カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい   作:黒点大くん

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 私たちは先生に呼ばれました。この状況は覚えがありますね。

「お呼びですか。プロフェッサーウィドー・マリッジ」

「実は君たちにやってもらいたいことがあってね」

「他の人に任せればいいですよね。なぜ私たちでなくてはダメなのでしょうか」

「君たちが邪神言語に精通していて決闘の腕も一流の領域だからね。教師失格な発言なんだけど、今の二年以降はハッキリ言ってカードの腕も邪神言語への理解度もポンコツ未満といったところ」

「カードはともかくわざわざ邪神言語の学習をする人なんていませんからね」

 このやり取り……誠に遺憾ながらあのイベントですね。あのイベントで何度ゲームオーバーになったことか。

 

 このイベントは令和のファッ〇ン6として『プライムディスティニー』のプレイヤーからもそれ以外からも有名なイベント……正式名称 朽ちた茨の冠のフラグ的なイベントなんですね。平成のファッキ〇6と違いクリアするのにやる必要はありませんが、理不尽さや難易度は同じであったため結果多くの乙女ゲーマーを不意打ちして激怒させたイベントなのです。

 

『プライムディスティニー』は何度かやりこんでいますが、朽ちた茨の冠は安定してクリアしたことがないんですよね。

「どのようなことをすればよいのでしょうか。マズいと言わんばかりに事情を知っていそうなソウコ嬢と違い私は事情を知らないのです」

「説明した覚えはないのだけど……どこかで情報が漏れたかな。まぁそんなことよりも説明をしよう。伝説の決闘者イーシラムのデッキのありかが記された地図に記されたところに行くだけでいいのさ」

 プロフェッサーウィドー・マリッジは紙束の山の中から古びた地図を出しました。

 

 この地図は邪神言語で書かれていますね。

「なにが行くだけですか。絵の通りなら目的地がこの国のどこかにあることしか理解していないんですよね」

「……話が早くて助かるよ。ではまずこの地図を解読しなければならない。だがしかしこの文にはなんらかの暗号があって絵と文が矛盾するんだ」

「少し貰いますよ」

 地図を貰ってラウィラニさんに渡しました。

 

 ラウィラニさんに耳打ちします。

「実はそれ文字が汚いだけなんですよ。しかし汚さのレベルが違うのでレベルの高い暗号になったわけなんですね」

「そんなバカみたいなことが」

「まあ聞くだけ聞いて間違いだと思ったら何でもしていいですよ。場所はですねえ……」

 ゲームだとフラグがなければ地図の文字が汚い事が分からないんですよね。

 

 ラウィラニさんに説明しますと、ラウィラニさんの顔が青くなりました。

「何でも出来なくなったのが残念に思いますよ」

「やはり貴女はそうでないとしっくりしませんね」

 ラウィラニさんに噓の情報を教えて私が一芝居することとなりました。

 

 これで恐らく円満解決出来ると思います。

「自分で何とかしてくださいよ。先生は天才プロフェッサー様じゃないですか。それに金蔓を危険な目に遭わせるなんてどういった神経をしているんですか」

「……私も辞退します。先生の立場も考えて今日会ったことは互いに秘密にしましょう。私たち部屋に戻りますよ」

 教室から去りました。

 

 私はこっそりラウィラニさんと分かれて地図の場所に向かう準備をします。

「最初から知っているので解読する必要もないんですよね」

 ゲーム知識が生きたということです。やはり前世の知識って神ですね。

 

 学園からリニア新幹線で往復半日のところが目的地なんですよね。

「このゲーム中世ヨーロッパモデルの世界設定なのに所々現代科学を超越してる所があるんですよね。呪いが存在していてカードのイラストやフレーバーテキストを参考資料に出来るので、比較的やりやすいんでしょうね」

 暇なのでデッキの調整をしましょうか。

 

 地方の町なので事前に雰囲気に浮かないような服装をしておきました。

「交通機関もそれなりに発達しているから行きやすいですね」

「失礼ですが忌憚のない言い方をすれば寂れていますね。乗り換えだのなんだの面倒ですから仕方ありませんが……」

「ですねぇ」

 こんなに面倒くさいとは思っていませんでしたね。

 

