カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい 作:黒点大くん
王子からこの間の誘拐事件の一部始終を書かれた手紙を渡された。
「へぇこんな感じだったんですか」
「まるで他人事ですね」
「正直記憶が薄れているので現実味がないんですよね。それに呪いや催眠術って何となく非常識な感じがありますから」
この世界では使い手は少し珍しいぐらいの頻度で見るらしいです。
しかし先生とやらが引っかかりますね。
「この事件ゴラム家の六男さんではなくて全部先生とやらが考えたことなんじゃないですかね」
原作にもこんなことは……あった! ちょっとだけ語られていましたね。
ソウコがワガママで人をいじめるようになったのは、8歳の頃の誘拐事件がロクに捜査されず、真犯人丸わかりだったのに何のお咎めもなかったせいで性格歪んだせいだって『プライムディスティニー』のストーリー内でソウコ本人が言ってましたっけ。まあ半分は生まれつきの性格だったっていうオチだったんですけど。
誘拐事件の真犯人は確か……
「カゲノウスイヒトでしたっけ」
「いきなりどうされましたか?」
メイドさんは私のおでこに手を当てる。
熱なんてないんですが。
「声に出ていましたか。まぁそんなことよりも今回の誘拐事件の犯人は貴族のなんか影の薄い人が犯人ですよ」
「何を根拠にそんな抽象的なことをおっしゃるのですか?」
「私には未来が見えるのです。それで貴族の影の薄い人が犯人だって分かったんですよ。まぁその影の薄い人が先生なんだと思われますよ」
影の薄い人ということは本編に出ていないか、決闘が弱いということ。それならば覚えていなくてもおかしくないですよね。
メイドさんは私のおでこに手を当てる。
「最初から最後まで本気なんですけど」
「正気であんな発言したんですか?」
「まあ忘れてください。誰かに言いまわされると困ることですから」
「うん……まぁ……はい。そうですね」
まるで全ての奥歯に物が挟まったような言い方ですねぇ。
メイドさんはメガネの縁を押し上げる。
「でも不自然なんですよねぇ。お父様がこのことを知って焦らないなんて」
「ええ。旦那様は色々不器用ですが、愛は確かですからね。確かに言われてみれば不自然ですよね」
「そのことが魚の小骨のように引っかかってるんですよね」
「私個人としても非常に気になりますので、ゴラム家周辺を洗ってみます。お任せください」
メイドさんは消えた。
呪いや催眠術みたいなモノがある世界ですし、カードゲームで何とかなる世界でもあるので、そういう手段を使ったんでしょうね。
一週間後王子様からの手紙を読んでいると、メイドさんが現れました。
「愛しの王子様からラブレターですか。二人の愛は熱いですね」
「ミツドさんが二重人格ってことに驚いたという報告です。色ボケしているわけではありません」
「左様でございますか。ゴラム家の件犯人候補をかなり絞れましたよ」
メイドさんは机の上に5枚の紙を並べる。
5枚の紙にはゴラム家の家庭教師がそれぞれ書かれていました。
「帝王学とマナーとカードと歴史と呪術及び催眠術ですね。あの、一人だけあからさまに怪しいんですけど」
「呪術および催眠術っていうのがいかにもですね。ではさっそく行きましょうか」
「行くってどこにです?」
「ゴラム家です。兵は神速を貴ぶといいます。今すぐ行きましょう」
急いでゴラム家に向かいました。
ゴラム家に無事到着すると、ゴラム家の門番さんに止められました。
「平民ごときが許可をもらわず子爵様の家に入ろうだなどと随分と傲慢だなぁ。帰れ帰れ」
「このお方を何と心得ますか。トゥスル・ターニア・アレクサンドラ様の婚約者にしてメッセル財閥令嬢 ソウコ・メッセルですよ。未来の王妃様なのです」
「未来はそうでも今は金持ってるだけの平民だろ。帰れ!」
困りましたね。何から何まで正論ですね。
メイドさんが眼鏡を外しました。
「このようなこともあろうかと持ってきました。着てください」
「メイド服ですか?」
