カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい 作:黒点大くん
私はアンドリューと一緒に演劇会の準備をする。
「よし、やっと出来た」
「年に一度の演劇会だから、頑張りたいよね。今年はあんまり練習できなかったけど……」
「今年は色々あったからしょうがない。そんなことよりも明日のために命かけたから成功させたい」
今年は練習時間少ない分眠らずに練習を濃くしたもんね。近所の子供たちがこの演劇会のために頑張っているんだもん。私も頑張らないとね。
演劇会は117年前から続いているらしい。大人たちや子供たちが入り乱れて楽しそうにしているのは気持ちがいいから、117年も続くよね。
「伝統とか知らないけどこの飾りが一番良い感じなんじゃないか」
「いいよー。いいかんじー」
「あれだね。今年はソウコちゃんも参加してほしいって感じ」
ソウコちゃんのお屋敷のものをデザインの参考にしたからそのお礼にね。
後ろから肩を叩かれたので振り向くと、ソウコちゃんがいた。
「メイドさんから遠いところに行ったって聞いたのですが……」
「楽しそうなことしてるから飛んで帰って来たんですよ。それよりも旅行、楽しかったですか」
「時間がなかったのでまだ行っていません。今度時間があったら行って感想を伝えますよ」
ソウコちゃん服装ぐらいしか変わっていないのに、随分と変わっている気がする。なんだか肌の下に大量の毒針を隠してる感じ。
ソウコちゃんは床に手を突いた。
「あっそうだ。ちょうどお嬢様を演劇会に誘いたいって話をしていたんです」
「へぇいい感じ♡しかし欠けているものが一つあるから、足してア・ゲ・ル♡」
「口調が違くないか」
床が水浸しになる。
水位がどんどん増してくるぶしの辺りまで来ているのに、濡れているような感じがしない。
「おいっなんかヤベエ。みんな今すぐここから出ろ」
「キャアアア」
「なにこれ分からない。……みんな焦らないで逃げて、焦ったらかえって出にくくなるよ!」
子供たちは逃げた。
ソウコちゃんが扉に向かって手を振ると扉が開いた。
「なんだよ今の」
「こういうのはサプライズの方がいいもん♡それに有象無象に優しくする義理はないしぃ♡」
私たち以外全員扉から出る。
扉が勢いよく閉じて凍った。
「ソウコさん、なんか悪い感じになったね」
「過大評価すぎだよ、私って元来こんな感じの人格破綻したワガママだしぃ。レイナちゃんやアンドリューに関わったのも有象無象じゃないからだもん」
ソウコちゃんは床から手を離して立ち上がった。
ソウコちゃんはユナイツカードを構える。
「勝てば元通りになるかもね♡私としてはあまり変わってないけど元に戻った方が嬉しいんでしょ?」
「当たり前じゃない。友達を闇に操られたままにしておけないよ」
「あは♡思い込みがハゲしいね♡」
ユナイツカードを構えるソウコちゃんに対して私はヘブンズのユナイツカードを構えた。
ヘルズ……こんなユナイツカード見たことがない。
「サムライズじゃないだと」
「闇の力の快感に溺れさせてアゲル♡決闘」
「悪いけど私は泳ぎが上手いから中々溺れない」
どうやってユナイツカードが変えているかわからないけど、あれがすべての原因かも。
私の2ターン目はアイギスを武装して終了、ソウコちゃんの2ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト2でオルトロスを召喚。ターンエンド」
「おぞましいカードだ。こいつが出た瞬間闇が沸騰した水みたいに泡立ってやがる」
「なのに肌寒さを感じるって不気味だね」
2 モンスター オルトロス 属性:イビル
効果:モンスターの召喚コストを1減らす
攻撃力:0 防御力:2 ライフ:2
私は3ターン目に聖殿を発動してターンを終え、ソウコちゃんの3ターン目。
「ドロー。チャージ。コストを1減らしてコスト2でスカルファントムを召喚。スカルファントムの出現を発動してコスト2でスクリーム召ぅ喚♡スクリームでプレイヤーに攻撃」
「う、全身が引き裂かれそうな痛みがする」
「貫通だからぁアイギスなんてざこ♡は意味がないの♡ターンエンド」
レイナ:生命力10→7
