カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい   作:黒点大くん

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 私は「プライムディスティニー」で無限バーンループをまた一つ開発した。

 コンビニまで行こうとしたが、ループを模索するために10日間徹夜したツケで足元がおぼつかず階段で頭を打った。

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 という前世の記憶を魔法の雷に打たれて前世の死に様を思い出した。

 今世の私はソウコ・メッセル8歳。砂糖の蜂蜜漬けのように甘やかされて育てられたせいで、高慢ちきで人の迷惑とかそういうのが考えられない人間になってしまった

 

 魔法の雷は軽く捻挫したくらいの痛みしかないが、痛みに慣れていないで凄い衝撃として処理されてしまったのだ。

 

 痛み自体はさほど問題ではなかったが、一人分の脳に二人分の記憶が入ったために脳に大幅な負荷がかかり、鼻血を出しながら二日ほど気絶していたのだった。

 

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 二日もあれば記憶の整合性を取ることが出来たので問題ない。

 

 私に魔法の雷をぶつけた人が謝罪しに来ていた。私の婚約者のトゥスル・ターニア・アレクサンドラ。王家の四男で所謂政略結婚。

「本当に、本当に申し訳ありませんでした」

「いいんですよ。お陰で私がどれだけ恵まれた環境にいたのか分かりましたから。寧ろありがとうございました」

 トゥスルから色々と話を聞いた結果ここが「プライムディスティニー」の世界であることが確定した。

 

 プライムディスティニーとは私が前世でよくやり込んでいたデジタルカードゲームである。オンラインモードとストーリーモードが存在している。

 

 中世ヨーロッパ風の国で、学園を舞台に学び、恋を育むという王道の乙女ゲームにカードゲーム要素をぶち込んだゲームだ。

 この世界ではカードで全てが決まり、カードを作る為に特殊な鉱物に特殊加工を行う必要があるためカードが高価なため、特権階級でなければカードを取得できない。

 だが稀にカードの神にデッキを貰う人がいる。

 そして、カードをもつ者は12歳以降からカードを学ぶために学園へ集められる。

 主人公である少女はカードの神からカードを貰ったことで学園に入学することとなる。

 貴族ばかりの学園の中に突然入ることとなる主人公だが、持ち前の明るさと元気で、さまざまな困難に立ち向かっていく。

 というゲームだ。

 

 キャラゲームとしての完成度や乙女ゲームとしてのクオリティも高いことから、カードゲームもできる乙女ゲームと揶揄されていた。

 攻略対象はたくさんいて、トゥスル・ターニア・アレクサンドラもその一人である。

 

 問題はソウコ・メッセルが悪役令嬢であることだ。

 ソウコ・メッセルはメッセル財閥の一人娘でスゴい我儘なご令嬢。

 トゥスルと許嫁の仲であるため、トゥスルを自分の物だと思っている節がある。

 カードの神にデッキを貰った人をよく思っておらずねちねち苛める。

 

 そして、ソウコ・メッセルはあらゆるルートでねちねちと苛めてくる。というかルート次第ではガチで殺してくる。

 なのでハッピーエンドになるとソウコは死ぬ。バッドエンドになると結果的に主人公を道連れにして死ぬのだ。

 逆ハーレムエンドもあるが、そのルートでも死ぬ。

 

 ソウコ・メッセルにもルートは存在するが、結局死ぬ。ソウコ・メッセルにハッピーエンドはない。

「すみません。いきなり黙り込んでどうしたのですか?」

「なんでもないです」

 しかしソウコ・メッセルにハッピーエンドがないのは自業自得。

 

 取り敢えずカードを使って気分転換しよう。

「気分転換にデュエルでもしませんか?」

「ダメですよ。怪我させた責任があるのですから」

「被害者がイイって言ってるからOKですよ」

 庭まで行った。

 

 デッキを変えた。

「たしか王子ってまだルールを教えてもらっていませんよね。ですから実技をしながら、ルールを学びませんか?」

 王子は中途半端にルールを把握していたために、主人公にルールを教えてもらうシーンがある。魔法の雷を当てて婚約者相手を怪我させたからカードに触らせて貰えなかったのだ。

 

 とにかく怪我させるのは既定路線だったが、イレギュラーが起きたのだ。

「デッキはユナイツカードを除いて、40から60枚までの5の倍数の枚数になるようにします」

「はい」

「ユナイツカードはデッキに入れられるカードを決めるカードであり、必ずデッキに入れなければなりません。ユナイツカードに指定された属性のカードのみ入れることが出来ます。同じ名前のカードはデッキに4枚まで入れることが出来ます。王子のユナイツカードはマジカルランド。魔法使いと魔導書と使い魔属性を持つカードのみ入れることが出来ます」

