トチ狂った日本国召喚   作:北限の猿

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前回の前書きでは見苦しい姿をお見せしてしまい申し訳ありませんでした
皆様からの温かい後押し、応援が心に染みました
今後とも雑音に惑わされる事無く我道を突き進んで行きますので、引き続き応援のほどよろしくお願いいたします

それと、これはおかしい、これは倫理的に不味い、といったご指摘があればご遠慮無く申し付けて下さい


秒速1700メートル

「くっくっくっくっ…人間共め。何を思い上がったのかは知らんが、この地(グラメウス大陸)に足を踏み入れたのが運の尽き。魔王様が出るまでもないわ!」

 

雪がチラつく曇天の下を魔王の側近マラストラスが、石像のような魔物『ガーゴイル』およそ500を率いて人間達が拠点とする平地へと向かって飛行する。

このガーゴイルは魔王ノスグーラがかつて対峙した『太陽神の使い』が使役する『鉄の飛竜』に対抗する為に生み出した飛行能力を持つ魔物であり、時速400kmもの速度で空を飛び回り、口からは音速に近い速度の火炎弾を連射し、石の肌は鉛の礫を跳ね除け、血が通わないため手足を失おうが動き続ける恐るべき魔物なのである。

 

「空から徹底的に嬲り殺し、適当な人間を3〜4匹ばかり手土産にすれば魔王様も喜ばれるだろう。さて、あの稜線を抜ければ人間共の拠点だ!ガーゴイル達、魔王様より生み出されし貴様らの力を見せる時だ!」

 

「「「「「ギギィィィィィィ!」」」」」

 

不快な鳴き声と共にマラストラスに率いられたガーゴイルが一斉にスピードを上げ、山脈の稜線を飛び越える。

すると見えたのは疎らな明かりといくつかの建物…鉄の飛竜は居ない。

夜ならば鉄の飛竜とて飛べないだろうと踏んだのだが、それは的中だったようだ。

こうなればこっち(魔物達)のもの…『太陽神の使い』は鉛の礫を連射する武器を使うらしいが、それにしても空中を高速で三次元的に動き回るガーゴイルを捉えて撃墜する事は至難の技であろうし、何体か撃墜されたとて500もの数を短時間で殲滅するのなら奇跡でも起きない限り不可能だ。

 

「ギィィィィィ!?」

 

勝利を確信していたマラストラスだったが、その喜色に歪んだ醜い顔は直ぐに驚愕に歪んだ。

先行させていたガーゴイル30体が砕け散り、無数の石ころとなって落ちて行ったからだ。

 

「なっ…なんだ!?まさか鉛の礫か!?」

 

マラストラスの脳裏に浮かんだのは、ノスグーラより聞いた『太陽神の使い』の武器…機関銃と呼ばれる飛び道具だ。

しかし、ガーゴイルは機関銃の攻撃を弾く石の肌を持つため撃墜する為には複数発を撃ち込まねばならない筈…しかし、撃墜されたガーゴイルの様子を見るに凄まじい威力の攻撃により一撃で破壊(・・・・・・・・・・・・・・・・・)されたように見える。

『高射砲』或いは『高角砲』なる武器ならそれだけの威力があるのだが、それらは発射の際に轟音が鳴り響くという話だ。

 

「ギィッ!?」

 

「なっ…!?クソっ!撤退だ!人間共が新しい武器を持っている!魔王様に報告し対策を…!」

 

このままでは全滅すると確信したマラストラスは速やかに退却を命じたが、それは遅かった。

人間達の拠点より放たれし帯電した鉄の矢(・・・・・・・)はマラストラスの腰に直撃し、彼は驚愕の表情を浮かべたまま真っ二つになって絶命した。

 


 

「あれは…!」

 

「アジズ団長、あの魔物に心当たりが?」

 

人間達の拠点こと米海兵隊グラメウス大陸キャンプ。

そこに展開した先進対砲迫迎撃システム(マイクロイージス)の指揮車の車内では、現地協力者として同行しているトーパ王国城塞都市トルメス騎士団の団長アジズが、モニターに映し出されたマラストラスの姿を見て目を見開いた。

 

「マクゲイル殿、あれは魔王の側近と言われている魔物、マラストラスです。空を自由に飛び、何十人と手練れの騎士を屠ってきた恐るべき魔物でした」

 

「だが、今死にました。マラストラスとやらもついてませんね。マイクロイージスの射程圏内に入るとは」

 

ワイバーンが生息せず、対空兵器を持たないトーパ王国はマラストラスにとっては容易く攻撃出来る獲物であった。

しかし、フェーズドアレイレーダーによる補足とAIによる未来位置予測、マッハ5もの速度で放たれる炭化タングステン弾を前にしては彼の飛行能力も強靭な肉体も何の意味も無かった。

 

「しかし、あの未知の魔物(ガーゴイル)が残っています。マラストラスが指揮をしていたようですが、あの魔物は指揮官を失ったというのに逃げもせずにこちらに向かっていますよ」

 

「問題ありませんよ。AIによる戦力予測でもあの魔物の脅威度は武装汎用ヘリ程度…歩兵だけなら脅威となりますが、マイクロイージスや87式自走高射機関砲(ガンタンク)が配備されたこのキャンプでなら逆に狩り尽くせます。我々はこの暖房が効いた車内でコーヒーでも飲んで見守っていましょう」

 

「は…はぁ…」

 

とマクゲイルは言うが、アジズは落ち着かない様子だ。

幾人もの同僚をマラストラスの攻撃で喪ってきた経験がある彼は、空を飛ぶ魔物に対するトラウマがあるのだから仕方ない話である。

しかし、次の瞬間にはアジズのトラウマはすっかり解消されてしまうのであった。

 

「おー…流石日本の兵器だ。レーダー反応が次々と消えていくぞ」

 

「これは…!」

 

レーダースクリーンを埋め尽くしていたガーゴイルの反応だが、次々と消失してゆく。

その様はまるで、テーブルの汚れを拭き取っていくようにも見える。

 

「マイ、敵の数は?」

 

《サーイェッサー。残り敵数、123…120…115…》

 

「OK、分かった」

 

マクゲイルの問いかけに応えたのは、マイクロイージスに搭載されている戦術支援AI『秋津洲 マイ』の在日米軍向けモデル『マイ・フェアレディ』だ。

この迎撃も彼女(・・)が全て行っており、マクゲイル達は万が一の誤作動に備えて待機しているだけなのである。

 

「しかし…本当に色んな物が自動化してきたな。まあ、我々も新たなアメリカを作る為には省人化や無人化もどんどん取り入れていかねばならないだろう」

 

「我々としては今のままでも十分だと思いますがね…」

 

マクゲイルの呟きに、アジズは呆れ半分でそうツッコミを入れた。

レーダー上から反応が全て消えたのは、それから3分も経たない頃であった。

 

 




感想、評価お待ちしてます

魔王編の後、何を書くか(期限一週間)

  • 対パ皇戦編
  • 日本と接触した各国の変化編
  • 幻の中央歴1640年先進11ヵ国会議編
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