空「まぁ、間に合ったとは言いがたいが生きてはいるな、ああ、姉よ、雫の腕は完全に塞ぐなよ?、後でくっ付けてやるから止血程度にしておけ」
香織「空!!、南雲君!!」
雫「空、え!?南雲君!?、本当に南雲君なの!?え?どう言うこと!?」
ハジメ「落ち着けよ八重樫、お前は冷静沈着なのが売りだろ」
空「さて、魔人よ、よくも俺のお気に入りに傷をつけてくれたな、貴様には億の与える、その絶望を持ってお前の罪を許してやろう」
魔人「何言ってるのさ、私がそんなの受け入れるわけ無いだろ」
空「そっちこそ何言ってる、これは命令、決定事項だ、周りが邪魔だな」
空は弓を引く動作をする、象るは『蛇』籠める言葉は『殲滅』
空「蛇(だ)」
1本だった矢は魔物の数だけ増え各々の脳天や心臓等の急所を的確に貫きその命を奪う
空「クハハハハハハハハハハハ!!!」
その瞬間ようやくハジメは気付いた、空の鎖が外れている、それも3本、3本の鎖が外されているのだ
ハジメ「どうなってやがる、あいつ俺との約束破りやがったのか!?」
ユエ「違う、空は今まで鎖を外す時瞑想するみたいに眼を瞑ってた、でも今回はしてない、多分勝手に外れた、空怒ってるから」
ハジメ「怒ってる?」
シア「はい、私も感じます、迷宮に入った後から肌にビリビリ来る感じですぅ」
ハジメはそんなもの感じることが出来ず考え込む、空が何に対して怒っているのか
ハジメ(シアは迷宮に入った後からと言っていた、つまりここに空がキレる様な何かがあるってことだ)
ハジメは周りを見渡しその原因を探しそして見つけた、そこには片腕を失った雫とそれに付き添う様に側にいる香織の姿だった
ハジメ「成る程、取り敢えず鎖が外れているならここにいたら全員ヤバい、急いでここを出るぞ」
ハジメ達は生徒達の元に走り出し簡潔な説明をする、当然光輝が最後までごねたが結局昏倒させられ迷宮の外に出た時叩き起こされた
空 サイド
魔人「おやおや?、仲間に見捨てられたね?、勇者の癖に助けに来た人を見捨てるなんて酷い奴だ、さっきの一撃には驚いたけどあんなのそう何回も撃てるもんじゃない、こっちの魔物はまだまだいるんだ、来な!!!」
魔人が言うとどこからか魔物が多数現れる、しかし空は再び矢を射る動作をし先程と同じ言葉を紡ぐ
空「蛇(だ)」
結果は先程と同じ、魔物の全滅で終わった
魔人「な!?、くそ!!!、まだだよ!!」
再び魔物が現れるが結果は変わらない再び空に射殺される
空「これしかネタが無いのか?、つまらん大道芸はもう見飽きた、ではこれから一億の死を与えよう、審判の時だ」
首を斬り飛ばされ死んだ、しかし
魔人「かはっ!!、ど、どうして、今確かに首を」
魔人は自分の首を擦りながら言う
空「俺の技能、数珠繋ぎの命、何か、或いは誰かの死をトリガーに指定した死者を蘇らせる、お前の死をトリガーにしたお前の蘇生を行った、さぁ残り99999999回だ、時間が勿体ない、サクサク行くぞ」
2度目 全身をバラバラにされ死んだ
3度目 守護天使(ヴァルキリー)に脳天を貫かれ死んだ
4度目 薄めた破壊者(デルネ)を口にねじ込まれ苦しみながら死んだ
5度目 雫と同じ様に腕を切り落とされ回復させて貰えず失血死して死んだ
10000万を超えた辺りで魔族にまともな精神は無くなっていた、繰り返される死と蘇生を前にただ己に訪れる真なる死を待つしか無かった、されど処刑はまだ続く
ハジメ サイド
迷宮を脱出してどれ程たったか、ハジメ達は迷宮の出入口の前に立っていた
ハジメ「空」
ユエ「空が敗ける筈無い」
