カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい   作:黒点大くん

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 戻るとアブゾーブが倒れている女の子を踏みつけていました。しかもなんか燃えています。

「息巻いていたわりには大した事ないなぁ。でもまあ大した事なかったけどヘルズの力はたくさんあったからボーナスエネミーだったかもしれないな」

「お前人間を何だと思っているんだ」

「挑まれた勝負に勝っただけなのに恨まれるという強者の特権だね。いやぁ清々しい」

 アブゾーブに向けて超音速で石を投げました。

 

 アブゾーブは頭から血を流しながら私を見つめます。

「おい、なんで戻って来たんだ」

「そろそろこれも終わらせて、元通りにしないと私がやりにくいんですよね」

「1から100まで自分のことしか考えてないね。傲慢だから死ねば」

 アブゾーブが私に勝てる実力ではないことは分かりきっているのですが、諦めが悪いので撃退しにくいんですよね。

 

 そこで考えたのがこの方法なのです。

「闇転送。これで立ち退きしてもらいますよ」

「何をしやがるんだ」

 空間の穴を開く魔族の力を使い、アブゾーブをどこぞへ移動させておきました。

 

 この方法思い付いたのラウィラニさん運び終わってからのことなので、遅いとかそういうことは言ってほしくないですね。

「そうか。なるほど、だが無駄だ」

「なにっ」

 空間の穴がこじ開けられてアブゾーブが出てきました。どうやら無駄だったみたいですね。

 

 アブゾーブが投げてきたナイフを弾き落とします。

「でもこの技を打ち破るのにヘルズの力をたくさん使ってしまった。これ以上は欲張らずに逃げるか。こいつも持っていこう」

 倒れている女の子を持ってアブゾーブが消えました。アブゾーブも酷いことをしますね。

 

 事情は吞み込めていませんが、取り敢えずなんとかなって良かったです。

「撃退できてよかったです。あ、火が消えましたね。アンドリューさん、燃えていたみたいですが大丈夫ですか。それにしても病み上がりの人に随分酷いことをするものです」

 どこに入院していたか情報が統制されていたか分からなかったのですがね。知らせるほど好感度が高くないということでしょうかね。

 

 アンドリューさんはヘルズの力を纏わせて怪我を治しました。

「大丈夫、俺を燃やしていた火はヘルズの力を与えるための偽装ですから。モユルはヘルズの力を器用に使えるんですよ」

「そうですか。モユル女氏も器用な真似をいたしますね」

 しかしモユルですか。聞かない名前です。本来アンドリューさんは入院しなかったのですが、入院したせいで未来が変わって知らない人が現れたと言うことなのですね。

 

 アンドリューさんの中に潜むヘルズの力が様変わりしていますね。そういうことですか。

「モユル女氏を助けますか。彼女にはいろいろ聞きたいことがありますからね。出来ればアンドリューさんの助けがあるとありがたいのですが……」

「ああ、助けに行こう」

 分からないことがあることが分かると言うのも成長のきっかけなんですねえ。

 

 助けに行くと言ってもどこにいるか分からないんですよね。適当にやるとこういった目に遭うのですね。

「今の俺のヘルズの力の殆どはモユル由来だから力をあえて出して、持ち主の元に戻る習性を付与することで場所を分かりやすくする」

「ヘルズの力ってそんな使い方もできるんですね。勉強になりました」

 どうせ今日は臨時休校ですから例え遠くの場所でも問題ないですよね。

 

 アンドリューさんの指示に従うことにいたしました。

「ちゃんと頼みますよ」

「案外近くだな」

 しばらく歩き通しで頑張って足が棒になりますね。

 

 全身汗でぐっしょりしてきたころアブゾーブを見つけました。

「吞気にログハウスで楽しんでいるのか。俺があいつらのこれからの人生を恐怖に染めてやる」

「怒っていますね。そんなに彼女のことが大事なのですか?」

「あいつは命の恩人ですからね」

「義理堅いですね。普通なら見捨てますよ。まあ普通ではないから見捨てないのですが」

 アンドリューさんは露悪的な言い方をしやがってと言いたげに私を見ました。

 

 窓をぶち割ります。

「いきなり突撃するのか!」

 休憩は十分ですから大丈夫でしょう。

 

