カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい   作:黒点大くん

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21 散苦

 勉強をしていると不法侵入されました。

「誰ですか」

 イケオジ鎧武者……邪神 ワイドレイムですね。

 

 しかしワイドレイムは邪神の中では比較的まともな存在のハズなのでこんなことしなさそうなんですよね。

「いきなりですね」

「あわわ。ひえー」

 家庭教師には逃げられます。そんなに命が惜しいのですか。

 

 しかしなんでいきなり……

「ヘニシ」

「……ハミカニ」

「ニンゲンは下等だからわざわざ訪ねても良いかどうかお伺いをする必要もなしってことですね。邪神を相手にするのは些か危険ですがやるしかなさそうです」

「ヌウェワ」

 私は急いでユナイツカードを構え、ワイドレイムは刀を抜いて切っ先をこちらに向けました。

 

 本当は怖いですが平気なフリしましょうね。 

「そう来るなんて~ソウコちゃんビックリしちゃった~」

「似合わないことするものじゃありませんね」

 メイドさんが天井から出てきて、ワイドレイムに着地しました。

 

 メイドさんはワイドレイムの刀を避けながら空中で回転して、ワイドレイムに飛び蹴りをかますと、椅子を投げました。

「ニンゲンが俺を足蹴にしたな(ヘスホシモイヲリスラヲタナ)

「足蹴にされても仕方がない事されたので、我慢してください」

「言っている場合ですか。早く逃げますよ」

 メイドさんに手を引かれて部屋を出ていきました。

 

 ワイドレイムはドアを左右真っ二つに切って追いかけてきます。

「ヌウェワ ヌウェワ」

「殺意満開と言うことはわかりますね。ではこれで決着をつけましょう。アームさん出てきてください」

 メイドさんは懐から干し肉を出して宙に放りました。

 

 アームが現れて干し肉を一口で食べます。

「ニンゲンに餌付けされたか(ラニソスリルチタヘ)衰えたな姉上(ホネウェニタヘイウハニキ)

「本当ですよ。いつの間に餌付けしていたんですか?」

「邪神もこちらの力にすれば役に立つと思いまして予め餌付けしておきました。邪神の大きな力を使ってやろうという発想はラウィラニ家から得たものです」

「スゴイ胆力ですね。私には思いつけない発想です」

 私には手なずけるなんて発想浮かばないと思いますよ。仮にもエンドコンテンツのボスキャラですからね。

 

 アームはユナイツカードを構えました。

「ヌウェワ」

 ワイドレイムもユナイツカードを構えました。すると私達は半透明な壁の中に閉じ込められました。

 

 ワイドレイムの先攻です。そして互いに軽減モンスターを出して、ワイドレイムの3ターン目になりました。

「ドロー。チャージ。コスト3イジャロコロガシ。ターンエンド」

「墓地にクノイチを落としましたね。後で回天の術で召喚するつもりでしょうか」

 本編では入れていないので恐らく手札にきたので捨てたというところでしょうね。

 

 アームの3ターン目です。

「ヒシハターン。ドロー。チャージ。コスト2セイレーンのハープ。コスト1ドリルサザエ。ターンエンド」

 ワイドレイムの4ターン目です。

「ヒシハターン。ドロー。チャージ。コスト5ヒダル神。ターンエンド」

「ヒダル神ですか。そんな私でも持っていないようなレアカードを……」

 ヒダル神の効果は凄い厄介なんですよね。

 

 6 モンスター ヒダル神 属性:アヤカシ

   効果:相手モンスターの召喚コストを1増やす

   攻撃力:0 防御力:2 ライフ:2

 

 アームの4ターン目です。

「ヒシハターン。ドロー。チャージ。コスト4 ヨティスのマトウダイ。ターンエンド」

 ワイドレイムの5ターン目です。

老いたな姉上(ホロタナウハニキ)。ドロー。チャージ。コスト3妖刀ムラマサ。プレイヤーアタック。ターンエンド」

 アーム:生命力10→7

 

 アームの5ターン目です。

「ヒシハターン。ドロー。チャージ。コスト5海底邪神剣クスヨハ。海底邪神剣プレイヤーアタック」

「アクションストライク。忍法 空蝉の術」

「ターンエンド」

 もっと攻撃力の高い時に使った方が効果的ですのに。

 

 ワイドレイムの6ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト4 サオトサキの術。ムラマサプレイヤーアタック」

