カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい 作:黒点大くん
お父様の仕事の観察に付き合わされました。
「ルノスチ教国の砂漠の開発ですか。凄いスケールの大きい話ですね」
「ああ! ルノスチは世界一広い国だが国土の9割を枯れた砂漠に囲われた世界一貧しい国となっている。その貧しい国を耕す慈善事業を行っているのだ。こんなこと善人しかやりたがらないだろうな」
ルノスチ教国はシジューク神をあがめる宗教国家です。石油やアルミやダイヤモンドなど資源に恵まれた国なのですが、お父様の死により開発が停止され中途半端に開発されたまま放置された国となるのです。
次回作の『オープンディスティニー』でルノスチ出身のキャラが出ると聞きましたが、発売前に死んだので詳細は不明です。
「どうしたのだ? 暑いのが悪いのか。そうかそれならプレハブに移動しよう」
「そうではありませんわ。少し未来のことを考えていましたの」
「そうか。ソウコは優れているな」
お父さまに頭を撫でられます。
お父さまの前に白い長袖で褐色肌の女性が現れました。スタイルよすぎ。衝撃のあまり余裕がなくなってしまいました。
「私はこの国の聖女 ナーキスナ=ルノスチでございます」
「私はソウコ・メッセル、アグロ・メッセルの娘でございます。よろしくお願いいたします」
「我が国の歴史を教えて差し上げるのが、外国人へのお客様へのサービスでございます。我が国の歴史をお教え致します」
「ありがとうございます、普段あまりルノスチの事を知ることが出来る機会もないので嬉しいです」
私はお言葉に甘えることにしました。
聖女様は薄い石板を出します。
「ルノスチは魑魅魍魎が跋扈する闇に覆われた土地ではありましたが、シジューク神によって闇が祓われました。その後もシジューク神への信仰もあり、我が国は他国から侵略されず平和を保ち続けていたのです」
「シジューク神様々ですね。窓から出入りするような人たちもいないんでしょうな」
「はい。シジューク神あっての我々です」
私はシジューク神の正体を知っているだけに、正体を知ったらショックを受けそうだと思うんですよね。
まあシジューク神が外敵からルノスチを守っている事自体は事実なのですが。
「煽り抜きにただの疑問なのですが、一面砂漠なのはどういうことなんですかね。それもシジューク神の御心ですか」
「一面砂漠なのは魔物がシジューク神の浄化に対して悪あがきをしたからだと聞きます」
「そうなんですね。土地に恵まれているのもシジューク神の加護なんですね。きっと世界中が羨むと思いますよ」
聖女様は首をかしげていました。まだこの世界は石油やアルミの使い方を分かっていないので、お世辞にも恵まれているようにも見えませんもの。
ダイヤモンド産業でかろうじて生きながらえているような国なのです。
「しかしこの国は暑いな。この国の民はよくこの暑さに負けぬものだ」
「この様な暑いところにいるのもなんですから、首都に案内しましょう」
「ありがとうございます」
一時間ほどで首都に着きました。元々首都に近いところだったそうですね。
首都の中心にはそこそこ大きい建物がありました。それ以外は特にいうことがないです。
「あそこの建物が我が国で一番大きい建造物のシジューク神殿でございます。ではお話は教皇様に引継ぎいたします。教皇様が我が国で一番偉くて頭がよいのです」
「ふむ、ありがとうございます」
お父様はあの手この手で人をあっけにとるような人ですので、教皇様が気の毒でなりません。
シジューク神殿の中は秋や春のような適温で快適な環境でした。
「では教皇様と話をしてくる。ソウコ、迷惑をかけてはいかんぞ」
「それはもうわかっております。気を付けますよ」
「では私がお嬢様を案内いたします」
「聖女様自ら案内してくださるとは、数年分の運を使いましたね。ありがたいことです」
「ソウコお嬢様が選ばれし角の者と巡り合ったのと同じでシジューク神の定めた天命です」
聖女だからそういうのも分かるんですかね。
シジューク神殿の中には白い長袖の人が沢山いますね。護衛の人たちでしょうか。
「このシジューク神殿は何故か年中この明るさと気温なのです。おそらくこれもシジューク神の賜物でしょう」
「そうなんですか。シジューク神殿の建築様式の特許を取れば、一儲けできそうですね」