 トゥスルはユナイツカードをデッキトップにおいてシャッフルしようとする。

 

 私はそれを止めた。

「ユナイツカードはゲームを始める前に公開するものなので、シャッフルするときはユナイツカードを入れませんよ」

「あ、ごめんなさい」

 中途半端な理解度すらなさそうに見えるんですけど。どうやって魔法の雷使ったんですかね。

「ユナイツカードを公開してから5枚ドローしてデュエル開始です。デッキが0枚になるか、ライフが0になると負けます。初期ライフは10ありますね。先攻と後攻は自動で決まります。あっ因みに私のユナイツカードはサムライズ。ニンジャとサムライとアヤカシが使えます」

 私の先攻となった。

 

 私は手札のカードをコストゾーンに置く。

「通常はターン開始時にドローしてからチャージ…コストゾーンに置きますが、先攻は1ターン目にドローと攻撃を行えません。コスト1で魔法カード、忍法無駄の術を発動します。カードは左上に書いてある数字の分コストゾーンのカードを裏側にして使用します。次のターンで表側にします」

 

 1 魔法 忍法無駄の術 属性:ニンジャ

   効果:なし

   説明:無駄なので誰も使わない

 

「私はターンを終了します」

 王子はドローしてからチャージしてターンを終える。

 

 ドローしてチャージする。

「コスト2で忍法訓練所を発動します」

 

 2 魔法 忍法訓練所 属性:ニンジャ

   効果:設置(このカードは場に残る)

      1ターンに1度発動できる。墓地の「忍法」カードを手札に加える。この効果を使用したカードはデッキに戻す。

   

「魔法カードは通常は墓地に送られますが、設置を持っているので場に置きます。場には5枚まで魔法を設置できます。ターンエンド」

 王子はドローしてから笑顔になり、チャージをする。

「コスト2で魔法図書館の司書を召喚」

 大きな本が現れてから開き、本から眼鏡をかけていて暗髪で三つ編みの女性の上半身が現れた。

 

 2 モンスター 魔法図書館の司書 属性:使い魔、魔導書

   効果:出現(このカードが場に出たとき以下の効果を発動する):一枚ドローする

   攻撃力:1 防御力:2 ライフ:1

 

「モンスターは基本は1ターンに1度のみ、前のターンに相手に攻撃したモンスターか、相手プレイヤーを攻撃できます。防御力は受けるダメージをその分減少する効果があるのです」

「わかりました。ターン」

「気を使わなくて結構ですよ」

「魔法図書館の司書でプレイヤーに攻撃してターンエンド」

 ソウコ:ライフ10→9

 

 私のターンだ。

「ドロー。チャージ。コスト3で武装カード発動。妖刀ムラマサ。武装カードはユナイツカードの上に一枚だけ置けます」

 錆びた日本刀が現れる。

 

 3 武装 妖刀ムラマサ 属性:サムライ、アヤカシ

   効果:プレイヤーが相手の場のモンスターを戦闘で破壊したら一枚ドローする。  

   攻撃力:3 防御力:0

 

「武装カードはカードに書いてある効果と攻撃力と防御力を得ます。私で魔法図書館の司書に攻撃して破壊。1枚ドローしてターンエンド」

 手に持った日本刀を軽々と振る。手に馴染むなぁ。

 

 王子のターンだ

「ドロー。チャージ。コスト3で魔法の教科書発動。効果で魔法図書館の司書を手札に加えて、ターンエンド」

 古びた本が現れた。

 

 3 武装 魔法の教科書 属性:魔導書

   効果:攻撃を行う代わりに墓地の魔導書カードを手札に加える。

   攻撃力:1 防御力:2

 

 よし。いいカードが来た。

「ドロー。チャージ。コスト4で忍法サオトサキの術。2枚ドローします。忍法訓練所の効果でサオトサキを回収して、私でプレイヤーに攻撃」

 

 4 魔法 忍法サオトサキの術 属性:ニンジャ

   効果:2枚ドローする

 

「忍法訓練所でサオトサキを回収してターンエンドです」

 トゥスル:10→9

 

