アーチャー、ランサーが☆4
セイバー、ライダーが☆3
キャスター、バーサーカーが☆2
アサシンが☆1かな?
セイバーは☆1でもあり得そうだな(宝死茶を見つつ)
「―――ガハッ、ゲフッ!! ゴホッ! ゴホッ―――!!」
戦闘終了後、晴彦は雪原で血をぶちまける。
白い雪化粧はあっという間に血に染まり、晴彦は流石に膝をつく。
「・・・・・・あの子は大丈夫かね?」
「―――晴彦は強い子だから」
「お、おう・・・・・・」
アーチャーは顔では笑みを作ってはいるが、内心、怒りの気持ちでいっぱいだった。
笑顔とは本来攻撃的なものである。
キャスターはその意味を理解し始めていた。
「―――フゥ―――ッ、―――フゥ―――ッ。・・・・・・大分楽になったよ、ありがとう神父」
「いえいえ、それほどでも。しかし、無茶はいけませんよ。体内器官がズタズタでしたよ、無茶し過ぎです」
「・・・・・・ははは、神父さんだって、筋繊維がズタズタで動けないじゃないか」
「私も若くはありませんからね、視界もようやく戻ってきた」
心なしか、アーチャーの目が鋭くなる。
第三者であるキャスターだからこそわかる、アーチャーはイラついていることに。
滅多なことでは怒りを面に出さないアーチャーであるが、今回ばかりは彼の琴線に触れてしまったのだろう、鋭い視線を晴彦に送っている。
ただ、現在はキャスターの固有結界内、キャスターを信用できないために、いつでも殺せるようにアーチャーは警戒を密にしている。
そしてそれはボロボロの神父とて同じことだ。
この場で何かすればそれは即ちキャスターの消滅に繋がってしまうことは想像に難くない。
「大分、ぶっ飛んだマスターに遭ったんだなアーチャー。ま、ウチの盆暗よりか遥かにマシそうだ」
「・・・・・・ちょっと前はこんな子じゃなかったんだけどね。覚悟を決めたのはいいけど、これは想定外だよ・・・・・・」
アーチャーは深くため息を吐く、最初からそれなりの覚悟をさせたが、まさか最終的に身を削るほどに覚醒するとは思わなかったのだ。
晴彦の覚悟はそれなりに好ましいモノであり、アーチャーの感性にも見てみたいとも思った。
だからこそ晴彦の制止を了承し、キャスターの拘束に留めているのだった。
「あー、キャスター。まず質問なんだが、この空間にいる限り外部との連絡は不可能なんだよな」
「そうだね、基本的に不可能さ。念波程度なら出来なくもないが実用性には欠けるね、視覚の共有も不可能。魔女の大魔術というのはそれなりに強大ってことさ」
基本的に固有結界は対話の邪魔されない空間である。
それもそのはずだ、何せ空間そのものが現実と切り離されている。
自らの心象風景を具現化した世界、それが固有結界であり、キャスターの場合、それは己が領地であるポホヨラの領地であった。
「―――成る程、なら基本的に邪魔は入らないということか。ゲホッ!」
駆け寄ろうとするアーチャーを手で制止しながら晴彦は血に染まった痰を吐き出す。
そこから軽くのどの調子を整えると、再度キャスターに向かい合う。
頭もそこそこ切れる、そして成長したのか、並以上の胆力をもち、逆にこちらが気圧されるほどに闘志に満ちた目をする。
一端の戦士でもこんな男はそうそういない。
キャスターは晴彦の評価を上方修正しながら対話に臨む。
「・・・・・・単刀直入言う。キャスター、協力出来ないか?」
「それはアタシにあの男を裏切れと?」
艶やかな笑みを浮かべるキャスター。
雰囲気が一瞬で変わり、粘つく視線を晴彦を品定めするようにじっと見つめる。
そして、それに動揺するほど晴彦は若くはなかった。
初志一貫、晴彦の目的は犠牲無く聖杯戦争を終結させることだ。
そこに雑念はなく、付け入る隙は無い。
もとい、考えてすらいないだろう。
「キャスター、貴女の願いは『サンポ』を取り戻すこと、あるいはそれに代わる代物を手に入れることだろう?