「選ばれし角の者……ヘルズの憑き人のことですね」
年中快適な温度と湿度で保たれるなんて羨ましいです。
シジューク神殿を暫く歩いた後休憩いたしました。
「ソウコ嬢はカードが好きと聞いたことがあります。一度決闘してみませんか?」
「お言葉に甘えさせていただきます」
互いにユナイツカードを構えました。聖女様のユナイツカードはマジカルランドですね。
互いに何もしないまま聖女様の後攻4ターン目になりました。
「ドロー。チャージ。コスト4でマジカライズブレードを武装します」
「手札消費さえ気にしなければ強いカードですよね」
「ええ、逆に言えばそれが致命的過ぎますが」
剣の形のプラズマをまとった杖が現れました。
4 武装 マジカライズブレード 属性:魔導書
効果:オールアタック、蹂躙
手札のカードを好きな枚数捨てて、次の相手ターン終了時まで捨てた枚数分攻撃力と防御力を上げる
攻撃力:0 防御力:0
「マジカライズブレードの効果により、手札からホブゴブリンとゴレムを捨てます。そしてマジカライズブレードでプレイヤーに攻撃です」
「アクションストライク。識痛の呪術を発動します」
プラズマが二回り大きくなったマジカライズブレードが私を切ります。
ソウコ:生命力10→6
私の4ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト3で般若の舞姫を召喚します。コスト3で妖刀ムラマサを武装します。妖刀ムラマサでプレイヤーに攻撃です」
「甘んじて受けましょう」
「ターンエンドです」
ナーキスナ:生命力10→9
聖女様の5ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト4で預言者ヨティスを召喚してハイドキャットを捨てます。マジカライズブレードでプレイヤーに攻撃してターンエンドです」
「手札を捨てれば手札不足にもなりますよね」
手札=選択肢と言うのはカードゲーマーとしては割と常識だと思うのですが。
ソウコ:生命力6→5
私の5ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト4で忍法サオトキキの術を発動します。クノイチを手札に加えてコスト2で召喚します。そして妖刀ムラマサと般若の舞姫でプレイヤーに攻撃してターンエンドです」
ナーキスナ:生命力9→6
聖女様の6ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト4で東洋呪術蟲毒壺を発動します」
「うげったしかそれめちゃくちゃ強いカードですよね」
「先祖代々伝わるカードです」
蛇があふれている無地の壺が現れました。
4 魔法 東洋呪術蟲毒壺 属性:魔導書
効果:設置。コスト1を払ってデッキからモンスター1体を毒蛇(コスト1 モンスター 属性:使い魔 効果:なし 攻撃力1防御力0生命力1)として召喚する。この効果は相手ターンにも発動出来る。毒蛇は1ターンに1度しか召喚できない
説明:東洋の呪術 蟲毒を模して造られた壺
東洋呪術蟲毒壺は昔々効果にターン1制限がなくどんなカードも蛇に出来たせいで、2回もエラッタされたのです。
「墓地送りとしても攻撃回数を増やすとしても強すぎるんですよね」
「コスト1でサキュバスを毒蛇として召喚します」
サキュバスが毒々しい色のコブラになりました。
コブラが私に噛みつきます。
「毒蛇でプレイヤーに攻撃してターンエンドです」
「蠱毒壺ですか」
毒蛇は攻撃したくありませんね。
私の6ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト4で忍法サオトサキの術を発動します。妖刀ムラマサと般若の舞姫でプレイヤーに攻撃します」
「コスト1でマッドクロックを毒蛇にしましてアクションストライクです。サーヴァントバリア」
4 魔法 サーヴァントバリア 属性:魔導書
効果:アクションストライク。自分の場の属性:使い魔のモンスターを破壊する。破壊した枚数1枚につき1枚ドローし、このターン中1回攻撃で受けるダメージを0にする。
説明:使い魔を盾にする魔法
「雑に手札加速出来るの強いですよね」
「サーヴァントバリアの効果で2枚ドローします」
ナーキスナ:生命力6→4