 声がしたので振り返るとラウィラニさんがいました。

「なぜここにいるのですか?」

「ソウコ嬢がカード関連のことで断るなどありえないこれは何かを隠していると思い、気になってストーキングを行った次第です」

「これは本当に危険なので帰ってください」

 茨の冠だけは本当に安全が保障できないんです。

 

 ラウィラニさんは呆れたように息を吐きました。

「噓をついてまで危険なスリルを独占しようとする……そんな素直な強欲さは尊敬に値しますよ」

「確かにスリルは欲していますが今回のはそんなではないんです。真面目に命が危険なのですよ。命が惜しかったら帰ってください」

「イーシラムは568年前にすべての痕跡が消えた伝説の決闘者、そんな人間の痕跡が気にならないわけがない」

 ラウィラニさんが肩に手を回してきたのではたきおとします。

 

 ラウィラニさんと共にイーシラムのデッキのあるところに向かいました。

「巻き込まないはずでは?」

「あなた巻き込まれるまで付きまとうと推測しました。よく考えてみれば貴女に襲われても勝てばいいだけですから」

「言いますねえ」

 とは言いつつも私のデッキタイプはビートダウンでラウィラニさんのデッキはビートダウンメタ。普通にきついんですよね。

 

 イーシラムのデッキがあると地図に記されているところ場所に地図を置かせました。

「地図自体が鍵となっているんですよね。それもこれもなんか流れで借りパクしてたラウィラニ様のお陰です」

「嫌味な言い方しないでください」

「そんなことよりもアレ見てください。本物ですよ」

 空間に亀裂が入ってドアの形になりました。

 

 ドアをくぐるとそこは地平線の向こう側にまた地平線が見えるようなだだっ広い空間でした。

「こんなに広いのでは持て余しますよ」

「そうですね」

 左上後ろから振り下ろされる殺意(ナイフ)を右腕で防いで左腕で肘内します。

 

 刺さったままのナイフを持って半回転しバックステップ。そのままナイフをラウィラニさんに投げました。

「完全に虚を突いたと思ったのに……」

「貴女にとって私は正体を知る不気味な存在でなるべく消したい存在ですが、とにかく人任せで触らせてくれない。その上で神と同格の力を従えている。あと鼻持ちならない金持ちで将来もバラ色。敬虔な貴女なら嫉妬や怒りでこうしたくなっても妥当ですね」

「どうやったらそんな醜悪な性格に育つんだろう」

『プライムディスティニー』では何の罪もないどころか恩のある主人公さえ抹殺しますからね。

 

 今まで無事だったのは人目があったからでしょうし、なかなか手の込んだところがありますよこの人。

「ここで死んでもプロフェッサーのしわざもしくはイーシラムの祟りとなりますからね。凄く上手いことやったものです。しかし私と協力してイーシラムのデッキを何とかした方が良かったのでは?」

「わずかな希望に賭けて嫌いな人間と仲良しこよしするよりもここで安全に貴女を始末する方が確実だからね」

 互いにユナイツカードを構えました。

 

 そしてラウィラニさんの3ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト3でオートビルダーキャノン武装。ターンエンド」

「強制攻撃させる魔法ももう場にありますが、怖いのは次のターンエンド以降ですね」

 私の場にはワンジャ、手札にはムラマサ、私のほうが微有利ですね。

 

 私の3ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト3で般若の舞姫を召喚します。今補充しましたコスト1でクノイチ召喚です。そしてクノイチと般若の舞姫でプレイヤーに攻撃です」

「むぐっ……」

「ターンエンドです」

 ラウィラニ:生命力10→7

 

 ラウィラニさんの4ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト4でアタッチメント:ナイトメアオベイとリーンマジカを発動する。ターンエンド」

 

 2 魔法 アタッチメント:ナイトメアオベイ 属性:メカニカル

   効果:オートビルダーキャノンの下に送る

      このカードが下にあるオートビルダーキャノンは以下の効果を得る

      ・相手ターンに一度このカードの下のカード一枚につきデッキの上から1枚をめくって、めくった中からトラップカードを2枚まで手札に加えてもよい

 

