ソードアート・オンライン〜白鷺の剣聖と剛腕の戦鬼〜   作:yoru07#青薔薇

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今回はALO編の間の物語です。

ユキを求め北海道に向かった弘輝。果たして巡り会えることは出来るのか


2話 偽りと本物

昂樹が深澄の病院に行った2日後、弘輝は昂樹の父親の家を訪れていた。

 

「弘輝くん2年ぶりだね。元気にしていたか?」

 

「はい。病院まで手配していただきありがとうございます」

 

「気にしないでくれ、それで、昂樹から少し話は聞いているがプライベートジェットを使いたいと聞いたよ」

 

「はい。大丈夫でしょうか?」

 

「もちろんだ。他にもない弘輝くんの頼みだからな」

 

昂樹の父親は大企業の社長でお金持ち

 

「もちろんだが、帰りも任せてくれ。こちらで全額負担するから旅行も兼ねていってくるといい。これを」

 

昂樹の父親は弘輝に一枚の黒色のカードを手渡す

 

「これは?」

 

「これをなにか買いたいときに使ってくれ、あとこれで電車も乗ることが出来るから気軽に使ってくれ。あと何かあったらすぐに連絡してもらって大丈夫だ、私に出来ることがあれば全面的に協力させてもらう」

 

「何から何までありがとうございます。

弘輝は深くお辞儀をする

 

「そんな頭を下げないでくれ。私は恩を返しているだけだ。あんな状態の昂樹と話してくれたのは君だけだった、だからあいつは立ち直れたと思う。頭を下げるのはこちらのほうなんだ。ありがとう」

 

「そ、そんな、頭を上げてください!俺はただすべきことをしだけですから」

 

「そうか....おっとそうだった時間は明日の10時だ、気をつけて行ってきてな」

 

「はい」

 

そういい弘輝は家を後にする

 

次の日弘輝は一通り準備を終わらせ出発の準備をしているとインターホンが鳴る。弘輝は玄関に向かいドアを開ける

 

「はーい」

そこには黒色のロングヘアでかなり高身長。目元はキリッとしていていかにも仕事ができそうな感じの女性が立っていた

 

「失礼します。大橋弘輝様のご自宅で間違いはないでしょうか」

 

「あ、はい」

 

「私は橋本社長の第二秘書のリサと申します。社長の意に従い出発まで同行させていただきます」

 

「あ、はい。よろしくお願いします」

弘輝は荷物を持ちリサさんに案内され車に乗る。

 

1時間ほど車に揺られると空港につく

 

 

「弘輝様どちらへ?」

弘輝はいつもどおり搭乗口に行くため荷物検査のところに向かおうとするがそれをリサさんに止められる

 

「えっと、ここからじゃ?」

 

「いいえ、こちらです。ついてきてください」

言われるがままリサについていくとサクララウンジという一般には入れないところに来た

 

「サクララウンジ?ここって入れないんじゃ」

 

「入れますよ。社長の紹介ですから。あとサクララウンジではなくダイアモンドラウンジです」

 

「まじか....」

 

弘輝は次元の違いを痛感しながらも、手続きを済ませラウンジに入る

 

「おー!食事とかもあるのか流石というべきだな」

 

「弘輝さん。私がついていけるのはここまでです。時間になったらあのエスカレーターを降りれば搭乗口に行くことができます。あとこれを泊まるホテルで渡してください。それでは。お気をつけてください」

 

「はいありがとうございました。」

 

そう言うとリサさんはラウンジを出ていった。

弘輝は時間まで食事をし、予定通り飛行機に乗る。約1時間半で新千歳空港に到着した。飛行機を降りると弘輝はそのまあまタクシーで宿泊予定のホテルに向かう

 

タクシーを降りていかにも高そうなホテルに入る

 

そこはまるで別世界。巨大な噴水にシャンデリア。何もかもがキラキラしていて美しい。そんなエントランスに見惚れながらも、受付をしに向かう

 

「こんばんは。えっと君本当にここに泊まるのかい?親御さんとも相談しましたか?」

 

「えっと、どういうことですか」

 

「なんでと言われましても。このホテルは一泊150万円ですよ。大丈夫なのでしょうか」

 

