翔るは緋、“硬”るも銅 ~散弾銃で殴るんじゃない~   作:阿久間嬉嬉

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三巻目開始です。

段々オカルト味が増していき、比例してキンジのたがも外れていきます。

そして今章こそ、ちゃんとキンジ(硬)について書ければなと思っています。


闇を制する無限罪
蜂蜜色の序章(ハ二ーゴールド・プロローグ)


 《魔剣》事件解決から幾許か経ち―――。

 

 本格的にたまり場と化した所為で少しだけ他者の私物が残され、キンジの部屋がミニマリスト仕様ではなくなったり。

 

 「メカケの分際で!」と相変わらず何処にスイッチがあるのか分からない変貌した修羅白雪と、「ドレイが生意気よ!」とそれを迎撃する仔ライオンアリアを、キンジが基本アリア寄りながらも「両成敗」で沈めたり。

 

 買い直した物(Notキンジの私物)を壊される回数が遂に両手で数えられる程度を超えたり。

 

 ―――ホームズ四世ことアリアとそのパートナー候補・キンジ、そしてドレイことパーティメンバーの武装巫女・白雪たちの日常は、騒がしくそして喧しい事が当たり前になっていた。

 

 天才Sランク武偵、巨漢ワニゴリラ、超能力界の優等生と三人共バケモノなせいで、銃火器も刃物も手軽に出してしまうのに、かすり傷で済んでいるのがまた恐ろしい所である。

 

 

 

 そんな感じで二人が、半ばキンジ宅に住み着いているのに近い状態となって、少しばかりの時間が過ぎた……ある日のこと。

 

「ん?」

 

 今日は友達と遊びたい気分だったキンジが、武藤の部屋で不知火を含めた男子数人とカードゲームをし、やたらと強い武藤が一人勝ちして終わったその帰り道。

 

 ケータイに着信が入り、大方アリアか武藤か星伽白雪だなと値を付けたキンジは、のんびりと番号を確認。

 ……すると、彼の表情が少しだけ、いぶかしげなものへ変わる。

 

 なぜならその番号は03で始まっており、つまり電話を掛かけて来た元が、ケータイでは無かったからだ。

 

「…誰だ?」

『キンジ、あんた今どこに居んの』

 

 取ってみると出たのはアリアで、心なしか語調がイラつたものとなっている。

 とんと覚えが無いキンジは片眉を上げつつ、普通に返す。

 

「バス停の前。第三男子寮行きをクラスメイトと待っている」

『じゃあ今すぐ女子寮に来なさい。部屋は1011号室よ』

「断る」

 

 そしてアリアの誘いを真っ向叩き落とし、自分から通話を切った。

 

「いやキンジ、お前……」

「早っ」

 

 一緒に居たクラスメイトも思わず引くほどの即断即決。

 女子寮には行きたくない確固とした意志故だろうが、それにしたって早すぎである。

 ……用件を聞かぬまま切らなくともよかろうに。

 

 当然、すぐさま二度目の電話が掛かってきた。

 

「もしもし」

『いきなり切るとかどういう了見よ!?』

「話すなら学校で良くないか」

『うるさい! 来いと言ったら来る! 来ないと風穴!!』

 

 一息でそれだけ言うと、今度はアリアの方から通話を切り、それっきり向こうから掛かってこなくなる。

 ……地味に『学校で良くないか』と言っていた辺り、自室で話すのも本当は嫌な様子。

 

 どったんばったん大騒ぎを日常にしているのは、キンジなりな最大限の譲歩なのかもしれない。

 

 その後、自分が追っているイ・ウーの件だったらどっちも困ると考え、キンジはクラスメイトと少し会話したのち、女子寮の方へと足を進めた。

 

 

「ここか」

 

 ―――指定された1011号室は所謂『高級仕様』であった。

 

 通常の扉よりハイテク味があり、更に女子寮は個室の割合が男子寮よりも高いせいか、大きさも異なる。

 だからか見つけるのは簡単で、キンジもストレートにここへ来れている。

 

