カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい 作:黒点大くん
まんまと利用されてしまったという不甲斐なさが私を蝕む。
「ペンドラの竜は貴重な宝石なんだ。世界中の宝石コレクターの憧れで、コイツを得るために殺し合いが起きなかったことは一度か二度くらいしかない。本来なら値段が付けられないくらい価値があるが、無理やり値段を付ければ誰もが買ってくれるという訳だ。このためにわざわざ制服買って侵入したんだよな」
回りくどい……その労力を別のことに使ってほしかった。
なんでわざわざそんな真似をしたんだろう。
「殺して奪い取られるのがオチですよね。殺し合いが起きなかったことは一度か二度くらいしかないんでしょう?」
「うるさいんだよ。庶民ごときが。黙って道具になっときゃいいんだ」
高額のお金に目がくらんで視野が狭くなるなんて、まるで私の両親みたいだね。
痺れた体を素早く動かすことで相対的に今までと同じ速度で動く。
「なんで動けているんだ」
「マッハドローの応用で体を凄い速さで動かせば、痺れと相まってちょうどよい速度で動けるんじゃないかって思ったんですよね。そしたら出来ちゃった。疲れるからもう二度とやりたくないけど」
「どんな理論なんだ。意味が分からないぞ」
何となくやったらできたから私も意味が分かっていない。
女顔の先輩はデッキを構えた。
「こうなったら決闘で何とかするしかない」
「凄く分かりやすい」
決闘が始まった。
女顔の先輩の4ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト4でクロンダムの影召喚。クロンダムの影でプレイヤーに攻撃してターンエンド」
「クロンダムの影ね。ソウコちゃんに教えてもらった気がするけど覚えてないなぁ……」
貫通を持っていること以外どんなカードなのか分からない。
4 モンスター クロンダムの影 属性:魔法使い
効果:貫通
攻撃力:1 防御力:1 生命力:1
私の4ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト1で翼の使徒召喚。聖殿の効果も合わせて2枚ドローしてターンエンド」
「手札のワイズリベンジャーの効果発動。自分を召喚する」
ワイズリベンジャー……アンドリューにあったら教えてあげよう。
5 モンスター ワイズリベンジャー 属性:使い魔
効果:サモンコンディション:相手が3枚以上ドローしたターンの終了時
出現:デッキの上から2枚を見て1枚手札に加えて1枚コストゾーンに置く
攻撃力:2 防御力:1 生命力:2
女顔の先輩の5ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト5で長槍の魔導騎兵召喚。長槍の魔導騎兵とクロンダムの影でプレイヤーに攻撃してターンエンド」
「これで私の生命力は5。ちょっとマズイかも」
性能自体はマスターニンジャの完全下位互換だけど、それでも強いことに変わりはない。
5 モンスター 長槍の魔導騎兵 属性:魔法使い
効果:貫通
攻撃力:3 防御力:1 生命力:2
私の5ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト5でプロメテウス・プログラム召喚。1枚ドロー。そしてコスト2でハイロゥストライク発動。ターンエンド」
「次の次のターンで負けるってのにそんな悠長にしていていいもんかね」
「ソウコちゃんが勝つ瞬間まで勝っていないと言っていた。油断しない方がいいよ」
言われた時は当たり前の事と思って気にも留めていなかったけど、該当するハメになって思い出した。
女顔の先輩の6ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト1でビルダーサーチ発動。コスト5で戦略魔法 ツラヌキカガミを発動」
「ワイズリベンジャー以外貫通持ってるからそんなに意味ないと思うけど」
「うるさいな。いちいちケチをつけるな」
もしかして反撃目的なのかも。だとしたらバカな事を言ってしまったなぁ。
1 魔法 ビルダーサーチ 属性:魔導書
効果:設置を持つ魔法カードをデッキから手札に加える
「長槍の魔導騎兵とワイズリベンジャーでトドメだ」
「リアクション。ハイロゥ。1枚ドロー。そして長槍の魔導騎兵の攻撃にコスト5で天使のウィンク発動。長槍の魔導騎兵の攻撃で受けるダメージを0にする」
