カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい 作:黒点大くん
嫌いな奴倒しに来たらそれよりも優先して処理すべき存在があらわれた。一石二鳥ということだ。
「アブゾーブ様、ソウコ・メッセルを追わなくてもよいのですか?」
「今はそれどころではないんだよね。コイツ他の邪神の生贄になりうる奴だし、不死身にならずともブッ倒せば多少再生力が上がるんだよね」
生贄は食べたからもう不老不死だし。
イツが背後に回り、刃物を首筋に近づけた。ニンゲンは本格的に焦っているね。
「アブゾーブって邪神のアブゾーブですかね、それならとてもつらいのですが」
「流石大企業の社長様、セキュリティーが緩い代わりに耳が早い」
「それじゃあ決闘を始めようね。ちなみに拒否権はないから」
決闘が始まった。
そしてボクの後攻5ターン目まで経過した。魔力吸収式バリアがあるから安心だね。
「ドロー。チャージ。コントロールを得たアントがいるからコスト0で洗脳諜報発動。コスト4でスライジュエリーモルガナイト召喚。スライジュエリーは蘇る。スライジュエリーでプレイヤーに攻撃して、アントでプレイヤーに攻撃。ターンエンド」
「キツイですねえ」
「漸く初期生命力に戻っただけなのにそんなことを。イヤミだねえ」
ニオジーン:生命力12→10
ニンゲンの6ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト2とコスト3で働き蜂を召喚します。更に魔法カード。ビーラッシュ。デッキからキラービー召喚。蜂の効果で回復して働きアリの巣で1枚ドローします」
「お手軽モンスター召喚魔法かぁ。ボクも欲しい」
4 魔法 ビーラッシュ 属性:インセクト
効果:スペルコンディション:自分の場に働き蜂がいる
デッキからキラービーを場に出す。キラービーはこのターン攻撃出来ない
4 モンスター キラービー 属性:インセクト
効果:貫通
説明:人型の蜂。鋭い毒針で相手を刺す
攻撃力:2 防御力:1 生命力:4
「ターンエンドです。そのスライジュエリーは面倒なカードですよね」
「面倒な効果だから一度で懲りるのが欠点なんだよね~。アントみたいなカードぶんどって手の内明かしたくなかったなぁ」
「人のものを奪っておいていけしゃあしゃあと抜かしますね」
キラービーは貫通持ちでそれなりに強いカードだからぜひ奪いたい。
ボクの6ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト4でサキュバス召喚。スライジュエリーでキラービーに攻撃してターンエンド」
「控えめな闘い方ですねぇ。そんなんじゃいつまで経っても倒せませんよ」
サキュバスの効果を知っていれば相手はなんとか処理しようとしてくるに違いない。これでスライジュエリーから目を背けてくれるといいのだけど。
ニンゲンの7ターン目。
「ドロー。よし……最強カードを引けましたね。チャージ。出でよコスト6で女神のしもべ マーダーホーネットを召喚です」
キラービーの四本腕が六本腕となり足が四本脚となる。さらに顔がいかつくなり大きさも倍となった。
6 モンスター マーダーホーネット 属性:インセクト
効果:貫通
出現:キラービーをこのカードの下に送る。
キラービーが下にないカードは以下のものとして扱う
攻撃力0防御力0生命力1
説明:キラービーが獰猛になった姿
攻撃力:6 防御力:2 生命力:6
「私はこのカードを自分のことのように愛しているんですよ。なにしろ神を守る最強で敬虔な存在ですからねえ。蜂の効果で回復して働きアリの巣で1枚ドローします」
「神様の呼びかけに答えないなんてそれでも敬虔とほざくつもりかな?」
「なんとでも言いなさい。これにてターンエンド……できない」
「サキュバスはそんなにレアでもないカードなんだよね。そんなカードの効果すら把握していないなんて思わなかったなぁ」
マーダーホーネットの殺意と愛情がビリビリと伝わってきて、サキュバスを怖がらせる。
ニンゲンは驚いていた。
「ボクは優しいから教えておいてやるけど、サキュバスの効果は攻撃を強制させる効果だよ」
「グギギギ……マーダーホーネットでスライジュエリーに攻撃です」
「スライジュエリーの効果でマーダーホーネットを操る」
現実は想定していた最高よりもはるかに都合がよかった。負けようとしているのかな。
悔しそうな顔してるし罠じゃなさそうだね。
「貢物を他の神に捧げるとは敬虔な教徒が聞いて呆れるね」