 私の4ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト4で忍法サオトキキの術を発動します」

「それに対してナイトメアオベイの付与効果でダストトラップを手札に加える」

「般若の舞姫でプレイヤーに攻撃します」

「コスト2-2でリアクション。ダストトラップ。マイントラップを捨てることによって2枚ドロー」

「手札補充だけして無抵抗なんですね。クノイチで攻撃してターンエンドです」

 ラウィラニ:生命力7→4

 

 ラウィラニさんの5ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト2ハイパーインターフェイス発動。コスト2でデッキからドリルエナジータンク発動。マイントラップを手札に加えてターンエンド」

「使えるコストは6ですか」

 ここまでガツガツ攻めていけましたが、これからはもう無理ですね。

 

 私の5ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト7で忍法回天の術を発動します。般若の舞姫でプレイヤーに攻撃です」

「コスト4でリアクション。トラップホールを発動し、クノイチと般若の舞姫を破壊。ついでにナイトメアオベイの付与効果でデッキの上から4枚をめくってスパイダートラップを手札に加える」

「ターンエンドです」

 

 6 魔法 マイントラップ 属性:メカニカル

   効果:場のモンスターはコストが6になるようにランダムに破壊される

 

 ラウィラニさんの6ターン目です。

「ドロー。チャージ。ドリルエナジータンクでマイントラップ回収。コスト4でヨティス・プログラム召喚。コスト2でデッキからフェイクグラフィッカー発動。ターンエンド。これだけ動いてもまだコスト6使えてしまうのが恐ろしい」

 フェイクグラフィッカーで耐性もついていますし、時間が経てばたつほどきつくなりますね。

 

 私の6ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト4でイジャロコロガシ召喚。更にコスト2でハナビキャノン。ワンジャとイジャロコロガシと誘導超音波マシーンを破壊します。ターンエンド」

「諦めたのならそれでいいんだけどね。ターンエンド時ナイトメアオベイの付与効果でデッキの上から5枚をめくってリバーストラップとスパイダートラップを手札に加える」

 なんとでも言ってくださいまし。私の勝利は揺らぎませんから。

 

 ラウィラニさんの7ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト2でデッキからジェットナイフ発動。コスト6でマイ・フェイバリットカード、リバーストラップを召喚して効果発動。君の墓地のマスターニンジャ復活。そしてターンエンド」

「よく手札コストで捨てたマスターニンジャを見切りましたね。それにたとえ気が付いていてもワンジャやクノイチなどもいますのに」

「相手のサーチや切り札を無効化したいのは当然のことと言えるよね」

「ロジカルですね」

 次のターンに復活させて煙玉サーチすればトドメいけましたのに。

 

 私の7ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト3で二口女を召喚してターンエンドです。貴女のデッキは事前に把握しているのでメタを組んでいたんですよね。だって貴女なんとなく信用できませんから。まさかデッキ組み立てている所を拝見しておりませんでしたか?」

「少し目を離しただけなのにその言い方……」

 

 3 モンスター 二口女 属性:アヤカシ

   効果:出現:自分の場のモンスターを2体破壊して1枚ドローする

   攻撃力:3 防御力:0 ライフ:2

 

 ラウィラニさんはリバーストラップの効果でマスターニンジャを蘇生し、スパイダートラップで1ダメージ与えてきてターンを終えました。私の8ターン目です。

「マッハドロー、コスト6で百花繚乱を発動します。サーチしてそのままマスターニンジャでプレイヤーに攻撃します」

 

 6 魔法 百花繚乱 属性:ニンジャ

   効果:以下の効果から1つ選ぶ

      3枚ドローする

      デッキから好きなカードを1枚手札に加えて1枚ドロー

 

「コスト1でスパイダートラップ「コスト2で忍法具 煙玉発動です。マスターニンジャを選びます」なにっトップ解決」

 ラウィラニ:生命力5→0

 

 モンスターが消えました。

「危なかったですね。トップ解決出来ていなかったら負けていました。とは言いつつもサーチやドローソースを多くしてトップ解決し易いようにしているんですけどね。もう少し私の運が悪ければ負けていたと思いますよ」

 ラウィラニさんは負けたから生を諦めると言いたげな顔をしたので、私はそれを無視して進みます。

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