トチ狂った日本国召喚 作:北限の猿
人間達の拠点へと進撃する魔王軍。
それを率いる魔王ノスグーラは伝説の魔物『赤竜』の背でピクリと眉を跳ねさせた。
「マラストラスと飛行隊が…全滅した…?」
これは流石に予想外だ。
たしかにマラストラスもガーゴイルも『太陽神の使い』の『鉄の飛竜』とは真っ向勝負出来る程ではない。
しかし、以前の戦いで『鉄の飛竜』は夜間や悪天候下では飛べないという事をノスグーラは理解しており、今回の航空攻撃は正に『太陽神の使い』の弱点を突いた作戦の筈
「まさか『高射砲』や『高角砲』か…?だが、こんなに早く殲滅されるとは考えられん。マラストラスめ…しくじったな」
自信満々にガーゴイルを率いて出撃した今は亡きマラストラスに悪態をつきながらもノスグーラは次の一手を考える。
5万もの軍勢を揃えはしたが、それでも航空戦力を喪失したのはあまりにも痛い。
このまま朝を迎えれば『鉄の飛竜』によって空から一方的に攻撃されてしまうだろう。
「仕方あるまい。
苦々しい表情を浮かべるノスグーラ。
本来ならばこんな所で使うつもりはなかったが、相手が『太陽神の使い』とあれば出し惜しみしている余裕は無い。
「ギッ!ギィィッ!」
「うるさいぞ、ゴブリン共!」
奥の手を使うべく詠唱をするノスグーラであったが、ゴブリン達の耳障りな呼びかけに顔を顰めつつも、彼らの汚らしい爪が指す方向に目を向けた瞬間であった。
「ギッ…」
「ぐぉっ!?」
何か丸太のような物が6本、空を飛んでいる事を認識した次の瞬間、"雨"が降った。
体に勢いよく打ち付けられる大粒の雨…それは雑兵であるゴブリンも、多少は頑丈な筈のオークも、あまつさえ魔物の中ではかなりの力を持つ『レッドオーガ』すらも貫き、物言わぬ骸へと変えてしまった。
無事なのは軍勢の外側に居た少数のゴブリンとオーク、そして即座に防御魔法を展開したノスグーラとその下に居た赤竜だけだ。
「な…なんだこの攻撃は…!?これは…鉛の玉…違う!鉛より硬いこれはなんだ!?『太陽神の使い』の新たな武器か!?」
レッドオーガの肉体を貫き、勢いを失って地面に転がった物を手に取ったノスグーラは、怒りと驚愕を露わにした。
それは雨の正体…僅か数mm程度の金属球であり、ノスグーラが散々苦しめられた
おそらくは先程目にした空飛ぶ丸太が炸裂し、この金属球をばら撒いたのだろう。
『太陽神の使い』が用いた『榴散弾』なる武器と似たようなものだろう。
だが、今更それを知っても何の意味も無い。
5万もの軍勢は今や1000を切る程しか居らず、その僅かな手勢でさえ負傷や混乱が目立つため戦力とはなり得ないだろう。
「おのれぇぇぇ〜…!『太陽神の使い』!貴様らはやはり魔帝様の障害となり得る害悪だ!今、ここで我が叩き潰してくれるわ!」
赤竜から飛び降り、詠唱を再開するノスグーラ。
すると詠唱が進むにつれ彼の体は地に埋まって行き、終いには完全に地中奥深くへと埋没してしまうのであった。
「M30A1ロケット弾、全弾目標上空にて炸裂!敵集団の90%以上を撃破しました!」
米海兵隊キャンプに展開した『
HIMARSから放たれた6発のM30A1ロケット弾の弾頭には十数万個にもなるタングステン弾が詰め込まれており、それが互いの攻撃範囲をカバーするような形で炸裂したため、凡そ2km×2kmもの範囲にタングステンの雨を降らせる事となった。
もし相手が主力戦車や重装甲車を持っているなら話は別だが、魔物達がそのような物を持っているはずも無い。
《大佐ぁ!これじゃあ俺たちの出番がありませんぜ!》
《せっかく憧れの日本車に乗れたのになぁ!》
《砲兵隊の連中、張り切りすぎじゃねぇか?》
一方、海兵隊の戦車部隊はブーイングの嵐である。
日本から供与された10式戦車を使いこなす為の訓練を積み、いざ実戦となる前に敵があっさりと壊滅したのだから期待を裏切られたのだろう。
《うるさいぞ!そもそも楽に勝てるならそれに越した事はないだろう》
そんなブーイングをマクゲイルはパワードスーツの通信機越しに黙らせた。
「ん?まって下さい、マクゲイル大佐!衛星が何か大きな物体をレーダーで捉えました!これは…山…?」
マクゲイルの側で控えていた月出がタブレット端末を操作して先程まで魔物達が居た場所…土煙に覆われた地点を捉えたレーダー映像を表示する。
《山?大型魔物の死骸か何かではないのか?》
「違います、スペクトル分析でも岩石や土による隆起…つまり山が突然現れたというより他ありません!」
目を丸くして何が起きているのかを見届けようと画面を注視する月出であったが、それとは正反対にマクゲイルの視線は遥か遠くに向けられていた。
《Mr.月出…衛星よりも自分の目で見た方が早そうだぞ…》
マクゲイルの目に映っていたのは巨大な山…いや、違う。
二本の脚に二本の腕、煌々と光る赤い目を持った頭をこちらに向け、地震のような地鳴りを起こしながらこちらに向かってくるのは、
「あ…あれは…」
《まるでゴジラだな…日本政府にはガンダムかエヴァンゲリオンは無いのか?》
月出もマクゲイルも、皆が驚愕に目を見開く。
すると、巨大な声が辺り一面に響き渡った。
《グハハハハハハ!『太陽神の使い』よ!人間共よ!貴様らは最早捨て置けぬ!ノスグーラが、この『カイザーゴーレム』を以て貴様らを殺し尽くしてくれるわ!》
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魔王編の後、何を書くか(期限一週間)
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対パ皇戦編
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日本と接触した各国の変化編
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幻の中央歴1640年先進11ヵ国会議編