「ええ。入るにはこれが必要なのです」
メイドさんはいたずらっ子のように微笑みます。
たがいに着替えて馬車から降りますと、門番さんが迎えに行きました。
「ああ。ローランド伯爵令嬢様でしたか。どうぞ」
「先ほどのはからかっただけですわ。おーほっほっほ。ちなみにこの子はメイドさんですわ」
そう言えばメッセル家のメイドさんって全員いいとこのお嬢さんでしたね。
メイドさんは慣れた家のように進みました。凄い胆力ですわね。
「それにしても伯爵令嬢がメイドさんになるなんてどんな事情なんですか」
「一言でいえば借金苦です。そんなことよりも先ほどはすみませんでした。それに先ほどの高笑いも素ではありませんわ」
「大丈夫ですよ。建前だってわかっていますから」
メイドさんは眼鏡を懐にしまいました。
メイドさんは雑に扉を開けましたわ。
「どうもです。ローランド伯爵令嬢 リラ・サルゴでございます」
「サルゴ令嬢ですか。今日はどのような用でございますか?」
「呪術及び催眠術の教師 シュヴァルツ・ヴォルハング氏を出していただきたい」
「私がシュヴァルツ・ヴォルハングです」
人相の悪い男が近づいてきました。
あっ。この人じゃありませんね。名前が
「見た目だけでもインパクトがありますね」
「ハハハ。よく言われます」
「ゴラム家の6男の先生をしていたことはありませんか?」
「ありません」
噓を付いている様子もなさそうですね。
私はメイドさんからもらった資料をめくって名前を見る。
「おお。これほどまでに影が薄い人を見たことがないです。目を閉じれば2秒で名前と顔を忘れてしまいますよ」
「何言っているんですか?」
「いえ何でもありません」
「失礼いたしました」
私はメイドさんに手を引かれて部屋から出て行った。
メイドさんは私の頬を潰して、変顔にさせます。
「お嬢様にはもう少し慎みや謙虚さと言うものが必要かと。ところで先ほどは騒ぎ立てていかがしましたか?」
「犯人らしき人を見つけました。え~どなたでしたっけ。まあ影が薄いのでその人が犯人だと思いますよ」
「私個人としましてはシュヴァルツ・ヴォルハング氏が一番怪しいと思っているのですが。要するに半分だけお嬢様の世迷言を信用していないのです」
逆の立場なら半分も信用できないんですけどね。
影の薄い人を探しに行く。
「えーっと影の薄い人は帝王学ですね。イヒト先生ですか?」
イヒト先生のところまで向かいました。
しかしどこで先回りされたのか、貴族っぽい人に止められました。
「いかがなさいましたか?」
「私たちいやいやながらカゲノウスイヒトとやらを探しているんです。本当にありえないことなんですが、ワガママな人が未来が見える私的にはカゲノウスイヒトが怪しいと言う戯言を繰り返していてですね。本当に手が付けれらなくて」
語気も強いし、言い方に棘しかないですね。
貴族風の人は冷汗を流す。
「私はカゲノウス・ライヒト」
「失礼ですが印象に残らないお顔ですね。印象も薄くカードも弱いんでしょうね」
「なんと無礼な平民だ!」
「卑怯にも他人を使って自分を襲わせた人に対して敬意を表する必要はありませんもの。あ。自己紹介遅れました。私ソウコ・メッセルでございます」
カゲノウスさんは顔を青白くしてデッキを構えました。
私はユナイツカードを見せる。
「お、お前ま、まさか、あのことで」
「ええあのことです。今回は楽しまずに倒そうと思います」
カゲノウスさんもユナイツカードを見せて、決闘が始まりましたわ。
そしてなんのかんのありまして私の5ターン目ですわ。
「ドロー。チャージ。私が勝ったらちゃんと裁判所に行くんですよ。私に勝てば私がこのことについて干渉しないことを約束します」
「お前の関係者は干渉するのか」
「お父様が干渉するかもしれないじゃないですか。話がそれました。コスト5で忍法 回天の術を発動してターンエンドです」
場にはワンジャもいますし、まあ何とかなりますね。
カゲノウスさんの6ターン目ですわ。
「ドロー。チャージ。よし。コスト4で軽量化の
4 魔法 軽量化の
