トチ狂った日本国召喚   作:北限の猿

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ちょっと短いですが、キリが良かったので


イージスシステムは異世界戦争の夢を見るか?

『するが』の艦内へと足を踏み入れ、艦橋へと案内されたカイザルとミレケネスを出迎えたのは、無数のモニターであった。

 

「これが…日本艦の艦橋か…」

 

「帝国艦の艦橋とは全く違うわね…」

 

二人が知る軍艦…というよりも船の艦橋や操縦室は小さな漁船から超巨大戦艦であるグレードアトラスターまで、規模の違いこそあれど無数の計器やレバー類、そして据え置き型の双眼鏡や舵を操作する為の操舵輪があるのが当然だが、日本艦の艦橋内には殆ど見られない。

その代わりに窓の上下には信じられないぐらいに薄いモニターが取り付けられており、中央部に置かれた中央をくり抜いた台形のような形をした台には、小さなレバーや小型のモニターらしき装置が無数に取り付けられている。

 

「何せ最新鋭の艦ですからね。操縦は勿論、作戦遂行能力に至るまで徹底した自動化(オートメーション化)が施されていますので、『ながと型』は大きさの割に非常に少ない人員で運用が可能なんです」

 

「ほう…同じような大きさのオリオン級だと1000名以上が乗り込んでいるが…」

 

「『するが』の乗組員数は凡そ100名です。場合によって増減しますが、航行するだけなら10名も居れば可能ですよ」

 

「たった10名で!?」

 

「とは言っても安全上の問題があるので、実際にはそんな事はしませんよ」

 

恐ろしい程に省人化と自動化が進んでいる日本の艦船に驚くカイザルとミレケネスを尻目に、徳田は解説を続ける。

 

「まあ、こんなに様々な機器がある艦橋ですが、ここはあくまでも平時における哨戒活動での利便性を追求したものであり、本格的な実戦ともなれば艦内部の奥深くに設置された『CIC』で操艦、通信、兵装運用を行う事になっています」

 

「CIC…?」

 

「『コンバット・インフォメーション・センター』、略してCICと呼んでいますが、簡単に言えばレーダーやカメラ、友軍の艦船や航空機から送信された各種データを集め、処理する艦の頭脳とも言える施設です」

 

「私達で言う司令塔みたいなものかしら?」

 

「貴国の軍艦の司令塔がどのような物かは分かりませんが、概念としては似たような物です」

 

「しかし、自艦のみならず友軍からの情報まで処理するとなると相当な人手が必要ではないのかね?」

 

「それに関しては問題ありません。何せ本艦には最新鋭の『イージスシステム ベースライン10J』が搭載されていますので」

 

得意げに述べる徳田に対し、カイザルとミレケネスは再び頭上に疑問符を浮かべた。

 

「おっと…イージスシステムについても少し解説いたしましょう。イージスシステムとは艦隊防空の為に作られたシステムであり、レーダーを始めとした各種センサーによって得られた情報を元に各種誘導弾・火砲を半自動的に管制し、艦隊に接近する敵航空機および誘導弾を撃墜する事を目的とした物となります」

 

「誘導弾を撃墜!?そ、そんなことが可能なの!?」

 

「はい。むしろその為に開発された物なので誘導弾の撃墜は本システムが得意とするところです」

 

「だが、そんなに高度なシステムでは計算に時間がかかってしまうのではないか?」

 

「それに関しても問題はありません。イージスシステムは最初期の物でも128の目標を捕捉・追跡可能であり、その中から脅威度の高い10以上の目標を同時迎撃可能な性能を持っています。当然、本艦に搭載されている最新モデルであるベースライン10Jはそれを遥かに上回る性能を持っています」

 

「そ、そうか…」

 

128の目標を捉え、10以上の目標に同時攻撃可能という性能は、同時に日本艦に搭載されているレーダーと計算機(コンピューター)の性能の高さを物語っている。

イージスシステムと誘導弾の組み合わせによる防空能力は、近接信管付き砲弾を満載した帝国海軍の巡洋艦艦隊を遥かに上回るだろう。

 

「詳しくは機密なので話せませんが、ベースライン10Jは我が国独自の改良が加えられていまして、対潜・対艦・対地攻撃に関しても300以上の目標を捕捉し、20以上の目標を同時攻撃可能となっています。この事から『ながと型』は従来の護衛艦10隻に匹敵する戦闘能力があり、メディア等では現代の戦艦(・・・・・)と呼ばれているのです」

 

「戦艦…か…」

 

徳田の言葉を受け、カイザルは今一度艦橋内をぐるっと見渡す。

 

「まさしく未来の戦艦だな。少なくとも、私はこの艦と戦いたくないな」

 

「同感よ、カイザル。私もどうやれば勝てるか全く思い付かないわ」

 

「私も同感ですし、勝ち負けは置いて戦争という事態は回避すべきです。血を流すのが我々だけならまだしも、戦争によって引き起こされる物資の統制や経済低迷は守るべき国民を苦しめてしまいます。しかし、もし戦争となれば私は一切の容赦をせず、敵を叩く覚悟はしていますよ」

 

「徳田艦長は良い軍人だな」

 

「お褒め頂き光栄です」

 

「でも私達も軍人として他国の軍事力を知る必要があるの。今後も博覧会を見て回るからよろしくお願いするわね」

 

「はい。閣下の立場も理解しています。機密情報以外は展示されていますので、どうぞゆっくりと見て回られて下さい」

 

そう言って徳田はカイザルとミレケネスへ順番に握手し、二人を艦外へと案内した。




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魔王編の後、何を書くか(期限一週間)

  • 対パ皇戦編
  • 日本と接触した各国の変化編
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