トチ狂った日本国召喚   作:北限の猿

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書いてる本人もこんなの無理だって分かってますよ


マイハークの空に

ロウリア王国の首都ジン・ハーク。

その中心部に聳え立つ王城の大広間では、ロウリア国王であるハーク・ロウリア34世を中心として対クワ・トイネ公国及びクイラ王国侵攻作戦を実行する為の最終確認会議が行われていた。

 

「…以上がロデニウス大陸統一の為の作戦となります。陛下、何かご質問はありますでしょうか?」

 

「我が国が誇る重装歩兵と騎兵により地上戦力の撃破、それと同時進行で4400隻の軍船によって亜人共の海軍を殲滅したのちにクワ・トイネ最大の港であるマイハークを占領して二方向よりクワ・トイネを蹂躙する…。疑問があるのだが、クイラ王国はどうする?いくら我が国でも、二国を相手にするのは厳しいだろう?」

 

大きな机に広げられたロデニウス大陸(文明圏外)においては貴重な白い紙に描かれた地図を見下ろしつつ、ハーク王は侵攻作戦の司令官であるパタジンへと問いかける。

 

「それに関してはご心配なく。クイラ方面は障害物の無い平野が広がっているので大軍を動かせば直ぐに露呈しますし、何より連中は明日の食い物にも困る程です。防衛ならまだしも、逆侵攻なぞ不可能でしょう」

 

「ふむ…ならばニホンなる国はどうだ?」

 

「あぁ…あの国ですか…。あの国の連中はワイバーンや我が国の軍船を見て酷く驚いていましたので、それらが無い国なのでしょう。身なりこそ小綺麗でしたが、護衛の兵の格好は泥と草の汁が染み付いた汚らしいものだったので、底が知れています。大した連中ではありません」

 

「左様か…ならば良い。これで余の懸念は全て消え去った」

 

「おぉ…では王よ」

 

「うむ、時は満ちた。ハーク・ロウリア34世が命ず!これよりクワ・トイネ公国及びクイラ王国への侵攻作戦を開始せよ!そして亜人を根絶やしとし、ロデニウス大陸を統一するのだ!」

 

亜人排斥を国是とするロウリア王国にとってエルフ・ドワーフ・獣人をロデニウス大陸から消し去る事は正に悲願である。

それ故にロウリア王国にとって今日は記念すべき日となるだろう。

 

「「「「万歳!ロウリア王国万歳!」」」」

 

集まっていた将軍達が一斉に立ち上がり、熱狂の中で万歳をする。

その光景にハーク王は満足気に深く頷くが、彼の側に控える黒いローブの男が耳打ちしてきた。

 

「クックックッ…ハーク王よ。此度の戦争、勝った時には確りと約束を果たしてもらうぞ」

 

「分かっておるわ!貴様に言われんでも…」

 

「おっと。私は"列強国"パーパルディア皇国の者だぞ?そのような無礼な口を聞いてもいいのかな?」

 

「くっ……」

 

「まあ、今日は浮かれてしまったという事にしておこう。では、吉報を待っているぞ」

 

悔し気に口を噤むハーク王を置き去りにして、黒いローブの男は足音も無く広間を後にした。

 


 

「何っ!?それは本当かね!?」

 

「はい。桑国(クワ・トイネ公国)のみならず杭国(クイラ王国)からも同様の…ロウリア王国が一ヶ月以内に侵攻を開始する事は間違いないとの情報が寄せられています。総理、如何なさいますか?」

 

「どうするもこうするも、両国へ防衛に協力しなければならんだろう!桑・杭両国は我が国の生命線と言っても過言では無いし、何より侵略戦争を見て見ぬふりをするのは世論が許さないぞ!?」

 

ウクライナ戦争以降、日本国民の間では侵略戦争に対する意識が高まっており、転移前には勃発が危惧された台湾有事に対して備えるべきだという論調が大多数となり、なんと巡航ミサイルを装備した原子力潜水艦の配備を支持される程となっていたのだ。

そんな世論は、異世界での初めての友人である桑・杭国を見捨てる事を決して許さないだろう。

 

「では、防衛省に繋ぎましょう」

 

「うむ、頼む。桑・杭国には防衛装備品を輸出して訓練を施しているが、万全を期したい。西部方面隊の即応部隊を桑国へ派遣するんだ」

 


 

一週間後、クワ・トイネ公国の経済都市マイハーク。

その港の上空には、巨大な飛行物体が飛来していた。

 

ーゴォォォォォォォ…ザザァァァ…

 

飛行物体は海面へと滑るように降り立つ。

マイハークへ飛来したのは、海上自衛隊の『US-5 戦略輸送飛行艇』だ。

傑作機『US-2飛行艇』の艇体と同規模のフロートを2つ備え、『C-2輸送機』の胴体より一回り大きな艇体を備える世界最大の飛行艇である。

そんな"空飛ぶ軍艦"とも言える巨人機が総勢9機、マイハークの沖合いに着水し、機首を跳ね上げるように開いて内部からデジタル迷彩が施された車両をそのまま進水させる。

 

US-5から進水したのは、陸上自衛隊の『30式モジュール装甲車』であった。

これは陸上自衛隊大改革の一環で開発されたものであり、共通の車体に砲塔・走行装置・車内モジュール・追加装甲を組み合わせる事で様々な戦闘車両に組み替える事が出来る画期的な車両であり、島嶼防衛・奪還を想定して水上航行能力も備えた次世代の装甲車両なのである。

今回、桑国へと派遣された8輌の内訳は60mm無人砲塔と装輪走行装置、砲弾ラックモジュールを装備した偵察車型が2輌、レーダー搭載25mm連装砲塔と装軌走行装置、砲弾ラックモジュールを装備した近接防空型が3輌、120mm後装迫撃砲塔と装軌式走行装置、砲弾ラックモジュールを装備した自走爆撃砲型が2輌、そしてそれらを指揮する為の12.7mm銃塔と装輪走行装置、指揮車モジュールを装備した指揮車型が1輌である。

それに加え、普通科(歩兵)が総勢400名に、後方支援要員150名が車両を搭載していない1機のUS-5の艇体や他機のフロート部に備えられたキャビンから出てきてボートでマイハークへと次々と上陸してゆく。

 

そんな現実離れした光景を目にしたマイハーク市民は、老若男女問わずあんぐりと口を開けたまま、にこやかに手を振って行進する自衛官達を見送る事しか出来なかった。




でたらめをやってごらん、って言いますからね

魔王編の後、何を書くか(期限一週間)

  • 対パ皇戦編
  • 日本と接触した各国の変化編
  • 幻の中央歴1640年先進11ヵ国会議編
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