いや、あるいはカレワラの地の復讐もありそうだ。そして前者はこのナルタモンガで、後者は俺たちが破壊しようとしているモノで可能。そうだろう?」
「・・・・・・」
口を閉じるキャスター、沈黙は肯定、すなわちそういうことなのだろう。
晴彦は口元を拭いつつ、畳み掛けるように言葉を継ぐ。
「前者に関しては認めない、これは絶対だ。そして、後者に至っては譲歩するとしても限度がある。笑ってくれ、これが俺らに出来る最大の報酬だ」
「交渉にすらならないね、そしてその場合にしてもアタシを殺せばいい。全く難儀なもんだよ」
決裂は即ち死。
キャスターの存在はそれだけ強大だ。
現状を考えれば殺すのが一番効率が良い、しかし、アーチャーのマスターはそれをしない。
それが最大の疑問であった。
「だからアタシを殺しな、それが一番楽なはずだ。アンタが勝利者なら、アタシの死を有効活用するべきだよ」
彼女からしたら珍しいぐらいの忠告、自分の旦那以外の異性に対してはそれほど親しくはなかったキャスターにしてみれば驚嘆するほどの変化である。
存外にキャスターは晴彦を気に入っている証拠でもあった。
晴彦はしばし沈黙し、そして口を開く。
「仮に、そう仮にだ。マスターが自身のサーヴァントを失ったとして、次にどんな行動に出る?」
晴彦は視線を神父に向けると、神父は淡々と告げる。
「サーヴァントを失ったマスターは原則教会に保護されることとなりますが、そのマスターが教会に喧嘩を売ってきた訳ですから、それ以外にも前セカンドオーナーの殺害など余罪があります。あのヨーゼフ・ウッド・アルビオンのことですから、まず間違いなく逃げるでしょう。誰にも見つからないように、教会にも察知されないように」
極論すれば、セカンドオーナー殺しも教会襲撃もまず間違いなく聖杯戦争という括りから見れば十分な離反行為なのだ。
それをしたからには教会、協会双方からの襲撃があってもおかしくはない。
疑わしきは罰せよ、古来からそれでやってきたのが協会と教会なのだ、だからこそ教会を敵に回すということがどれ程危険かというのかはわかる。
そして、ヨーゼフ・ウッド・アルビオン自体名の知れた魔術師、しかしながらその魔術の腕に関しては厳重に秘匿されている。
そんな男の研究成果が手に入るとすればこれほどおいしいことはない。
加え、ヨーゼフ・ウッド・アルビオンの魔術成果を見、あるいはその完成型に触れたとすれば、まず間違いなく封印指定は免れない。
何せ死なない肉体だ、死徒化を経ずにその様なことが可能と知れば誰もが欲すであろうことは想像に難くない。
「そうだ、サーヴァントを失ったヨーゼフ・ウッド・アルビオンはまず間違いなくこの町を離れる。相手は百戦錬磨の魔術師だ、きっと俺が想像できない手で何とかしてくるだろうな。そしてまず間違いなく、聖杯の居場所もわからなくなる」
「・・・・・・それはどういう―――」
その疑問を打ち出したのは他ならぬキャスターだった。
その言葉故に、晴彦は一縷の望みを願いながら、言葉を続ける。
「今回の小聖杯、近衛結香。消耗した状態のサーヴァント、そしてお誂え向きに用意されたキャスターと俺たちの総力戦。俺だったらまず確保すべきはこのナルタモンガじゃない。近衛結香の小聖杯なんだよ」
そう、レイヴからの話を統合するに、ヨーゼフ・ウッド・アルビオンが求めているのは未だ行方のわからない小聖杯。
そもそもこの聖杯戦争があらかじめ想定されていたものからずれていることもあり、敵は一刻も早くそれを確保したいだろう。
「―――なるほど、つまり・・・・・・」
晴彦は深く頷く。
それは晴彦、あるいは何も知らない一般人からすれば恐るべき想像であった。
唇を震わせながらしっかりと言い切った。
「小聖杯を持ち逃げされる可能性がある。そして同時に、この聖杯戦争が別の場所で行われるだろうな」
