カードゲームもできる乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、そんなことよりデュエルがしたい 作:黒点大くん
カードを仕込んでデッキを良くシャッフルする。
「盗賊さん。貴女を倒したいと思います。準備はよろしいでしょうか?」
「やだよ。だって今のお前頭おかしいし滅茶苦茶怖いもん」
「そんな変な理由で勝ち逃げするなんて、天が許しても私が許しません!」
「お前が悪い事ばかりやって来たから、あんな変なのに執着されるんだぞ。更生しろよ」
変なのって。そんないい方しなくてもいいじゃないですか。
マイノネ王子はニヤける。
「勝ったら見逃してやると言ったらどうする?」
「そんなこと許可していいんですかね」
「まあなんとかするよ。俺ってば王族だからさ」
「良いじゃないの。やってやろうじゃないの。チャンスなんだ縋るしかない」
盗賊はデッキを構えた。見逃すなんて一言も言ってないのにやるしかないというのは、悲哀を感じますね。
盗賊の先攻ではあるものの、互いにコスト軽減モンスターを出す以外は何もしませんでした。
「ドロー。チャージ。コストを1軽減してコスト3でグラモグラ召喚」
頭に草を生やした大型犬サイズのモグラが現れた。
4 モンスター グラモグラ 属性:ビースト
効果:出現:デッキの上から二枚を見て1枚を手札に加えて
1枚をコストゾーンに送る
攻撃力:3 防御力:1 ライフ:2
「グラモグラでプレイヤーに攻撃してターンエンド」
ソウコ:ライフ10→7
私の3ターン目だ。
「ドロー。チャージ。コストを1減らしてコスト3で能面の舞姫を召喚します。そしてコスト1でクノイチを召喚します。能面の舞姫とクノイチでプレイヤーに攻撃して、ターンエンドします」
盗賊:ライフ10→8
盗賊の4ターン目ですわ。
「ドロー。チャージ。コスト4でタイラントドレイク召喚。タイラントドレイクで獣遁 ワンジャを攻撃して破壊」
「アクションストライク。識痛の呪術を発動します」
「ターンエンド」
ワンジャは倒れましたが、まあまあ堅実な立ち上がりですね。
私の4ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト5で忍法 回天の術を発動してターンエンドです」
タイラントドレイクはプレイヤーを攻撃しません。余裕を持って準備を整えるチャンスですね。
盗賊の5ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト3で働きアリの巣を発動してターンエンドだよ」
面倒なコンボになりましたね。前回と同じことになりそうですね。
私の5ターン目ですね。
「ドロー。チャージ。コスト1でクノイチを召喚します。コスト3で妖刀 ムラマサを武装します。ムラマサでグラモグラに攻撃して破壊します。ムラマサ効果で1枚ドローしてターンエンドです」
マスターニンジャを引けました。これでなんとかなりますよ。
盗賊の6ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト2で魔獣召喚。コスト5で大紫婦人召喚。タイラントドレイクでワンジャを破壊してターンエンド」
大紫婦人……厄介なモンスターですよね。
私の6ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト4でマスターニンジャを召喚します。土遁忍法 生き埋めの術をサーチします。マスターニンジャで大紫婦人に攻撃します」
「当然反撃で破壊させてもらう」
マスターニンジャは爆発する。クノイチは巨大な泥人形となった。
泥人形は大きくなって大紫婦人を包み、地面に沈んだ。
「破壊されると思いましたの。ですので土遁忍法 生き埋めの術を発動しました」
4 魔法 土遁忍法 生き埋めの術 属性:ニンジャ
効果:スペルコンディション:自分の場の属性:ニンジャのモンスターが破壊される。
自分の場のモンスターを一体コストゾーンに送る。
その後コストゾーンに送ったモンスターの攻撃力以下の相手モンスターをコストゾーンに送る。
「妖刀 ムラマサでタイラントドレイクを攻撃してターンエンドです」
「チィッ。大紫婦人も一枚しかないってのに」
