トチ狂った日本国召喚   作:北限の猿

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結構評価を頂いて、少し驚いてます


ハリアー 〜怒りの翼〜

ギムにて激しい(一方的な)戦闘が繰り広げられている頃、ギムより東へ20km程離れた位置にとあるエルフの集落がある。

彼らは古くより森に住む一族であり、排他的ではないが先祖の教えと暮らしを守って静かに暮らしていた。

しかし、最近になって集落の近くでロウリアの騎馬隊、しかも悪名名高い"赤目のジョーヴ"が率いる騎馬隊が目撃された事によって、彼らは女子供の疎開を決定した。

 

「アーシャ、大丈夫かい?」

 

「お兄ちゃんは心配し過ぎだって。私は大丈夫だよっ」

 

草原の寂れた街道に列を成して歩みを進めるエルフの女性と子供達。

その一員であるパルンは妹であるアーシャを気遣いつつ、歩みを進めていた。

男手一つで育ててくれた父は先祖代々の地を守るために武装し、他の男性エルフと共に集落に残っている。

今、まだ幼い妹を守れるのは自分しか居ない。

父の言い付けと、兄としての矜持を胸にパルンはアーシャの手を引いて歩き続ける。

 

「ろ、ロウリアの騎馬隊だぁぁぁ!」

 

そんな中、護衛の為に疎開民について来ていた若い男性エルフが遠くを指差しながら叫ぶ。

思わずその方向に目を向ければ、ロウリア軍旗をはためかせた騎兵の集団が土煙を蹴立てて此方へ向かって走って来るではないか。

その数、100以上…対してエルフ達は10名程度の戦闘経験の無い若者と、戦力には成り得ない女子供ばかりだ。

 

「お兄ちゃん!」

 

「アーシャ、先に行くんだ!僕は少しでも奴らを食い止めるから!」

 

不安げに縋り付くアーシャを振り払い、懐に隠していた小刀を取り出す。

病で亡くなった母がくれた大切な形見、それを両手で握り締めるようにして構える。

 

「来い…来いよ…!一人でも道連れにしてやる…!」

 

慌てふためいて槍を構える男性エルフに混ざって立ちはだかるが、膝がガタガタと震えて仕方ない。

 

(父さん…母さん…アーシャ…そして太陽神様…。どうか僕に力を!)

 


 

血のように赤いマントをたなびかせ、ロウリア軍の精鋭ホーク騎士団の一角を担う第15騎馬隊は進路上に発見したエルフの集団目掛け、まるで放たれた矢のように猛進していた。

 

「隊長ぉ、さっきの言葉は本当ですよね?」

 

「おう、当然だ!奴らは死ぬまで好きにして構わねぇ。どうせ本隊は俺たちが何をやってるか分かんねぇさ!」

 

「ヒャッホーイ!」

 

いかにもガラの悪い荒くれ者達を率いるのは、赤目のジョーヴと呼ばれる札付きのワルであった。

ロウリア軍の尖兵として戦場を渡り歩いた彼の悪名は数知れず、自身に歯向かった者の指を全て切り落としただの、捕まえた女性を馬に犯させただの、洞穴に隠れていた子供達を男女構わず犯しただの、まあとにかく擁護しようの無い極悪人である。

そんな彼に率いられた素行不良者の寄せ集めである第15騎馬隊は、今まさにロクに抵抗する力も持たない女子供(弱者)へと、その穢れた牙を剥かんとしている。

 

「ゲハハハハ、ありゃエルフ共だな!エルフのガキは具合がいいんだ!ギャンギャン泣き喚かせてやるぜぇ!」

 

下卑た欲望を隠しもせず、幾人もの命を奪った長剣を振り回すジョーヴ。

その姿にエルフ達は恐れ慄くが、それは彼にとっては最高のスパイスだ。

 

「おらおら!先ずは一人…」

 

ーゴォォォォォォォッ!

