カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい 作:黒点大くん
色々あってこの国に舞い戻って来た。舞い戻って初日でトラブルに巻き込まれるなんてソウコお嬢様らしいや。
「アイツにヘルズの力を持つ子飼いの決闘者がいたなんて。不快なニンゲンのくせして何でも持っててムカつくなぁ」
「別にソウコお嬢様の子飼いってわけじゃない。俺はルノスチからこの国に戻っただけのただの留学生。他に二人もいるが俺だけ先にやって来たってわけ。久しぶりの里帰りだから息抜きしようと思っていたら不審者がいたから撃退しようということだな」
「無駄な正義感は己を傷つけることしか出来ないんだよね。大人しく隅にでも引っ込んでな」
俺がルノスチにスカウトされたのはソウコお嬢様の知り合いだからと言うのもあるだろうな。実際あの国では結構良い暮らしが出来ていた。
壁全体に闇の水を張って出入り口を封鎖する。これで俺が負けたとしても何事も起きないだろ。
「ヘルズの力を大量に持っているからルノスチの教皇に目を付けられて宗教学校へ入ることを勧められ、ルノスチの方針で留学したという訳だ」
「時間稼ぎご苦労。とっとと決闘をしろ」
「もうバレてしまったか。じゃあ大人しく決闘するか」
力がないとは言えさすが神様……気が付くのも一流だ。
体が動かない。
「なんちゃって、お前みたいな怪しい決闘者と誰が決闘するかよ」
「しまっておくんだったな」
右胸に剣がゆっくりと刺されていく。わざと苦しい目に合わせているのか。
闇の中から槍を出してアブゾーブの心臓に勢いよく突き刺す。その後剣を抜いて槍を消した後アブゾーブを袈裟切りっ。これで終わりだ。
「させない」
「危ない真似をするな」
美少女がアブゾーブを庇うように立つ。
いくら邪神の味方と言えどただの人間を切ることは出来ない。
「わかったよ。剣を捨ててやる」
「敵を切らないなんてお人好しすぎるね。そんなんじゃいずれ何もかも失うよ」
剣を闇の中に沈めて、闇に水流を作る。
右胸に闇の水を入れて傷口を塞いだ。
「ソウコお嬢様から聞いたんだけど、お前は決闘で倒した相手から全てを奪えるらしいな」
「そうだけど。だから無駄な努力なんて一度もしたことがない。でもそれがどうしたのさ」
「だから探り合いなんてせずに、俺を決闘で倒せばヘルズの力を得られるんじゃねえかなって思ったんだ。お前……これ欲しいだろ」
教皇様からアブゾーブは力を求める卑しい奴だと聞いたから、この揺さぶりが効くんじゃないかと胸を刺されてから気が付いた。もっと早く気が付けよと。
決闘が始まった。俺の後攻3ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト3で串刺しデビル召喚……しようと思ったけどやめるか。ターンエンド」
「攻撃しないんだ。まあ攻撃しても魔力吸収式バリアとスライジュエリーがあるからボクは無傷だけどね」
闘気を籠めたのにかすり傷一つつかない。やっぱ仮にも神様なんだよなぁ。
アブゾーブの4ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト4で預言者ヨティスを召喚し、スライジュエリーで攻撃してターンエンド」
「スライジュエリー……あまり大っぴらに攻めることはできないな」
スライジュエリーはコントロール奪取をしてくるからな。
俺の4ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト4で
「スライジュエリーみたいな雑魚モンスターしかいないのに攻撃を躊躇うなんて。そんな消極的じゃあ勝利を逃すぞ」
「ほざけ。その手には引っかからない」
効きもしない精神攻撃をするなんて何様のつもりなんだ。
アブゾーブの5ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト3で魔法の教科書を武装。スライジュエリーで攻撃してターンエンド」
魔法の雷で攻撃してくるパターンか。アブゾーブの主な勝ちパターンだな。