私の4ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト1で翼の使徒召喚。併せて2枚ドローして、コスト3でプリンシパリティズ召喚。プリンシパリティズでプレイヤーに攻撃してターンエンド」
「なかなかやるね♡ちょっとは抵抗してくれないとつまらないから、無駄な抵抗頑張って♡」
ソウコ:生命力10→9
ソウコちゃんの4ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト4で
「でっかいモニュメントだな。でもこの空間には合わないし趣味が悪い」
「私は結構気に入ってるんだけど♡」
私の5ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト5でプロメテウス・プログラムを召喚して、プリンシパリティズでプレイヤーに攻撃」
「いいねえ。結構効く。でも打点分足なのが欠点よね」
「徐々にでも追い詰めていけばいいんだ」
ソウコちゃんには勝ったことしかないけど、なんだかんだ強い人というのは分かっているもん。この程度ノーダメージと同じ
ソウコちゃんの5ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト1で魅魔召喚。破壊して1枚ドロー。コスト5でプロメテウス・プログラム召喚♡」
2 モンスター 魅魔 属性:イビル
効果:出現:一枚ドローする
説明:ヘルズの力を注がれたクノイチ
攻撃力:1 防御力:2 ライフ:1
「そしてスクリームでプレイヤーに攻撃。ターンエンド♡」
レイナ:生命力7→4
私の6ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト2でハイロゥストライク発動。そしてコスト5でカリス発動。ターンエンド」
「なるほどねえ♡様子見ってわけだ♡で〜もそんなに遅くて私に勝てるわけないもんね〜♡ざ〜こ♡」
スクリームがいるから余裕そうだね。
ソウコちゃんの6ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト6でサキュバスマスター召喚♡」
あのモンスターはマスターニンジャ……ソウコちゃんの切り札だ。
7 モンスター サキュバスマスター 属性:イビル・ガイスト
効果:1ターンに1度コストを2払って発動する。このカードの攻撃回数を1回増やす
貫通
攻撃力:5 防御力:1 ライフ:4
マスターニンジャは地面から出た闇に包まれた。闇が消えると頭にヤギの角を生やし黒くてピッチリした格好をした美人さんがいた。
「悪堕ちTSってヤツだよね♥ゾクゾクするよ♥」
『溢れる闇があ~しに力を与える』
「モンスターが喋った!」
「そんなことはどうでもいいでしょ、サキュバスマスターでプレイヤーに攻撃」
サキュバスマスターは鞭を振るう。
サキュバスマスターの鞭は空中で弾かれて、プリンシパリティズが消滅した。
「ハイロゥのリアクションとプリンシパリティズのモンスターガード発動」
「なるほど、ハイロゥストライクが無ければ終わってたってこと♡上手くやったね♡」
「聖殿の効果で1枚ドロー……来た。勝たせてもらうから」
私が引いたのはセラフ、これで一気に追い詰めることが出来る。
スクリームの声があたりに響く。
「ハイロゥが消えた。これで防御も出来なくなって次のターンに負ける♡ちょっとは抵抗してくれないとつまらないから頑張ってね~♡」
「もう勝った気でいやがるよ」
「この状況から逆転できるプランある?」
サキュバスマスターは元にマスターニンジャが一枚しか入ってないのは知っているからおそらく1枚しか入れていないハズ。つまりそれさえなんとかすれば逆転の目はある。
私の7ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト5でワルキューレの誘い。サキュバスマスターは墓地に送られる」
『あ~しまさかの出オチ系~』
「コスト3で伝説の剣召喚、聖殿の効果で1枚ドロー」
光り輝く剣が現れた。
4 モンスター 伝説の剣 属性:レジェンド
効果:戦闘で相手モンスターを破壊したとき1枚ドローする
攻撃力:4 防御力:2 ライフ:3
「伝説の剣でスクリームに攻撃して破壊。ターンエンド」
「いいねえ。結構効っくううう♡こういうせめぎあいの果てに勝たなければ意味がなぁいの♡」
「ごめんね。私が勝っちゃうから望み通りにはならない」