 

待ち構えていたエルフが持つ槍を切り払い、そのまま馬で跳ね飛ばした瞬間だった。

空に轟音が響き渡り、上空を大きな影が高速で飛び去った。

 

「何だぁ!?」

 

「た、隊長!ありゃなんですかい!?」

 

ジョーヴと彼の部下、そしてエルフが見上げる空にあったのは、濃い灰色をした鉄の飛竜(航空機)であった。

しかし、航空機なぞ知らない彼らはそれが何か分からず、混乱している。

 

「ワイバーン…いや、違う!なんだありゃ……」

 

その正体を確かめるべく目を細めて注視するが、ジョーヴの意識はそこで途絶えた。

空より降り注いだ鉄塊を喰らい、愛馬ごと粉微塵になってしまったからだ。

 


 

「こちらカワセミ、ロウリア兵と思わしき一団が避難民らしき一団を攻撃している。民間人保護の為、攻撃してもよいか?」

 

《こちら"おおすみ"。攻撃は問題ないが、民間人への被害は禁物だ。高威力の爆弾やミサイル、ロケット弾による攻撃は控えよ》

 

「了解。では機関砲による掃射を行う」

 

《了解。通信終わり》

 

「キジバト、聞いたな?機関砲を使うんだぞ」

 

クワ・トイネ側からの情報により、ロウリア軍の別働隊を警戒する事となった自衛隊は、第二航空護衛艦隊に所属する揚陸輸送艦『おおすみ』より発艦した『VA-8B改 ハリアーII』による哨戒飛行を行なっており、丁度エルフの疎開民を第15騎馬隊の攻撃から守る事が出来た。

 

《チクショウ…ロウリアめぇ…。エルフ達に何をしやがるつもりだったぁ?エルフは世界を挙げて護るべき宝物だろうが!》

 

「お前、この世界に来てからオタクを拗らせたなぁ…。金髪巨乳エルフの薄い本ではしゃいでた頃がまだ良かったよ」

 

《そんな事よりあのロウリア野郎どもをぶっ殺すぞ!あんな奴ら、絶対エルフの美少女達にあんな事やこんな事するに違いない!絶対そうだ!オセアニアじゃ常識なんだよ!》

 

「オーストラリアへの熱い風評被害」

 

《ともかく俺は先頭に居る奴を狙う!お前は逃げようとする奴らを一人残らず()れ!》

 

「はいはい…」

 

ちょっとテンションの可笑しい相方に呆れつつも、カワセミは兵装選択で25mmガトリング砲を選ぶと、HUDに投影された照準で空を見上げるロウリア兵に狙いを定めると、操縦桿のトリガーを引く。

 

《ヒャッハー!逃げる奴はロウリア兵だ!逃げない奴は訓練されたロウリア兵だ!これだから人助け(戦争)はやめらんねぇ!》

 

胴体の下面に取り付けられた機関砲パックが火を噴く度にロウリア兵は馬ごと粉砕され、跡形も残らない。

どうにか逃げようとする物も、時速数百kmで飛行するハリアーIIから逃れられる訳もなく、先に逝った者の後を追うだけであった。

 

 

その後、ロウリア兵が全滅したのちにおおすみより飛び立った『V-22 オスプレイ』によってエルフの疎開民は全員救助され、馬に跳ね飛ばされた男性エルフも重傷ではあったが命を取り留めたのだった。

 

余談だが、おおすみに戻ったキジバトは自身が助けたエルフの中にどストライクな女性エルフが居り即座に口説きに掛かったが、その件と作戦中の言動が問題となって一ヶ月の甲板清掃が命じられたのだが…

彼と、彼に口説かれた女性エルフが初の異世界婚を成したカップルとして話題となるのはまだ先の話である。

 




おおすみ型は現実とは違いますし、ハリアーの型式はAVだと日本じゃアレなので変わってます

魔王編の後、何を書くか(期限一週間)

  • 対パ皇戦編
  • 日本と接触した各国の変化編
  • 幻の中央歴1640年先進11ヵ国会議編
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