カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい 作:黒点大くん
私はかつてないほどくつろいでいた。
「ヘルズの力はとても素晴らしいね」
「そうでしょうそうでしょう。それが我らの神の力ですから」
「因みに昨日知り合いにこの力をあげたんだよね。あげたときは苦しんでいたけど、今時闇の快感に悶えていると思うよ♡」
「素晴らしいことです。あとは敬虔であれば言うことなしです」
私もこの力を得てから今まであった鎖や枷が朽ちたような感じがしているんだよね。
私は快適な神殿の中から開発を見つめている。
「殆ど終わりかけているとはいえこのクソ暑い中仕事だなんてオトーサマもご苦労様ってことだね♡あっそうだ。聖女サマにコレあげる」
「雑巾掛けする箒……効果:なしの使い魔モンスターですね」
「聖女サマのデッキがより強くなると私も嬉しいから。これでハイドキャットみたいなデメリットつきモンスターを入れなくても良くなるね♡」
「ハイドキャットは攻撃出来ませんからね」
雑巾掛けする箒なんて……あまりレアじゃないから私は36枚持ってるよ。
聖女サマとアレコレデッキの談義をしていると法皇サマがやってきた。
「法皇っちどうした? まさか神様系のヤツ?」
「コラッ馴れ馴れしいですよ」
「教皇っちは優しいからこのくらいの無礼、赦してくれそうだよね〜♡」
怒らせてノリで決闘させるのが目的なんだけどね。
教皇っちは溜息をついた。
「いいんだ。馴れ馴れしいのはいい。問題はシジューク神様がその娘に興味を抱いていることだ」
「私ったらモッテモテすぎるぅ〜♡やっぱ世の中幼児性愛者が多いのかな~。こんな世の中じゃダメだねぇ」
「ああ。子どもを狙うのは悪だ。そんなことよりシジューク神様のところに案内してやる」
教皇っちの案内に従うと暗くてジメジメとしたところにたどり着いた。ちゃぁんと道は覚えた。
暗いところで真っ黒い格好をした男の人がキノコを食べている。
「毒々しい色のキノコ食べてるぅ~。頭悪そ~」
「このお方がシジューク神様だ。シジューク神様は暗くて湿度の高い所を好んでおられるのだ。数年単位で引きこもっておられるので実在を疑う国民もいる。私としては積極的に外に出て欲しいものだがな」
「解説ありがとうね。あと地下をもっと探索したいから外には出ない」
「声もじめじめしてて暗〜い。キノコの擬人化だね」
この人が七の邪神か。案外大したことなさそ〜。だけど油断は大敵だよね。
私はデッキを構えた。
「何しているんだい?」
「ザコそうだから倒せるんじゃないかなぁって思ったんだよね。力を奪えば私が神ってことでよろしく♡」
「無礼だぞ! 恩人の娘とはいえ我慢できぬ。たたっ斬ってやるから」
言い過ぎちゃったかな。ただ単に決闘したかっただけなんだけど。
七の邪神は腕で教皇っちを止める。
「そういうのいらないから。こっちは別に構わないけどたいていの人はそういうの気にするからやめておいた方がいいよ」
「そうだぞ。やらないようにな!」
「分かった~。色々苦労してるんだね♡中間管理職の悲哀を感じるのだわ」
教皇って普通トップなのに神様がいるからこんなことになる。
七の邪神は私の匂いを嗅ぐ。
「ヒィーッ気色悪い。普通にセクハラだから切腹してほしすぎる~」
「シジューク神様に愛されているのにそんな態度とるなんて贅沢ですね。なんなら私が変わりたい気分ですけどね」
「そうなんだ~今後の参考にするね~♡アホが。フォローがへたくそすぎる、聖女名乗るのやめちまえ」
邪神は死なないからよく考えればかなり譲歩しているのにそんな態度とほざくなんて。
七の邪神は私をじっと見る。
「幼児性愛者な感じ? だったら永遠に地中に埋まってて欲しいんだけど」
「キミはたった一人の邪神を除いて、すべての邪神に遭遇しているね。そして何度も撃退している」
「雑魚だったからね♡で、それがなんなのさ。要件は早めに言わないとウザいよ。ただでさえ印象悪いんだからさぁ」
「そうか、話がそれ過ぎたね。教皇以外と話すのは2年ぶりだから分からなかった」
七の邪神は私にカードを投げ渡した。
なんだ、何も描かれていないじゃない。