 王子のターン。

「ドローとチャージと攻撃をいかにして行うかが大事になりますね。ドロー。チャージ。コスト4でソーサレスナイトを召喚」

 ウィッチハットをかぶったスレンダーな女騎士が現れた。

 

 4 モンスター ソーサレスナイト 属性:魔法使い

   効果:出現:手札の魔導書カードを一枚墓地に送り、2枚ドローする。

   攻撃力:2 防御力:2 ライフ:2

 

「手札から魔法図書館の司書を墓地に送って2枚ドロー。魔法の教科書の効果で魔法図書館の司書を回収。ソーサレスナイトてプレイヤーに攻撃」

「手札から魔法発動。識痛の呪術」

「この状況で!?」

「特定の条件下でただでカードを使えるようになる……そういう効果もあるのです」

 

 6 魔法 識痛の呪術

   効果:アクションストライク(攻撃を受ける時にコストを支払わずに使用できる)

      2枚ドローしてこのカードをコストゾーンに送る。

      コストを支払わずにこのカードを使用したターン受けるダメージが倍になる。

 

 ゲーム基準だとトゥスルの実力じゃライフ5あれば充分。

「ターンエンド」

 ソウコ:ライフ9→5

 

 このままではやられてしまうので、ここでなんとか引き込むしかない。

「ドロー……チャージ。コスト4で忍法サオトサキの術を発動します。ソーサレスナイトに攻撃してターンエンドです」

 王子のターン。

「ドロー。チャージ。コスト5で魔法の雷発動」

 魔法の雷で怪我した人にそれを使うのか。まあ勝つためならしょうがないね。

 

 5 魔法 魔法の雷 属性:魔導書

   効果:モンスターか相手プレイヤーに3−防御力分のダメージを与える。

      その後自分のモンスターはこのターン攻撃出来なくなる。

 

「攻撃出来なくして、魔法の教科書の効果で回収。ターンエンド」

「ソーサレスナイトで攻撃してから使えばデメリット踏み倒せるんですけどね」

「あっ。そっか。そうですね」

 気が付かなかったんですね。

 

 このターン中にとどめさせばいけるいける。

「ドロー。やっと来ましたね。チャージ。コスト5でマスターニンジャを召喚します」

 黒いシノビ装束を着た長身のイケメンが現れた。

 

 5 モンスター マスターニンジャ 属性:ニンジャ

   効果:1ターンに1度だけ発動できる。デッキから「忍法」カードを手札に加える

      貫通(攻撃する時防御力を無視する)

      攻撃力:5 防御力:1 ライフ:4

 

「マスターニンジャの効果で忍法分身の術を手札に加えます。私でソーサレスナイトに攻撃して破壊。一枚ドロー。マスターニンジャでプレイヤーに攻撃…する時にコスト2で忍法分身の術をマスターニンジャに対して発動」

 

 2 魔法 忍法分身の術

   効果:ニンジャモンスター1体を選ぶ。選んだモンスターはこのターン2回攻撃ができる。そのモンスター以外攻撃出来ない

 

 トゥスル:ライフ9→4

「マスターニンジャでもう1度攻撃してトドメです!」

「アクションストライク。マジックシールド」

 

 2 魔法 マジックシールド 属性:魔導書

   効果:アクションストライク(攻撃を受ける時にコストを支払わずに使用できる)

      このターン中1度だけ受けるダメージを2減らす

      

 トゥスル:ライフ4→1

「ターン…エンドです」

「ドロー。コスト5で魔法の雷発動」

「あ」

 ソウコ:ライフ2→0

 

 場が綺麗になった。

「ご指導ご鞭撻ありがとうございました。手加減してくださったんですよね」

「は、はい。もちろんですよ」

 プレイングはガチでやったけど、手加減したことにする。手加減してるなら分身の術は使わない。

 

 しかしこんな初心者に負けた。ゲームのようにデッキを組んであげたりしないと強くない存在だと思っていた。悔しいが嬉しい。

「嬉しくなってきますね」

「え?」

「このゲーム……奥が深い」

 トゥスルはおぞましいものでも見たかのような表情になる。

 

 口角がすごく吊り上がっていることに気が付いた。

「いやですわ。私ったら。そ、それでは失礼いたします」

 部屋から急いで去った。

 

 初心者に教えるために弱いデッキを作ったとはいえ、負けた。

「興奮が……止まらない。ちょっと教えただけでこうなるのだからこの世界の人間はカードを使うセンスがある」

 断罪だの死ぬだの考えている場合じゃない。そんなことよりデュエルがしたい。

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