「むっ……ターンエンドです」
「サキュバスの効果を知らないとはお笑い草なやつだね」
まあエースがぶんどられれば腹も立つよねえ。
ボクの7ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト6で知恵の魔術発動。3枚ドローしてマーダーホーネットでプレイヤーに攻撃。自分のカードで負けろ」
「ちゃんちゃら可笑しくて笑いをこらえるのも大変でしたよぉ。世の中ここまで思い通りになることもありませんからねえ」
負け惜しみだけはコイツに敵わない。
どうせ何もできるまい。
「ここから何かできることがあったら言ってみなほら」
「アクションストライク。キノコ爆弾」
「なんなんだそのカードはよ」
マーダーホーネットがキノコが出てきて爆発した。
4 魔法 キノコ爆弾 属性:フェアリー
効果:アクションストライク。属性:インセクトのモンスター一体を破壊して
そのモンスターの攻撃力分すべてのモンスターにダメージを与える
爆発の跡には蟲神と働きアリの巣だけが残っていた。
「最近相手のモンスターを操る者が現れたと情報が入ってきましたのでこういう対策を取らせてもらったのです。普通に使うなら小回りが利かないか大したことのない弱いカードですが、こういう時に相性が良いのですね」
「自分の場のモンスターも効果の範囲内だから使わない方がいい場合があるけど、インセクトを蘇生できる蟲神には効かないからデメリットもない」
ニンゲンのくせになかなかやる。
普通に使うなら尚更被害が多くなりそうなカードを使う胆力は認める。
「これの他にもメッセル家令嬢の対策もしていたのですが……引けませんでしたね」
「今言うことじゃないよね」
「互いに間が悪いということです」
「残念ながら間が悪いのはお前だけだ。ターンエンド」
残念ながら決めきれなかった。
ニンゲンの8ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト2と3で働き蜂を召喚してコスト3でアントを召喚します。アントでプレイヤーに攻撃してターンエンドです」
「場ががら空きだとこういう時に凄く辛いよね」
アブゾーブ:生命力10→8
ボクの8ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト4で預言者ヨティス召喚。コスト4でスライジュエリーモルガナイトを召喚してターンエンド」
「おやおや全部除去されるのはやはり辛いみたいですね」
「逆に聞くけどそれが全然辛くないと思ってるの?」
「野暮でしたね」
「神に対して無礼すぎる。なっちゃいないね」
とことん癇に障る奴だ。
ニンゲンの9ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト2とコスト4でキラービーを召喚します。ターンエンドです」
「魔力吸収式バリア様々だね。無かったら負けてた」
ニンゲンのくせにここまでやるなんて。
ボクの9ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト6でサーヴァントノードを発動」
6 魔法 サーヴァントノード 属性:魔法使い
効果:墓地の属性:使い魔のモンスターを全てデッキに戻し、その分ドローする。このカードを発動するターン中攻撃もドローもできない
「驚異の4枚ドローですね。しかしそこから何もできないと思われますが」
「コスト3で魔法の教科書を武装してそのまま効果で洗脳諜報を回収してターンエンド」
準備は整った。あとは生き残るだけ。
ニンゲンの10ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト4でワームレセプション、コスト6で紫婦人を召喚し、プレイヤーに攻撃します。これにより貴女は私に触れることが出来ません。ターンエンド」
「ほざけ」
やはりニンゲンは愚かだ。さっきは焦ったがそれ以降で弱らせたと勘違いしている。
ボクの10ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト4でサキュバスを召喚し、スライジュエリーで紫婦人に攻撃。スライジュエリーの効果で紫婦人を操り、洗脳諜報の2枚ドロー。コスト5でマッドクロック召喚。マッドクロックの効果を2回とも紫婦人に適応させる」
「反動をうまいこと使われましたね」
「紫婦人の防御力はとても硬い。お前にこれを突破することは難しいかもしれないなぁ」
