カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい 作:黒点大くん
ボクは本屋さんで神話の本を立ち読みする。
「カードの神様追ってきませんね」
「昔から自分が決闘する番になると信者とか弟とかけしかけたりするくらい、
デッキタイプ見せたくないからね。アイツは昔からそういう奴なの」
「最初から最後まで良いように使われて弟さんがかわいそうですね」
あんなのが姉でなくて良かったと思うよ。
本をパラパラとめくる。
「かつてこの世界は古の神や魔物がニンゲンを家畜とする世界だった。しかし異界から来たカードの姉弟神がニンゲンに同情し、古の神と魔物の力を石に閉じ込めた。これがカードメタルやカードの根源。まあここは合ってる」
真実はたまたま見かけたときに、なんか偉そうにしててムカついたから封印しただけなんだけど誤差よ誤差。
この時だけは全員気が合ってた。
「あっているんですね」
「しかし弟が悪神となり5つの眷属 邪神を生み出したというのと、今のカードの神が悪神と邪神を弱らせたとある。ここは徹頭徹尾噓が書かれていて逆に凄いと思うよ」
スナイパーは何から何まで人任せな奴だもんね。
オスの老ニンゲンがやってきた。
「神話について話していたけれど、神学者なのかい?」
「違うよ。ただなんとなくどんな捏造がされているか気になっただけなんだ」
「な~んての」
オスの老ニンゲンがボクの首筋にナイフを立てている。
イツはオスの老ニンゲンがナイフを見せびらかしてために動きを止めた。
「カネトルスのところからお前さんの情報は抜き出しとる」
「お前もあのメスニンゲンの差し金だったということかあ」
「その逆であのメスニンゲン……もといソウコ・メッセルをどうにかしたいと思っている。この国にとってあの女とその婚約者は邪魔なんだ。案内するぜ」
抵抗のできない状態にしておきながら……。言葉も不足してるし正直訳が分からない。
ボクたちは本屋の奥まで連れて行かれた。
「全然話が見えてこなくて不親切なんですけど」
「わしたちは、あの庶民を暗殺し第四王子に婚約者を守れなかったという汚名を着せて王位から遠ざけようと考えている温厚派閥のタンバイズ……タンバイ様支持派じゃ」
「理念が温厚派だとは思えない。もしかして危険派は第四王子とやらに直接やるとか?」
老ニンゲンは首で肯定した。ニンゲンって弱い癖に同族を傷つけるから手に負えないね。
老ニンゲンは胡坐をかく。
「第四王子の許嫁を暗殺するのに協力してくれほしい」
「断るよ。ニンゲン観察をするうえでそういうのはあんまり役に立たなさそうだもんね。正直言って時間の無駄無駄」
「第四王子の婚約者と言うのがコイツじゃ」
老ニンゲンは懐から絵を出した。
コイツは……ボクに負けた挙句卑怯だのなんだのほざいたニンゲン!
「そういうことなら言われなくてもぶっ倒しに行ってたのに」
「まさかコイツとこんな因縁があるなんて思いませんでしたね」
「そう。ソイツを暗殺して欲しい。でも決闘をせずに苦しめながら暗殺してほしいのじゃよ」
「なんで決闘しちゃだめなのさ」
「決闘したらお嬢様が招いた客がカードでお嬢様に危害を加えた……つまり全面的にお嬢様が悪いことになるので、第四王子の過失にならず王位継承の座から引きずり下ろせないかもしれないということだ」
どういう理屈なんだろ。
ニンゲンというのはごちゃごちゃと理屈をこねる。
「まあとにかくとっとと行ってとっとと暗殺して帰ればいいってことね。わかったよ」
「まあそういうことじゃな。物分りがいいと助かるのじゃ」
いますぐ行くことにする。
ボクをコケにしたニンゲンの元に着いた。
「なんで昼間に行くんですか?」
「夜だと警備とかあるから逆に厳しいということ」
ボクはミエハールの姿になる。
ミエハール子爵の姿になると通してもらえた。
「お嬢様がミエハール子爵に感謝したいそうです。直接うかがってくれたおかげで出向く暇がなくなりました」
「そうだと思った」
ミエハールにあのニンゲンの殺害の邪魔をされた。
ということはあのニンゲンにとってミエハールは命の恩人であり、感謝していてもおかしくはないということだからな。
「ところでミエハール様その女の子は」