すごいのが来るとは思っていたが、その領域を大きく超えた150万円という数字に声が出てしまう

 

「150万.....き、今日はある人の紹介でここに来ました。手紙を預かっています」

弘輝はリサさんからもらっていた手紙を渡す

 

その手紙を見た受付の人は大きく目をあけ、焦るように裏へ戻っていった

するとすぐに偉そうな人と共に出てきた

 

「こんばんは、弘輝様。先程は失礼な行為をしてしまい誠に申し訳ない。彼も橋本社長のご友人とは知らなかったんだ。許してはくれないかい」

 

「そ、そんな全然大丈夫です」

 

「そうか。ありがとう。では弘輝様案内役をつけますので彼についていってください。宿泊期間は未定ですが、優。弘輝様に迷惑の無いように」

 

「承知いたしました」

 

優と呼ばれた男は弘輝の荷物を持ち、ついてくるように促す

 

「では弘輝様。スイートルームに案内いたします」

 

弘輝はそのままスイートルームに連れて行かれ人生初のVIP気分を味わった

 

 

次の日

 

弘輝は雪に会いにいくため朝食を食べ準備を終わらせると部屋を出る

 

「弘輝様おはようございます」

すでに扉の前に優さんが立っていた

 

「わっ!びっくりしたー」

 

「これは申し訳ございません。弘輝様お荷物お持ちいたします」

 

「あ、ありがとう」

 

優さんは弘輝の荷物を持ちエレベーターへ向かう

「今日はどちらに?」

 

「今日はこれから友だちのいる病院へ行こうと思ってて」

 

「そうですか。では」

 

そう言って優さんはポケットからスマホを取り出し電話をかける

「弘輝様がお出かけなさるそうです。車の用意をお願いします」

 

「弘輝様では降りましょうか」

 

弘輝は優さんに促されるままエレベーターに乘り一階のエントランスに向かう。その間従業員とすれ違うたびに挨拶をされるのに違和感を感じながらも車のロータリーにつく

 

「ではお荷物はトランクに入れておきますね。それでは弘輝様お気をつけてください」

 

 

優さんに見送られ弘輝は雪の病院へ向かう

 

 

 

「こんにちは。本日は診断でしょうか、面談でしょうか」

「こんにちは。面談で山本雪さんにお会いしたいのですが」

 

「えっ....あ、はい。許可書はお持ちですか?」

受付の女性は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに落ち着いて話す

 

弘輝は菊岡から予め預かっていた紙を取り出し渡す。その紙を受け取ると受付の女性は席を立ち上がり裏に戻っていく

 

少しして

 

「はい、確認できました。あちらのエレベーターに乘り2階の202号室に向かってください」

 

「はい。ありがとうございます」

弘輝は言われたとおりエレベーターに向かい乗る

 

受付の女性は弘輝の後ろ姿を見ながら小さく声を漏らす

「山本さんに会う人がまだいたのね....」

 

 

「すぅぅ...はぁぁ...」

弘輝は深呼吸をした。それでも小刻みに手が震えている。

 

この扉の先に雪がいる。

 

弘輝はもう一度部屋番号を確かめ、扉に手を掛けた。

 

風に煽られ雪の白い髪が揺れている。

 

雪はSAOと違う見た目をしていた。

真っ白で腰まで垂れる長い雪のような髪に氷のような蒼い瞳をしていた。

 

弘輝は雪の目を見ているがなぜか目が合わないことに弘輝は違和感を感じた

彼女はどこか悲しげで、表情に力がない

そして弘輝は少し不安めいた声で雪に問いかける

 

「雪.....俺だよ。弘輝だ」

弘輝は病室にすこし入り声をかける。その声に雪の表情がかすかに動く。それと同時に雪は顔を布団で隠す

 

「見ないでください!こんな....私の酷い姿を....!」

 

そんな雪に弘輝は近づこうとした

「なん『来ないでください!...お願いだから...』」

 

はっきりと雪は弘輝を拒絶した

 

弘輝の瞳が大きく開かれその表情には驚きと悲しみで描かれている。その言葉に弘輝は立ち止まり唇を噛み締めた。

 

 

 