「それは闇の力に反応して絵が現れて心に応じて能力が決まるというモノ。まあカードは本来そういうものだから君たちが使っているモノは殆どニセモノなんだけどね」
「おっと衝撃の事実~。まあ実用性は変わらないんだから似非もホンモノも関係な~い」
「まあそんなことはどうでもいいんだ。君が多種多様な邪神と関わっているのが大事なんだ。そんな人間は希少だからね。どんな感じになるか未知で楽しみということ」
それに私は異世界の知識があるからね。実用性とかありそうなカードが生まれそう。
カードを懐にしまった。
「そういうことなら貰っておくよ」
「ああそうだ。教皇、この子の相手をしておいてね。キミ強いからあの子にとっては良い条件になるでしょ」
「シジューク神様の天啓とあらば……」
「めっちゃ嬉しそうな顔してるじゃん。そんなに私のことを倒したかったの? まぁ私もそっちの方が嬉しいんだけどね」
教皇っちと私はユナイツカードを構えました。
教皇っちのユナイツカードはフォレスターか。
「聖女も教皇も神の加護を受けてないのが一目でわかるのって宗教国家としてはすっごいトリッキーだね♡」
「嫌味なことを抜かすな。いちいち煽らないと気が済まないのか」
「キレてる~♡まあ聖女サマとシジューク神が私に無礼なことしたから、連帯責任ってことでよろしく~♡」
無意味に人を煽るのって楽しいね。
そして教皇っちの後攻4ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト2でスパークルフェアリー召喚。コスト2でエルフのベッド発動。ターンエンド」
「スタントリック中心のデッキかぁ。いいねえ。私そういうのだぁいすき」
スパークルフェアリーはスタントリックをメインとして扱うならぜひ入れたい一枚。
2 モンスター スパークルフェアリー 属性:フェアリー
効果:スタントリックを持つモンスターを召喚した場合1枚ドローする
説明:火花を纏った妖精
攻撃力:0 防御力:2 ライフ:2
私の5ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト3でスカルファントム、コスト2で魅魔召喚。
「そんなことで終わってたまるか」
「そうじゃないと困る。肩書に対して実力がショボいとか私の一番嫌なタイプだもん」
強い奴を決闘でぶちのめしたいという気持ちは人一倍強いと思う。
教皇っちの5ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト5でタイマンベアー召喚。スパークルフェアリーの効果で1枚ドローして、エルフのベッドでタイマンベアーを攻撃済み状態にする。ターンエンド」
「攻撃の回数そのものは変わっていないんだし、タイマンベアーなんて入れる必要ないのでは?」
タイマンベアーなんて
5 モンスター タイマンベアー 属性:ビースト
効果:スタントリック:次のターン攻撃済み状態になった時一度だけこのカードを攻撃可能状態にする。
説明:一対一にこだわる怠慢なクマ
攻撃力:3 防御力:2 ライフ:5
私の6ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト5でプロメテウス・プログラム召喚。コスト3でデスマスクの悪霊発動」
黒いオーラを纏い浮遊するデスマスクが現れた。
3 魔法 デスマスクの悪霊 属性:ガイスト
効果:設置
モンスターが破壊された時破壊されたモンスターのコスト以下の相手のカードを一枚破壊してもよい。
このカードと同じ名前のこの効果は1ターンに1度しか使えない。
説明:デスマスクに取り憑いた怨念を食らう悪霊
「
「戦術の要が……」
「相手の行動を的確かつ徹底的に邪魔すれば勝利に近づくんだよね」
デスマスクから出た瘴気がエルフのベッドを破壊した。
教皇っちの6ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト4で祈りの妖精発動。コスト2でエルフのベッド発動。エルフのベッドの効果をタイマンベアーに使用して、プレイヤーに攻撃」
「むむむそう来たか。無駄な足掻きすぎる〜よねっ♡ま、私の生命力は残り7、頑張ればあと3ターンで勝てるね」