 表札を見る限りここはアリアの一人部屋のようだ。

 

「ふふっ、ようこそキンジっ」

 

 確認した後にキンジは呼び鈴を押し、出迎えたアリアを見るなり、一言ぶつける。

 

お邪魔しました

 

 来て早々の不躾な一言……「帰って良いか」ですらない、Uターンを求める一言を。

 イ・ウー関連の可能性すら放り捨てて。

 

 だがしかし。

 

「もー、早いってば。でもいいわ、今日は許してあげちゃう」

「……?」

「こっち、来て?」

 

 意外や意外、アリアは怒ることなくキンジの手を優しくぎゅっと握り、弱弱しい所作で迎え入れようとする。

 それに不意を打たれたキンジは引っ張られる様な形で、アリアの部屋への来訪を促されてしまう。

 

 見えてきたリビングはこれまた予想外な、可愛い系の装飾だらけ。

 キャンドルポットに照らされて、ピンク一色に染まっている。

 更に見た事ない衣服が散らかり放題で床は見えない。

 その衣服もセーラー服、ネコミミフード、ミニスカメイド服、布面積が少ない改造巫女装束、小学生を思わせる小物等々コスプレグッズばかり。

 

 キンジもそう思っていたのだろうが、アリアの性格からしてより実践的で実務的な部屋の方が、当人には悪いがとても似あうと言えよう。

 もしかすると、内と外で大幅に性格が変わるタイプなのかもしれない。

 

「キンジ、どれがいい?」

「帰りたい」

「うぅ~、キンジってば冷たいよぉ…でも」

 

 物欲しげな顔で指をくわえる、これまた今までにない表情を見せたアリアはキンジへ、いやに艶めかしく歩み寄る。

 

「そういう所も、素敵……」

 

 うっとりするようにそう呟き、彼のつま先を踏むと……そのまま背後のベッドへ仰向けに押し倒した。

 

気味悪っ

「うぎゃ!?」

 

 直後にキンジの巴投げモドキを喰らった。

 しかもひどい感想のオマケ付き。

 日頃の印象と真逆な事をやられたとはいえ、あまりにも容赦がない。

 逆に引っ張り込まれ、足で蹴る様に押されたアリアは、キンジの後方へ飛ばされ壁にぶつかる。

 

「うぅ、なんでそんなに……」

 

 当然アリアは涙目になり、枕を支えにした逆さ状態のままキンジへと抗議。

 対しキンジは片眼を見開き片眼を鋭く細める、奇妙な表情でこう言った。

 

「何故はこっちの台詞だな、何のつもりなんだ―――

 

 

 

―――理子(・・)

 

 アリアが怖いから投げた、というだけではない、その理由となる名前を含めて。

 

「……くふふ」

 

 キンジの台詞を受けたアリア……否、理子は声色を変え、その顔を覆っていた特殊なマスクをベリべリとはがし、ウィッグを放り捨てる。

 そして下から現れた蜂蜜色の淡い金髪を揺らしつつ、もろ手を挙げてベッドの上を跳びまわる。

 

 疑うべくもない―――リュパンの曾孫、現代の情報怪盗、『理子・峰・リュパン四世』その人だ。

 

「びんごー! そーなのです、答えはアリアではなくりこりんでしたー! やー、キーくん意外と鋭いね? どーして分かったの?」

「神崎はああいうことをしない、だが外見は瓜二つ。なら答えはお前ただ一人。本当に気味が悪かった」

ひっど! 直球でひっど!! オルメスが流石に可哀想だろ!?

