カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい   作:黒点大くん

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20 カードの神

 決闘が始まりボクの先攻だ。

「でも3ターン目まで互いに動きなしだね」

「私の4ターン目だよ。お姉ちゃん。ドロー。チャージ。コスト3で聖殿発動。ターンエンド」

「邪神だのなんだの言っていましたが、どういうことですかアブゾーブ様」

「それはコイツを締めてからにするね」

 この手札……どうするかな。

 

 ボクの5ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト2で魔力吸収式バリア発動。ターンエンド」

 スナイパーの5ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト2でアイギス武装」

「弟を騙しボクたちを出し抜いてこの世界の神となった狡猾な奴にしては慎重な手つきだな」

「お姉ちゃんは黙ってて。ターンエンド」

 スナイパーは明らかにイラついている。

 

 ボクの6ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト3でスライジュエリー召喚。スライジュエリーで攻撃してターンエンド」

 知恵の魔術もあるし手札不足も解消出来そう。

 

 スナイパーの6ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト5でプロメテウス・プログラム召喚。コスト2で翼の使徒を召喚してターンエンド」

「お前の正体ベラベラ喋っちゃうかもしれないのに、そんなスローペースで良いのかな?」

 まあスナイパーに取り憑かれた奴が、急にカードの神に選ばれた奴しか使えないモン使えるようになった時点で察せるよね。

 

 ……よく考えてみれば、答えを知ってるから導き出せる結論かもねこれ。ニンゲンにとってはありえないことだもん。

「うるさいよ。お姉ちゃんたちみたいなバカと違って私は色々考えているの」

「何か知らないけどアブゾーブ様を愚弄するなんて許さない!」

「早速信者を得ているんだね。弱いから得られるかどうか心配だったんだよ」

 そこのところはスナイパーには十枚も二十枚も劣ることは認めざるを得ない。

 

 それとなくヒントをだそう。

「スナイパーは別名義で一杯信者稼いでるよね。それこそ世界中にいるし」

「な、何のことかな私は知らないな。さ、お姉ちゃんのターンだよ」

「怪しすぎる。明らかに何か隠している」

 情報が足りなかったみたいだね。ニンゲンを買いかぶりすぎていたか。

 

 ボクの7ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト6で知恵の魔術発動。ターンエンド」

 スナイパーの7ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト3でアポカリプス・ワン発動。コスト4でアポカリプス・ツー発動。ターンエンド」

「数百年単位で引きこもってるからか、しびれを切らさないね。そんなに兄妹の中で一番弱いのが怖いのかな?」

「その手には乗らないもん。お姉ちゃんそういうの得意だもんね」

 残念だな。

 

 ボクの8ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト4でヨティス召喚してから、さらにコスト4でスライジュエリー モルガナイト召喚。ターンエンド」

「お姉ちゃんこそ相変わらず他人任せのスタイルなんだね。そんなんだから弱いんだよ」

「事実として受け入れているけど気にしていることを言わないでもらえるかな」

「そんなことありません。アブゾーブ様は最強です」

 弱くさえなければあのバカども抹殺できるのになぁ

 

 スナイパーの8ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト5でアポカリプス・スリーを発動して、コストを1減らしてコスト4で災厄の明星を召喚。ターンエンド」

「スライジュエリーが破壊された……」

「しかも災厄の明星の効果でスライジュエリーも召喚出来ないんだよね」

「なんでそんなピンポイントメタカード入れてるんだ」

「偶然だよぅ。身内メタなんてせこい真似するわけないでしょ。現にしなくても勝てるくらいお姉ちゃんは弱そうだもんね」

 幸い災厄の明星自体もコスト4だから死んだが、それはそれとしてキツイ。

 

 ボクの9ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト4でスライジュエリー モルガナイト召喚。墓地のスライジュエリーを場に出してターンエンド」

「攻撃力が低いってとても辛いねぇ。だって私にかすり傷一つつけられないんだもん」

「ほざけ。どうせボクには勝てない」

 どうせ切り札出す準備してるんだからそのまんま利用した方がいい。焦らず待てば勝てる。

 

 スナイパーの9ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト4でアポカリプス・フォーを発動してからのコスト5でアポカリプス・ファイブを発動してターンエンド」