己の身を守る頼れる存在が相手についてしまったという恐怖。その気持ちよくわからない。
ニンゲンの11ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト2とコスト4でキラービーを召喚します。蟲神以外を紫婦人に突撃させてターンエンドです」
「生命力が15もある相手を倒せますかね」
「凄いスケールだけど倒さないことには勝てないからねえ」
気が遠くなる。
ボクの11ターン目。
「ドロー。チャージ。洗脳諜報発動。コスト10で魔法の雷を2枚発動。そして魔法の教科書で魔法の教科書を回収して、マッドクロックの効果を2回とも紫婦人に適応してからターンエンド」
「コントロール奪取とロックバーンを軸にしているのですか。随分とマナーが悪いんですねえ」
「マナーはこだわると勝ちを逃すと思っているから、出来るだけこだわらない方がいい」
ニオジーン:生命力15→9
ニンゲンの12ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト12でキラービーを2体召喚します。そしてそのまま攻撃です」
「そんな力技があったなんて。蟲神って思ったより厄介だ」
「そうでしょうとも。先祖代々伝わるこのカード、厄介でないと困ります」
得意げな顔をしているのがむかつく。
ボクの12ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト4でスライジュエリーを召喚してマッドクロックの効果を適用してから魔法の教科書の効果発動。コスト5で魔法の雷を発動してターンエンド」
「決まれば強いものに固執するのは良くありませんよ。私もマーダーホーネットに自己投影していますが、デッキとしてはサブプランの一つですからね」
「うるさい」
決まれば強いもので死にかけていたくせに。
ニンゲンの13ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト2で祈りの妖精を召喚です。コスト10でキラービーを2体。そしてそのまま攻撃してターンエンドです」
ボクの13ターン目は魔法の雷をしただけなのてニンゲンの14ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト12でキラービーを2体召喚。キラービー2体でプレイヤーに攻撃」
「残り2、残念だったね。当然ボクには敵わなかった」
これが人と神の差なんだよねえ。
ニンゲンはため息をつく。
「ピンチのくせに勝った気になるとは、たかが知れていますね。ターンエンドです」
「ニンゲンのくせにボクの言おうとしたことを先取りするなんて、何という奴。常識ってものがないよ」
「どうせハッタリですよ」
一応警戒だけはしておこうね。
ボクの14ターン目に魔法の雷を使って決闘が終了した。逆転の手がありそうな言い方をしやがって。
「魔法の雷を5発も耐えるなんて凄い根性だね。お前からは根性を教わったよ。もう用無しだから死んでもらおうか」
「それにしても対策をしたところでどうにもならないなんて、アブゾーブ様の力の神髄ですね。流石です」
「そうだろうそうだろう。ボクはだんだん強くなっているんだ」
「闘気が無駄にデカいので、その分ダメージも大きいですね。お前はここで死んでください」
ボクの首にナイフが刺さる。息が詰まる上に痛いけどそれだけだ。
ニンゲンはボクを化け物を見るような目で見る。ボクは能力を用いてニンゲンを吸収した。
「こうなると惨めなものですねえ……なんちゃって。しかしこのニンゲンもメッセル財閥の令嬢だったかに危害を加えようとしていたのか」
「そういうことなら倒さずに協力すればよかったですね。目標は違えどやりたいことは同じなんですもの」
「そういう訳にもいかないよ、二の邪神の生贄になりうる奴だったからね。自分に合った生贄は複数喰らえば闘気と再生力が増す。先程の言葉とと合わせても放置する意味はないよね」
2は6や7に敵わないがそれなりに力があるんだ。これ以上差を付けられるのは面倒だからね。
ボクはケガしたフリをしてイツに支えてもらいながら部屋から出た。
「社長、無事ですか?」
「彼女のおかげで、メッセル家財閥令嬢の爆破テロの中でも無事でした。彼女を秘書にしようと思いますね」
「左様ですか。しかしメッセル財閥令嬢は悪辣ですね。爆破しておいて自分が救世主を名乗るなんて図々しくないと出来ません」
このカラダもボクもやりたいことは同じ。優しいから遺志は受け継いでおこう。