トチ狂った日本国召喚   作:北限の猿

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今回より魔王編です


マーリンマン

所変わって第三文明圏外であるフィルアデス大陸北部に位置する『トーパ王国』。

この国は害獣(・・)である『魔物』が多く住まう大陸『グラメウス大陸』と細長い地峡で繋がっており、太古の昔に築かれたとされる『世界の扉』を拠点に、人類世界への魔物の侵攻を阻止しているのである。

 

「モア、ガイ。交代の時間だぞー」

 

「はーい、お疲れ様でしたー」

 

「ふぃー、お疲れでーす」

 

巨大な城壁を思わせる世界の扉の胸壁に寄り掛かってグラメウス大陸の方向を眺めていた王国騎士の『モア』と非常勤の傭兵である『ガイ』が同僚からの呼びかけに応じ、世界の扉を後にする。

 

「ガイ、あの話は聞いたか?」

 

「あの話?」

 

「ほら、日本の軍隊が来るって話」

 

「あー、それか」

 

「そうそう。なんでも同盟国のアメリカ?って国の軍隊と来て、グラメウス大陸を開拓するつもりらしいぞ」

 

「それは始めて聞いたな。アメリカなんて国、この辺にあったか?」

 

「いや、なんでも日本が元あった世界にあった国で、日本に沢山基地を置いてたみたいだ」

 

「それで日本の転移に巻き込まれたって事か」

 

「だけど日本と同盟を組めるだけの国が近くに出来るのはありがたいな。日本の『ユニシロ』で買った『ホットテック』だが、アメリカでも売ってくれたらなおさらありがたい」 

 

「あっ、いいなー。今度行く時は俺にも買ってきてくれよ」

 

鎧の下に着ているピッタリとした日本製インナーを自慢するモアと、それを羨ましがるガイ。

彼らが世界の扉の裾野に広がる城塞都市『トルメス』の大通りに差し掛かった頃、広場に人集りが出来ているのに気付いた。

 

「何だ?」

 

「見に行ってみようぜ」

 

その様子に興味を引かれた二人は、人混みを掻き分けその中心に行こうとする…必要はなかった。

 

「…巨人?」

 

「騎士?」

 

少し近付いただけで人集りの中心が見えた。

周辺の人々よりも頭二つ分高く、まるで騎士の兜を思わせるような頭部と厳つい肩に一抱え程もある金属製の筒を括り付けた人型の"何か"であった。

 

《参ったな…騎士団の所に行きたいのに、こうもファンが集まっちゃ歩けない。スーパーマンになった気分だ》

 

「あのー!何かお困りですかー!?」

 

《ん?おぉ、君はもしやトーパ王国のナイトかい?》

 

何か違和感を覚える声色ながらも困った様子の"何か"に対し、モアは人払いをしつつ近付く。

 

「えっと…貴方は…人…ですよね?」

 

《おっと、顔を見せないと失礼だな》

 

そう言うと"何か"は兜のこめかみの辺りを篭手に包まれた手で触る。

すると兜の面にあたる部分がプシュッとスパークリングワインを開けた時の様な音と共に上に跳ね上がり、中から真っ黒な肌をした彫りの深い男の顔が出て来た。

 

「初めまして。私はアメリカ合衆国海兵隊、第31海兵遠征部隊の司令官『マクゲイル・トラヴァース』大佐だ」

 

「司令官殿でありましたか。私はトーパ王国の騎士、モアと申します。こちらは非常勤傭兵のガイと言います」

 

「マクゲイルさん、貴方めっちゃ日焼けしてるじゃないですか。南方の出身ですか?」

 

「ん?あぁ、これか。私は黒人と言って生まれつき肌が黒い人種なんだ。肌の色以外は君達と同じ人間だよ。ところでこの街の防衛責任者に会いたいんだ。顔合わせはしたが、グラメウス大陸についてより詳しい情報が欲しくてね」

 

「ならば『アジズ』騎士長が詰め所にいらっしゃいますので案内しましょう」

 

「助かるよ。私の姿が珍しいのか、行く先行く先でギャラリーが集まって来て困ってたんだ」

 

「たしかにマクゲイルさんみたいな黒人なんてこの国にはいませんし、デカくて鎧まで着ているとなっちゃ目立っちゃいますよ」

 

「鎧…あぁ、このドレス(・・・)の事か」

 

モアに案内され歩くマクゲイルは、ガイからの指摘を受けて自身が身に纏う"鎧"の胸甲を裏拳でコンコンと叩く。

 

「これは『M1A2パワードスーツ バトルドレス』と言う機械の鎧なんだ」

 

「パワードスーツ…たしか日本の軍隊も同じ名前の物を装備していましたが、それとは違いますね」

 

モアの指摘にマクゲイルは頷きながら言葉を続けた。

 

「自衛隊のパワードスーツは外骨格型(スケルトンタイプ)でコストの安さを優先してあるんだ。あのタイプは我々も後方部隊向けに配備してある。だが、このドレスは全身鎧型(フルスキンタイプ)でコストは高いが、防御力と火力、着用時の快適性が段違いなんだ。これは我々(海兵隊)が遠征作戦の第一陣となるから、兵士一人あたりの火力と生存率を優先したからこうなっているのさ」

 

「へー…防御力と火力…。って事はまさかその肩のは武器なんですか?」

 

「ガイ君は中々に鋭いな。これは『カールグスタフM6』と言って、歩兵携行用の無反動砲をパワードスーツ用に再設計した物なんだ。砲身が長くなって初速と射撃精度が上がり、リボルバー式マガジンで5連発可能、更にレーザー誘導砲弾に対応していて、低速目標なら対空攻撃だって可能だ」

 

「これ、大砲だったんですか!?しかも誘導砲弾だなんて…パーパルディアの魔導砲とは大違いだ…」

 

「パーパルディア?あぁ、あの傲慢チキな国か。あの国ご自慢の砲兵部隊ぐらいならドレスを着た私一人で殲滅出来るだろうな」

 

「すげー…流石は日本の同盟国…。ところでまだ武器があったりするんですか?」

 

「当然だ。例えば…ほら、前腕には45口径サブマシンガンを内蔵しているし、背中には7.62mmのバトルライフルをマウントしている」

 

小さな駆動音と共に前腕の装甲が開いて銃身が姿を現し、背部のウェポンマウントがスライドして『SCAR-H』アサルトライフルが脇の下から伸びてそのままマクゲイルの手に収まる。

 

「おぉっ!かっけー!いいなー、俺もその鎧着たいなー」

 

「こら、ガイ。失礼だろ」

 

「はっはっはっ、いいさ。ガイ君、君さえ良ければグラメウス大陸に"新たなアメリカ"が出来た際には海兵隊に志願しないか?アメリカは移民の国だ。異世界人が居たっていいだろう」

 

「本当ですか!?」

 

「ただし、それなりの学力が無いといけないぞ。昔はバカでも入れたが、今はちょっとぐらい算数が出来ないとな」

 

「げぇっ、算数苦手なんだよな…」

 

「ガイはようやく足し算と引き算が出来るようになったぐらいだからな。海兵隊に入りたいなら勉強しろよ」

 

そんな事を言い合いながら、モア、ガイ、マクゲイルの3人は騎士団の詰め所へと入っていった。




感想、評価お待ちしてます

魔王編の後、何を書くか(期限一週間)

  • 対パ皇戦編
  • 日本と接触した各国の変化編
  • 幻の中央歴1640年先進11ヵ国会議編
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