「ターンエンド」
無視するなんてひどいね。まあ無視するほど集中しているならそれでいいや。
私の7ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト6で幽鬼武者召喚。更にコスト4で悪魔銀行の頭取召喚」
『魂を融資しろ』
「幽鬼武者……ワイドレイム兄が似たようなカードを使っていた気がする」
「ヘルズ仕様の鬼武者なんだよね~」
スーツを着た悪魔が干からびた悪魔で出来た椅子に座って踏ん反り返っている。
4 モンスター 悪魔銀行の頭取 属性:イビル
効果:自分のモンスターを破壊してデッキからコスト3以下のモンスターを召喚する
説明:強引な手段で契約を結び魂を喰らう悪魔銀行の頭取
攻撃力:0 防御力:4 ライフ:5
「幽鬼武者でスパークルフェアリーを攻撃して破壊」
「くっ」
「悪魔銀行の頭取の効果。自らを破壊してスクリーム召喚。そしてスクリームでタイマンベアーに攻撃。
「むぐぅ。ターンエンド」
「肩書だけで案外大したことがないのね♡まぁここから逆転してくれると嬉しいなぁ。ターンエンド」
教皇:生命力10→4
教皇っちの7ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト4で祈りの妖精発動。そしてコスト2でスパークルフェアリーを召喚してターンエンド」
「もしかして手札事故ってヤツ?」
「悪くはないが一応手札を確保しただけだ」
「ふぅ〜んそうなんだ♡手札が悪くなかったらドローソースでコストを無駄使いしないと思うんだけどね」
現状の手札でなんとか出来てこのターン中に止めを刺したいなら、ドローソースにコストを裂きたくないのね。
私の8ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト7でサキュバスマスター召喚。そしてコスト2でサキュバスマスターの効果発動」
『忍法あ〜し200%の術!』
「幽鬼武者でスパークルフェアリーを攻撃して破壊。サキュバスマスターでプレイヤーに2回攻撃」
教皇:生命力4→0
決闘が終わる。
「カミサマお墨付きの強さなのに案外大したことがなくてビックリ♡グラモグラとか魔獣みたいな汎用札入れたり、手札があるのに無駄にドローソース使ったりするの止めるとか、あげればキリがないくらいの改善点が見えたね。あっ入れてたらごめんね♡」
「偶然勝ったのかもしれないのにとことんイキり倒してますね」
「単純にデッキとして相性が悪いから、適切なプレイングをして10回やって1回勝てるぐらいかな♡プレイングが適切じゃないから低い勝率を低くしてるんだよね♡」
スタントリックにしろなんにしろ速攻でプレイヤーを殴れば勝ちだし、わざわざモンスターを全滅させてから殴るなんて余裕がなければやらないしで、分かる人から見れば舐めプなんだなぁ。舐めプをしても勝てるということはそういうことであって。
教皇っちのデッキを見させてもらう。
「フェイタルビーストの採用理由は?」
「もしもの時の役に立つかと思って……」
「ハイいらない。サブのフェイタルビーストは弱いから抜いて余った枠に別の入れるとかしなよ」
教皇っちのデッキの改善案を話し合いで出してメモに纏める。どうやら教皇っちの資産は少ないのでなるべく安く済むようにしないとね。
取り敢えず余っているカードを教皇っちのデッキにぶち込む。
「大幅に強くなっている。手札にスパークルフェアリーとタイマンベアーが来やすくなっているぞ」
「口は悪いけどなんだかんだ優しいところありますね」
「このくらいで恩に切らないでね。親の脛齧りが偶然生きただけなんだから。あと弱い者いじめは趣味じゃないの」
それに個人的には強いデッキをぶちのめしたい。
あっいいこと思いついちゃった。
「いいこと思いついちゃったからお父様に話してみよっと」
「とことんマイペースですね。客人じゃなかったら手を上げていましたよ」
「良いことは急いでやらないとね。それにこの国にとっても悪い話じゃないもん。まあ楽しみにしておいてね」
私は地上に戻って見た目と服装を戻してからお父様のところに向かう。