カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい   作:黒点大くん

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19 凄腕弁護士暗殺者

 ボクは隠れ家でご飯を食べていた。

「アブゾーブ様、今回のことは……その……相手の運が強かっただけで」

「イツ、そのことは言わないでくれる?」

「ごめんなさい」

 イツは前髪で目の隠れたニンゲンのメスだ。ニンゲン基準ではジョウダマとかいうのらしく、この隠れ家の盗賊に捕らえられていたのだ。

 

 ボクが気紛れに盗賊をボコボコにしたらなんか懐いた。

「アブゾーブ様、なんか来る」

 ドアが飛んできた。

「危ないなあ」

 ドアをチョップで叩き落とす。

 

 ドアのあった場所からデカい人間が入ってきた。

「筋骨隆々、黒のシルクハット、黒のコート、黒のズボン、白いペストマスクに弁護士バッジ。この見た目の人間は世界に一人しかいない」

「探せば結構いると思うよ」

「私は凄腕弁護士 クローガー・シロニー。アグロ・メッセル氏に依頼されてここにやってきた」

 デカニンゲンは白い手袋をつける。

 

 デカニンゲンがパンチをしたのでカウンターキックを叩き込む。

「私がなぜ依頼主の名前を言ったのか。それはよほど頭が悪くなければ分かるだろう」

「分からないね」

「それなら少し自分語りをさせてもらう。凄腕というのはカードが強い事と、弁護した人間を逆転無罪とした事と、見た目通り凄い腕であることのトリプルミーニングということを教えよう」

 つまらない事を言う。

 

 抜け出せない。見た目通り力が強いな。

「ニンゲンごときがボクに触れるな」

「上位種気取りは地獄でやっていろ!」

 デカニンゲンによって地面に叩き付けらる。

 

 その衝撃を利用して跳ね上がり、顎にキックをぶち込んだ。

「所詮人間ごとき顎にキックをぶち込めば気絶する」

「私にそんなものが効くはずがないと何度言ったら分かるのだ」

 デカニンゲンの拳が降りてくる。

 

 床に落ちた元ドアの端っこを踏んで、シーソーみたいにドアを立てる。

「無駄な真似をするな」

 ドアはデカニンゲンによって引きちぎられた。

「どんなバカ力してるんだ。これはニンゲンかどうか怪しいね」

 デカニンゲンのパンチをいなす。

 

 窓の枠を取ってデカニンゲンにぶつけた。

「危ない奴だな」

 窓の枠が投げられたので蹴り返して、小麦粉の入った袋を取ってから窓のあったところから抜け出す。

 

 イツを窓から出してデカニンゲンに小麦粉の入った袋をぶつけた。

「そんな小細工は効かない。が、しかしこれで終わ、動きが止まった。呪眼か」

「私の呪眼は動きを止める呪いをかける」

「呪いをかける眼を持つ人種……絶滅寸前まで追い込まれたというのに珍しい」

 初めて見るイツの瞳は金色に光っていた。

 

 イツは荒く息を吐く。

「結構体力持っていかれるので、私を見捨ててお逃げください」

「逃げるわけには行かなくなった。イツを見捨てたら後悔するだろうからね」

「アブゾーブ様……」

 呪いをかける眼を持つニンゲン……研究対象に相応しい。

 

 ユナイツカードを取り出す。

「このまま埒が明かない格闘をするよりもカードで決着を付けた方がスマートだと思うよ」

「勝てないから不戦勝したカスにしては殊勝な心掛けだ」

 デカニンゲンのユナイツカードはフォレスターか。

 

 デカニンゲンの先攻か。

「でも2ターン目まで動かなかったな」

「3ターン目だな。ドロー。チャージ。コスト2で魔獣侵攻を発動してターンエンド」

 

 2 魔法 魔獣侵攻 属性:ビースト

   効果:設置。以下の効果は属性:ビーストのモンスターを召喚した場合に1ターンに1度だけ発動できる。

      デッキからそのモンスターよりコストの低い属性:ビーストのモンスターを手札に加える。

 

 ボクの3ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト3でスライジュエリーを召喚。ターンエンド」

 デカニンゲンの4ターン目だ。

「ドロー。チャージ。コスト3で魔獣召喚。スケープシープをサーチしてコスト2でスケープシープを召喚。効果を発動してターンエンド」

 羊が魔獣を毛玉の中に閉じ込めて2枚のカードを出す。徹底的にアドバンテージを稼ぐつもりか。

 

 2 モンスター スケープシープ 属性:ビースト

   効果:出現:コスト3以上の属性:ビーストのモンスターを破壊して2枚ドローする

   攻撃力:0 防御力:0 ライフ:1

 

 ボクの4ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト2で魔力吸収式バリア発動。スライジュエリーでプレイヤーに攻撃してターンエンド」

 デカニンゲンの5ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト6でユニコーン召喚。ペガサスを手札に加えて聖獣ユニコーンでスライジュエリーに攻撃」