「クロンダムの影でハイロゥに攻撃。そしてコスト4でヨティスを召喚してターンエンド」
何とか防げたよ。
私の6ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト5でオピュクス召喚。1枚ドロー」
「ペンドラの竜を巡る戦いで出すモンスターにしては随分とプリチーだな」
「でも効果は可愛くないよ」
赤いハートの鱗がある白い蛇が現れた。
6 モンスター オピュクス 属性:エンジェリオ
効果:自分の場のモンスターが攻撃で相手プレイヤーにダメージを与えた場合
与えたダメージ2につきそのモンスターの生命力を1回復する
攻撃力:0 防御力:1 生命力:2
「ハイロゥでプレイヤーに攻撃。オピュクスの効果で回復。そしてオピュクスでプレイヤーに攻撃。コスト3でプリンシパリティズを召喚してターンエンド」
「そんな回復効果しか持たんカードがお前の切り札か。そのデカブツの延命にすらならないというのに、無駄なことだよ」
でもそれで私は延命が出来る。それさえ出来れば充分。
女顔の先輩:生命力10→4
女顔の先輩の7ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト5で魔法の雷、オピュクス破壊。クロンダムの影でハイロゥに攻撃。長槍の魔導騎兵とワイズリベンジャーでハイロゥ破壊。どうだこれでお前に攻撃が通せる」
「プリンシパリティズの効果。自らの命を捧げてハイロゥの破壊を肩代わりする」
「プリンシパリティズに魔法の雷を使えばよかったわけだ。ターンエンド」
次のターンには負けるかもしれない。ここで良いカードを引かないと。
私の7ターン目。
「ドロー……チャージ。コスト5でカリス発動。3枚ドロー。よし、ハイロゥでプレイヤーに攻撃」
「魔法カード マジックシールドを2枚 発動」
「スペルコンディション 百王の生誕。1枚目のマジックシールドの効果を無効化する」
女顔の先輩:4→0
女顔の先輩は無気力に膝をつき、手札のペンドラの竜を落とす。
「ちゃんと返してくれてありがたい」
「誰が返すなんて言ったんだ」
女顔の先輩は私からペンドラの竜を奪おうとする。
ペンドラの竜から雷が出てきて女顔の先輩を痺れさせた。
「どうなっているんだろう」
「ペンドラの竜になぜ所有者を巡り殺し合いをする業が蓄積されているのか……それはペンドラの竜に前の持ち主が認めた者またはより強き者にのみ持たれたがる性質があるからだ」
噴水から現れた人だ。
なんでこんなところにいるんだろう。
「まだお前にペンドラの竜の仕様を解説していなかったからな。ペンドラの竜はこの様に面倒くさい仕様を持っているんだ」
「負けたから弱いというのか」
「話し合いでもらっていれば取り返されずにすんだから、話し合いの方が現実的だったと言いたかった」
戦った方が楽なだけで別に話し合いでも行けるんだったね。
でも私もどうしてもペンドラの竜は欲しかったから譲らなかったと思うけど。
「奪ったせいでお前が持ち主として認められたんだ。なんてったって他者を欺くことも強さの一つだから」
「選択を間違えたのか。
「自業自得だ」
女顔の先輩は厳つい男の人に剣でバッサリ斬られた。
血はあまり出ていないから大丈夫そうだけど、倒れているから怖い。
「雑魚が失礼したな。コイツみたいな不審者に襲われて辛かっただろう」
「ついでに動けるようにしてもらえるとありがたい。コイツ動けなさそうだからな」
「そんなら話は早い」
厳つい男の人は剣を振り下ろした。
体の痺れがなくなって疲れも取れた。それとと同時にペンドラの竜をかすめ取られる。
「お前さんはなんでペンドラの竜が欲しかったんだ」
「やたら露悪的な知り合いがいて、その人の露悪的な態度を改めるため。ペンドラの竜が人の心を操る呪術の媒介だってそこの倒れてる人に教えてもらったからね」
「そういうことか。お前さんみたいな危険な奴にこれを渡すわけにはいかない。が、功労者からタダでぶんどるのも後味が悪い」
変な仮面を貰った。
全体的に釘とかピアスとかが打ち込んであるね。
「善悪反転の仮面だ。これをつけている間言動や性根の善性や悪性が反転する」
「じゃあダメだね。言ってることが良いことでも悪いことしかしなくなる」
「お前、ソウコ・メッセルのダチだろ。ダチだからこそ、アイツがこれまで善行を積み上げたのは点数稼ぎかタダの偶然であることを受け入れなければならないんだ。分かりやすくいうならこれからどうせ悪いことをするのだからそれを着けさせた方が皆のためになるってことだ」