「呪眼持ちのガキだ」
「呪眼ですか。珍しいですね」
メイドの表情からは何言ってんだこいつと言う意図を感じられた。
ムカつくけど、あのニンゲンをぶっ殺すまで我慢だ我慢。
「何をねだるか考えておいてくださいね」
「もっとも価値のあるものをねだるつもりだよ」
「そうですか」
宝石とかねだりそうって思っているんだろうね。
お嬢様の元にたどり着いた。
「少しお待ちを」
「急に干し肉投げてどうしたんでしょうね」
アームが現れた。
アームは宙の干し肉を食らう。
「干し肉に薬物系の匂いがありますね。おそらく薬物であの人を従えているのだと思われますね」
「クズが。バカに変な薬使いやがって。お前も殺すしかない」
「そんなに怒ることないじゃないですか。御主人様が邪神だったからシンパシー感じているんですか?」
ニンゲンのくせに邪神を利用するなんて。犬に成り下がったか。
ムカつくなあ。邪神としてはいい気分がしない。
「イツ!」
「呪眼!」
「
「呪眼ってルール無用ですね」
メイドは舌打ちをする。
布団の膨らみに向かって爆弾を投げ込んで、爆発させた。
「お嬢様!」
「跡形もなく爆死なんて無様な最期だなあ。ヤバいヤツを怒らせちゃいけないってよくわかっただろう?」
「そうですね。その気持ちよくわかりますね」
「誰が跡形もなく爆発したんですかね」
後ろからあのニンゲンが現れた。
コイツなんで生きていたんだ。
「あ~。またお布団から抜け出していましたね。怪我も治っていないのに無茶ばかりして」
「でも抜け出さなかったら滅茶苦茶危険だったんですよ。なんとなく出歩いていて良かったですね」
神がかり的な運の良さだな。
あのニンゲンはため息をついた。
「でもミエハール子爵のしたことなので一回ぐらいは許してあげますよ。次はないです」
「何が許すだよ。邪神を犬に成り下がらせておいて。許せないのはこっちだ」
変身を解いた。
「アブゾーブさんでしたか。家族愛があったなんて意外です。そんなキャラじゃなさそうですもんね」
「こんな情けないヤツより弱いと思われるのが癪なだけだよ」
惻隠の情なんて一切ない。
アームとメイドが動いた。
「なにっ!?」
「呪眼が持ちませんでした」
「分かりました。私が負けたらあそこの窓から飛び降りてやりますよ」
ニンゲンがユナイツカードを見せた。
闘気で殺害した方が効率がいいのでイツにデッキとユナイツカードを投げ渡す。
「分かりました。ユナイツカードはマジカルランドです」
「そんなにその人を信頼しているんですね。書類を使わなければ信頼していなければカードは貸し出せませんのに」
「私はアブゾーブ様の犬ですから」
ニンゲンは困ったように笑っていた。
なんやかんやでニンゲンの先攻8ターン目。
「ドロー。チャージ。サキュバスで攻撃を強制されているというのは嫌ですね。マスターニンジャの効果で回天の術を手札に加えてそのまま発動します。コスト2でハナビキャノン。マスターニンジャとラビットクロックを破壊します。ターンエンドです」
「お嬢様もサオトキキや舞姫でコスト加速をしつつ相手の生命力を5まで減らしたものの攻撃が禁止されているというのはキツイものがありますね」
般若の舞姫のコントロールを奪っても割としょっぱい。
イツの8ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト0で洗脳諜報発動。魔法の教科書で洗脳諜報を回収してもう一度発動」
「条件があるとはいえコスト0で4枚ドローですか」
「コスト4でスライジュエリー モルガナイトを召喚してスライジュエリー復活。コスト4でスワンプマンを召喚してターンエンド」
4 モンスター スワンプマン 属性:使い魔、魔法使い
効果:1ターンに1度コストを払って墓地から
コスト5以下の属性:使い魔のモンスターを召喚できる
攻撃力:0 防御力:5 生命力:1
ニンゲンの9ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト7で墓地からマスターニンジャを召喚してプレイヤーに攻撃」
「こんなことなら般若の舞姫攻撃させておくんだったなあ。アクションストライク。ミラージュ」
