※聖杯の中
ライダー(´・ω・`)「結香の中、あったかいナリィ・・・・・・」
ライダー(・ω・`)「・・・・・・」
ライダー(´・ω・)「・・・・・・」
ライダー(´・ω・`)「誰も来ない・・・・・・」
『おい―――るか―――』
誰かの声が聞こえる、重厚で低い男性の声だ。
『―――ろ、―――しろ』
晴彦はうんざりしながら瞳をなんとかこじ開ける。
ぼんやりとした視界がだんだんとクリアになり、周囲の様子を確認すると、そこにはとある人物がいた。
『おせーよ、さっさと起きろ。ったく、それでも俺を殺した人間かよ・・・・・・』
「・・・・・・セイバー?」
鉛のような肉体に強い意志を感じさせる瞳、晴彦の身長を余裕で超す堂々たる偉丈夫。
今次最優のサーヴァント、セイバーの姿があった。
なぜ彼がここに、セイバーは間違いなくアーチャーが倒したはずだ。
普通に考えてももう出会うことのない人物と思っていたが故に、晴彦は面を食らう。
「・・・・・・なんでセイバーがここに? それよりここは」
よくよく考えれば自分のいる空間もおかしなことになっている。
グニャグニャにな空間の中で、どこが上で、どこが下なのか、足は地面に足がついている訳でもなく、ふわふわと謎の空間に晴彦は呆然とするのみだ。
『ア? わかんねェのか? ナルタモンガの中だよ、まぁアイツの令呪のおかげでこうして俺がいるんだが、そこは重要なことじゃねェ・・・・・・』
セイバーは右手を上に向けると、そこから五つの光が浮かび上がる。
それは美しく、そして何より圧倒的な力強さを感じさせるものだった。
『時期に俺の自我は無くなる。だがせめてもの選別だ、使え』
そうして浮かび上がった五つの光はセイバーの下から離れ、晴彦の胸に入り込む。
それは同時に、晴彦はとある記憶が晴彦の頭に駆け巡る。
「―――セイバー、これは・・・・・・」
『俺のスキルだ。ただ、神性はお前には毒だし、アーチャーは毛嫌いするだろ。お前は俺に勝ったんだ、ならばすべてを手にする権利がある』
高い対魔力を筆頭に戦闘を補佐する優秀な各種スキル群。
喜ぶ前に、その濃密な力にどうにかなりそうなぐらいだった。
スキルと言えど、英雄が生涯をかけて体得した技術に変わりない、それはまさしく人の手に余るものと言えるだろう。
それでも、セイバーは託した。
他ならぬ、戦士として願いを叶えた礼として、セイバーはそれを与えたのだ。
『せいぜいうまく活用しな。俺に勝ったんだ、敗北は認めねェからな』
「手厳しいな」
『ケッ、面白くねェガキだ。さて・・・・・・』
ゆっくりと、セイバーは溶けゆくように霧散していく。
彼は膨大な魔力の塊となり、ナルタモンガと一体化するために。
『―――アイツを頼む。できるなら死なせるなよ。何せ俺のお気に入りだ』
「・・・・・・約束しよう、これ以上、俺は誰かを殺したり、殺させたりするもんか」
『―――ケッ、俺に啖呵切れるなら十分か。その言葉、忘れんなよ』
その言葉を最後に、セイバーは塵となって消え去った。
晴彦はその様子を最後まで見続けると、視界が暗転するのだった。
「晴彦、気分はどうだ?」
眼を開けば、アーチャーが晴彦を覗きこんでいた。
「アーチャーか、正直いって少し辛いな」
「済まない、この先も無理をさせるかも知れないよ」
アーチャーはそう言うと、晴彦は周囲を見渡す。
そこは何時か見た聖オルレアン学園の聖堂前であり、レイヴや、セイバーのマスターと思われる少女が話し込んでいた。
「キャスターは?」
「ご丁寧に此方に向かって来ている。晴彦、分かっているよね」
アーチャーは確かめるように晴彦に問いを投げうつ。
晴彦も分かっているようで、静かに一人頷く。
「あぁ、キャスターの正体が俺の想定通りなら、今回の戦いの機転は俺だ。
―――最も、推論でしかないだろうけどな・・・・・・」
「それでも、指針があるかないかであればあった方が何倍もいい。晴彦・・・・・・」
アーチャーがソレを見つけると、晴彦はアーチャーと視界を共有する。
それはまさしく、宙を翔る舟だ。
「来たか、キャスター・・・・・・!」
戦艦もかくやとばかりの巨大な舟。
人形の漕ぎ手によって空という海を進む神代の魔女が造り上げた奇蹟。
現代の魔術では及びもつかない、圧倒的な神秘の結晶が悠々と聖オルレアンに集うサーヴァントを狙い、ゆっくりと前進していく。
その舟の先頭に立つ一人の女性は教会を見据えると、ゆっくりと体を傾け、舟から落下する。