「私もクノイチを失うのはキツイですからお互い様ですよ。ターンエンドです」
まあコストゾーンのカードを墓地に送れるカードも入れてあるから、それさえ引けば回天で出せるんですけどね。
盗賊の7ターン目です。
「ドロー。チャージ。コストを1減らしコスト7でドラゴンキングを召喚。1枚ドロー。ドラゴンキングで相手に攻撃。ターンエンド」
ソウコ:ライフ7→1
相変わらず熱いですね。しかし慣れればどうということはありません。
「これ以上攻撃を食らったら衝撃で今より酷いことになりそうだなぁ」
「危ない。ギリギリですわね。ここで取り乱せば、また負けそうですわね」
盗賊の舌打ちが聞こえますわ。
私の7ターン目ですわ。
「ドロー。チャージ。コスト5でマスターニンジャを召喚します。効果で分身の術をサーチします。コスト2で分身の術発動。マスターニンジャに使用します。マスターニンジャーでドラゴンキングに2回攻撃して破壊します。妖刀 ムラマサで魔獣に攻撃して破壊。1枚ドロー。ターンエンドですわ」
盗賊はあっけにとられたような顔をする。
今のプレイングにおかしな所があったのでしょうか。
「なんで私に攻撃しなかったんだ。攻撃すれば勝ちだっただろうに」
「そうですね。そうですわね」
「…たしかにプレイヤーを直接倒したほうが良かったですね。忠告痛み入ります」
深刻なプレイミスですわ。次からはプレイミスしないように気をつけましょうね。
盗賊の8ターン目ですね。
「ドロー。チャージ。タイラントドレイクでマスターニンジャに攻撃して破壊する。グラモグラでプレイヤーに攻撃。これでトドメだよ」
「アクションストライク。忍法 空蝉の術を発動します」
グラモグラは私の着ていた服を切り裂く。
しかしこの後おそらくバーンが来るんですよね。プレイミスが響きましたか。
「ターンエンド」
「あれれ。シルフの風は来ないんですか? 覚悟してましたのに」
「エルフアーチャーがいないんだよ」
危ない。今日の私はラッキー・ガールですね。
私の8ターン目ですよ。
「ドロー。チャージ。コスト5でマスターニンジャを召喚。忍法訓練所をサーチします。コスト4でサオトサキの術発動します。よし何とかなりましたね。妖刀 ムラマサでタイラントドレイクに攻撃して破壊します。そしてマスターニンジャでプレイヤーに攻撃です」
「させるか。アクションストライク。シールドラゴン」
体の鱗がカイトソールドのようになっているドラゴンが現れた。
4 モンスター シールドラゴン 属性:ドラゴン
効果:アクションストライク。このモンスターは場に出た時攻撃済み状態になる。
誘導
攻撃力:0 防御力:4 ライフ:1
「1枚ドロー」
「マスターニンジャでシールドラゴンに攻撃して破壊します。ターンエンド」
む。今のでモンスターを引かれた場合わりときついですね。
盗賊の9ターン目です。
「ドロー。チャージ。コスト4で妖精の囁き発動」
4 魔法 妖精の囁き 属性:フェアリー
効果:2枚ドローする
この戦いのすべてがこのドローで決まる。モンスターを2枚引かれたら私の負けです。
「コスト5でタイムフェアリーを召喚。1枚ドロー」
「タイムフェアリーですか。普段なら怖いですが、この状況であれば癒しですね」
2mの時計の上に時針と分針を持った妖精が現れた。
5 モンスター タイムフェアリー 属性:フェアリー
効果:1ターンにつき2回使用できる。
自分の場のモンスター一体を攻撃済み状態にして発動する。このモンスターはこのターン中もう一度攻撃できる。
説明:時間を奪って弄る妖精
攻撃力:3 防御力:2 ライフ:5
しかしタイムフェアリーを入れているなんて意外ですね。タイラントドレイクと相性の悪いですのに。
「強がるんじゃないよ。タイムフェアリーでプレイヤーに攻撃」
タイムフェアリーは分針を投げつける。
「アクションストライク。藁人形の呪術を発動します」
大きな藁人形に分針が刺さった。
4 魔法 藁人形の呪術 属性:アヤカシ
効果:アクションストライク。ダメージを0にする。その後自分のターン終了時に
減らした分のダメージを受ける。
ギリギリセーフでしたね。
「油汚れのようにしぶといじゃねえか。そういうの嫌いなんだよ」
「それはお互い様ですよ」
案外ずるずると長く続きますね。こういうのもスリリングで楽しいですね。一歩間違えれば死ぬスリルがたまりませんよ。