効果:設置。自分の手札と場のモンスターのコストは1減る
「ターンエンド」
軽量化の
私の6ターン目ですわ。
「ドロー。チャージ。コスト3でイジャロコロガシを召喚します。よし。コスト2でハナビキャノン発動します。イジャロコロガシと能面の舞姫と軽量化の
軽量化の
カゲノウスさんの7ターン目ですわ。
「ドロー。チャージ。コスト1で再生の
1 魔法 再生の
効果:相手の墓地のカードを2枚相手の手札に戻す。
「鬼武者と能面の舞姫を戻してもらおう。コストを1減らしてコスト6で我が最強カード コピーミラージュ召喚」
「やはりでましたか」
何も映っていない姿見が現れました。
7 モンスター コピーミラージュ 属性:魔導書
効果:出現:互いの手札か場のコスト6以下のモンスターを一体を選ぶ。
そのモンスターの名前と属性と効果と攻撃力と防御力とライフを得る。
攻撃力:0 防御力:0 ライフ:1
私の手札を光が通過して、姿見が鬼武者となります。
「鬼武者を戻したのはやはりこのためですか。こうならないために捨てましたのに」
「鬼武者でワンジャとプレイヤーに攻撃」
ソウコ:ライフ10→4
私の7ターン目ですわ。
「ドロー。チャージ。コスト5でマスターニンジャ召喚します。忍法 空蝉の術をサーチして、コスト2で墓地からクノイチを召喚して1枚ドローし、マスターニンジャでプレイヤーに攻撃致します。ターンエンドです」
カゲノウス:ライフ10→5
カゲノウスさんの8ターン目ですわ。
「ドロー。チャージ。コスト3で預言者ヨティス召喚。2枚ドロー。コスト4で軽量化の
「アクションストライク。識痛の呪術ですわ」
「クノイチを破壊した後はプレイヤーに攻撃」
「アクションストライク。忍法 空蝉の術ですわ」
「ターンエンド」
強いですわね。カードが弱いという認識を改めなければ。
私の8ターン目ですわ。
「ドロー。チャージ。コスト3で墓地からワンジャとクノイチを召喚。1枚ドローします。マスターニンジャの効果で忍法誘惑の術を手札に加えます。コスト4で忍法サオトサキの術を発動します。コスト2でハナビキャノンを発動し、マスターニンジャとクノイチとコピーミラージュを破壊します。ターンエンド」
2枚目のコピーミラージュ出されたらおしまいですね。
カゲノウスさんの9ターン目です。
「ドロー。チャージ。ターンエンド……コピーミラージュで何人も退けてきたのに」
「凄いですね。これでカードの先生じゃないのが驚きです」
失うには惜しい実力ですね。
私の9ターン目ですわ。
「ドロー。チャージ。コスト1で墓地からクノイチを召喚して1枚ドローします。コスト6で鬼武者を召喚いたしまして、鬼武者でプレイヤーを攻撃いたします」
カゲノウス:ライフ5→0
カゲノウスさんは逃げましたが、メイドさんに止められました。
「なぜお嬢様を襲う計画を吹き込んだのですか?」
「ああ。そのことか。軽い気持ちでそそのかして、あんなことに、なるとは思わなかったんだ! 決闘で相手を倒して何度も口封じしていやになる」
「ああ。そのことか、だなんて。そんな軽い事のように。しかも軽い気持ちだなんて」
なにと勘違いしたんですかね。私に対してやったことなんて覚えていないんでしょうね。
胸ぐらをつかもうとしたら、メイドさんに止められました。
「暴力はダメです。己の品位を落とさないでくださいまし」
「あなたが軽い気持ちでそそのかしたせいで、幾つもの命が失われるところでした。軽い気持ちではすみませんよ。法の裁きが下ります!」
「お嬢様それ以上は」
この人のせいで主人公が何人死んだのだろうか。半分この人のせいなのに本編では一切裁かれていないことに腹が立ちますわね。
この後すぐに割と余罪の多そうなカゲノウスさんを警察に連れて行きましたわ。
「シュヴァルツ・ヴォルハング氏が事前に失言をしてしまう呪術をかけていたそうです」
「2秒で忘れる顔なのに決闘強いし無駄に邪悪だしまあまあ恐ろしい人でしたね」
しかしスッキリしないですね。まるで落ちない油汚れを見つけてしまったような感じがします。