そう言うことだったのか。
私がソウコちゃんにしようとしていたことと同じだ。
「ええいこんなもの」
「踏んづけて壊しやがった。許せねえ。決闘だな」
デッキを構えた。
私の4ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト5でカリス発動。3枚ドローしてターンエンド」
厳つい男の人の5ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト5でデスチキン召喚。手札を全て捨てて5枚ドロー。ターンエンド」
トサカが鉄になっている鶏が現れた。
5 モンスター デスチキン 属性:ビースト
効果:出現:手札の属性:ビーストを持つカードを好きな枚数捨てる。その後捨てた枚数より1枚多くドローする
攻撃力:0 防御力:1 生命力:2
私はプロメテウス・プログラムを召喚してターンを終えた。厳つい男の人の6ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト6でペガサス召喚。ペガサスでプレイヤーに攻撃してターンエンド」
「アイギスがなければまずかった」
レイナ:生命力10→8
しかしペガサスかぁ。
「これで大量に墓地に送られたビーストを召喚できる。うまいやり方だ」
「大袈裟な事を言うな。1ターンに1枚しか召喚できない、だから一気に展開して殴るなんてペガサスじゃ出来ねぇよ」
じゃあ安心か。
私の6ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト1で翼の使徒を召喚して2枚ドロー。コスト2でハイロゥストライク発動。コスト3でプリンシパリティズ召喚。ターンエンド」
「そうか。コストを6以上使ったらまずいのか」
手札にハイロゥがあると思われてる。単純に手札を補充して打点を揃えるためにやったことがブラフになっているんだ。
厳つい人の7ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト2を払いペガサスの効果発動。コスト4のヘヴィターキーを召喚する。ペガサスで攻撃」
「ハイロゥがあるはずなのに攻撃していいの!?」
「俺がカマをかけたら顔が喜んでいた。手札の中身を当てられて喜ぶやつはいないから、引けてないと判断したわけだ」
顔かぁ……。鉄面皮を徹底しないと。
レイナ:生命力8→6
4 モンスター ヘヴィターキー 属性:ビースト
効果:出現:自分の墓地の属性:ビーストを持つカードを好きな枚数このカードの下に送る
攻撃力:1 防御力:0 生命力:2
私の7ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト7でアバドンの使徒を召喚してそのままプレイヤーに攻撃
「かなり痛かった。闘気を込めやがったな。なあなあに済ませようと思ったが、これは本気でやるしかなさそうだな」
厳つい人:生命力10→4
厳つい人の8ターン目。
「ドロー。チャージ。コスト8でメタルサーモン召喚」
「トピ・アクアっぽい見た目のカードだ」
「それは禁句だ。まぁそんなことよりもメタルサーモンを効果発動。自分のモンスターの下のカードを全てデッキに戻し、このターン中戻した枚数1枚につき自分の場のモンスター1体の攻撃力を1上げる。ペガサス、ハイパワーチャージ」
ペガサスが筋骨隆々になった。その姿はまるで翼の生えた雄牛の首を馬のものとすり替えたような厳つい見た目だった。
私はペガサスの攻撃を受けて吹っ飛んだ。
「生命力が一気に0になった。なんて強烈なコンボなんだ」
「お前さんは顔にさえ出さなければ俺に勝てたかもしれないな。ハイロゥというカードは攻撃を躊躇させるには充分すぎる」
うう……たしかに。これを教訓にしよう。
厳つい人はペンドラの竜をポケットに捩じ込む。
「名前を教えて欲しい。いつか勝つまでその名前をずっと覚えておくから」
「リキヤ・ソルテッド。お前さんは?」
「レイナ。庶民だから名字がないよ」
リキヤ・ソルテッドか。ちゃんと覚えておこう。
リキヤ・ソルテッドはペンドラの竜を持っていって去った。
「力が足りなかった。リキヤ・ソルテッド……その顔と声 もう忘れようもない」
それに知力も足りなかった。知力が足りないせいで短時間に2度も出し抜かれた。
後日 ソウコちゃんのお見舞いに行ってノートを見せると、ソウコちゃんは凄く喜んでいた。