カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい 作:黒点大くん
今現在モユル女氏とトゥスル王子がお見舞いに来ています。
「王子様もわざわざありがとうございます。しかしこういう時いち早くレイナさんが来そうなものなんですけど。彼女も薄情になったということですね。いつも付かず離れずされるよりはマシだと考えましょう」
「彼女は色々忙しいと聞きます」
「そうですか。王子様直々に来訪してくださるなんて光栄の極みですね」
気まずそうにしている王子様はかわいいです。この王子様私を萌え殺しさせる気なんですかね。
モユル女氏が来てくれてちょうどよかったです。
「モユル女氏に伺いたいことがあるのです」
「何が聞きたいのん?」
「私は世界中の実力派のカード使いの情報を集めているんですよね。でもあなたの情報は私の情報網に引っ搔からなかったのです。一体貴女は何者なんですか?」
これは本題ではないんですけどね。これはいわゆるドアインザフェイス的な奴です。実力自体はアブゾーブにどうにかされる程度なのは分かっていますしね。
モユル女氏は答えにくそうな顔をしました。
「私に実力がないと言いたいのん?」
「いーえ別に。しかし気分を悪くしてしまったならすみません。代わりの質問をさせてもらいます。その巧みなヘルズの力のコントロールの謎を知りたいのです。それに貴女が何者なのかも知らないんですよね。それも教えて欲しいです」
偽装と包装と操作を同時に行うなんて誰にもできることじゃありませんからね。私にもできないです。
モユル女氏は謎が多いんですよね。
「唯一わかっているのはアンドリューさんの味方であること。いつ裏切るのか分からないので信用が出来ないんですよ」
「そんな言い方ないじゃないですか」
アンドリューさんが私の敵になったら敵になってしまいますからね。そういう人をおいそれと信用するわけにはいかないのです
本編にいないのに本編のキャラにガッツリ関わってくるので私には未知、警戒もしなければならないのです。
「正論なのん。だから頑張って信用を積み上げたいところなのだけど……別のクラスだからそれも難しそうなのん」
「王子様はもう少し人を疑った方が良いです。実際この人はいきなり現れて客観的には信用できないんです」
好感度が落ちてしまいましたね。敵に回りやすくなってラッキーです。
アンドリューさんはそこまで言うことないじゃないかと言いたげな顔をしていますね。
「まあ確かに結果だけ見れば侵入者に力を献上した挙句誘拐される失態を犯した役立たずなのん。でもだからと言って敵ではないのん」
「そうですか。これ以上失態すれば愛想をつかされるかもしれませんね」
「あとヘルズの力を操り方は何となく出来ていたからやり方がわからないのん」
残念ながら感覚派ですか。あれだけ苦労して得たものが強者との戦いだなんて普通ならくたびれもうけですね。
脅しに脅した結果モユルさんは不安な顔になっています。
「気を悪くしたならすみませんね。無駄に脅してしまって申し訳ないと思っています」
「信用してもらってありがたいのん」
分かりたいことも分かっていたのでここでうだうだしていても仕方がないですね。両腕が動かせないのでドローの素振りで治せないのが悲しいです。
レイナ視点に移動
ソウコちゃんが入院しているのでソウコちゃんの分のノートを取っている。
「あんなのの為に苦労しなくていいからね」
「苦労していることがあるなら私たちに相談しなよ」
「先輩方ありがとうございます。しかしこれも勉強と思えば苦痛ではありません」
生徒会総選挙の日にソウコちゃんに連れ回された結果、私は悪逆非道のソウコ・メッセルに付き合わされている健気な被害者として同情されるようになりました
確かにソウコちゃんは露悪的になりたがる癖には苦労しているんだけど、弱点といえば本当にそこぐらいだし。
「あれは父親に似て口も性格も悪いけど質の悪いことにシンパを作る話術もあるから取り込まれないでね」
「健気な後輩が食い物にされるのは心に来るから警告するけど、健気なのも良いけどあれが借金を笠に着て資産でマウントを取ってくる性格なのを忘れないでね」
先輩たちは去りました。
ソウコちゃんって今みたいな扱われ方が殆どだから関わっている人が可哀想とまで言われるような人なんだよね。かわいそう。
