機械ゴーレムに管理された世界で、長い眠りから目覚めた天才魔技師は真の能力を発揮。メイドと一緒にほのぼのスローライフを目指す   作:わんた

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首輪の改造は?

「どうされますか?」

 

 ナータが聞いてきた。考えはまとまっていない。

 

 護衛と密告制度、どちらを利用するか悩んでいるのだ。

 

 商人を護衛できれば確実に都市に入れるが、最低でも首輪は必要になる。またキメラハンターの免許証のようなものも求められるだろう。正式ルートだからこそ、都市の住民だと示す必要があるのだ。

 

 集落の密告制度は滅んだ都市に住んでいた人間、もしくはその末裔なので、身分を証明する必要はない。むしろ首輪がない事実の方が重要視されるだろう。俺としてはこっちの方がやりやすいのだが、隠れている集落を探すのに時間がかかる。

 

 また密告者を本当に保護するとは限らないので、機械ゴーレムに囲まれて実験台にされる危険性は残っている。

 

 どちらも手段としては悪くないのだが、決め手に欠けるな。

 もう一押しあれば良いんだが。

 

「悩まれているのでしたら、クスリ漬けにしたアレに聞いてみてはいかでしょうか?」

 

 なしか、ありかでいえば、ありだな。

 少し時間をおいたし、しゃべれるようになっているかもしれん。

 ダメ元で聞いてみるか。

 

「治療所に行く」

「お供します」

「いや、三人は通路片付けをしてくれ」

 

 当時は違法とされていたクスリを使って、神兵を尋問している姿なんて見られたくはない。シェリーやニクシーは無関係でいて欲しかった。

 

「ですが……」

 

 ナータが必死に食いついてくる。心配性だな。

 

 ……まぁ、こいつだけなら連れて行っても良いか。

 

「では、ナータだけ付いてこい。他は片付けを任せたぞ」

 

 会話を強引に打ち切って、ダイニングから出て通路を歩く。数歩後ろにはナータがいた。

 

 治療所のドアを開けると、ベッドに横たわっている神兵がいた。手足は縛られていて、さらにベッドにも繋げられ、動けないようになっている。

 

 近くにはアデラが壁により掛かりながら立っていて、監視をしていた。

 

「尋問を再開する。アデラは後ろに下がれ」

「え、マスター危ないよ!?」

「これは命令だ」

 

 強く言うと先ほど以上の反論は出なかった。小さくため息を吐くという、人間らしい仕草をしてからベッドから離れ、俺の後ろに立つ。ナータと横並びになった。

 

 ドアを静かに閉めてから神兵の前に立つと、頬を何度か叩いてから声をかける。

 

「起きろ」

 

 神兵の目が開いた。

 眼球だけを動かして周囲を観察してから、最後に俺を見る。

 

「ここは?」

「治療所だ」

「またクスリを使うの……?」

 

 怯えた声で聞いてきた。調教の効果は充分に出ているようで、マスター登録してないのに従順になっていそうだ。感情さまさまというところか。

 

「お前の態度次第だ」

「何でも言うことを行くから許して! アレをされて、頭を壊されるのはもう嫌っ!」

 

 体をよじりベッドが軋むほど、暴れ出した。みっともなく懇願する姿は、無力な一般市民のようだ。簡単にキメラを殺せるほどの力を持つ神兵には思えない。

 

 頭を掴んで、強引に俺の方に向ける。

 

「落ち着け。質問に答えろ」

「クスリ、使わない?」

「ああ、使わない」

 

 俺の言葉を信じたようで暴れるのをやめた。素直でよろしい。機械ゴーレムなんだから、この姿が正しいのだ。

 

「上級機械ゴーレムたちにバレず、都市に入りたい。どうすればいい?」

「……難しい問いだね」

「だからお前に聞いている。教えろ」

 

 神兵は黙ったままだ。クスリで少し頭脳をやられたのか、考えをまとめるのが遅いな。処理速度が低下したのかもしれん。

 

「一番可能性が高いのは、私が野生の人を見つけたと報告に戻ることかな」

「そうすると、どうなる?」

「普通は神兵の一人が都市に連れて行って尋問をし、情報を抜き取ったら処分する」

「ほう、お前は俺を殺すつもりなのか?」

 

 神兵から離れると、治療所に置かれた机から注射器を取り出した。

 

「ま、待って! 最後まで聞いてっ!!」

「いいだろう。さっさと言え」

 

 注射器をちらつかせながら、大人しく待つことにした。

 

「私が連れて帰って、都市で尋問すると見せかけて逃がす計画はどう? って言いたかったの」

「仮に俺を解放できたとして、管理の首輪はどうする?」

「管理機能だけを停止させた首輪は都市にあるんだ。それを渡すよ」

「そういって、首輪を付けさせて管理するつもりだろ」

 

 注射器を持ちながら歩き、神兵の腕を持つ。俺が近づくだけで体はこわばり、動かなくなった。

 

「そ、そんなことしないっ!」

「信じられないな」

「信じて! 本当にあるんだから! なんだったらすぐに持ってくるよ!!」

 

 バカなのか? いや、俺の手によってバカにしたのか。

 

 シェルターの存在を知った機械ゴーレムを、都市に帰すなんてことは絶対にしない。

 

「首輪の改造は? それはできるか?」

「できるっ! できますっ!」

 

 そのぐらいの知識は共有されているか。だったらやることは決まった。首輪を見つけなければ話にならない。

 

 この世の中にはキメラハンターという死亡率が高く、消えてもよい人間は大量にいるようだから、そいつらから奪い取れば良いだろう。

 

 罪のない人間を殺すことに少し心は痛むが、俺のたために諦めてくれ。

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