「あなたが弘輝さんですね」

とっさに後ろを振り返る。そこには白衣をきたおそらく雪の担当医であろう女性が立っていた

 

「話したいことがあります。場所を少し変えましょう」

 

「はい....」

 

病室を出て隣の部屋に入る。促されるまま弘輝は玲奈と対面するように椅子に座る

 

「申し遅れました。私は玲奈。山本雪さんの担当医です。」

 

「雪の..友人の大橋弘輝です。」

 

弘輝の言葉は玲奈にもわかるほど悲しみが含まれていた。

一瞬の沈黙が流れた

 

「雪は...なぜあんなことに?」

弘輝は絞り出すように聞いた。

 

「雪さんは「虹彩異色症」「網膜色素変性症」「白皮症」という病気を患っています。ですがどの病気も治すことができます。しかし3つの病気が複雑に絡み合っていて治療の施しようがなく、何もできない状況です...虹彩異色症は俗に言うオッドアイと呼ばれるもので、雪さんの場合は両目の色が薄く、氷のように見えます。そして網膜色素変性症は徐々に視力を失っていく病気。雪さんは今、末期症状で目が見えていません。そして白皮症。全身のメラニン色素が足りなく生成に異常が見られる病気です。ですが雪さんの場合は髪が特に足りていなく、銀髪になっています。」

 

弘輝の表情が玲奈の言葉を聞く度に歪んでいく。

 

「SAOに入るまで彼女は今の姿でも頑張って生きようとしていました。しかしSAOに雪さんが入って1年後雪さんのご両親は他界。交通事故でした...」

 

弘輝はその言葉に俯いていた顔を上げ玲奈の顔を見た。

自分を見る弘輝に玲奈は申し訳なさそうに目をそらした。

弘輝にも玲奈ではどうしよもなかったことだというのはわかっている。

 

「くっ...そ...」

 

やり場のない怒りに弘輝は再び俯き、強く拳を握り締めた

 

「治る可能性は...あるんですか?」

 

握り拳からふっと力が抜け弘輝は顔を上げた。

一途の望みに賭けた弘輝の言葉はすぐに瓦解した。

 

「可能性は...限りなく低いです。それこそ奇跡が起きるようなものです。

治ったとしても細胞が破壊されているので、視力は...戻らないと...思います...」

 

運命をここまで恨んだことはない。

なぜここまで雪を追い込むのか、ここまで締め付けるのか

弘輝の頭の中が黒く淀んで行くのと同時に弘輝の瞳が黒く沈んでいく。

 

「でも...雪さんは弘輝さんがいるから生きているんです!」

 

俺がいるから?

雪にとって俺は...

 

「SAOから雪さんが戻ってきたとき両親のことを雪さんに伝えたとき、

雪さんは...絶望してしまいました。職業柄そのような人には多く会ったことがありますが...ここまで追い込まれた人を見るのは初めてでした...SAOから生還し二週間、雪さんは一度も笑っていません。」

 

「雪は...雪はなんで俺なんかのために」

 

考えてることがそのまま口に出でくる

 

「雪さんは戻ってきてから私にSAOのことを少しづつ話してくれました。

SAOで出会った人のことを...弘輝さんのことを...」

 

俺のことを...

 

「雪さんにとって弘輝さんは唯一の存在だったそうです。何度も助けられて、一緒にいると楽しくて、頼れて、いつも雪さんのことを考えてくれて、いつの間にか大切な存在になっていたそうです。」

 

雪にとって俺が?大切な存在...

 

「雪さんが今の生きているのは弘輝さんのおかげです。弘輝さんがいたから雪さんは...だからお願いです。雪さんを救ってください!今の雪さんを救えるのは弘輝さんしかいません...お願いします!」

 

そう言って玲奈は弘輝に頭を下げた。

 

弘輝の気持ちはずっと真っ直ぐだった。

出会ったときからただ真っ直ぐ、真っ直ぐ雪の方を向いていた。

 

弘輝は立ち上がり部屋を出ていった。

 

「一緒に生きようって、言っただろうが...」

 

その瞳は真っ直ぐ雪の病室を見据えていた。

 

覚悟を決めたかのように言葉を放つと部屋を出ていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻り、弘輝が雪の病室を出た後

 