 アーム:生命力7→4

「良いようにやられていますね。仮にも同格の存在に対してなぜこんな一方的な展開を……。姉弟の情ですかね?」

「手札事故とヒダル神で二重に苦しんでいるのだと思われます……」

「それはないと思いますよ。ワイドレイムの邪神としての特性が非常に厄介ですから慎重になっているだけだと思われますが……」

 餌付けされて懐いているから躊躇っているのでしょうか。

 

 アームの6ターン目です。

「ヒシハターン。ドロー。チャージ。コスト4ヨティスのマトウダイ、コスト2サハギンシールド。海底邪神剣プレイヤーアタック。ターンエンド」

「マズいです! 痛みに備えてください」

 ワイドレイム:生命力10→5

 

 全身に痛みが走りました。

「うぐっ。あああああ」

「むっ」

 ドラゴンキングに焼かれた時の方がよっぽど痛かったですね。

 

 私は痛みに慣れているからいいものの、メイドさんはきつそうです。

「いきなり痛くなりましたが一体何なんですかこれは」

「ワイドレイムの邪神としての特性は、邪神以外の周囲の生物に対して自分が受けた損傷を何倍にも増幅させて与えると言ったものなんです」

知らなかった(オユナンソタ)……上手く隠したな(ハケチヘチヲタナ)

 知らなっただなんて適当ですね。

 

 そもそも教えられてとしても自分には効かないから覚えていなかったのでしょうね。

強さゆえに関心ないのが仇となる(ソキルサニラヘセヲセナロヘスイタスネナミ)しかし(ヲヘヲ)ニンゲンに情が湧くとは予想外だ(ラヘセヲセヘスヒチナセツキヨハヘスロタス)

 湧いているのは情じゃなくて欲だと思うんですけど。

 

 ワイドレイムの7ターン目ですね。

「ドロー。チャージ。コスト6 鬼武者。鬼武者、サハギンシールドアタック」

「アクションストライク。シャークパニック!」

 巨大なサメの頭部が鬼武者を驚かせて尻餅をつかせた。

 

 2 魔法 シャークパニック! 属性:魚

   効果:自分の場に属性:魚のモンスターがいる場合このカードは以下の効果を得る。

      ・アクションストライク。相手の攻撃を無効化する

 

 いいところで止めましたね。

「ムラマササハギンシールドアタック。ターンエンド」

「鬼武者で場が壊滅することを嫌いましたか」

 誘導も上手い具合に効いていますし、逆転の可能性も十分ありますね。

 

 アームの7ターン目です。

「ヒシハターン。ドロー。チャージ。コスト7邪神海竜」

有り難い(イメヘスタロ)テフダカソク」

「コスト0サハギンスラッシャー。邪神海竜鬼武者アタック」

「アクションストライク。識痛の呪術」

「サハギンスラッシャープレイヤーアタック」

 ワイドレイム:生命力5→3

 

 私たちを気にせず上手くやれていますね。

「このまま攻撃すれば勝てますよ。今がチャンスです」

「海底邪神剣プレイヤー……」

とどめをさせば(ネネスエモルカノス)……死ぬかもな(ヲムヘテナ)

 決闘ではどう工夫しても絶対に肉体にダメージが発生します。

 

 その肉体へのダメージを何倍にもして相手を倒そうというのです。

「お嬢様はガードによる肉体的負担を増幅させる方法を理解しているのですよね。でしたらその逆のことをすれば」

「闘気が高ければ高いほど肉体に与えるダメージは増幅しますが、闘気を薄めればダメージが減る……と言う訳ではないのです」

「そういうものなのですか。相手も邪神らしく中々卑劣な戦法を取ってきますね」

 まさか私たちが人質にされるなんて。

 

 一定以上の距離を取ればこの特性の餌食になりませんが、半透明な壁で一定以上距離を取れないようになっています。

「ターンエン……」

「どうせ今日中に死ぬのなら今死んでもこの後死んでも同じことですよ」

「メイドさん……何を言っているのでしょうか?」

「アームが勝てば私達はほぼ確実に首が無くなると思いますよ。撃退するために足蹴にしてしまいましたので怒りは買っていますしね。そして攻撃すればショック死するかもしれません。どちらにせよ死ぬのですから私達に人質としての価値は無いのです」

 何を分かりきったことをと言いたげな顔をしています。

 

 凄く合理的な考え方ですね。

「言われてみればそうなんですけどね。もうちょっと言い方とかなんというかがあると思いますよ」

「こうでも言わなければ攻撃を躊躇ってしまいそうですので。餌付けさせすぎて懐かれすぎた弊害です」

 こんな痛み受けるの初めてでしょうに冷静ですね。冷静すぎて怖いですわ。

 