シア「そうですよ、空さんが敗けたらそれこそ私達にはどうすることも出来ません」
ハジメ「いや俺もそこは心配してねぇよ、ただ何故あんなに鎖が外れているのか気になってな、まあ思い当たる節が無いわけではないが」
ユエ「?、それって?」
ハジメ「ああ、あいつの技能の1つ、狂神化だ、どんな技能かは分からないが、絶対ろくなもんじゃねぇ、狂戦士なんかよりよっぽど危険だ、だから鎖もあんなに外れたんだろう、しかも狂戦士の時みたいに鎖が戻る保証もない」
ユエ「最悪?」
ハジメ「ああ、最悪だよ」
すると後ろから生徒達がやってくる、当然先頭は光輝だ
光輝「南雲!!、何で俺達を外に出した!!、今もまだ空が魔人と戦っているんだろ!!、急いで助けないと!!」
ハジメ「良く俺の事が分かったな」
光輝「遠藤から聞いたんだ、そんなことより!!、早く空を助けないと!!」
ハジメ「バカ言え、今この世界において一番危険なのは恐らく空だ」
光輝「な!?、俺達は仲間だろ!!、仲間をそんな風に言うな!!」
ハジメ「天之川、はっきり言っておく、俺達は仲間じゃない、空が香織と八重樫を迎えに行きたいからって言ってたから着いてきただけだ、俺達はな、空も戦い終わったら香織と八重樫を連れていくだろうな」
光輝「そんな事させるわけ無いだろ!!」
ハジメ「させるさせないじゃないんだよ天之川、あいつはやると言ったらやるんだ、そこに俺の意見が入り込む余地はない、お前が止めても一瞬で肉片すら残さず消されるのがオチだ」
光輝「バカな事言うな!!、俺達は強くなった、誰が相手だろうと俺達は負けない!!」
ハジメは全員に見えるようにステータスプレートを見せる、その圧倒的ステータスに全員驚愕する
光輝「バカな、何だ、このステータス」
ハジメ「言っとくが俺でも空の足元にも及ばない、精々20秒で消される」
その言葉に更に驚愕する、その時オルクス大迷宮入口近くの壁が吹き飛び何かが飛び出してくる、やがて土煙が晴れ現れたのは首を無くした魔人の死体だった
その影響で出来た穴から鼻歌が聞こえる、それは少しづつ大きくなりやがて姿を見せる
空「一億っと、~~~♪、~~♪」
そこには全身真っ赤に染まった空が魔人の生首を持って現れた、当初真っ黒だった外套は最早赤い外套となり、全身に血を被っている
空「さて、次は雫の腕を治さんとな、姉、雫をこっちに」
香織「え!?、う、うん」
香織が雫をゆっくりと立たせ空に近付こうとした時光輝が割って入る
光輝「待て香織!!、空は人間をあんな風に殺す人殺しだ!!、雫に何をするかわからな」
空「うるさい、手遅れになる」
空は光輝にデコピンすると盛大に吹っ飛び壁に叩き付けられる、それを無視し空は雫に近付く
空「盛大にやられたな、ただ手遅れではない、姉の腕が良かった様だな」
雫「そう、香織に感謝しなきゃね」
空は無限収納からオレンジ色の液体が入った小瓶を取り出し雫に飲ませる、すると
雫「うがあああああ!?」
突如雫が絶叫を上げた
空「あ、言い忘れた、こいつは死以外のあらゆる傷と病を癒すがその際死ぬ程痛いんだ」
香織「ちょ、ちょっと空!!」
空「安心しろ、死にはしない、薬だからな」
1分後雫の絶叫が止みその腕がみるみるうちに再生される
空「違和感は無いな?」
雫「ええ、ありがとう、でも何故か今は貴方を殴りたい気分だわ」
空「クハハ、それが出来るのは恐らく姉とお前だけだろうな、さてハジメ、今日はもう遅い、この町に1泊して明日の朝出発で良いか?」
ハジメ「ああ、それで行こう」
その後、冒険者ギルドにて依頼完了の手続きだけ済ませ勇者一行とは別の宿に泊まった