「やってることがせこいですね。本当はアブゾーブ様のことが大好きなんでしょうか」

「突飛な発想だぁ。ニンゲンって理解不能なところがあるよね」

「ニンゲンの突飛な発想力は邪神を越えうる道筋の一つだと思ってる。こういうこと言っても不思議じゃない」

 今のはボクにも分からなかった。

 

 スナイパーはため息をつく。

「まあそんなことよりも、あと1ターンで私をどうにか出来なかったらお姉ちゃんの負けだよ」

「弱いからってなめやがって。そんなわけないだろう」

 何なんだコイツ。

 

 ボクの10ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト6で知恵の魔術発動」

 相互破壊と魔法の雷と魔法の教科書か。

 

 相互破壊はコスト払って使えるけど、魔力吸収式バリアも持ってかれる上にスナイパーの場にはめぼしいカードもないから邪魔だね。

「そしてコスト3で魔法の教科書を武装して知恵の魔術を回収してターンエンド。手札には魔法の雷がある。これで毎ターン2ダメージずつ与えれば5ターン後には勝てる。楽な決闘だったね」

「気の長い話ですこと。それとも妹に情でも湧いたのかな。それとも世界を変えることにビビッて芋引いているのかな?」

「確実な勝利を狙って何が悪いんですか」

 スナイパーは鼻で笑う。

 

 スナイパーの10ターン目。

「ドロー。チャージ。デッキからコスト2でアバドンを召喚」

 

 666 モンスター アバドン 属性:エンジェリオ

     効果:このカードは攻撃出来ず、効果を無効化されず、コストを支払わずに召喚できず、このカードの召喚コストは軽減しない。 

     ・自分の場のアバドンの使徒1体を選ぶ。

      選んだモンスターのターンブレイクはアーマードレインとなる

     ・アバドンの使徒の召喚コストは3となる

   攻撃力:1 防御力:100 ライフ:99

 

「何ガッツリルール違反してんのさ。そんなんじゃ立場上示しがつかないよ」

「ルール違反したらシステムによって決闘が強制終了するんだけどね」

「でもシステム弄れるよね。そうでなきゃ軽減効果を受けないモンスターの召喚コストを664も軽減してなにも起こらないわけがない」

「アポカリプス・ファイブの効果によりコスト2で召喚できるようになってるから大丈夫なの。()()()()コストを2払って召喚したのに文句言われる筋合いはないよ」

 なにいってんだこいつ。

 

 イツも首をかしげている。

「アポカリプス・ファイブの効果で召喚コストが666か2か選べるようになってるから、2を選んで召喚しただけ。ヘブンズ使い襲っていれば分かるようなことだから、そんな驚くようなことでもないのに」

「ヘブンズ使いが珍しくてそんな機会無くてもおかしくないことなんて、お前が一番わかっていることなんじゃないかな?」

 スナイパーは舌打ちした。

 

 スナイパーが乱暴にカードを叩きつけると気味の悪いモンスター6匹が現れた。

「コスト9でアバドンを3体召喚。アポカリプス・ファイブの効果でデッキや墓地や手札からもアバドンを召喚できる」

「なんだよその反則カード。さすがやることが違うねえ」

「発動にターンがかかる上に、魔法除去を1発でも打たれたら全てが瓦解するっていう致命的な弱点があるのに、なんでそこまで言われなくちゃいけないの」

「何も知らないのに適切な行動が出来るわけがないだろ」

 知恵の魔術で魔法除去できるカードは引けていたんだ。コスト2の相互破壊で発動も出来たんだ。ただ大したことがないだろうと高をくくって魔法の教科書を装備しただけなんだ。

 

 だって今まであのカードは1回だけしか妨害していないんだから。それに相互破壊は自分の場の設置を持つ魔法カードを破壊しなければ相手の魔法も破壊できない。魔力吸収式バリアを捨てる発想も勇気もなかった。

 

 だからなんだ。苦労して攻撃力の高いモンスターいっぱい出しただけだよね。むしろカモでしょ。

「なんでそんなボロクソに言われなきゃいけないんだ」

「あ、今なんで実力が自分よりもある相手を侮っていたんだって思ったでしょ」

 思ってないけど油断してくれるならその方がいいから言わないことにする。

 