「本人もただのワガママなクズって言ってるけど、本当にそうなら縁もゆかりもない私やむしろお金借りてる人の子供な分マイナスなアンドリューを助けるわけがないもんね」
ルノスチへの支援制度設立のきっかけになったことしかり誰彼構わず助けているくせに、特別な人間と強者以外は見捨てるって噓を付くところも苦労のタネではある。
ああいう露悪的な性格をどうにかしないともっと周りに嫌われそうだし、本格的にどうにかしないといけないと思う。
「露悪的な性格と口が悪いのが何とかなれば嫌われずにすみそう」
あの性格をどうにかするモノがないか図書館で探してみよう。そしてそれをお見舞いの品にしよう。
図書室で色々本を借りて隅の方で本を読んでいると先輩に声をかけられた。
「成績のみ優等生なソウコ・メッセルの成績の正体見たり。友人の学習した成果を横からパクっていたのか」
「勘違いしないでくださいね。ソウコちゃんはサボっている時間で予習をしているタイプなんです」
「じゃあ最初からサボるなと言いたいけど君に行っても仕方が無い」
この人線が細くて女顔だけど制服を見るに男性だね。
女顔の先輩は私の隣に座りました。
「いきなり尋ねてきましたが、一体どのような用時なのですか? 何か悩み事があったら相談してくださいね」
「いい子だね。あのソウコ・メッセルの友人だなんて信じられない」
「ソウコちゃんってどこに行ってもすごい悪評ですよね。功績は善人なのになんでこんなに評判が良くないんですか?」
どんなに悪い人でもいいことをしたらそれは認めるべきだと思う。
女顔の先輩はそう言えばそうだと言いたげな顔をしました。
「庶民のくせにお金を持ってて王子様の許嫁という前提がある上に単純に弱者を見下しているのが見え見えだからね。善行も単なる税金対策にしか見えないと言うか。彼女はそういう所あるよね。君は個人的な支援を受けているから善人にしか見えないと思うけど」
「そういう面も少しはあるかもしれませんね」
ソウコちゃんそう言う評価に流されて露悪的になったり自分を性格悪いと思っているのかもしれない。
先輩に分厚い本を渡された。
「これが手がかりになるんじゃないかと思うよ」
「なんでそう思うんですか」
「なんかブツブツ言っていたから何を調べたいか分かりやすかった。しかし恐ろしいことを考えるものだね」
変な人だ。インパクトがすごすぎる。
感情を操作する古代呪術かぁ。
「なるほど。参考になりました。ありがとうございました」
「その本は期限までにちゃんと返さないと大怪我をするからね。ちょうどそのソウコ・メッセルみたいになる。あと中身は他人に見られないようにしてほしい」
一言余計だけど期限までに返せってことか。
部屋に戻って古代呪術の勉強をする。
「まるまる一冊が一つの呪いだなんてむずかしそう」
内容は案外すんなり入ってきた。いつも読んでいる教科書もこのぐらい書き方が分かりやすかったらいいのになあ。
この古代呪術にはペンドラの竜という宝石が必要らしいのだけど、ペンドラの竜は学園の近くの滝に封印されているそうだ。
「たまたま近くにあって良かった。何もかもナイスタイミングすぎるね」
こっそりと学園を抜け出す。
そして地図の通りに行くとそこは島公園だった。
「ここで何をなさっているのですか?」
「ここに埋まっている石 ペンドラの竜が欲しくて侵入した次第です」
噴水から出た矢を避ける。
噴水から現れた女性のドロップキックを喰らってしまった。
「その本を持っているからやはりと思ったが、やっぱりペンドラの竜が欲しいのか。ペンドラの竜が欲しくばこの私に決闘の腕前を示せ」
「何故ドロップキックを?」
噴水から現れた女性はいきなりデッキを構えた。余程言いたくない訳があるのかもしれない。いきなり聞いて不躾だったかも。
私の4ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト1で翼の使徒召喚。併せて2枚ドローして、コスト3でプリンシパリティズ召喚。プリンシパリティズでプレイヤーに攻撃してターンエンド」
「そのユナイツカードはそういう戦法を取るのか。参考になった」
参考にしてどうするんたろう。
噴水から現れた女性の5ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト5で魔力吸収式図書館設置。ターンエンド」