 

 6 モンスター ユニコーン 属性:ビースト、フェアリー

   効果:貫通

   攻撃力:4 防御力:0 ライフ:6

 

 ユニコーンがスライジュエリーを角で刺すと、スライジュエリーはユニコーンの耳と口から侵入した。

「スライジュエリーの効果によりユニコーンを乗っ取る。あれれもしかして一流の癖にボクのデッキのことを聞いていなかったのかな?」

「このままではまずい。やられてしまう。スケープシープでプレイヤーに攻撃してターンエンド」

 順調だぞ。

 

 ボクの5ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト4で預言者ヨティス召喚。ユニコーンでスケープシープに攻撃してターンエンド」

「このままでは次のターン攻撃されてしまう。とてもマズい」

「それが神とニンゲンの差だよ」

 そもそも弱くなければ暴力に訴えないかぁ。

 

 デカニンゲンの6ターン目だ。

「ドロー。チャージ。コスト3で死毒蟲召喚」

 

 3 モンスター 死毒蟲 属性:インセクト

   効果:モンスターがこのモンスターとの戦闘によってダメージを受けた場合、相手はそのモンスターを墓地に送らなければならない

      攻撃0のモンスターと戦闘を行う場合以下の効果を得る

      ・戦闘ダメージを受けない

      ・貫通

   説明:針を肌に突き刺して1滴で戦意無き者の体を腐らせる毒を注入する

   攻撃力:1 防御力:1 ライフ:2

 

「死毒蟲でユニコーンに攻撃。ターンエンド。危なかった。入れておいて良かった」

 ユニコーンはいつの間にデカニンゲンの墓地に戻っていた。

「そう来たかぁ」

 死毒蟲……面倒なカードだ。

 

 ボクの6ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト3で魔法の教科書武装。ターンエンド」

「アブゾーブ様すごいです。手札を整えました」

 どさくさ召喚術も引けたし結構嬉しいね。

 

 デカニンゲンの7ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト5でペガサス召喚。魔獣を手札に加えてコスト3で魔獣召喚」

 

 5 モンスター ペガサス 属性:ビースト、フェアリー

   効果:1ターンに1度コストを払って墓地から属性:ビーストのモンスターを召喚できる。この効果はコストを2払って発動できる

   攻撃力:4 防御力:0 ライフ:4

 

「ペガサスと魔獣でプレイヤーに攻撃。ターンエンド。魔法の教科書の防御力に助けられたな」

「合計4ダメージも減ったことになるもんね」

 防御力2が働いたね。

 

 アブゾーブ:ライフ10→7

 

 ボクの7ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト6知恵の魔術発動。魔法の教科書で回収してターンエンド」

「そんなでは私に倒されてしまうぞ。そうかそういうことか。お前は自ら首を差し出す殊勝なヤツだったか」

「まだ勝ったわけでもないのに何を抜かしてるんだ」

 手札も整ったし、ここから勝てないわけがない。

 

 デカニンゲンの8ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト2とコスト6で墓地からユニコーン復活。ライカンスロープを手札に加え、コスト2でライカンスロープ召喚。ライカンスロープの効果発動。スケープシープを破壊する」

 

 2 モンスター ライカンスロープ 属性:ビースト

   効果:出現:コスト2以下の属性:ビーストのモンスターを破壊してこのカードを使用済み状態でコストゾーンに送る

   攻撃力:0 防御力:0 ライフ:1

 

「ユニコーンで攻撃」

「アクションストライク。マジックシールド」

「魔法発動。聖なる笛の音」

 心地の良い音色が響く。

 

 5 魔法 聖なる笛の音 属性:ビースト、フェアリー

   効果:このターンの終わりまで相手の発動したカード1枚の効果を無効化する

      ・自分の場にユニコーンとペガサスが存在する場合以下の効果を得る。

      ・ストレンジ:0

      ・さらに互いに1枚ドローする

 

 魔力の盾が崩れた。

「マジックシールドが消えた……」

「大量のコストを用意して一気に押しつぶす。基本にして王道にして最強」

 

 アブゾーブ:ライフ7→3

 

 一気に追い込まれた……

「ニンゲンの癖にボクを追い詰めやがって。ムカつくムカつくムカつく」

「そうか。なら怒りを抱いたまま永久に眠れ。やれっペガサス」

 ペガサスはいなないた。

 

 ペガサスが走ってくる。

「アクションストライク。マジックシールド」

「無駄に耐えるなんてな。もう一度4ダメージ受けたいのか」

 ユニコーンの角に貫かれたダメージがキツイ。このままでは負けてしまう。

 

 二度も人間に負けるなんてボクには耐えられない!