 

 どうやら先程こぼれた言葉はまごう事無き本音らしい。

 まあ彼自身がいい加減すぎるのもあるとは言え、常々怒られ撃たれまくっているのだ。

 そんなアリアがいきなりしなを作って、猫なで声を出し、コスプレ衣装を手に持てば疑いもするだろう。

 

 しかしキンジの興味は、もう既にそこには無かった。

 徐々に、確実に両目とも鋭くなっている事からも分かるように、今は別の事に意識を傾けている。

 

「どうしてお前がここに居られる、指名手配されている筈だろう」

 

 そう。

 理子は《武偵殺し(爆弾魔)》として暗躍し、春先の事件でキンジとアリアの二人に負け、逃亡中の身である。

 そんな理子がこうも堂々と、武偵や並みならぬ大人だらけの学園島内へ姿を現すのは“異常”と言えた。

 

 キンジの問いに、理子は答えぬまま二重瞼をそっと伏せ、上の窓からのぞく星空を見やる。

 

「キーくんにお願いがあるの」

「なに?」

 

 何かがおかしい。そう問い詰める間もなく理子はキンジへスッと近寄って。

 

「理子を、助けて」

 

 ―――そんな事を言い出した。

 

「て言うかそもそもキーくんとアリアのせいなんだよ? 理子がイ・ウーを退学(・・)になっちゃったのは。もうぷんぷんがおー、だぞっ!」

(退学?)

 

 キンジの中のイ・ウーのイメージは、文字通りの悪の組織だ。

 また直近の事件で、銀氷の魔女であるジャンヌ・ダルク三十世に出会った事もあり、それこそアニメに出てくるような悪役達を思い浮かべていた。

 

 だがここに来てそのイメージにひびが入りつつある。

 

 確かに理子は以前イ・ウーを学びの場と称していた……だが『退学』とは一体どういうことなのか。

 もしや悪の軍団を育てる、学び舎のような施設・組織なのだろうか。

 とは言え進む状況はそんな事を考えさせる暇もくれない。

 

「だから責任を取って? 取らないなら、お母様に教わった方法で言うこと聞かせちゃう。男の子の扱いは、とっても得意だったんだってさ……甘い、甘ーい思い出、残させてあげちゃうよ?」

「お前が牢の門戸を叩けばすぐ甘美な気持ちになれる」

 

 蠱惑的で、トロけるような理子の(いざな)いにも、キンジは表情を崩さず否定を返す。

 警戒一色な事からしても、明らかに理子に対する不信感の方が勝っている。

 

「取り付く島もないなー、それに女性に端して辛辣すぎっ。キーくんってば本当にHSS持ちなの?」

「…………」

 

 HSS―――ヒステリア・サヴァン・シンドローム。

 性的興奮と共に推理能力や反射神経が向上し、スーパーマンとなれる、特異能力(マルチレイズ)

 キンジの兄も父も祖父も持っている、遠山家に代々伝わるこの体質を、理子はどうしてか知っている。

 曰く兄・金一の恋人らしいが、もしそうならば余計におかしい。

 兄が悪の組織に付かない事、そしてそう簡単に話すはずがない事を、キンジは知っているからだ。

 

 ……そして、彼女はもう一つの真実を知らない。

 普段惚けているから戦闘時にそう見えるだけで、キンジが例外的にHSSを持たない、異端児である事を。

 同時に女性に対する見方すら、普通の男性とは大いにズレている事を。

 

「理子はこの間の戦いから、ずーーーっとキーくんの事ばっかり、考えてるんだよ? 初めて本当の恋を、しちゃったみたい……好き、好きっ、大好き」

「………」

「だから何も、考えなくていいの。今は理子の事だけ、考えて?」

「考えてはいる。今からお前をぶん殴って、取っ捕まえる手順をずっとな」

 

 片方は嘘か真か、愛の熱に浮かされた恋する乙女の空気。

 片方は嘘と決め、どこまでも冷たく睥睨する戦士の空気。

 対照的が過ぎる感情のこもった視線は互いに反らされず、偶然にも恋人のように見つめ合い続ける、そんな状況を作り出していた。

 

「ほーんとトゲトゲだなー。キーくんはもう少し、乙女心を知った方が良いよー?」

「そこまでの度量を、オレはお前に持てない」

「まさかまだお兄さんを殺したって思ってる? お兄さんは理子がキーくんLoveになる前の恋人さんだって、前に言ったでしょ? ――あっ、でも安心して? ここでやろうとしてることは、してないから」

「だろうな」

 

 兄がそういう事をしない、或いは出来ない事を確信しているのか、キンジは理子のその話にだけは即答で頷く。

 

