機械ゴーレムに管理された世界で、長い眠りから目覚めた天才魔技師は真の能力を発揮。メイドと一緒にほのぼのスローライフを目指す   作:わんた

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さっさとニクシーの家に行くか

 路地裏にいた子供の浮浪者と別れると、ニクシーが住んでいた家へ向かうことにした。

 

 表通りの道は綺麗で人々の表情は明るい。

 

 裏を見なければ良い統治をしているなんて勘違いしてしまいそうだが、実際は汚い部分を見えないように、デコレーションしているだけ。神と名乗っていても所詮は機械ゴーレム。完璧ではないのだ。

 

 道を歩いても誰かに呼び止められることなく、神兵が襲ってくることもない。

 

 計画通りに進み、順調である。

 

「日が落ちてきた。少し急ぐか」

 

 夜になったら都市の住民は強制的に眠らされてしまう。そんな中、俺だけ動いていたらおかしい。上級機械ゴーレムなら神兵を派遣して調査してくるだろう。写真を見つける前に遭遇したくないから、さっさと用事は済ませておこう。

 

 ニクシーに教わったとおりの道を進んで、およそ二時間ほどだろうか。表通りから少し離れた場所に、半壊した一軒家があった。屋根はなくなっていて壁も半分ほど崩れている。近くにはスコップやロープ、瓦礫を運ぶカートなどがあって、建物を壊していることがわかった。

 

 所有者は全て死亡して無人になったので、新しく住む予定の人が立て直しを依頼したんだろう。

 

 陽が落ちはじめているので、本日の作業は終わっているようだ。周囲に誰もいない。好都合だ。

 

 無断で家の敷地内に入ると、放置されているスコップを手に取る。

 

「木の根元に隠したと言っていたな」

 

 子供が穴を掘って埋めたのだから、深くはないだろう。適当に掘れば見つかるはずだ。

 

 庭に移動して周囲を見渡す。

 

 庭には家よりも大きい木があると言っていたんだが、何もない。まさか邪魔だからと切ってしまったのか?

 

 やらかしてしまった。大きな目印があるから大丈夫だと思って、詳細は聞いてなかったのだ。戻ってニクシーに聞くわけにはいかないし、どうにかして写真を埋めた場所を見付けなければいけない。

 

 幸いなことに地面は土が露出している。

 

 腰をかがめながら歩き、掘り返したような場所がないか探していく。

 

 通り過ぎる人たちが俺を見ているが咎めることはない。もし何か言われたら、作業中に落とし物をしたから探していると言って、誤魔化すつもりである。

 

 一時間ほど探してみたが痕跡は見つからない。空は燃えるように真っ赤で、数十分もすれば周囲は真っ暗になりそうだ。

 

 寝床を探した方が良いか?

 

 悩みながらも掘られた痕跡を探す。

 

「マスター」

 

 後ろから声をかけられた。

 

 振り返ると、メイド服のナータが立っている。

 

 管理の首輪がないので、他人に見つかったら確実に驚く。間違いなく神兵へ通報するだろう。

 

「無事に侵入できたのか」

「はい。他の二人は隠れてもらっています」

「お前は出て良かったのか?」

「マスターがお困りのようでしたので」

 

 見かねて出てきてしまったと。そういうわけか。敵地に来たからか、心配性が加速している。

 

「場所はわかるか?」

「はい。あそこに目的のものがあるかと」

 

 ナータが指定した場所に移動して、スコップで地面を突き刺す。

 

 ザクッと音を立てて先端が入った。足を乗せて体重をかけると深く突き刺さる。土は軟らかいので、これなら順調に進められるだろう。

 

 ざくざくと穴を掘っていくと、すぐに金属音がした。

 

 スコップを放り投げてから手で土をどけていくと、銀色の箱が見えた。両手で持つと丁度良い大きさだ。

 

 掘り出して箱に付いた土を払う。ボタンがあったので押してみると、パカッと蓋が開く。

 

「見つけた」

 

 ニクシーが椅子に座り、後ろに男女が立っている写真である。

 

 俺にとっては普通の写真だが、ニクシーからすると忘れたくない、大切な思い出だ。

 

「おめでとうございます」

 

 後ろで様子を見ていたナータは小さく拍手をしていた。

 

 立ち上がると、手を叩いて土を落とす。

 

「帰るぞ」

 

 目的に者は手に入れたし、見るべきものは見た。長居は無用である。さっさとシェルターに帰ろう。

 

「待って下さい」

 

 ナータが警戒する声で言った。

 

 誰かが来たようで土を踏む足音が聞こえる。

 

「お前たち、何をしている?」

 

 聞き覚えのある声、そして見た目だ。

 

 体を変える前のダリアと同じ姿は、神兵だと確信させた。

 

「忘れ物を探しておりました」

「お前は、忘れ物を土の中に入れるのか?」

「どうやら仲間から嫌がらせを受けているみたいで、こんな所に隠されていたみたいなんですよ」

「ふーん。なるほどねぇ」

 

 疑わしそうな目で俺を見ていた神兵は、視線をナータに移す。

 やや目を見開き、驚愕した表情になった。

 

「お前、首輪はどうした?」

「そんなゴミくず、付けるはずないでしょ」

 

 おいおい。せめて、もうちょと言い訳っぽいことは言えよ。

 

 これじゃ、完全に俺たちが不法侵入者だと語っているような者だぞ。

 

「まさか、お前たち! 自由の神、邪神の手先か!?」

 

 神兵が腰にぶら下げていた剣に手をかけようとしたので、ナータが攻撃に移った。

 

 剣を抜くよりも早く神兵を殴りつけると、吹き飛ぶ。ニクシーが住んでいた家に当たって止まった。

 

「排除しますがよろしいですか?」

 

 殴りつける前に聞けよと思ったが、今はそれどころでない。さっさとこの場を離れなければならないのだ。

 

「一分で終わらせろ」

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