 イツを人質にとって右腕の関節を外し、デッキを掛けているベルトを緩めて落としました。

「モユル女氏と人質を交換ですよ」

「チャンスです。私ごと後ろの奴を始末してヘルズの力とやらを吸収しましょう」

 アブゾーブが見るからに焦っていますね。この選択は正解だったみたいです。

 

 しかしイツも状況を理解していないですね。

「アブゾーブが貴女のことを見捨てるわけないですよね。だって貴女はアブゾーブにとって彼女は大事な大事なヒトですもの。関係は存じ上げませんがニンゲンを見下している方が四年も重用しているしている時点で大事な関係であることは推測できますからね」

「やり方が悪どい。悪の敵は正義じゃないんだな」

「卑劣なやつめ。呪眼で止められても極め続けられるように極めてる」

 図星なのか頓珍漢なことを言っていますね、メンタルが壊れたんですかね。

 

 アブゾーブは素直にモユル女氏を渡してきました。

「やけに素直ですねえ。素直なのはいいことですよ。ここで締めておきましょうか」

「流石にそれはないだろ」

「絞め落としてから返すなんて卑劣だな」

 ちゃんと返したので文句を言われる筋合いはないんです。寧ろ素直に人質を返したことに感謝してほしいですね。

 

 それにアブゾーブは弱いくせに不戦勝を狙うからこのくらいの嫌がらせをしてもいいですよね。

「文句は言わないでくださいね。約束自体は守っているわけですから」

「一貫してムカつく奴だ」

 なんで不当な理由で怒っているんでしょう。

 

 これでやりたいことが出来たので帰りましょう。

「こんなナメた真似されて素直に返すと思うのか」

「決闘してくださるなんて優しいですね。ですがお気持ちだけ受け取っておきますよ。貴女は心が腐っていますし実力もありませんからやるだけ時間の無駄なんです」

「敵ながら好き放題されすぎてほんの少しだけ可哀想に思える」

 アブゾーブがニオジーン氏の姿になって指を鳴らしました。

 

 床から大男が現れました。これはいったいどういうことなのでしょうか。

「この場所はこの姿の元の奴の別荘でね。今のボクの合図さえあればこの別荘の侵入者が撃退されるようになっているんだ」

「便利ですね。流石です」

 でしゃばろうとするアンドリューさんを制して、大男と私の決闘が始まりました。

 

 そして大男の3ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト3でフェアリーフォートレス発動。城壁を4枚設置する。ターンエンド」

「フォートレスデッキですか。ミニチュアで出来た木製の城壁がそそりますね」

 フォートレスデッキは好きなデッキの一つに入るのですが、割と変なデッキだと思っているんですよね。ユナイツカードの関係上今世では使えないのが悔やまれますね。

 

 3 魔法 フェアリーフォートレス 属性:フェアリー

   効果:設置。デッキと手札と墓地から好きな枚数城壁を設置する

 

 3 魔法 城壁 属性:フェアリー

   効果:設置。他の設置を持つカードは相手のカードの効果を受けない

 

 私は3ターン目般若の舞姫を召喚して攻撃した後ターンを終えました。大男の4ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト4で砲台花発動。ターンエンド」

「砲台花ですか」

 

 4 魔法 砲台花 属性:フェアリー

   効果:設置。城壁の上に設置出来る。

      相手モンスターが攻撃したとき相手モンスターに3ダメージを与える

 

 私の4ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト4でサオトキキの術発動。般若の舞姫でプレイヤーに攻撃します」

「砲台花の効果発動。般若の舞姫破壊。ターンエンド」

「アタッカーを減らすなんてむざむざ何をやっているんだ」

 この先あまり般若の舞姫は役に立たないのでまあ除去もやむなしです。

 

 大男の5ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト5でゴブリンアーチャーズ召喚。ターンエンド」

「ついにらしくなりましたね」

 城壁の上に弓を持った妖精たちが複数現れました。

 

 5 モンスター ゴブリンアーチャーズ 属性:フェアリー

   効果:自分のターン中攻撃出来ない

      貫通 相手ターン中プレイヤーかモンスターに攻撃できる 

      攻撃力:2 防御力:0 生命力:1

 

 私の5ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト5で回天の術を発動します」

「ゴブリンアーチャーズでワンジャに攻撃。破壊」

「そう来ましたか。ターンエンド」

 プレイヤーの生命力を減らすのだと思いました。

 