「理子は正真正銘、穢れ無き乙女なんだよ? こういうことだけじゃなくて……《武偵殺し》についても、同じ。本当の理子は《武偵攫い》、今まで消えた人達もただ攫われただけなのでーす」

「証拠は」

「HSSを知っている、じゃダメかな?」

「…………」

 

 前述の通り、キンジの兄である金一は口が堅い。

 それは本人の性格がそうであると言うだけでなく、HSSの正式名称が心理学用語になるほど、ある程度知られた物でもあったからだ。

 

 武偵として切り札となり得る情報は伏せた方が良い。それぐらいキンジも知っている。

 まして犯罪組織相手ならば猶の事それを口にする訳が無い。

 それを理子が知っていると言う時点で、金一が生きていると言う可能性は存在し得る。

 

 無論……それは正義を重んじる金一が悪の組織(イ・ウー)に属する、無理難題な前提を是としたうえでの話だが。

 

「それではここで選択肢です。キーくんはりこりんを受け入れますか? 『はい』か『いいえ』でお答え下さい……『はい』を選んだ場合はイベントシーン後、お兄さんの情報が解禁されまーす」

いいえ

「うーんやっぱり手強い!! お兄さんの情報でもそう簡単には頷かないよねー、ハイジャックの時も思ったけど」

 

 とはいえ理子もハニートラップや兄の情報に食いつかないのは想定済みか、胸板に寄りかかろうとしながら、更なる“餌”を追加する。

 

「イ・ウーについて、理子の可能な範囲で話せる情報の提供。そして理子が大人しく捕まるっていうのは、どう?」

 

 それはあまりに単純で、何よりキンジも反応せざるを得ないもの。

 

「む……」

 

 だからかキンジは流石に黙り込み、『はい』を選ぶかどうかで悩み始めた。

 されど『はい』を選べば理子の言うイベントシーンとやらに入ってしまい、よく分からない事に巻き込まれかねない。

 

 そもそも大人しく捕まるも何も、キンジは元から捕まえる気満々。

 惜しいのはイ・ウーの情報のみだ。

 なので再び『いいえ』を選ぼうと口を開いた。

 

「……でも理子ってハーレムルートは嫌いなんだよね」

 

 ―――その瞬間、理子が無関係にも思える単語をつぶやき。

 

 

 

 

がしゃあああぁぁぁぁん!!

 

あたしのパートナーを盗むな!!!

 

 ターザンのようにワイヤーを使い、ガラスを蹴り割って、桃色の影が思い切り飛び込んで来た。

 

 そして理子が身をねじりながら跳躍してベッドから降りるのと、キンジが胡坐を解きながら体を傾け片手で跳躍するのと同時に、アクロバットを決めながら二丁拳銃を抜いた影―――アリアが降り立つ。

 

 そのまま空を裂くような音を上げ、.45ACP弾を理子目掛けて連射。

 

 理子は慣れたものなのか床の衣服を目くらましに使い、転がりながらランドセルを掴むと、起き上がり様に背負いポーズを決める。

 よく見ると懐中時計も拾っている。

 

「もーちょっとかかるかと思ったけど、案外早かったねー」

「クラスメイトに聴いたのよ! アタシが部屋に呼ぶ電話をしたことをね!」

 

 無論そんな電話などしていなかったアリアは通信科に向かい、監視カメラからキンジを追跡してこの部屋に向かっていると割り出したのだ。

 

 そんなカラクリを口にしつつ、アリアは息を大きく吸う。

 

「汚らわしいドロボー一族!! あたしのモノは盗ませないわよ!!!」

「誰のものでも無い」

 

 サラッとモノ扱いされたことへツッコミを入れるキンジに構わず、真っ赤になって地団太を踏みそうなほど震えるアリアへ、理子はぷくっと頬を膨らませてみせた。

 

