『三好inポケモン』 作:零戦
「何!? あっという間にお前達を倒しただと!?」
「は、はい。挑戦者の手持ちは我々が予想していた以上のレベルです」
「フム……」
ジムトレーナーからの報告にイブキは眉を潜める。それ程の実力者……イブキがジムリーダーに就任してからまだ出会した事はなかった。それ以前であれば……今はセキエイ高原にいるイブキの親戚の兄がかなりの強力な実力者であった。
(兄者以上……いや、それは無い。なら兄者と同等クラスの者か……成る程、面白い)
自身が導き出した答えにイブキは知らずにフフと笑みを浮かべる。
「イブキ様……?」
「分かった。約束は約束だ、挑戦者とバトルしよう」
そしてマサカズとイブキのバトルが決定されたのである。そのマサカズはジムトレーナー全員との勝負を終えて今は与えられた部屋でアカネらと一休みしていた。
「さて、後はジムリーダーのイブキとのバトルのみだな」
「せやな。それでどうするんや?」
「いつも通りやな。タイプは合ってないけどもバクフーン先方でいくわ」
「バクッ」
マサカズの言葉にバクフーンは任せろとばかりに頷く。そして休憩後にジム職員の案内によってイブキとのバトルフィールドに案内された。
「フフッ……待っていたぞ」
「そいつはどうも」
「我が精鋭揃いのジムトレーナー達を倒した実力……見させてもらうぞ!!」
イブキはそう言ってモンスターボールをバトルフィールドに投げハクリューを出した。
「いけッバクフーン!!」
「バクッ!!」
対してマサカズもバクフーンを出して両者が睨み合う。先に仕掛けたのはイブキだった。
「ハクリュー、【りゅうのいぶき】!!」
「バクフーン、【でんこうせっか】で回避して【えんまく】だ!!」
ハクリューから放たれる【りゅうのいぶき】をバクフーンは【でんこうせっか】で避けていき、後ろを振り向き【えんまく】を出す。
「【火炎ぐるま】!!」
バクフーンはそのまま身体を回転し炎を出しながらハクリューに突進をする。ハクリューはそのまま倒れ起き上がろうとしたが倒れたのである。
「ハクリュー、戦闘不能!!」
「……並みのトレーナーではない……という事か」
「それはどうも」
「……いけッハクリュー!!」
イブキはまたハクリューを繰り出した。
「ハクリュー、【なみのり】!!」
「バクフーン、かわせ!!」
バクフーンは【なみのり】を避けていくが全ては避ける事は出来ず、ダメージを負う。
「バクフーン、【スピードスター】!!」
バクフーンは【スピードスター】を出しハクリューにダメージを与えつつ接近を挑む。
「【かいりき】だ!!」
「バクッ!!」
バクフーンはハクリューを捕まえて持ち上げ地面に叩きつける。
「ハクリュー、【10まんボルト】!!」
ハクリューの【10まんボルト】でバクフーンは動きが鈍くなり『まひ』状態になる。マサカズは『まひなおし』を使い『まひ』状態から回復させる。
「今だハクリュー!! 【なみのり】!!」
ハクリューは再度の【なみのり】をしバクフーンは避けきれず倒れる。
「バクフーン、戦闘不能!!」
「ありがとうバクフーン。行ってこいパルシェン!!」
「ッ」
マサカズがパルシェンを出すとイブキの眉が微かに動いたがマサカズはそれに気付かない。そのままマサカズはバトルした。
「パルシェン、【うずしお】!!」
パルシェンがハクリューの周囲に【うずしお】を出現させハクリューが【うずしお】に閉じ込められる。
「そのまま【ふぶき】だ!!」
パルシェンの【ふぶき】は【うずしお】ごと凍らしハクリューも凍ってしまった。
「くッ!?」
「パルシェン、【オーロラビーム】だ!!」
【オーロラビーム】がトドメとなりハクリューはそのまま倒れたのである。
「ハクリュー、戦闘不能!!」
「…………………いけ、ハクリューッ」
イブキが三匹目のハクリューを出す。何処かしらイブキの表情は怒りに満ちていたがマサカズは気付いていないが観客席にいたアカネは気付いていた。
「……イブキはん……怒ってる……?(何や、マサカズは何かしたんか?)」
アカネはそう思うがこれまでのバトルからマサカズがイブキを挑発した事はしていなかった。それがイブキは怒りの表情をしているのだ、アカネは分からなかった。
「パルシェン、【こごえるかぜ】だ!!」
「パルッ!!」
【こごえるかぜ】でハクリューの素早さを下げる。イブキは回復の薬でハクリューを回復させるが素早さは下がったままである。
「もう一度【こごえるかぜ】!!」
「ハクリュー、耐えて【10まんボルト】!!」
「【からにこもる】だ!!」
