カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい 作:黒点大くん
奥に進むとデッキがありました。
「爆発したり足の裏に槍がささったりしましたが私は元気です」
「ナイフ一本でストーキングしなければよかったね。あれだけされても無傷だなんて、並の人間なら心が折れている」
「そういうことです。ここで処理したかったのに出来なくて残念ですね」
凄く過酷な道のりでしたが、本題じゃないので語ることはないでしょう。
伝説のデッキに触ろうとしましたら、左手をレーザーで少し焼かれます。
「あっっっつ!!!死ぬかと思いましたわ。これだけ熱いトラップがあれば効果覿面ですね。盗人もいないでしょう」
「ある程度近づくと熱線に焼かれるということだな」
ラウィラニさんの後ろからの蹴り飛ばしに少し驚かされましたが、難なく耐えました。
ラウィラニさんの顎に右アッパーを食らわせたあとラウィラニさんを抑えてひたすら腹にパンチを当て続けます。
「それはっ洒落にっなりませんよっ危ないじゃっないですかっ!」
「洒落にするつもりもないもんね」
「でしたらここで貴女をしゃれこうべにして差し上げましょうかねえええ」
全くもう冗談じゃないですよ。
デッキが置いてある石の台の向こう側に褐色肌でアラビアンな格好の黒髪ポニーテール幼女が現れました。
「これはイーシラムさまの右腕『茨の冠』が長 ヤオ。盗掘者はイーシラムさまの用意なされた試練の達成、つまるところ茨の冠を全て倒すことで、イーシラムさまのデッキをすべて得る」
「これ……って一人称にしては随分他人行儀な」
「この試練を達成したものは未だ存在せず。例によってこれに挑み谷底の大地が肥えるだけ」
ヤオはデッキを構えました。
ラウィラニさんに押し付けます。
「試練を達成した者だけがイーシラムのデッキを得ることが出来るのですよ。欲しくないんですか?」
「欲しいけどソウコ嬢みたいな度を越したワガママが人にものを譲るなんて絶対何かある」
「ヤオのデッキは勝負にならないくらい私のデッキに相性が良く、ラウィラニさんのデッキに相性が悪いというだけなので、大した理由で譲ったという訳でもないんです。勝負になってない決闘は個人的に面白くないので」
本当はヤオは相手していてあまり面白くないから押し付けただけなんですけどね。
そう思っているのを察知しているのかラウィラニさんは腑に落ちない顔です。
「そういうことか。納得は行ったけどどうにも上手く使わされている感じが」
「美味しいところを押し付けているので、上手く使わされているのは私の方です」
何もかも都合が良すぎて吞み込めないのかもしれませんね。
少し休憩が必要でしたので、観戦ついでに休んでいきますか。
「負けるにしても勝つにしてももう少し粘ってくださいね」
「そこの人間、上手くやったな」
互いに最善のプレイングを行っていることが分かりますね。
ヤオの3ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト2で疾く河瀑布を召喚してターンエンド。疾く流れる河の末路は大いなる瀑布ということ」
「面倒なのが来ましたね。果たしてラウィラニさんはこれをどう対処するのでしょうか」
2 モンスター 疾く河瀑布 属性:海竜
効果:互いにコストゾーンのカードの枚数以上のコストのカードを使用できない
コストゾーンのカードの枚数以上のコストのカードは全てデッキの一番下に戻る
攻撃力:0 防御力:2 生命力:2
何事もなくラウィラニさんの4ターン目です
「ドロー。チャージ。コスト3でオートビルダーキャノンを武装してターンエンド。ここまでくれば俄然有利なのはボクの方だね」
「テンポが崩れてますねぇ。どうですか今の気分は」
「相手のデッキは低コストカードを連発するボクのデッキとは相性が良くないということか。ソウコ嬢もたまには良いことをする」
「褒める割には面倒くさいこと押し付けやがってという語気ですね」
朽ちた茨の冠はヤオさえ抜ければ最後とそれの一つ前以外は安定して何とかなるので頑張ってくださいね。
ヤオの5ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト2でベビードルフィン召喚。コストを1減らしてコスト1でドリルサザエ召喚。コスト2で水瓶を発動してターンエンド」
「水瓶……普通なら刺さりまくって場合によっては凄く痛いかも」