「アリアってばもー、ダメダメだなぁ。イベントシーンに他√のヒロインが飛び込んでくるのは、ちょっと無いんじゃなーい?」

「なにがイベントよ!! 素気無くされてたくせに!!!」

「もう少しでそれが覆ったんだけどなー、だって女の子のお胸に溺れない男の子なんて、居ないんだもん」

「お、おぼ、おぼ、おぼおぼぼ、ぼぼぼおぼっ、ぼぼぼぉ……!!?」

「神崎、陸で溺れるな」

 

 一体何を想像したのか、またもやキンジのツッコミ――どころか存在をスルーしてしまうほど、アリアはわたわたと慌てだす。

 

 そこへ理子が畳み掛ける。

 

「女の子の胸イコール正義なのです、男子皆跪くものなのでーす……あ、でも」

「おぼ……っ?」

「アリアには関係無いか」

 

 アリアの平らなバストをこれ見よがしに指しながら。

 

「か、かかっ、風穴!! 風穴開けてやるうぅぅっ!!!」

 

 がん! がん! がん! と、足を上げては一気に踏み落とす、オリジナリティ溢れた地団太を踏みながらアリアは激昂。

 

 鬼気迫るそんな彼女に、当然理子は涼しい顔のまま、鬼の角のように両指を頭の側面で立てる。

 

「胸だけじゃないよー。ゲームで、もっといーっぱい、男の人を喜ばせる知識も物も、知ってるんだもん。だから実践しようとしたのに邪魔するなんて……ぷんぷんがおー!」

 

 そして何故か手にした懐中時計を放り投げた。

 

 刹那―――アリアの眼前でまばゆい光を放ち、ライトのピンクを白で塗りつぶす。

 

「きゃっ!?」

 

 どうやら先の懐中電灯は、合金粉末を燃焼させて光を放つフラッシュバンだったらしい。

 

 いきなり強烈な閃光が発された所為で、アリアも本能的に思わず縮こまる。

 

 通常、強襲科(アサルト)ではこの隙に制圧しろと言うノウハウを学ぶのだが、やられているのはキンジ達の方。

 加えて理子の次の行動は読めず、どう動かれても後手に回ってしまう。

 

逃がさねえ!

 

 ……光るか光らないかの内に目を閉じて疾走。

 理子の出した音と記憶を頼りに窓から脱出。

 そのままイモリ式ボルダリングで壁をつたい、半ば跳びながら追跡する。

 このバカすぎる男(キ ン ジ)を除いては。

 

ちょっとは怯めよ!? 階段から昇れよ!! 人間として!!!

 

 動力付きのワイヤーなので流石に理子の方が早いのだが、中々恐ろしい形相で迫るキンジに、彼女は叫びそうになるのを必死にこらえる。

 

 ――そのまま理子が屋上へ一番に到達し、続いて不意打ち対策かちょっと回って横からキンジが、非常階段の扉を蹴り開けてアリアが到着。

 

 挟み撃ちこそ出来ないが、二方向から理子を睨みつける形となった。

 

「まったく……キーくんってば規格外だなぁ。オトコもいて、硝煙のにおいもする、とってもいい夜なのに……危うく萎えちゃうとこだったよ?」

 

 言葉とは裏腹に、月に照らされた理子は、どこか妖艶。月明りを反射させた髪から光の尾を引き、ハイジャックの時に近い、獣のような輝きを瞳に宿す。

 

 その手にはすでにワルサーP99が握られており、やる気は充分で、逃げる気も見られない。

 

「今度こそ逮捕するわ……理子・峰・リュパン四世!」

 

 白銀のガバメントを構え、そう叫んだアリアへと、理子はニヤァ…と笑んで告げる。

 

「やってみな、ライミー」

「言ったわね……フロッギー!」

 

 それぞれ、イギリス人とフランス人の蔑称を口にして―――。

 

(……ん?)

 

 キンジがとある違和感を抱いたのと同時に―――。

 

「キンジ、援護して!!」

「来な、オルメス!!」

 

 ホームズ四世とリュパン四世、曾孫同士の戦いが、幕を開けた。




・小話・

Q.理子ってアリア単体じゃないと相当不利だよね……?

A.それについては次の話で。

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