【こごえるかぜ】を耐えたハクリューが【10まんボルト】を出すがマサカズはパルシェンに【からにこもる】をさせて防御力を上げて何とか耐えたパルシェンである。
「パルシェン、【ふぶき】だ!!」
これがハクリューへの一撃となった。ハクリューはそのまま地面に倒れるのである。
「ハクリュー、戦闘不能!!」
「いきなさい、キングドラ!!」
イブキは最後の手持ちポケモンであるキングドラを投入する。マサカズもパルシェンを交代させピカチュウに視線を向ける。
「いってこいピカ!!」
「ピッカチュウ!!」
マサカズに言われてピカがバトルフィールドに出る。
「キングドラ、【こうそくいどう】!!」
「ピカ、此方も【こうそくいどう】!!」
互いに【こうそくいどう】をして素早さを上げる。再度の攻撃はピカが早かった。
「ピカ、【でんじは】!!」
「チャウゥゥゥッ!!」
ピカは【でんじは】でキングドラを『まひ』状態にさせる。
「キングドラ、【はかいこうせん】!!」
「ピカ、【アイアンテール】で耐えろ!!」
ピカはシッポを【アイアンテール】で固くしキングドラの【はかいこうせん】を受けた。体力は大幅に減ったが『いいキズぐすり』で回復させる。
「ピカ、【10まんボルト】!!」
「キングドラ!?」
キングドラは耐えたが『まひ』状態で動けなかった。
「最後だ、【カミナリ】!!」
ピカは【カミナリ】をキングドラに命中させた。キングドラは起き上がろうとしたが結局は倒れるのである。
「キングドラ、戦闘不能!! コガネシティのマサカズの勝利!!」
審判はそう宣言したのである。
「やったでマサカズ!!」
「はは、あんがとアカネ」
観客席から降りてきたアカネがマサカズに抱きついて喜びを表すのである。しかし、イブキは叫んだ。
「認めない!!」
『ッ』
「悪いが今のは認めるわけにはいかないわ!!」
「な、何でやイブキはん!? マサカズはちゃんとイブキはんと勝負をして勝ったやないか!!」
「確かに勝利はしたわ……でも彼はドラゴンタイプが苦手とする氷タイプを使用してきたわ。それに最後は電気タイプも使用した……ジムリーダーとして相手の弱点のタイプで攻めて勝利するようなトレーナーに……ライジングバッジを授けるわけにはいかないわ!!」
「そんなん無茶や!? ジムリーダーはトレーナーの力量を見てジムバッジを授けるもんやろ!!」
「だからこそだ!! 弱点ばかり攻めるようなトレーナーばかり増やしてはならん!! コイツはトレーナーの恥さらしだ!!」
(……バッジを挙げたくないんだろうなぁ…)
そう叫ぶイブキにマサカズは溜め息を吐いた。原作でもイブキは自分の負けを認めずに『りゅうのあな』に行かせて『りゅうのキバ』を取りに行かせる所業をさせている。
「良いよアカネ」
「け、けどマサカズ!?」
「行こう行こう」
「え、ええんかマサカズ?」
「かまへんよ……向こうには向こうの意思がある。そう思っているならそう従うよ。ならばこそ……」
マサカズはそう言ってレギュラーバッジ以外を取り出してイブキに叩きつける。
「これは返す。ジョウト地方がそうなら俺は別のところに行くさ」
「マサカズ!?」
ジムを出るマサカズにアカネも小走りで行くのである。そして他のジムバッジを拾うイブキ。
「…………………フン……」
踵を返そうとしたがそこへ一人の男が現れる。
「ワタル様!?」
「ワタル兄様!?」
現チャンピオンのワタルだった。ワタルはこのフスベシティがワタルの出身地だったのだ。
「いつ此方に?」
「今しがたと言ったところだが……イブキ」
「は、はいッ」
「先程のバトル、俺も見ていた」
「そ、そんな……」
「俺から見てもマサカズ君のポケモンの使い方は悪くはなかった筈だが?」
「ッ。そ、それは……」
「ドラゴンタイプは最強だと俺も思う。しかし、ドラゴンタイプにも弱点はあるのだ、弱点をつくのもトレーナーとしての素質では無いのか?」
「………………」
「勝負は時の運とも言う……ドラゴン使いを目指す我等ならタイプの相性等初めから分かっていた事だ!! イブキ、それを君は分からずに一人のトレーナーを恥さらしと罵る。俺は君こそが恥さらしだと思うぞ!!」
「わ、ワタル兄様……」
ワタルに怒られるイブキは膝から崩れ落ちる。否定されたのはイブキにとって大きなショックだったのだ。
「過ちに気付いたのならイブキ、次にどうするべきは分かるだろう?」
「ッ」
ワタルの言葉にイブキは直ぐに立ち上がり、ジムを後にするのである。
「……やれやれ、頑固なところは変わらない……か」
ワタルは肩を竦めるのである。
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