雪は布団に潜り小さくなっていた

「(弘輝が...来てくれた。でも...私は弘輝の姿が見えない。ゲームではない本物の彼の姿が....弘輝はなんていうのかな私の、偽りの姿を見て....また嫌われちゃうのかな)」

 

そう考えれば考えるほど涙がこぼれ落ちてくる

 

雪もわかっている。

弘輝が救ってくれることも弘輝が自分を好きなことも、でもそれは偽りの自分、SAOのユキだ。

今の雪は雪であってユキではない。

雪は弘輝に拒絶されるのが怖くて自分から拒絶してしまった。

 

 

「(お母さんも、お父さんももうこの世界にはいない。弘輝も....またいなくなっちゃう。私はいつだって一人ぼっち。学校でも、この世界のどこでも、誰にも見てもらえない.....でも、あのSAOだけは違った。ミトやコウキ。アスナも...私を必要としてくれた、あの世界が好きだった)」

 

「あーあ。悔しいな....私が普通の女の子だったら…こんなことになるなら...」

 

「ずっとSAOの中がよかった..」

 

これが雪の本心だった。

 

すると突然ドアが開く音がした。その足音はベッドの隣に来て止まる

次の瞬間雪の上にかかっていた布団がめくられる

 

「えっ....」

雪が上を見た瞬間暗闇の中に光が見えた

 

「雪.....」

 

「ひろき?」

 

雪はとっさに声が聞こえた方向とは反対の方向を見る

 

「見ないで....願い...」

 

「どうして俺に見せてくれないの?」

 

「だってこんな私嫌いでしょ!SAOだって私は黒髪だったし目だって黒くて。酷いでしょ、仲良くなったのに私は嘘ついてみんなのことを騙して...弘輝だって幻滅したでしょ」

 

「雪...俺には雪が必要なんだ。」

 

一瞬雪の心が揺らいだが弘輝の言っているのはユキ、私じゃないと脳にフィルターがかかる

 

「弘輝に必要なのはユキ、私じゃない...私はユキじゃないの...」

 

弘輝が好きなのはユキであって私じゃない。

 

自分に言い聞かせるように雪が言った。

 

「私じゃ...弘輝に...何もできることがないの...こんな私を弘輝が好きでいてくれるわけないから...こんな私といたら弘輝に迷惑かけちゃうから...」

 

雪はぽつりぽつりと言った。

 

「俺は周りの目なんか気にしないよ、俺は雪と一緒にいたいんだ」

 

雪の心の楔が一つ一つ外れていく。

 

「確かに俺はSAO内の君に恋をした。けど俺が君を好きになったのは雪の姿だけじゃない。雪の性格も。優しさも、思いやりも。覚悟も、たとえどんな姿、どんな病気があっても...俺は雪のことを好きになる。だから自分を責めないでほしい。だから雪こっちを見て」

 

優しく弘輝にそう言われ雪はゆっくりとこっちを見る。雪の蒼色の目、白い髪がふわりと揺れる

 

「他の人がなんて言おうが俺は雪の隣に居続ける。俺にとってはどっちも同じものなんだ。雪も、ユキも」

 

雪の目から雫のような涙が零れ落ちる。雪の目は見えないはずなのに雪は真っ直ぐ弘輝の目を見ていた。

 

そんな雪に弘輝はすべてを奪われた。

 

「雪...好きです。俺と付き合ってください。」

 

気がついたら口に出していた。

 

「私なんかで...」

 

違う....私なんかじゃない。弘輝は私だからこう言ってくれてる....見えないけどわかる。この言葉に込められた覚悟が

 

「はい。私で良ければ!」

 

二人はほほえみあった。

 

そして扉の隙間から覗く人影に気づかず、いや気づくことなどできないだろう。

もうそこは二人だけの世界、二人の唇が重なり合ったときだったのだから。




どうだったでしょうか。まさかの雪は病気で弘輝を拒絶するとは....

この回はミトとコウキの出会いと真逆をイメージして書きました。うまくかけてましたかね?

心配ではありますが、次回は2話目を投稿するのでお楽しみに!

ついでに次はやっと戦闘シーンがあります。久しぶりすぎて戦闘シーンが書けるか不安です!
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