネス閣下の仰る通りです。本艦を始めとした『ながと型』および同盟国アメリカの姉妹艦である『ズムウォルト級』はステルス性向上の為に主砲及び副砲の砲身を砲塔内に格納しているのです。ただいまより砲身を展開致しますね。…砲身展開!」

 

徳田が高らかに告げながら右手を振り上げると、平面を複雑に組み合わせた砲塔の上面が開き、内部から長い砲身が姿を現した。

 

「おぉっ!」

 

「こちらが本艦の主砲である『AGS 60口径203mm単装砲』となります。最大射程は100km以上となり、主に対地攻撃に用いられる事を想定していましたが、改修によって移動目標及び対空目標にも対応出来るようになりました」

 

「射程100km!?誘導弾ならともかく、そんな遠距離を砲で狙える訳ないわ!まさか…」

 

「はい、ミレケネス閣下。お察しの通り誘導砲弾を使用しております。この誘導砲弾は対地・対艦攻撃用でして、遠距離から高い仰角で打ち上げれば目標に対してほぼ垂直に直撃し、厚さ8mの鉄筋コンクリート、あるいは厚さ2mの装甲板を貫通可能な威力を発揮します」

 

「203mmの砲がそんな貫通力を!?」

 

ミレケネスとカイザルがそれぞれ驚愕する。

それもそのはずであり、帝国海軍最強の戦艦グレードアトラスター級は最大射程42kmの砲を持ち、装甲は最も厚い部分で660mmもある攻守において右に出る者はいないとされている。

だが日本側の話を信じれば、射程は倍以上、貫通力はグレードアトラスターの主砲防楯を貫く威力ながらも口径は半分で更に誘導能力まである砲がこの艦には2門も装備されているのだ。

もう悪い冗談としか思えない。

 

「しかし、この主砲ももうじき1門になってしまうかもしれません」

 

「砲を減らす…?何故そんなわざわざ戦闘力が下がるような真似を?」

 

「あっ、いえいえ。砲を減らすのではなく、艦首側の1番砲塔を新開発の砲に変更するのです」

 

「新開発の…砲?」

 

「はい。およそ3年前に開発されたばかりの新型艦載砲『127mm電磁投射砲』、通称『レールガン』へと換装するのですよ」

 

「電磁…投射砲…?レールガン?それっていったい何なのかしら?」

 

「えぇ…っと…いざ説明すると難しいですね…。あー…お二方は電磁力についてご存知ですか?」

 

「懐かしいな。学生時代に物理学の授業で習ったよ」

 

「確か、金属なんかの通電する物体に電気を流したら磁力が発生して、それによって特定の方向に力が発生する…という原理だったかしら?」

 

「まさにそれです。レールガンはその原理を用いる事で従来の火砲とは全く違う原理で砲弾を撃ち出す事が出来るのです」

 

徳田の解説にカイザルもミレケネスも頭上に疑問符を浮かべたままだ。

 

「あー…んー…つまり、どうなるのかね?」

 

「要するに今までの火薬で発射する火砲よりも高初速で砲弾を撃ち出す事が出来るのです。具体的には秒速8km…時速に換算すると時速3万km弱となり、マッハだと約23となりますね」

 

「マッハ23…!?つまり音の23倍って事!?」

 

「もちろんこれは最大出力の話でして、実戦ともなれば目標に応じて出力を調整してより遅くするでしょうね。あ、因みに艦橋より後ろにある副砲とも言える57mm砲も40mmレールガンに換装予定です。これが実現すれば、誘導弾に頼らずに安価かつ精度の高い対空戦闘が可能となるでしょう」

 

「ミレケネス、お前は理解出来るか?」

 

「無理、パンク寸前よ」

 

「まあ、他の方々も同じような反応をされていました。次は艦内を案内しましょう」

 

次々と未知の概念と兵器が現れる事にグロッキー状態になりながらも、カイザルとミレケネスは徳田に案内されるまま『するが』の艦内へと足を踏み入れた。




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魔王編の後、何を書くか(期限一週間)

  • 対パ皇戦編
  • 日本と接触した各国の変化編
  • 幻の中央歴1640年先進11ヵ国会議編
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