2 魔法 水瓶 属性:魚
効果:設置。互いにデッキからドロー以外の方法でカードを手札に加える事ができない。
コストを払わず使用したカードは適用される代わりにデッキの一番下に送られる。
ラウィラニさんの5ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト2でハイパーインターフェイス発動。コスト2でリーンマジカを発動してターンエンド」
「手札に加えるんじゃなくて直接発動しているわけだから、水瓶の制約に引っかからないというわけだ。これのピンチ」
「ラウィラニさんのデッキはなぜかヤオに強気に出られるんですよね」
イーシラムは勉強家なら誰もが知るほどの極悪人。よく考えてみれば立場的には善なラウィラニ家なら、代々イーシラムやその部下のメタデッキを語り継いでいてもおかしくはないですね。
ヤオの6ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト3でヨティスのマトウダイ召喚。コスト3で魚鱗丸を召喚してターンエンド」
「ヤオの手札が2枚なので新たなアタッチメントを発動出来ないのが幸いですね。カードの下のカードは一番上のカードの一部として扱われるため、アタッチメントは
「たまにはいいこと言うじゃないか」
疾く河瀑布や水瓶は私のデッキでは結構キッツいですからね。個人的には勝ってもらわないと困るのです。
4 モンスター 魚鱗丸 属性:魚
効果:自分のターン中相手はこのカードのコントローラーの手札の枚数以下のコストのカードは使用出来ず、効果を無効化される
攻撃力:2 防御力:0 生命力:2
ラウィラニさんの6ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト4でヨティス・プログラムを使ってターンエンド。アタッチメントが使えないのが辛い」
ヤオの7ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト5でマーメイドカーニバル発動。コスト2でピラティア軍団召喚。ピラティア軍団でプレイヤーに攻撃してターンエンド」
ラウィラニ:生命力10→8
5 魔法 マーメイドカーニバル 属性:マーフォーク
効果:3枚ドローする
ラウィラニさんは何もできずヤオの8ターン目です。
「一方的だ。この程度でこれに勝とうと思っていたわけか。ドロー。ターンエンド」
ラウィラニさんの9ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト6でマイントラップ発動。魚鱗丸とベビードルフィンが破壊された……コスト2でジェットナイフを発動してターンエンド」
マイントラップですか。良いカードを引けましたね。
ヤオの9ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト5でマーメイドカーニバルを発動して、ピラティア軍団でプレイヤーに攻撃」
「コスト1でスパイダートラップ発動。ジェットナイフの効果により相手に1ダメージ」
「1ダメージ受けちゃったけど1枚引けたから良いか」
ここまで行けば半分勝ちですね。
ラウィラニさんの9ターン目です。
「ドロー。コスト4でデッキからフェイクグラフィッカー、手札からドリルエナジータンク発動。墓地のスパイダートラップをサルベージしてターンエンド。これによってキミは徐々にダメージを受けて負けるという末路を歩むこととなった」
「勝ってもいないうちから判断するなんて愚の骨頂」
フェイクグラフィッカーの効果で魚鱗丸の効果も受けないので本当に一方的に
ヤオの10ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト6でアクアリバイブ発動。墓地から自分の手札の枚数以下のコストのモンスターを一体場に出す。現れよ、魚鱗丸。そして魚鱗丸でプレイヤーに攻撃を行う」
「なにもないよ。コスト9以上のカードはデッキには入っていないからね」
「ターンエンド」
ラウィラニ:生命力8→6
6 魔法 アクアリバイブ 属性:マーフォーク
効果:墓地から自分の手札の枚数以下のコストのモンスターを一体場に出す
ラウィラニさんの10ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト4でウィークボム発動。ターンエンド」