 アームはハッとしたような顔をしました。

「海底邪神剣プレイヤーアタック」

「アクションストライク。賄賂」

「伝説級のレアカードですね……」

 知恵の魔術とか邪神海竜とか邪神はこの手のレアカードを持っているんですよね。

 

 4 魔法 賄賂 属性:サムライ

   効果:自分の場に属性:サムライのカードがある場合このカードはアクションストライクを得る

      次の相手ターン終了時まで相手のカード1枚の効果を無効にする。

      その後相手は無効化されたカードのコストの数だけデッキの上のカードを見てその中から1枚手札に加えても良い

 

 人質にしたのはアクションストライクがないと思わせるための罠だったのですね。あのタイミングでのあの発言はアクションストライクがないと思いますよ。

「海底邪神剣、効果無効!」

「効果で攻撃力を上げているので、効果無効にされると辛いんですよね」

「デッキ5マイ……サハギンシールドサーチ。ターンエンド」

 賄賂は属性:サムライの武装でもアクションストライク化するので、レアカードでさえ無ければ4枚買っていたと思います。

 

 ワイドレイムの8ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト4忍法 サオトサキの術。コスト1クノイチ。コスト2 ハナビキャノン。ヒダル神、サハギンシールド破壊」

「厄介なサハギンシールドを除去しましたか」

「ムラマサプレイヤーアタック」

「アクションストライク。マーメイドバブル。サハギンシールド」

「クノイチサハギンシールドアタック。ターンエンド」

 サハギンシールドは再びムラマサを弾きました。

 

 アームの8ターン目ですね。

「ヒシハターン。ドロー。チャージ。コスト1サハギンフィッシャーマン」

 

 2 モンスター サハギンフィッシャーマン 属性:マーフォーク

   効果:出現:自分の墓地の攻撃力2以下の属性:魚のモンスターを手札に戻す

   攻撃力:0 防御力:1 ライフ:1

 

「コスト3ヨティスのマトウダイ。3マイドロー。コスト4マレンティの謀略」

 

 4 魔法 マレンティの謀略 属性:マーフォーク

   効果:自分のモンスター二体と相手のモンスター一体を手札に戻す

      このカードはルール上サハギンカードとして扱う

 

「サハギンスラッシャー、サハギンフィッシャーマン、ワンジャバウンス」

「これで手札は10枚ですね」

「邪神海竜プレイヤーアタック」

愚かなり姉上(ホウェヘナメウハニキ)。クノイチを忘れたか(モヒワシタへ)。アクションストライク。忍法 誘惑の術」

馬鹿はお前の方だ(ノスヘノオケニウィマハタス)。テフダ10枚コスト0サハギンチェンジ」

 サハギンウェイブ目当てかと思わせておいてのサハギンチェンジですか。

 

 山札の上から5枚が捲られました。

「サオトサキ、ヒダル神、忍法訓練所、座敷わらし、ワンジャですね。魔法は3枚ですか」

「サオトサキ」

 ワイドレイムは山札の上から5枚を見て1枚を手札に加え、誘惑の術をコストゾーンに置きました。

 

 邪神海竜はバランスボールサイズの水弾を放ち、煙を巻き上げました。

「ちょっと待ってください。そんな勢いで攻撃されたら私たち死んでしまいますよ」

愚かなり(ホウェヘナメ)

 ワイドレイムの生命力が0となり、モンスターが消えた。

 

 あれれ。衝撃が伝わって来ただけですね。

「水弾自体は……あまりダメージを与えていないので、振動だけが何倍にもなって伝わったというところですかね」

「肉体へのダメージを振動だけにすることでダメージを抑えたということですね。まさかそういうやり方で肉体への損傷を抑えられるなんて思いませんでしたわ」

『プライムディスティニー』本編ではそんなこと明かされませんでしたし。

 

 ワイドレイムの全身の皮が剥がれて、サングラスとスーツの辮髪の男性になりました。

「ラウィラニ家のために変装をし、欺くために邪神語を学んだが、水で変装が溶けてここまでとなったか」

「猿芝居は止めたほうがいいですよ、ワイドレイムさん。あなたがこういうことをするということは何かしらの事情があったんですよね?」

「邪神なんてみんな同じだと思いますよ。そうでなければ痛みを分け与えるなんて真似しません」

「バレたか。二の兄上に恩人のペットを犬質にされてこんなことしてんだ。悪いとは思うが仕方ねえんだ」

 そういうことでしたか。

 

 半透明な壁が消えた。

「恩人のペットを犬質にされてしまえばどうしようもないですよね。情状酌量です。許しますよ。アームさんもありがとうございました」

「お人良しですねえ」

 ここで許さなかったらまた斬られるかもしれませんか

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