 大男の6ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト5でトーチカワームの群れ召喚。ターンエンド」

「トーチカワームですか。ちょっとだけ面倒ですね」

 

 5 モンスター トーチカワームの群れ 属性:フェアリー

   効果:自分のターン中攻撃出来ない

      攻撃する時相手プレイヤーと相手モンスターすべてに1ダメージ

      相手ターン中プレイヤーかモンスターに攻撃できる 

      攻撃力:0 防御力:0 生命力:1

 

 私の6ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト5でマスターニンジャを召喚します。そして煙玉をサーチしてマスターニンジャでプレイヤーに攻撃します」

「砲台花、ゴブリンアーチャーズ、ファイア!」

「コスト2で忍法具 煙玉発動。マスターニンジャに使用し、砲台花をかわします。ターンエンド」

「トーチカワームで攻撃」

 

 大男:生命力10→5

 ソウコ:生命力10→9

 

 大男の7ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト4で毒霧トレント召喚。コスト3で兵站補給発動。ターンエンド」

「虎視眈々と準備を整えていますね」

 

 4 モンスター 毒霧トレント 属性:フェアリー

   効果:自分のターン中攻撃出来ない

      ターン開始時相手モンスターすべてに2ダメージ

      相手ターン中プレイヤーかモンスターに攻撃できる 

      攻撃力:1 防御力:0 生命力:1

 

 3 魔法 兵站補給 属性:フェアリー

   効果:自分の場にフェアリーフォートレスがあるなら、相手ターン中プレイヤーかモンスターに攻撃できると

      記されている自分のモンスター一体につき1枚ドローする 

      

 私の7ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト6で百花繚乱。3枚ドローします」

「毒霧トレント、ゴブリンアーチャー、トーチカワームの群れ、行け」

「うぐぅ。コスト3でくだんを召喚してターンエンドです」

 割とピンチですね。高確率で次のターンで負けますよ。不謹慎ながらもワクワクしてきました。

 

 3 モンスター くだん 属性:アヤカシ

   効果:このモンスターは相手によって破壊された時未使用状態でコストゾーンに送られる。その後1枚ドローする

      攻撃力:0 防御力:0 生命力:1

 

 ソウコ:生命力9→5

 

 大男の8ターン目です。

「ドロー。チャージ。コスト3でエルフの呪い発動。ターンエンド」

「エルフの呪いですか。もっといいカードがあると思いますが……」

 1でも生命力を削ればいいので相手は何でもいいのでしょうが

 

 3 魔法 エルフの呪い 属性:フェアリー

   効果:相手プレイヤーに1ダメージを与える

 

 私の8ターン目です。

「ドロー」

「毒霧トレント、トーチカワームの群れ。そしてゴブリンアーチャーでトドメだ」

「コスト7で墓地のマスターニンジャを召喚します。そして忍法 空蝉の術、ゴブリンアーチャーの攻撃を無効化します。危なかった、結構スリリングでしたよ」

 これで残りの生命力も1、コスト3でなんとかするしかないですね。

 

 幸いにも相手はもうアクションストライクでしかどうにかできません。この状況をどうにかできる有力なリアクションはありませんからね。

「コスト3で妖刀ムラマサを武装します。妖刀ムラマサでプレイヤーに攻撃してトドメです」

 大男:生命力3→0

 

 大男は床に倒れてそのまま沈み込みました。

「こんな防衛システムが欲しいです。何しろ強い決闘者ですからね」

「永遠に羨ましがってろ。お前はどれだけ焦がれてももう今と同じことはできないんだ」

「まずい、時限爆弾だ」

 割った窓から出た後ニオジーン氏の別荘が爆発しました。吹き飛んだ丸太で背中を打ちます。

 

 目が覚めたら病室でした。

「どうしてこうなってしまったんだ。誘拐された留学生を取り戻すためとはいえ授業を無断欠席し、挙句の果てには命を危機に晒したため退院後のテストに合格しなければソウコお嬢様は退学だ」

「なにが授業の無断欠勤ですか。調べさせましたがその日授業をしていなかったでしょう」

 そんなに私のことが嫌いなのでしょうか。

 

 しかし退学してしまうと強い決闘者とのめぐり逢いが出来なくなってマズいんですよね。

「勉強に遅れないように頑張りますか」

「あまり無茶はするなよ」

 こうなったのも全てアブゾーブのせいです。容赦しない方がよさそうですね。

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