「最期の時をゆっくりと嚙み締めろ。ターンエンドだ」

「そんなことないもん。アブゾーブ様は絶対勝つから」

 凄いプレッシャーを感じる。

 

 ボクの8ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト4でスライジュエリー召喚。そしてコスト4でリフレクトアーマー発動。ユニコーンを選ぶ」

 

 4 魔法 リフレクトアーマー 属性:魔導書

   効果:アクションストライク。モンスター一体を選ぶ。

      そのモンスターはターン終了時まで防御力が2上がり反撃を得る

 

 スライジュエリーはユニコーンに突っ込んでまたしても乗っ取った。

「ユニコーンで死毒蟲に攻撃。洗脳諜報を発動してマジックシールドを回収してからターンエンド」

 

 10 魔法 洗脳諜報 属性:使い魔

    効果:3枚ドローする

       ・自分の場に元々の持ち主が相手のモンスターが存在する場合以下の効果を得る。

       ・ストレンジ:0

 

 デカニンゲンの9ターン目だ。

「ドロー。チャージ。お前はここで終わりのようだな。コスト6でユニコーン召喚。魔獣をサーチしてプレイヤーに攻撃」

「ボクには魔力吸収式バリアがついているから、ダメージ受けないんだよねぇ。とうとう血迷った?」

「ハアアア。コスト5で魔法発動。聖獣槍。相手のカード1枚の効果を無効化する」

 ユニコーンの角が肥大化して黒い槍になる。

 

 5 魔法 聖獣槍 属性:ビースト、フェアリー

   効果:自分の場にユニコーンとペガサスが存在する場合以下の効果を得る。

      ・このターンの終わりまで相手の場のカード1枚の効果を無効化する

 

「ユニコーンの角が……」

「お前は知っているだろうが、闘気を高めれば実体化した攻撃の威力がより高くなる。ユニコーンの角がどこかしらに刺さればお前は二度と動けまい」

「危ないです!」

 イツが前に出てきて庇う。

 

 この程度の身体的ダメージは生贄抹殺して不死身なボクにとって問題ないが、ニンゲンなら確実に死ぬだろう。

「邪魔だ! アクションストライク。マジックシールド」

「あわわ」

 イツを振り払って攻撃から守る。呪眼を無駄に失うのは惜しいもん。

 

 アブゾーブ:ライフ3→1

 

 ペガサスが突撃していく。

「お涙頂戴はいらない。ペガサスでプレイヤーに攻撃」

「アクションストライク。マジックシールド」

「もう1枚引いていたのか。油汚れのようにしぶといんだな。ターンエンド」

「いうに事欠いてボクを油汚れ扱いするなんて」

 ここから逆転するか。

 

 ボクの9ターン目だ。

「ドロー。チャージ。コスト5でどさくさ召喚術発動。スケープシープとスライジュエリーを召喚。コスト4でリフレクトアーマー発動。相手のユニコーンを選ぶ。スライジュエリーでユニコーンの攻撃して乗っ取る」

「ユニコーンを2体従えたか」

「ユニコーンでペガサス粉砕。もう一体のユニコーンでプレイヤーに攻撃。マジックシールドを回収してターンエンド」

 次のターンまで何もなければボクの勝ち。

 

 クローガー:ライフ10→6

 

 デカニンゲンの10ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト4でワーム・レセプション発動。コスト6で死毒蟲を2体召喚。二体のユニコーンに死毒蟲で攻撃。魔獣さえあればお前を……いたな。コスト3で魔獣召喚してそのままプレイヤーに攻撃」

「マジックシールド」

「ターンエンド」

 仮面の下のイラつきが見て取れる。

 

 ボクの10ターン目だ。

「ドロー……よし。チャージ。コスト5で魔法の雷発動。そして魔法の教科書で魔法の雷を回収……」

「まさかこんなせこい手に負けるなんて」

「ちょっと動かないでくれるかな。コスト5でまた魔法の雷を発動する」

 闘気を高めて魔法の雷を落とす。

 

 クローガー:ライフ6→0

 

 決闘の影響が消える。

「クローガー・シロニー……決闘続行不可能により邪神アブゾーブの勝利」

「正々堂々勝ったのにそんないい方しなくてもいいでしょ」

「前回負けた手段で今回勝てて良かったねお姉ちゃん」

「神よ、人の体を借りてイヤミなこと言わないでくれる」

 デカニンゲンの火傷が消えた。

 

 デカニンゲンはユナイツカードを構える。

「あの聖なる力は……人間が使えるユナイツカードは一種類しかないはずなのに」

「闇のユナイツカード アビスと光のユナイツカード ヘブンズの場合は別だよ」

 デカニンゲンの出したカードはヘブンズだった。

 

 スナイパーはシステムを通して憑依する能力がある。

「システムの力を自分のために使っちゃだめでしょ。だってお前カードの」

「この場では六の邪神 スナイパーだからセーフだよ」

 イツが何もかも分からないと言いたげにあたりを見る。

「六と七の邪神はいないことになってるし、ニンゲンごときには過ぎた情報だから説明不足気味なのかもね」

 いるって知られるとマズいんだろうね。

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