「―――晴彦」
「あぁ、来るぞ・・・・・・!」
魔女が落下するのはつかの間、魔女はその体を徐々に変化させていき、やがては大鷲へと変化する。
晴彦たちは教会前にて集まり、段取りを確認する。
「アサシン、分かっているな」
嫌々という風にレイヴは心底嫌みったらしくアサシンに確認をとらせる。
アサシンは肩をすくませながら、ナイフを片手にもち、嘆息しつつ答える。
「言われずとも、それにしても客人を迎えるには身支度の時間ぐらいは欲しかったな」
「何を悠長なことを言ってるのかしら、なんならここで帰ってもいいのよ?」
「それは止めてくれ、さすがに一人ぼっちは寂しい。君もそう思うだろう」
「ノーコメントで。と言うよりも、俺もどんな段取りか把握してないんですが・・・・・・」
ぼんやりとそんな軽い会話を交えながら、彼らはキャスターが降り立つのをただ待ち続けた。
「迎撃もせずに待つなんざ、耄碌しちまったかい? アンタらは」
嘲笑する魔女、フードを被ったその素顔は伺うことは出来ないが、晴彦には確かに魔女が笑っているということは分かっていた。
しかし、そんな彼女に相対するは一人のサーヴァント、アサシンであった。
「これは手厳しいなキャスター。なに、我々も考えあってのことだ。戦うにしても線引きは必要だろう? 相手を打ちのめして勝ったとしても、そこで力尽きてしまえば何ら意味はない。バックスタブは御免だろう」
「口先だけは一人前かね」
「腕もたしかだそ、なにせ私は医者だからね」
アサシンとキャスターはそんな掛け合いもそこそこに対話をすすめる。
そんな中、晴彦はアーチャーから事情を念波で聞いていた。
(さて、晴彦。アサシンが時間を稼いでいる間で申し訳ないが、事態の推移を話しておこう。まずもって、君は囮に使わせて貰う)
淡々とアーチャーは作戦を告げた。
(キャスターの目的、もとい彼女の狙いは聖杯の確保にあるというのが我々の目論見だ。それも破滅ではなく、どちらかといえば豊穣を司るものだと言えよう)
古今、聖杯やそれに近いものとして様々なものが列せられる。
こと、聖杯戦争のという儀式に関しては、願いを叶える物品であればそれは聖杯と言えるだろう。
そういったカテゴリーであれば打出の小槌であろうと魔法のランプであろうと聖杯とされるのがこの戦いだ。
(キャスターの狙いは君の確保、他にもねらいがあるのかも知れないが、今はそう思っておこう。それに、バーサーカーにそのマスターもいるな。相手も総力戦の覚悟だ)
アーチャーの説明の最中、更に事態は変わり続ける。
教会の扉を開くと、神父が顔を出して話に加わる。
「これはこれは皆さまお揃いで、如何なる用事でこられたか。教会は中立ですので、まさかここで戦闘をなさる訳ではないでしょう?」
白々しい反応を見せる神父は警戒しつつも前に出る。
一定の距離を保つキャスターとアサシンの近くに寄るとキャスターを無視しながらアサシンを注意する。
「特に君はなんだね、サーヴァントかい」
「いいえ、マスターです!」
親指を立てながら自信満々にのたまうアサシン。
神父のこめかみに青筋が浮かぶ。
「はぁ・・・・・・聞いてないよ。全くもって厄介だ。そういうイレギュラーが一番困るんだよ、特にレイヴ・ロザン。ああいったかくし球はなんだ」
「サーヴァントじゃない。私は確かに脱落した」
「十分に戦闘可能な力を隠し持って尚言うか、面の皮の厚い男だ」
「フヒヒ、サーセン」
「そんなことよりこれ見てみろよ、さっきエロ本拾ってさ。このアングル凄くね。すげぇ、ムラムラする」
「ふん、たかがエロ本ごときで・・・・・・、ほぅ・・・・・・」
「神に仕えるものとしてそんなもの・・・・・・、うはっ・・・・・・!」
(アーチャー、なんかアホな会話しているぞ)
思春期の男子校生もかくやの会話を繰り広げる三馬鹿、神父さんの反応が生々しいのはなんでたろう。
現にセイバーのマスターはドン引きしていた。
(安心してくれ晴彦、僕もそう思う。というかハーペン神父は凄いね、打ち合わせ無しで見事に溶け込んだぞ・・・・・・)
その言葉を耳にし、晴彦は察す。
(あぁ、成る程。煽ってるのか)
真面目な話をしようとしていたら、突如としてアホな会話に巻き込まれた。
キャスターからしたら堪ったものじゃないだろう。
(プライド高そうだしなぁ、キャスター)
煽りだというとはキャスターも分かっているだろう、一見キャスターが先に手を出すとは晴彦は思えなかった。