私の9ターン目ですね。
「ドロー。チャージ。コスト2で忍法訓練所発動。忍法訓練所の効果で墓地の分身の術を回収します。マスターニンジャでプレイヤーに攻撃します」
「アクションストライク。フロストシールド」
巨大な雪の結晶に攻撃を阻まれる。
2 魔法 フロストシールド 属性:フェアリー
効果:自分の場に属性:フェアリーのモンスターかいるならこのカードはアクションストライクを得る。
モンスターの攻撃を無効化する。
盗賊は笑いました。
「これ以上は無駄だよ。攻撃するのは止めな。私は手札にアクションストライクを持っているからね。足掻くのをやめてターンを終了しろ」
「へっ。本当にアクションストライクを持っているなら、攻撃する気を無くすようなことは言わないんですよ。妖刀 ムラマサでプレイヤーに攻撃致します」
盗賊:ライフ8→5
「コスト2で忍法 分身の術を発動します。マスターニンジャに使いますよ」
マスターニンジャが二人に増える。
マスターニンジャが盗賊を斬り伏せると、モンスターが消えました。
「危なかったですわ。少々不謹慎ですが、こういうのもたまには楽しいですわね。決闘ありがとうございました」
私は盗賊に握手をしようとする。
盗賊は手をはねのけた。
「勝ったから楽しいんだろう。いたずらに人をいじって楽しいかよ。こうなったのも何もかもお前のせいだ。細々とやっていたのに、お前のせいで有名になって矢面に立つことになったんだ」
「非の打ち所がない正論ですね。ただしあなた達が他人様から奪ったお金でカードパックを購入している人間ではなかったら……の話なんですけど」
カードは貴族の特権という風潮がありますが、実はお金さえあれば誰にも使えるのです。
全国各地の盗賊がカードを使う知恵を得たのも、私がカードを使う盗賊に負けたという情報が広がり、カードは貴族の特権と言う風潮を吹き飛ばしてしまったせいでもあります。
「今回のことで私は様々な人に迷惑をかけました。勿論あなたも私によって迷惑をこうむった人の一人です。今回してしまったことの反省はします。ですがあなた個人に対して謝罪する気はありません。あなたは弱いものいじめをする犯罪者ですからね」
そもそも盗賊さんに他人のお金を奪ってカードを買うという発想がなければ、こんなことにもなっていませんでしたからね。
マイノネ王子は服の上半身を破いて私に着せた。ありがとうございます。
「やるだけやってこの言い草か。最低だな。こんなマナー悪いの親戚にしたくねえよ」
「大丈夫ですよ。私みたいなのは第四王子と結婚できませんから」
あれれ。本編よりもマイノネ王子の性格が悪い。記憶に齟齬がありますね。これが8年経過したせいで知識があやふやな者の弱みですか。
だいたい知っているというのは
「それに遅まきながら訂正しますが、勝ったから楽しいのではなくて、良い決闘が出来たから楽しかったのです。強者と全てをぶつけあって勝ちたいという欲もないこともないですが、基本的には全力でぶつかった決闘は勝敗に関係なく尊いのです」
「勝ち逃げすんなって言ってたやつの態度じゃない。人格いくつあるんだ」
一度目はロックバーンと知っていたにも関わらず、防御力が高い反撃持ちのモンスターの存在を考慮していませんでしたね。
ロック戦法をする以上防御力の高いモンスターは入れていていないとおかしいのに、対策していませんでしたし。あの戦いで貫通持ちに頼り切ってはいけないと学習しましたよ。
「何言ってんだお前。あれは完全に運だろ」
「まあ多少運は存在しました。しかし前回とは違いメタカードも入れましたし、効果を上手い事利用できていました。私も一度目は敗れ去りましたが、二度目から相手の効果や攻撃をうまいこと使うように意識しましたし」
マイノネ王子との戦いでも、武装カードの効果を逆手に取っていましたしね。
盗賊は番兵さんとマイノネ王子によって連れて行かれました。リベンジ出来て良かったです。
無事に帰りました。
「また怪我したのですか」
「今回は軽い火傷でしたのでセーフです」
「ご主人様が帰ってくるまでに治しておいてくださいね。お嬢様の独断行動のせいで私達がなにかグチグチと言われるのは嫌ですから」
「分かりました。なるべく自重します」
余計なことすんなという圧力を感じましたね。