 やっぱ忙しい立場だから色々あるんだろうな。過労は万物をおかしくさせてしまう。

「敢えて答えるなら、お姉ちゃんが弱い理由はドロー運ないせいで弱いのに、そういう変な侮り癖で勝てる試合も逃しちゃったからだよ。こういう必死こいて揃える系のカードはだいたい強いって相場が決まってるんだから」

「まだアブゾーブ様は負けていない!」

「まあ何もかも知らない状況で最適な行動をしろって言われても無理だよね。アバドンの効果でアバドンの使徒を一体選んでターンエンド」

 いいぞいいぞ。侮ってくれればやりやすい。

 

 ボクの11ターン目。

「というかなんで負けてもないのにグチグチ言われなきゃいけないんだ。むしろ攻撃力の高いモンスターがいっぱい出るということはカモと言うこと、むしろ勝ちやすくなった」

「ドロー。チャージ。コスト6で知恵の魔術発動。コスト4でラビットクロック召喚。スライジュエリーを攻撃済み状態にしてラビットクロックにターンブレイクを与える。ターンエンド」

「あれれ。アポカリプス・ファイブ破壊しないんだね。ま、攻撃力高いの次々湧いてくるカードをみすみす潰すわけないよね」

 何を言っているんだ。

 

 スナイパーの11ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト3でアバドンの使徒を召喚。アバドンの使徒一体を選んでアーマードレインを与える。アバドンの使徒でスライジュエリーに攻撃」

「スライジュエリーにコントロールを奪い取られると知ってるくせに」

「問題ないよ。アバドンの使徒2体でアバドンの使徒に攻撃」

「そういうやり方があったわけだ。だからそんなに焦っていなかったのか」

「ご名答。よくわかったね。コスト3でアバドンの使徒を召喚。ターンエンド」

 1体倒すのに2体使ってるようでは余裕だね。

 

 ボクの12ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト3でスライジュエリー召喚。コスト5で魔法の雷を発動し、魔法の教科書で回収する。ラビットクロックの効果をスライジュエリーに使用してターンエンド」

 スナイパー:ライフ9→8

 

 スナイパーの12ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト5でカリス。コスト5でプロメテウス・プログラム召喚。アバドンの使徒一体を選んでアーマードレインを与えてターンエンド」

「サキュバス召喚すればよかったなあ」

 ボクの13ターン目。

「ドロー。チャージ。コスト4で武装解除発動。コスト5で魔法の雷。魔法の教科書の効果で魔法の雷を回収して、ターンエンド」

 スナイパー:ライフ8→5

 

 スナイパーの13ターン目。

「ドロー。チャージ。アバドンの使徒一体を選んでアーマードレインを与えるね。そしてコスト5で百王の生誕発動。スライジュエリーの効果を無効化する」

「魔力吸収式バリアの効果があるから無効化しても意味ないよ」

「お姉ちゃんはせっかちね。アバドンの使徒一体でプレイヤーに攻撃。そしてコスト5で百王の生誕発動。魔力吸収式バリアの効果を無効化するよ」

 アブゾーブ:ライフ9→5

 

 2枚持っていたか。

「さすがに3枚も4枚もあるってことはないだろうし、次のターンで終わりだね」

 ハーフエンドも手札にあるもんね。

 

 次のターンが楽しみだねえ。

「アバドンの使徒一体でプレイヤーに攻撃」

 アブゾーブ:ライフ5→1

「リアクション。ハーフエンド」

「百王の生誕をもう一度発動。今度はコスト0だね。アバドンの使徒一体でプレイヤーに攻撃」

 アブゾーブ:ライフ1→0

 

 まずい。負けた。

「お姉ちゃんは封印するね。負けたんだから仕方がない」

「それは私が許さない」

 イツがボクを庇う。

「どいてね。邪神はこの世界とニンゲンにとっては害毒そのものなんだから。私だって辛いけどこの世界のために分かってね」

「分からない!」

 スナイパーの動きが止まる。

 

 スナイパーは舌打ちした。

「呪眼かぁ。まあ世界のシステムにもうちょい数が必要だから見逃してあげる」

「うるさい! 自分だって邪神なのにアブゾーブ様だけ封印するなんてズルい」

「私は良いの!」

「ああ。コイツはいいんだよ。だってスナイパーはカードの神だからね」

「なんでばらすのさ……本当はお姉ちゃんを封印する予定だったけど、動けないから手出しも出来ないし今日はここまでかな」

 スナイパーは糸が切れた操り人

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