「ターンエンドです」
魔法の教科書によってミラージュを回収できるから無限に防げるわけだ。初めて使う割に結構やる。
イツの9ターン目。
「ドロー。チャージ。魔法の教科書でミラージュを回収します。コスト5で墓地からラビットクロック召喚。ラビットクロックの効果をスライジュエリーに集中させる。ターンエンド」
「スワンプマンって面倒ですねえ」
スワンプマンから出た泥の塊がラビットクロックになる。
ニンゲンの10ターン目。
「ドロー。チャージ。マスターニンジャの効果でサーチしてコスト4で土遁忍法 生き埋めの術を発動。辻斬り一刀斎とマスターニンジャをコストゾーンに送ります。忍法訓練所でサオトサキの術を回収してコスト4で発動。さらにコスト4で土遁忍法 モグラの術を発動です」
4 魔法 土遁忍法 モグラの術 属性:ニンジャ
効果:コストゾーンの属性:ニンジャのモンスターを場に出す。
この時場に出すモンスターはコストゾーンの枚数から4を引いた数より低いコストのモンスターでなければならない
マスターニンジャが地面から出てきた。
「しまった作戦の核が…」
「コレでもうあなたの場に攻撃済み状態のモンスターはいませんね。マスターニンジャでプレイヤーに攻撃です」
「アクションストライク。ミラージュ」
「……ターンエンド」
ニンゲンはニヤニヤしている。
イツの10ターン目。
「そいつの狙いは防御に専念させることで魔法の雷を安定して使わせないつもりだ」
「分かりました。ドロー。チャージ。コスト5で魔法の雷発動です。そして般若の舞姫でプレイヤーに攻撃してターンエンドです」
「攻撃済みのモンスターがいれば取り敢えず安定ですからね」
ソウコ:生命力10→8
ソウコの11ターン目。
「追い詰められてはいますがデッキの特性をなかなか理解していますし、うまく回せているんですよね。将来有望ではありませんか」
「お前みたいのに褒められてもうれしくないよ」
「そうですか。悪い主人に拾われましたね。ドロー。ファイナルターン。コスト6で鬼武者を召喚します。鬼武者で般若の舞姫に攻撃です」
「ここで防がなきゃやられる。アクションストライク。ミラージュ」
鬼武者は幻を斬る。
マスターニンジャの攻撃が般若の舞姫を貫いた。
「何がラストターンだよ。削り切れていないくせに」
「コスト2で忍法 分身の術を発動します。そしてそのままプレイヤーに攻撃です。あまりこういうことは言いたくないのですが全員攻撃させていれば勝てていましたよ」
イツ:生命力5→0
モンスターが消えた。それと同時にアームに掴まれて窓の外になげだされた。それと同時に窓に時限爆弾を投げる。
「失敗したか」
「失敗しました……捨てないでください」
「そんなことよりもあのニンゲンが飛び降りても無事なようにしてたことに怒りを感じているよ」
思えばメイドが眉一つ動かさなかったよなあ。こうなることが分かっていたのか。
失敗したのでそのまま帰った。
「失敗しましたのじゃな」
「甘言に乗ってしまったのもあるが、ニンゲンなんぞに協力したのが運の尽きだった……と言うところかな」
「それに私が失敗したのもある」
情けないと思うけど最初から安全ばかり考えているような奴が相手だったことなんて知らなかったしね。
オスの老ニンゲンが殴って来た。
「失敗したら死ななきゃならんな」
「一度の失敗ぐらい見逃してやれよ。まあお前は二度失敗したから次はない」
「それを言えばお前も次はないだろ」
オスの老ニンゲンを気絶させる。
縛り上げて店頭に置いた。
「見せしめにしてやろうね」
「わあいいアイデアです」
「ニンゲン社会的には悪い事なんだけどね~」
「何もしないくせに偉そうにしている神様と違ってちゃんと天罰与えていますから。これは天罰です」
「そういうもんか」
まあスナイパーは偉そうだよねえ。
そのまま本と金を貰う。
「第四王子のことが嫌いって言っていたから、あのニンゲンの名前を書いておこう」
「アブゾーブ様は優しいですね」
オスの老ニンゲンの額に強盗の犯人はソウコメッセルと書いた。
よし。
「この本屋も使えないだろうし、しばらくどこか別の街を拠点にしよう」
「ですね」
ニンゲンは満足に暮らすためにカネと言うものが必要だから不便だ。