ソウコちゃんは舌打ちした。
ソウコちゃんの7ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト2で串刺しデビルを出して、デッキの上から2枚を墓地送り2枚ドロー♡コスト5で幽鬼武者召喚♡」
青い火が周りに漂っている鬼武者が現れた。
6 モンスター 幽鬼武者 属性:ガイスト
効果:オールアタック、蹂躙、アーマードレイン
攻撃力:6 防御力:0 ライフ:6
「串刺しデビルと幽鬼武者でプレイヤーに攻撃♡死んじゃえざ~こ♡」
「リアクション。ハイロゥ」
「残念。防がれちゃった。串刺しデビル召喚しなきゃ良かったね。
聖殿の効果でセラフを手札に加えた。これで私の勝ち。
私の8ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト7でセラフを召喚してセラフでプレイヤーに攻撃。フレイミングゴッドサーバント。残り生命力は3」
ソウコ:生命力9→3
水のように漂っていた闇が消えていた。
「これで止め。ハイロゥでプレイヤーに攻撃」
「アクションストライク。時の悪魔」
空中に穴が開いて、穴から1つ目3口の悪魔が出て来る。
7 モンスター 時の悪魔 属性:イビル
効果:アクションストライク。
出現:自分の生命力が5以下ならターンを終了する
説明:人間を歪んだ時空に引きずり込む悪魔。
攻撃力:1 防御力:2 ライフ:6
ソウコちゃんの8ターン目だ。
「マッハ……ドロー。チャージ。これでコスト11のカードまでは好きに使えるというわけ♡
「そんな1枚しかないはずじゃ」
「都合上マスターニンジャは1枚しか持っていなかったけど、サキュバスマスターはマスターニンジャ1枚から2枚作れるもん♡流石カードの神と同格なだけはあるよね♡サキュバスマスターでハイロゥに攻撃ぃ♡」
サキュバスマスターがハイロゥを破壊した。
幽鬼武者が伝説の剣と私の体を切り裂いた。
「これにて終わり♡ざ〜こ♡ちょっとイメチェンした私程度に負けるなんてよわよわだね」
「イメチェンってこんなバケモンみたいなことしておいて、タダのイメチェンで済むか。心配で決闘にならねえのは当たり前だろ」
「へぇ♡18歳にならない内に私のことブッ殺すのに、心配になるんだ♡心配になるわけないよね」
「何言ってるの。ソウコさんには色々お世話になっていますから、傷つけたりしません」
ソウコちゃんから闇が消える。そして辺りの闇が消え去った。
良かった元に戻ったわけだ。
「そう言えば欠けているものが一つあるって言ってたでしょ♡あげるね♡」
「なにをするんだ」
地面から闇があふれ出して肩まで浸かる。フレイミングゴッドサーバントで全部消したはずなのに……
会場全体に光り輝く蔦が纏わりつく。
「イルミネーションってやつ。これで完璧になったでしょ」
「凄い。120%引き出されてる」
「そうそう。これで未練はなくなったでしょ」
未練?
闇が一つのところに集まって槍になった。
「これだけ膨大な闇の力を浴びればさすがのへブンズでもヘルズになるよねってこ」
「まずい」
闇の槍が投げられる。
アンドリューのタックルを受けて私は弾き飛ばされた。
「話は最後まで聞かなきゃダメダメェ。これだけ膨大な闇の力を浴びればさすがのへブンズでもヘルズになるよねってことは噓だけど、この話を聞けばアンドリューは友人をかばって闇の力を受けちゃうよねって言おうとしたの♡早とちりは命取りってわけ♡」
「うぐぅ」
「なんでこんなことを……」
「私のヘルズの力が足りないからかな。それに闇を無駄に使うよりもこうして幼なじみからヘルズの素晴らしさを説得してもらった方が効率良さそうだしぃ。これは私からのプレゼントってことでよろしく〜♡」
「何変なことを」
何もかも異質すぎる。
アンドリューが苦しんでいる。
「こんなことなら照れずに1度くらいちゃんと名前を呼んであげれば良かったね。じゃあ私は帰るから3人分のルノスチ教国のツアーチケットあげる♡待ってるよ」
「リベンジするから」
「楽しみにしてるからね」
ソウコちゃんが消える。
アンドリューを救護室に連れて、事情を説明すると演劇会は中止ということになった。
「守りきれるぐらい強くならないと。うおおお頑張るぞおおお」
私は3人分のルノスチ教国行きのチケットを握りしめた。