トチ狂った日本国召喚 作:北限の猿
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「コイツは…何とも手酷くやられたもんだ」
魔王ノスグーラによる襲撃から数時間、すっかり日も登り明るくなったが、それが被害の大きさを物語る。
転がった車両にひしゃげた榴弾砲、バラバラになったテントやプレハブを眺めながらパワードスーツを脱いだマクゲイルが頭を抱える。
「しかし、死者が出なかったのは幸いだ。物はまた買えばいいが、人はそうはいかんからな」
そう自分に言い聞かせるように呟きつつ、迎えに来たハンヴィーに乗り込む。
「マクゲイル坊や、随分と落ち込んでるみたいだねぇ」
「っ!ケ、ケイト少将!」
何故か乗り込んでいたケイトの姿に驚き、マクゲイルは慌てて敬礼した。
「そんなに畏まらなくていいさ。ふぅ…それにしても試作品をぶっ壊しちまった。始末書では済まないかもね」
「いえ、レールガンによる攻撃が無ければどうなっていたか分かりません。上にも日本政府にも私から説明します」
「そいつは頼もしいね。それじゃあ助けたついでに一杯付き合いなよ」
「酒は医者に止められているのでしょう?軍医殿は政府よりも手強いですよ」
そんな事を言っていると、巨大な岩山の近くに辿り着いた。
その岩山は黒く鈍い輝きと共に猛烈な熱気を放っており、肌がジリジリと焼けそうだ。
「コイツが例のアレかい」
「はい。魔王ノスグーラが操っていたカイザーゴーレムなる巨大人型物体の残骸です」
その岩山はカイザーゴーレムが暴走した魔力によって溶け、それが冷え固まって出来た物だ。
いわば溶岩が固まったに等しく、その熱は数時間で無くなるものではない。
「マクゲイル大佐、と…こちらは確か…」
「海軍のケイト・ラインバック少将だ」
「よろしく頼むよ」
岩山の近くで耐熱服を着て調査していた月出がマクゲイルの姿に気付いて近付いてきた。
「お目にかかれて光栄です、ケイト少将」
「それでMr.月出、この岩山について何か分かったかい?」
「はい、いくつか驚くべき事が分かりました。先ず一つ、これは同行して頂いたトーパ王国の魔導師による分析ですが、この岩山には莫大な魔力が残存しているようでして、この岩山から放射される熱を帯びた魔力が徐々に拡散してグラメウス大陸全体を温めているようです。これは衛星を用いた気象観測により裏付けが取れています」
「大陸全体を…温めている?」
「具体的にどれぐらいになるんだい?」
「このような事例は初めての事ですので何とも言えませんが、スーパーコンピューターを用いた気象シュミレーションでは3年後には平均気温25〜5℃程度になると見られます。地球で言うならフランス辺りに近いですね」
「そのまま温め続けられて、灼熱地獄になったりするんじゃないのかい?」
「いえ、これ以上の気温上昇はこの大陸の上空にある強い寒気によって妨げられると予想されています。加えて申し上げますが、トーパ王国の魔導師によりますとこの魔力放射は短くとも今後数百年、長くて千年以上は続くとの事です」
「つまり…」
「はい。このグラメウス大陸全体が人類が居住し、農耕可能な気候になるという事です!」
月出の報告はマクゲイルにもケイトにも、そして新たなアメリカを作ろうとしている全ての人々にとって大いなる福音となった。
この広大な大陸が全て新たなアメリカとなる、しかも主である魔王ノスグーラを倒した以上、何の障害も無い。
「喜ぶのはまだ早いですよ。あの岩山、所々から溶岩が流れ出ているのが見えますよね?実はアレ、溶けた金属…しかも金や銀が主成分なんですよ!」
「金と銀!?そりゃ本当かい!?」
「すごい…魔王を倒して金銀が出るなんて、まるでRPGだな」
パッと見るだけでも結構な量の溶けた金と銀が流れている。
これなら建国に必要な資金には困らない。
「ですが、一つ気掛かりな事がありまして…」
「ん?どうしたんだ?」
「はい。これを」
月出が差し出したタブレット端末を覗き込む。
そこに写し出されていたのは、城壁に囲まれた都市のような物…
「これは…街かい?」
「はい。高度な、地球で言えば中世から近世程度の文明を持った都市だと推測されます。トーパ王国に問い合わせましたが、魔物はこんな都市は作れないだろうとの事でした」
「なるほど…つまり何らかの理由があって人類、あるいはそれに近しい種族がここに住んでいると?」
「おそらくは…しかし、どのみちこの大陸をアメリカにする為には彼らとの接触が不可欠です。友好的か敵対的かは不明ですが、あらゆる事態に備えるべきかと」
「月出の言う通りさね。見たところこの都市は内陸部だから、今度はミズーリの援護は出来ないよ」
そんなやり取りを交わしつつ、岩山の周囲を散策する3人。
「大佐ぁー!コイツを見て下さい!」
岩山の反対側に来た時、一人の海兵がマクゲイルへ呼びかけた。
「どうした!」
「はっ!魔王です!コイツ、まだ生きてやがります!」
海兵達が集まってライフルやマシンガンの銃口を向ける先、赤熱した岩石と融合するような形で瀕死の魔王が横たわっていた。
「グッ…ウゥゥゥ…貴様ら…『太陽神の使い』め…一度ならず二度も我が行く手を阻むか…」
「ふぅ…さっきから我々を『太陽神の使い』と行っているが…我々はアメリカ合衆国海兵隊だ。誰と間違っている」
「アメ…リカ?」
マクゲイルの言葉を聞いたノスグーラは、その白目の無い真っ黒な目を見開く。
「そうか…貴様らが『太陽神の使い』が戦う運命にあると言っていたアメリカか…グハハハハハハ…数奇なものよ…」
「な、何だって!?『太陽神の使い』なる存在がアメリカと戦う!?それはもしかして…」
ノスグーラから告げられた衝撃の事実に月出が思わず身を乗り出し問い質そうとするが、何が起きるか分からないため海兵達によって制止された。
「だが、もうじき…偉大なる魔帝様が復活なされる!その時が貴様らの最期だ!グハ…グハハハハハハ!」
その言葉を最後にノスグーラは生命力を使い果し、黒い塵となって消え去った。
「マクゲイル大佐。私は今から
「分かった。我々としても出来る限り協力する」
「まったく…私も
それから数ヶ月後、グラメウス大陸南東部にてこの世界におけるアメリカ合衆国こと『ニューアメリカ合衆国』の建国が宣言された。
その建国宣言は多くの国々に驚きを以て迎えられたが、実質的列強国と認識されつつある日本の後押しという事、そもそも利用価値が無いと思われているグラメウス大陸での建国という事も相まって、どの国も異議を唱える事はなかった。
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魔王編の後、何を書くか(期限一週間)
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