俺の5ターン目だ。
「ルノスチには邪神メタデッキが存在するんだ。なんてったってヘルズの邪神以外は認めない宗教国家だからな」
「そんなことは良くわかっているんだよ。ただお前が何を言いたいのか分からない。手短に頼む」
「だからお前の戦法に対していついかなる時も優勢でいられるってことだ。ドロー。チャージ。コスト5でダークシールド武装。ターンエンド」
「ダークシールドか。これは面倒なカードだなぁ」
闇で作られた盾を武装する。
5 武装 ダークシールド 属性:イビル
効果:自分と自分のモンスターは効果でダメージを受けない
攻撃力:0 防御力:0
アブゾーブの6ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト6でヨティスの魔導書発動。3枚ドロー。魔法の教科書でヨティスの魔導書を回収してスライジュエリーで攻撃。ターンエンド」
「手札補充しかせず雑魚モンスターに頼る……まるでお前の生き様そのものだな」
「なんだと」
アブゾーブのことなんか少しも知らないけど少しでも精神攻撃をしておく。動揺してミスするかもしれないからな。
6 魔法 ヨティスの魔導書 属性:魔導書
効果:3枚ドローする
俺の6ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト3で串刺しデビルを召喚して
「ちんたらしているね。攻撃力0のモンスターしか出さないなんて、そんなにスライジュエリーが怖いのか」
モンスターが主体な以上スライジュエリーが怖いに決まっている。
アブゾーブの7ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト5で魔法の雷発動。魔法の教科書で魔法の雷を回収し、スライジュエリーで攻撃してターンエンド」
「ダークシールドがあるから魔法の雷あっても意味がない。一体何を企んでいるんだ?」
普通に3ダメージを受けるよりも痛かったのが気になるな。
……そう言えばソウコお嬢様から魔法の雷を受けて気絶し、敗北したと聞いたことがある。気絶させようって魂胆か。
「俺の7ターン目。ドロー。チャージ。コスト7でオルカドライブ発動。
オルカドライブで墓地のレイドリンクも7枚になった。霊道札では1枚もレイドリンク落ちなかったが、運が向いてきたわけだ。
7 魔法 オルカドライブ 属性:ガイスト
効果:自分の手札のORモンスターを全て墓地に送り、デッキまたは墓地からOR
アブゾーブの8ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト4で2or1+1発動。デッキの上から2枚を見て1枚をコストゾーンに置いて1枚手札に加える。コスト4で武装解除発動。これでダークシールドは破壊される。ターンエンド」
4 魔法 2or1+1 属性:魔導書
効果:下記のいずれか一つを選ぶ
・デッキの上から2枚を見て1枚をコストゾーンに置いて1枚手札に加える
・2枚ドローする
「魔法の雷を使うコストがなかったか。ターン終了前にサモンコンディション。OR
「なぁにちょっとテンポが崩れただけだから問題ないよ」
現状スライジュエリーを何とかできない以上、本当にテンポが崩れただけで逆転するのは難しいのは間違いがない。どうにかしないとな。
俺の8ターン目だ
「ドロー。チャージ。コスト6でダークボム。互いの魔法を全て破壊する。OR
「しまった。前のターンに武装を破壊して満足してしまった」
「お前はスライジュエリーの攻撃を忘れて誘導を生かせなかったんだ。いくら相手が弱く見えても侮っちゃ負けるしかねえな」
闇からOR
6 モンスター ダークボム 属性:レジェンド
効果:出現:互いの場の魔法カードをすべて破壊する
OR
「スライジュエリーも無視されちゃあこの程度……例え神様でも人間に楽に倒されてしまうなんてうぬぼれそうだ。あ、弱すぎて勝利したとも思わねーか」
「なんだとぉ……」
「自分より強い奴に勝ち逃げされて永遠に悔しさを感じて生きてりゃいいさ。ターンエンド」