「・・・・・・なんだいアンタら? それで煽ってるのかつもりかね?」
「・・・・・・」
こみ上げる怒りを抑えるかのように、体を震わせながらも笑顔を忘れないキャスター。
控えめにいって、ちょっと恐い。
笑顔とは本来攻撃的な一面を持つというが、それを晴彦は身をもって味わっている。
しかし、当の本人であるアサシンはケロっとした顔でキャスターを見つめ、そして途端に笑顔になる。
(あっ、これアカンやつだ)
晴彦が思ったのもつかの間、アサシンは最高の笑顔を浮かべ、その禁句を口にする。
「なんだ嫉妬か? 残念だが君は守備範囲外でね、どうせなら娘でも持ってこいよ!」
「は?」
旋風の如く巻き上がる魔力、プレッシャー。
怒気はアサシンだけではなく此方にすら感じるが如くの存在感を放つキャスターの感情の波は一気に巻き起こる。
見上げれば船体は此方に向き、舟に乗る全戦闘者が構える。
「吼えたな小僧、それが分かってることならアタシはアンタを殺さなきゃならん」
「勿論、分かってのことさ。ウチにはいい情報参謀がいるからな、羨ましいだろう?
―――北の国の女主人、ロウヒ」
【CLASS】キャスター
【マスター】ヨーゼフ・ウッド・アルビオン
【真名】ロウヒ
【性別】女性
【身長・体重】166cm・50kg
【属性】中立・悪
【ステータス】筋力D 耐久E 敏捷B 魔力A+ 幸運C 宝具??
【クラス別スキル】
陣地作成:A+
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。
”神殿”を越える”領地”を形成する事が可能。
道具作成:A
魔力を帯びた器具を作成できる。
【固有スキル】
呪歌:A+
フィンランド土着の、歌を基盤とする魔術系統。
北の魔女として振るわれる、およそ何人たりとも敵い得ぬ究極の唄。
彼女を超えるのは彼の“賢者”のみ。
高速神言:A
呪文・魔術回路との接続をせずとも魔術を発動させられる。
大魔術であろうとも一工程(シングルアクション)で起動させられる。
変身:C
鳥になって空を飛ぶことも、魚になって水の中を泳ぐことも出来、諜報活動、戦闘からの離脱に適する。
【Weapon】
『魔法の臼窯の破片』
本来は宝具級の品であるが、バラバラに砕け散ってしまい、その能力を十全に発揮することは出来ない。
所持者にCランクの黄金律を付与する。
瞬間、凍てつく氷がアサシンの足元へ浮かぶ。
アサシンはそれを紙一重で避けると、大きく後ろへと後退する。
「吼えたな、容赦はしないよ。せいぜい足掻きな」
魔力を通すことで魔術を顕現するキャスター、恐ろしいのはそれを同時並行で進めることであろう。
「
響く旋律、周囲を包むその呪歌は恐ろしいまでに美しく、それでいて魅せられた。
そしてそれは、サーヴァントであるからこそ分かる。
響く旋律は、抗いきれないものであると、それは対魔力であっても同じことである。
事実、この歌に対処できるのは、聴覚を持たないものか、同じ呪歌を持つものに限られると。
だからこそ、彼女は行動へ移る。
「
呪歌に対抗できるのは同じ呪歌のみ。
ケイオスマジックの最大の特徴はその利便性にあることを彼女―――早瀬七海はよく知っている。
呪歌についても一通りのことは把握済み。
そして、同じ呪歌を嗜んでいるからこそ分かる圧倒的な彼我の能力の違い。
文字通り、桁が、格が違う。
だが、それでも十分すぎる隙である。
「―――タロスッ!」
手に持つは決して尽きぬ槍、全身から熱を放出し、投げ穿つは宙に浮遊する舟。
速度は音速を超え、ミサイルのごとく、直線状に迫りくる投槍。
「チッ―――メッツァンクニンガス!」
キャスターの声に合わせて出たのは一体の大熊、大熊は自身を盾として身を挺して舟を守る。
熱をもった投槍は、大熊を内側から焼き、激しい断末魔を上げると、地へと堕ちる。
「いいぞレイヴ・ロザン! 舟を狙え! 女史は少しでも呪歌を妨害しろ! アーチャーのマスターわかっているなッ!」
指示の中心はアサシン、専科百般の能力は伊達ではない、古い知識の中には確かに軍略を理解しての行動だ。
キャスターの精神を揺さぶり、有利な戦況に追い込み、決して不利な戦いをしない。
「やれやれ、先に手を出されては、教会として何もせずにはいられないな。
―――キャスター、貴殿は我々聖堂教会の敵ならば、覚悟はできているだろう?」