4 魔法 ウィークボム 属性:メカニカル
効果:防御力と生命力の合計値が2以下のモンスターを全て破壊する
ヤオの11ターン目です。
「ドロー。ピラティア軍団が生き残っていて良かった」
「しかし無駄に手札があるだけでは何もできませんよね。疾く河瀑布も水瓶も最早己の首を締め続けているだけですから」
「コスト6でサメ喰いイワシの群れ召喚。サメ喰いイワシの群れでプレイヤーに攻撃。ターンエンド」
「彼女はもう終わりですね。出来れば頑張って倒してほしいところなんですけどね」
ラウィラニ:生命力6→2
ラウィラニさんの11ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト10で絶滅兵器発動。スパイダートラップをサルベージしてターンエンド」
「そんなカード入れていたなんてソウコちゃん驚きました。確かに除去性能は凄まじいですが、以降手札0枚で過ごさなければならないのは重すぎる代償なんですよね。それに自分もまきこんでしまうためあまり入れるプレイヤーがいないんです」
フェイクグラフィッカーで巻き込みを食らわず、ハイパーインターフェイスでサーチすればドロー出来ないことも関係ないのでデメリットはあまりありませんね。
10 魔法 絶滅兵器 属性:メカニカル
効果:自分の手札を全て戻して発動できる。場のカードをすべて破壊する
このカードを発動したプレイヤーは決闘中ドローできない
ヤオの12ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト7でギョランティスを召喚して攻撃」
「コスト1でスパイダートラップ発動」
「ターンエンド」
ギョランティスと水瓶で相手をロックするデッキなのでしょうが、デフォルトでドロー出来ないラウィラニさんにとっては関係ありませんね。
ヤオ:生命力9→8
7 モンスター ギョランティス 属性:海竜
効果:このカードが攻撃を行った次のターン相手は効果によってドロー出来ない
攻撃力:2 防御力:3 生命力:3
ラウィラニさんの12ターン目です。
「コスト2でアタッチメント:パワードクオリティ発動。墓地からスパイダートラップをサルベージして、コスト6で誘導超音波装置を設置する。ターンエンド」
2 魔法 アタッチメント:パワードクオリティ 属性:メカニカル
効果:オートビルダーキャノンの下に送る
このカードが下にあるオートビルダーキャノンは以下の効果を得る
・1ターンに1度コストを4支払って発動する。墓地のコスト2以下の魔法をコストを払って発動できる
そしてヤオの22ターン目。
「ドロー。チャージ。ピラティア軍団でプレイヤーに攻撃」
「コスト1でスパイダートラップ発動。これによりジェットナイフの効果で相手に1ダメージ。決闘終了」
「長く苦しい決闘でしたね。代わり映えもなく非常に退屈な決闘でした」
決闘は好きなんですけどね。これがトラップの勝ち方なんですけどね。勝利に貪欲なのは良いことなんですけど……
アンの髪型が茶髪ポニーテールになりました。
「我らシサトヒ 茨の冠の長は我らの中で最も追い込まれた時に弱いが、滅多に追い込まれない。久しぶりの部外者との決闘だ」
「二重人格ですか」
「ただのキャラデザの流用ですよ」
忠誠心が高すぎるあまり個性を捨てた結果見た目がほぼ同じになったという設定があるんですけどね。
数分後シサトヒは倒されました。
「次はこのカナだ」
「どりゃー」
「アイアムリスク」
「うわー」
相性の問題で一瞬に見えるくらい早く倒すことが出来ましたね。
しかし決闘に次ぐ決闘による精神と肉体への負荷で疲れが見えていますね。
「これらはショーシ 茨の冠で最も強き者。イーシラム様最大の防壁」
「なるほど、コレが最後か」
異常な闘気を感じます。この闘気を攻撃に全て込めれば人死にが出ますね。こんな量の闘気持つだけで命に関わりますわ。
これは負荷がなくとも常人には危険な領域ですの。
「貴様の闘気は捻り潰さぬようにするのに苦労してしまうほど脆い。そんな強さで立ち向かうこと自体これらに対する愚弄だな」
背後からラウィラニさんの首を締めて気絶させました。
ラウィラニさんをその辺に捨てます。
「すみませんね。いいとこ取りしたような感じになってしまいましたね。しかし命に関わるので放置するわけにもいかないのですよ」
「ようなというよりも実際そうだろう」
「体調不良により代理 ソウコ・メッセル入ります」
今ここに決闘が始まりました。