トチ狂った日本国召喚 作:北限の猿
ところで、サブタイトルが映画のパロディになってるの気付きました?
「出陣!出陣!」
朝靄漂う中、ロウリア軍が野営地より出陣する。
その数、2万7千名。野営地防衛兼予備戦力として野営地に3千の兵を残しているが、それでもギムを落とすには十分な戦力である。
「ふふふ…なんと壮観な事か。これに加えて150騎ものワイバーンによる上空支援も加わるとは…ギムは昼まで保たんな」
どう考えても負ける筈が無い状況に、パンドールは早々に勝った気でいた。
そんなパンドールや精鋭部隊を率いるホークが率いるロウリア軍は1千名単位の方陣を組み、一糸乱れぬ足取りで小高いハルムルガの丘の西側を登ってゆく。
パンドールはこのハルムルガの丘の頂上に指揮所を設け、戦場を俯瞰しながら指揮を執ろうと考えているのだ。
ードォォォォォン……
「ん?何だ?」
「雷か?」
「馬鹿言え、こんなに晴れているんだぞ」
遠くから聴こえる轟音に、兵達が足を止めて陣形を乱す。
しかし、それぞれの方陣を纏める千人長達がそれを諫め、再び行進を再開させる。
「ワッシューナよ、先程の轟音は何だと考える」
「はい、伯爵。私が考えるにあれは遠雷でしょう。遠くに落ちた雷であっても、条件によっては聴こえてくるものです」
ロウリア軍の一翼を担う東部諸侯団を纏めるジェーンフィルア伯爵は聴き慣れぬ轟音を不審に思い側近である魔導士ワッシューナへと問いかけるが、ワッシューナの応えは先述の通りであった。
「ふむ、なるほど…。なら大した事は無いか」
ワッシューナの言葉を信じたジェーンフィルアは轟音の事なぞ忘れ、愛馬の脇腹を拍車で小突いて一足先に丘の頂上へと向かおうとする。
ーヒュゥゥゥゥゥゥ……
「ん?」
まるで下手な射手が射た鏑矢を思わせる不快な風切り音。
それはどうやら上空から響いているようだ。
「…なんだ?」
ジェーンフィルアが見上げた先にあったのは青空にポツンと浮かぶ黒点であった。
それは徐々に大きく、それに伴って風切り音も大きくなってゆく。
"アレ"は、此方へ向かって落ちてきているのだ。
「マズイ…全員、離れ……」
猛烈な嫌な予感を覚えたジェーンフィルアは喉が張り裂けんばかりの大声で後続の将兵へと退避するように命令する。
しかし、それは余りにも遅すぎた。
ードンッ!
目の前に雷が落ちたかのような轟音と共に落下物が空中でバラバラに砕け散り、その破片が東部諸侯団が形成するロウリア軍右翼を物言わぬ死体の山に変えた。
ギムの西方に展開した陸上自衛隊即応機動連隊桑国派遣部隊、その装甲車両部隊に所属する2輌の120mm自走迫撃砲が砲口より次々と巨大な砲弾を打ち上げている。
「ワグナーを聴いた事はあるか?」
「ワグナー…クラシック音楽のですか?申し訳ありませんが音楽にはあまり興味が無くて…」
装甲車両部隊を指揮する指揮車の中、何枚ものモニターに囲まれた空間で部隊長である
「なんだ、聞いた事が無いのか。俺は東欧でよく聴いたよ」
「東欧と言うと…オーストリアのウイーンとかですか?やっぱり本場のオーケストラは違うんでしょうねぇ…」
「あぁ、最高だ。少し演奏してやろう。本物のワグナーではないが、よく似た"音"を奏でるだろうさ」
ニヤッ、と口角を吊り上げた国場はポケットからケースを取り出し、
「あぁ…あぁぁぁ…」
ーガリッガリッ
シートに座ったまま背筋を反らし、車内の天井を見上げるように顔を上に向けたまま肩を動かしつつ、体を捻りながら錠剤を噛み砕く。
「国場一尉、敵部隊の一部が撤退を意図しているようです」
「ふぅ〜…
「はっ!」
国場の命令を自走迫撃砲へと伝えつつ、ドローンによって観測された映像が映し出されている
最新のデータリンクシステムを装備している30式装甲車ならば、迅速かつ正確かつ簡単に他車へと目標の座標を伝える事が出来る。
ードンッ!ドンッ!
腹の底に響くような重厚感ある発射音と共に120mm迫撃砲弾が天高く打ち上がる。
それはそのままほぼ垂直に近い形でハルムルガの丘の反対側で右往左往するロウリア軍へと落下する。
「……命中。撤退を企図した敵一部部隊は壊滅したようです」
しかし、そのまま落下して地面に衝突する訳ではない。
先程放った砲弾には時限信管が設定されており、高度50m程で炸裂、内部に詰め込まれた数百発の
その結果、撤退をしようとしていたロウリア軍の弓兵隊と攻城兵器隊は文字通り壊滅し、未知の攻撃に曝された生き残り達は逃げ場を探して右往左往しているのだ。
「国場一尉、敵騎兵が増速。丘を越えてきます」
「
「はっ、了解」
ーダダダダダンッ!ダダダダダンッ!
待機していた5輌の装甲車が砲口から火を噴く。
高速の60mm砲と、圧倒的弾幕の25mm砲に狙われては騎兵の機動性なぞ無きに等しい。
青々とした下草が生い茂っていたハルムルガの丘は瞬く間にロウリア軍の兵士と軍馬の死体で埋め尽くされ、流れ出した血で小川が出来た。
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