神父もまた黒鍵を構え、戦場を駆ける。
「―――神は人を追い出し、エデンの園の東に、ケルビムと、回る炎のつるぎとを置いて、命の木の道を守らせられた」
それは秘蹟ではない、秘蹟とカバラ数秘術を基にした魔術を組み合わせた彼の使う秘術。
代行者出身の元過激派と呼ばれる魔術師狩りの王とされた男である。
「
炎を纏う黒鍵、燃え盛る蒼き炎に身を包む聖職者。
これぞ人間の終着点、数少ない才能を伸ばし、鍛え上げ傑物となった人類最高峰の能力の一つ、その集大成である。
そう、誰も彼もが全力を以て戦っている。
元は敵であった人々がたった一人の大敵に対し、全力を以て立ち向かう。
「アーチャー」
もう、足手まといなんかじゃない。
なぜなら、彼は力を手にした、彼にとっては過ぎたるものかもしれないが、それでも、戦えるならば隠し通す必要もないだろう。
「―――全力を出す、だから頼む。お前の力を見せてやれ」
「晴彦、君は―――」
覚悟はとうに決まっている、起動の為の言葉は簡単だ。
逃げ惑う日々はもう終わり、これからは立ち向かうための想いだけだ。
「―――宝具解放、『
莫大な魔力が晴彦から沸き立つ、そしてその多くを、パスを通してアーチャーへと受け渡す。
今までとは天と地ほどの差のある魔力を一身に受けるアーチャー、心なしか体が軽くなり、それは身体能力の向上という形で現れたほかに、様々な恩恵をその身で感じていた。
「―――本当に、とんでもない男だよ・・・・・・!!」
【CLASS】アーチャー
【マスター】葛西晴彦
【真名】ラーマ
【性別】男性
【身長・体重】178cm・82kg
【属性】秩序・善
【ステータス】筋力A 耐久A 敏捷A 魔力A 幸運B 宝具⁇
【クラス別スキル】
対魔力:A(C)
A以下の魔術は全てキャンセル。
事実上、現代の魔術師ではアーチャーに傷をつけられない。
マスターの支援、ナルタモンガの効果により本来の効果より上昇。
単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。
【固有スキル】
神性:-
ヴィシュヌ神の化身であり、本来は破格の神霊適正を持つが、
ラーヴァナとの戦いのために、このスキルは意図的に失われている。
千里眼:B
視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。また、透視を可能とする。
さらに高いランクでは、未来視さえ可能とする。
透化:B
ヨーガの呼吸法と瞑想による修行・鍛錬によって培った心身を完全に制御する技術
プラーナーヤーマによる精神統一のため精神面への干渉を無効化する精神防御。
聖仙の弟子としての解脱の域としての気配遮断を行うことができる。
マントラ:A
主にインドで独自発展を遂げた魔術体系。
サンスクリット語の聖言を用いて魔術を行使する。
ラーマは聖仙ヴィシュヴァーミトラの下での修行時に、数多くの真言を習得した。
カリスマ:A
大軍団を指揮する天性の才能。
Aランクはおおよそ人間として獲得しうる最高峰の人望といえる。
天性の肉体:A
今は亡きセイバーの能力。
生まれながらに生物として完全な肉体を持つ。
このスキルの所有者は、常に筋力と耐久がランクアップしているものとして扱われる。
アーチャーはヴィシュヌの転生体と呼ばれており、おおよそ常人の及ばざる能力を持つことは想像に難くないために顕現した。
戦闘続行:A+
今は亡きセイバーの能力。
往生際が悪い。
霊核が破壊された後でも、最大5ターンは戦闘行為を可能とする。
インドラジットより瀕死の重傷を負いつつも耐え続けたことにより顕現した能力。
幻想殺し:EX
今は亡きセイバーの能力。
数々の天使、精霊、竜種を殺した者の能力。
天使、精霊、竜種などの幻想種に対して優位な判定を行うことが出来る。
アーチャーは主にアスラと呼ばれる悪魔種に対しさらに有利な判定を行うことができる。
全サーヴァントの真名発覚。晴彦君の真名的中率はおよそ5/7である。
なお、アーチャーの能力上昇は、潤沢な魔力により全ステータスワンランク上昇、天性の肉体によりさらに筋力、耐久値がワンランク上昇です。
セイバーのように本来の使用方法でナルタモンガ使った場合、数時間もしないで晴彦君は死にます。
個人としてではなく、サポート方面としては間違いなくチートクラス、チートマスター。とてもじゃないけどまともじゃない。