聖女様の7ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト6でサーヴァントノードを発動、一気に5枚ドロー。コスト1でハイドキャットを毒蛇にしてターンエンドです」
「サーヴァントノードで手札不足を補う訳ですか」
サーヴァントノードがなければ使い魔デッキ組みたくないと言われているほど強いカードなんです。
私の7ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト5でマスターニンジャを召喚し、忍法分身の術をサーチしてコスト2で発動します。マスターニンジャを選択します。マスターニンジャでプレイヤーに攻撃です」
「アクションストライク。油断の魔術発動します」
4 魔法 油断の魔術 属性:魔導書
効果:相手のモンスターの攻撃力の合計値が自分の場のモンスターの攻撃値の10倍以上の場合手札のこのカードはアクションストライクを得る。
このターン中相手は攻撃出来ない
「なるほど。慎重に行くべきでしたね」
「危なかったです。今回は惜しかったですね」
「だからマジカライズブレードで防御力あげなかったんですね」
兆候は見えていたんですよね。それでも分身を使用してしまったのは浅はかでした。
聖女様の7ターン目です。
「マッハ……ドロー。チャージ。コスト1でシルクハットワンダラーを毒蛇にし、そしてコスト5で戦略魔法 ツラヌキカガミを発動します」
5 魔法 戦略魔法 ツラヌキカガミ 属性:魔導書
効果:設置。自分のカードに貫通と反撃を加える
説明:ちょっとしたことが勝敗に繋がる
「手札を4枚捨てて攻撃力を底上げします。マジカライズブレードでプレイヤーに攻撃です」
「アクションストライク。忍法誘惑の術」
「コスト1で強い精神を発動します」
1 魔法 強い精神 属性:魔導書
効果:設置。攻撃対象を変更できない
強い精神ですか。
「なんで、そんな、何に使えるかもわからないようなピンポイントメタカードを……」
「シジューク神から得た天啓ですわ。このカードを入れた方がよいということです」
「シジューク神ってすごいんですね」
「凄いのではなくて超凄いのです。毒蛇でとどめです」
私の腕が毒蛇に嚙まれました。
ソウコ:生命力5→1→0
聖女様から闇が出てきました。
「それもシジューク神の導きですね」
「選ばれし角の者のお手付きはありますが、それなんて関係ないとシジューク神はおっしゃっております。羨ましい限りです」
シジューク神に思われることはそんなになさそうだし、煽り抜きの発言だと推測できるのが怖いですね。
しかし大っぴらには言えませんが私にとってその愛は不要というやつです。
「アーム、アブゾーブ、そして様々な呼び名がありますがマカレルという呼び名がありますね。私は多種多様な邪神に様々な感情のナイフを向けられていますね」
「あらまあ、愛され体質ですわね」
「こう見えて結構モテるんですよ。所謂無駄モテってヤツです」
闇が私にまとわりつきました。闇ははがそうとしても剥がれないどころか触れません。
もがけばもがけばもがくほど闇は入り込み、心や体の中に徐々に侵食していきます。
「あ、あ、どんどん力が入り込んできます。凄い、快感だけど、マズい気がします」
「こっちにこい」
頭の中で声がガンガンと鳴る。
こっちにこいという声が反芻されています。
「こっちはじめじめしていて気分がよい」
「この、声が、シジューク神もとい7の邪神……長い物には巻かれる感じがします」
この凄いものが……
力が全て……染み込んっだぁ♡
「あはぁ……凄い力ぁ。ゾクゾクするほどの闇。お父様ごめんなさい、ソウコ、悪い子になっちゃいましたぁ♡」
「悪い子とはなんですか。シジューク神の加護ですよ。良い子じゃないですか。羨ましいですよ」
「ごめんねぇヘルズの憑き人ってルノスチ以外じゃ悪だから。配慮が足りなかったかな?♡」
ピッチリした黒の長手袋、白のワンピースとタイツ、黒く長いブーツに変化し、頭頂部に黒いコウモリのハネ耳が生えました。
1度人の姿に戻ります。
「いやぁヘルズの力はいいものだねえ♡ところで聖女サマはなんでヘルズじゃなくてマジカルランドを使ってるのかな?」
「私の中にはヘルズを跳ね除ける力とヘルズの力を増やす力があるのです。ヘルズへの耐性がありすぎてヘルズを使えないんですよ」
「そうなんだ」
私のユナイツカードがヘルズとなり、カードがヘルズに染まりきった。