5 魔法 魔力吸収式図書館 属性:魔導書
効果:設置。1ターンにモンスターを2体以上場に出した場合、そのターンの終了時に出したモンスター1体につき1枚ドローする
私の5ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト5でプロメテウス・プログラムを召喚。その後プリンシパリティズでプレイヤーに攻撃。ターンエンド」
「まずいなぁ。あと8ターンでやられてしまう」
「下手な演技だなぁ」
いかにも逆転の一手がありそうな感じがする。
噴水から現れた女性の6ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト6でサイキックメンタリティ召喚。ターンエンド」
「たったそれだけかぁ」
緑の液体を纏った青いタコが現れた。
6 モンスター サイキックメンタリティ 属性:使い魔、魔導書
効果:プレイヤーが相手モンスターに攻撃された場合手札の魔法を発動できる
攻撃力:1 防御力:2 ライフ:1
私の6ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト7で新たなる私の切り札 ヴァルキュリアス召喚」
サイキックメンタリティは天からの炎によって消し炭になる。
8 モンスター ヴァルキュリアス 属性:エンジェリオ
効果:出現:相手は自分の場の最も攻撃力の高いモンスターを墓地に送る。
攻撃力:3 防御力:2 ライフ:2
「手札の念力の効果発動。サイキックメンタリティが破壊された時自らを召喚する」
「そしてそのままヴァルキュリアスとプリンシパリティズでプレイヤーに攻撃してターンエンド」
これで相手の生命力は残り5。次のターンに勝てる
? モンスター 念力 属性:使い魔、魔導書
効果:サイキックメンタリティが破壊された場合手札から召喚できる
出現:手札、デッキ、墓地からサイキッカーを3体まで場に出す
貫通
攻撃力:2 防御力:2 ライフ:1
噴水から現れた女性の7ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト6でサーバントマッスル発動。このターン私の場の使い魔モンスターの攻撃力を倍にする。がしかしこのターンが終わり次第破壊される。全モンスターで一斉攻撃してターンエンド」
「たったそれだけかぁ」
たったそれだけとはいうものの大ピンチ
レイナ:生命力10→2
私の7ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト7でアバドンの使徒召喚。そしてコスト2でロストトラウマ発動。アバドンの使徒を対象にして1枚ドロー。そしてそのままアバドンの使徒でトドメ」
「案内しよう」
2 魔法 ロストトラウマ 属性:エンジェリオン
効果:自分の場のモンスター1体を選ぶ。選んだモンスターの効果を無効化し、その後1枚ドローする。
噴水が移動して地下への階段が現れる。地下への階段を降りると緑色の宝石があった。
「これがペンドラの竜だ。この先にはカードの神に選ばれし者しか行くことが出来ない。心してかかれよ」
「ありがとう」
ペンドラの竜を無事に取得した。
温かくもなく冷たくもなく柔らかさも硬さもない不思議な石だ。
「この宝石は貴重で価値が高いから、元の所持者は私との友情を利用しつつ、凄い結界を施した」
「利用されて悔しくなかった?」
「私もあいつのことを利用していたからお互い様だ」
噴水から現れた人は遠くを見つめるような目をした。
これは厳重に保管して返さないとなんか申し訳ない。
「分かった。気を付ける。一回使ったら返しに行くね」
「そんな適当な」
私は階段を上がって外に出た。
右手がしびれてペンドラの竜を落としてしまう。
「結界が面倒だったからあわよくば取ってくれないかと焚きつけたら、本当に取ってくれるとは君は実に馬鹿だねえ」
女顔の先輩がペンドラの竜を拾った。
古代呪術の本が一瞬で燃えて灰になる。
「因みにその本偽物だから。中身自体はただのスパゲッティコード多めの発火呪術が刻まれた本だよ。作るの大変だったんだから」
「信じていたのに」
体が動かない。
女顔の先輩は嬉しそうにニタニタ笑う。
「やっぱり庶民は貴族様の道具でいるのが一番ふさわしいんだなあ」
まんまとハメられた。