Code.『U』   作:rarudo95

1 / 4
第1話

何故君はここへ来た?

 

「…………え?」

 

何故来てしまったんだ。

 

「一体……何を……」

 

今すぐここから離れるんだ。離れなければ……君は……

 

 

『戦い』に、巻き込まれることになる……。

 

 

 

 

 

『間もなく、羽座間(はざま)〜、羽座間〜。お出口は右側です。』

 

 アナウンスの声と共に、黒髪ショートカットにパーカーを着た少女……天宮 カナは目を覚ます。

 

 ここは電車の車内。

 

 車両が駅のホームに停車すると、強い横揺れが起こる。

 

「やっと着いた……。」

 

 カナはリュックサックとボストンバッグを手に取ると、電車から降りた。

 

 ここは『羽座間市(はざまし)』、首都圏から離れたところにある小さな街。

 

 この春から高校に進学するカナは、地元からかなり離れたところである、この羽座間市の高校に入学することになっている。

 

 財布から切符を取り出し、改札口を出る。

 

「ここが……羽座間……」

 

 駅の外に出たカナは、街の景色を観て静かにそう呟いた。

 

「えっと、確か……鷹目医院は……」

 

 カナはポケットからメモを取り出すと、そこに書かれている地図に目を落とす。

 

 地図のすぐ下には『迎えに行けなくて、悪い』と一言添えてあった。

 

「こっちかな……。」

 

 カナは地図を頼りに歩き出す。

 

 3月終わりの、まだ少し積もった雪が残った道。

 

 その雪が、陽の光を反射してキラキラと輝いている。

 

 しばらく歩道を歩いていると、ふと路地裏にあるゴミ箱の上で寛ぐ一匹の野良猫に遭遇した。

 

「猫だ……。」

 

 カナは野良猫に少し近づくと、声音を変えて手招きをする。

 

「にゃー……?」

 

 野良猫はゴミ箱の上から立ち上がると、飛び降りどこかへ行ってしまった。

 

「行っちゃった……。」

 

 少し寂しそうに、カナはため息をつく。

 

 はぁ……、とため息をついた、その時だった。

 

 カシャーン……。

 

 先ほどまで野良猫が寛いでたゴミ箱の上から、何かが地面に落ちた。

 

「何か落ちた……?」

 

 カナはゆっくりとゴミ箱の傍に近づく。

 

「何……これ……」

 

 カナが何かを手に取った。

 

 真っ黒な、カセットテープくらいの大きさの、謎の物体。

 

 真ん中には何かの模様が描かれていた。

 

「昔のゲームカセットか何かかな……。」

 

 カナがその物体をよく観ようと、天にそれを掲げるように腕を伸ばした瞬間だった。

 

「えっ…………?」

 

 何かの違和感を感じて、カナは思わず振り向く。

 

 そこに広がっていたのは、先程までいた場所ではなかった。

 

 電子機器の基盤で形作られた街が、そこに広がっていた。

 

「ここ……どこ……?」

 

 周囲を見回すカナ。

 

 すると、どこからか獣の雄叫びのような声が聞こえた。

 

「キシャァァァァッ!!!!」

 

「なっ……!!」

 

 その雄叫びの主の姿を観て、カナは目を丸くする。

 

 そこにいたのは、翼竜の姿をしたモンスターの姿だった。

 

「な……なにこれ……!?」

 

 カナがそう言うと、モンスターは彼女に向かって口から火の玉を放つ。

 

「うわぁっ……!!」

 

 カナは間一髪で回避するも、バランスを崩してその場に倒れてしまう。

 

「ガァァァァァッ!!」

 

 転倒したカナ目掛けて、モンスターは飛んでくる。

 

「こ……来ないで……!!」

 

 カナが顔を青ざめた、その時

 

 

「チェンジ!!」

 

《Change Sparna》

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

 カナとは違う、別の少女が謎のスーツを纏いモンスターに向かって飛び蹴りを食らわせた。

 

「ギャァァァッ!?」

 

 モンスターは地上に叩きつけられる。

 

「あ……貴女は……」

 

 カナが少女に問いかけると、彼女はカナに向かって言った。

 

「何してるのよ!早くカートリッジを挿入して戦いなさいよ!!」

 

「え……?」

 

 何を言ってるのかわからない。そんな表情を見せたカナに、少女は言う。

 

「もしかして貴女、ファイターじゃない……?」

 

 少女がそう言うと、カナは問いかける。

 

「ファイターって……なに……」

 

「じゃあ、なんで貴女カートリッジ持ってるのよ!」

 

  少女がカナがずっと手に持っていたもの……カートリッジを指さして言った。

 

「カートリッジ……?」

 

「ああ、もう!!」

 

 痺れを切らしたように彼女がそう言うと、モンスターはゆっくりと起き上がり、翼を大きく広げて雄叫びを上げた。

 

「ギャォォォォォッ!!!!」

 

 2人を威嚇するように雄叫びを上げるモンスター。

 

「そのカートリッジを腰に巻かれたベルトに挿入しなさい!!そうすれば、私みたいになれるから!!」

 

「ベルト……?」

 

 少女の言葉を聞いたカナは、腰元に視線を落とす。

 

 そこには、いつの間にか奇妙なベルトが巻かれていた。

 

「何……これ……」

 

「いいから早く挿入しなさい!!!!」

 

 少女が怒鳴る。

 

 カナは言われるがまま、カートリッジをベルトのバックル部分に挿入した。

 

《Change》

 

 ベルトから眩い光が放たれる。

 

「うわっ……!!」

 

 カナは光に包まれてしまった。

 

 光の中で、彼女の衣服は消滅し一糸まとわぬ姿となる。

 

 腕、そして脚にそれぞれプロテクターが装着されると、胸元、下半身と次々にプロテクターがカナの身体に纏われる。

 

 プロテクターの間と間から特殊スーツの生地が生成されカナの身を包むと、頭にヘルメットが装着された。

 

《Demifiend》

 

「ぷはっ……!!」

 

 光の中から、黒緑色のプロテクターとスーツを纏ったカナが姿を現す。

 

「これって……」

 

 カナは自分の姿を確認する。

 

「私……?」

 

「ボケっとしてんじゃないわよ!!」

 

 少女がそう怒鳴ると、モンスターは咆哮を上げながらこちらへ向かってきた。

 

「来るわよ!!迎撃の準備しときなさい!!」

 

 少女がそう叫ぶ。

 

  迫り来るモンスター。

 

 どうすればいい、どうすれば……。

 

「キシャァァァァッ!!!!」

 

「う……うわああああああっ!!!!」

 

 カナは恐怖で自身の身を守るように庇いながら、悲鳴を上げた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。