ソウコお嬢様仕込みの精神攻撃、これで効いてくれなきゃ困る。
アブゾーブの9ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コスト4でリフレクトアーマー発動。OR
「しまった。その手があったか」
リフレクトアーマーも珍しくはないカードなんだが失念していた。
液体がOR
「OR
「ぐあああああ」
筋肉がちぎれる、骨が砕ける、咄嗟に闇でふさいで怪我を治した。
アンドリュー:生命力10→3
俺の9ターン目だ。
「ドロー。チャージ。相手の手に俺の切り札 OR
「いっぱい悩むといいよ。そして早く自分が絶望と言う状況に置かれていることを悟るがいいさ」
ここから逆転する方法は……これしかない。
ここでこれが来たのはラッキーだった。
「コスト3で串刺しデビル召喚。
「良いカードが来るようにルノスチの神様にでも祈るんだね」
俺は神に祈らなくても良いカードを引くことができる。
俺の勝ちだ。
「コスト2で闇召喚術発動。コストを払って相手の墓地のモンスターを召喚できる」
「コスト6で打ち消し呪文発動。闇召喚術を無効化する。どんなに良いカードを引いても最初から無駄だったわけ」
「
噓だろ。
6 魔法 打ち消し呪文 属性:魔導書
効果:相手ターンにも発動できる。
相手の魔法カードの効果が発動したときその効果を無効化する
スライジュエリーを召喚すればOR
「ボクのターン。ドロー。自分の切り札で惨めに這いつくばれ! OR
「ぐあああああ」
闇の水を体の中に戻して体の回復に当てた。
アブゾーブが俺の頭を踏む。
「お前ボクのことを弱すぎだの卑劣だの下等だのほざいていたよねぇ……無礼で不快なんだよねぇ」
「卑劣とか下等とかは言っていない。バカにバカって言わないからな」
「なんだとぉ……」
アブゾーブは頭を踏んでいた足をどけて、球でも蹴るように俺の頭を蹴った。
闇の炎が辺りを包んでアブゾーブを焼き、俺を癒す。
「あっつ、なんだこれ」
「外国に初めてきたけど、外国って毎日こんなハプニングがあるのん? ドリュちー凄い暮らししてたんだねえ」
煙が地面に落ちて人の形になる。
そして煙は人になった。
「ごめんほかに二人いるって言ったけど一人だった。ハッタリのために噓をついたんだなぁ」
「私は留学生の一人 モユルなのん。神様の力をドリュちーから貰ったカードファイターなのんね。遅れてごめんなのん」
「こう見えても優秀な神官なんだ。だから来てくれただけでも有り難い」
アブゾーブは漸く自分の体の火を鎮火する。
アブゾーブは首を傾げてうなり、何かを思い出したような顔をした。
「そう言えばお前は横のニンゲンを愛しているのか?」
「えっ!? それはまあ……」
「そっかそれは残念だね。姿も何もかも奪うつもりでいるから」
闇の力が全て吸い取られた。
それと同時にアブゾーブの闇の力が増した。
「キャー凄い。流石アブゾーブ様ヘルズの力をモノにしましたね」
「ニンゲンからヘルズの力だけを抽出出来たのは良かった。あんなヤツの姿をコピーしたらボクのコレクションの品性をそこなう……別に姿は奪えなかったから負け惜しみをしてるとかそんなんじゃないもんね」
「俺のヘルズの力が消えた」
もう少しタイミングが遅かったら怪我を治せず死にかけてた。
モユルは冷たい目で俺を見てきた。
「ドリューち神様の力を失くしちゃったなのん。じゃあ燃やすのがいいなのん」
「力を無くした途端自分の恩人に手をかけるなんてニンゲンらしいね」
「彼もかわいそうですね。あんな薄情な人間に手をかけられて死ぬとは。私なら恩人は絶対裏切りませんよ」
俺は闇の炎に燃やされる。
アブゾーブは不満げな表情をした。
「そう言えばヘルズの力を得たとは言えまだまだ足りないんだ。もう少し欲張らせてもらおうかな。決闘しろ」
「欲張ると失敗をするというのはよくある話なのん。まあいいか、ドリューちの敵討ちなのん」
「自分で燃やしておいて何が敵討ちだよ。ヘルズの信者は倫理観を疑うな」
モユルとアブゾーブの決闘が始まる。