晴彦はゆっくりと、眼鏡を外す。
服の袖でレンズを拭きながら、晴彦はキャスターに問いかける。
「なぁ、キャスター。教えてくれ、お前に何の関係もない人間が傷つけられたとして、どう思う?」
「どうも感じないね、所詮は赤の他人さ。それに、それでも構わないさ。別のところで聖杯戦争があるなら、それはそれでアタシにもまた再度召喚される可能性があるって事だろ」
紛れもなく本心。
そりゃそうだ、所詮は赤の他人、自分に火の粉が掛からないならそれでいい。
誰もが思っている、自分がよければどうでもいい。
「そうだな、自分がよけりゃそれでいい。誰だってそう思う、俺だってそうだ。こんな戦いが無ければ、自分の罪に向き合うこともなかっただろうさ。
―――逃げて逃げて、逃げ続けた果てで、それなりに幸せな人生を歩めることもあっただろう。だがそれだけだ」
ぼやけた視界、キャスターの姿すらあいまいな状況であっても、魔女の姿を瞳に捉えたまま、晴彦は言葉を続ける。
「この聖杯戦争、何もかも失った訳じゃない、俺は俺なりの答えを見つけたんだ。そこに後悔はない。だからこそ、これに参加した俺たちは、俺たちだけで決着をつけなくちゃいけない。ほかのだれでもない、俺たちがだ」
ゆっくりと眼鏡をかけ、キャスターから一瞬だけ、視線を外す。
外気に晒され、ひやりとしたフレームが痛いくらいに晴彦の意識を覚醒させる。
「他人に迷惑をかけるな、大人なら当たり前のことだろう。広げた風呂敷は、きちんとたたんで返しておけ。他人だからこそ、自分の負責を人に押し付けるな。なぁ、ポホヨラの女主人。お前はサンポが無くなったからってヘソまげて領地を投げ出したのか?」
「・・・・・・悪性の英雄であるアタシに言うことかねぇ」
「貴女はまともだろう。アサシンみたいに自分勝手な狂人じゃない。少なくとも話せばわかってくれる相手だとは思っている。・・・・・・それに」
そう、キャスターは悪性の英雄だ、それは属性を見れば一目瞭然だろう。
しかし、話がまるっきり通じない相手というわけではない。
晴彦はこれまでの会話からそれを十分に理解していた。
晴彦は微笑を浮かべながら、力を抜いてキャスターと話し合う。
「今なら、ただの仮定の話だ。けどな、自分が召喚された聖杯で別の被害が出たんなら、それは他人事じゃない。完全な俺たちの負責だ。俺たちの責任なんだよ。善だ悪だ関係ない、やるべきことはきちんとしろ、それともなんだ、そんなことも出来ないのか?」
告げる晴彦の説得、何とも陳腐な言い訳だ。
だが、それなりに納得はできる。
「一つ。そう、一つだけ、アタシの願いを聞いてくれるなら協力するのも構わない」
「聞こう」
おそらく、その願いが唯一の活路、その一点がどれ程の物かはわからない。
それでも、それを叶えなければきっと聖杯にはたどり着けないだろうから、彼らはキャスターの口から開かれる言葉を待ち続けるのだ。
「頼む、あの馬鹿マスターを殺してくれ。それだけが、全てを終わらせるまでに叶えてほしいアタシの心残りさ」
「・・・・・・マスターに手を出されないように令呪を切られているのか」
普通に考えてキャスターはマスターに手を出せない、そう考えるがキャスターは首を振ると、重い溜息を吐きながら説明を始めるのだった。
「ヨーゼフ・ウッド・アルビオン、それがアタシのマスターさ。才能は劣等、一点特化型の歪な魔術師。自らの魔力不足もさることながら、サーヴァント使役による魔力の枯渇を恐れてキャスターのサーヴァントを召喚した盆暗マスターだが、厄介なことに、あの馬鹿のその唯一の能力が厄介でね」
魔術師としては頂点の一角に立つキャスターからしてみれば、現代の魔術師などほとんどが劣等、あるいは才能なしの烙印を推されるだろう。
ヨーゼフは中でも劣等中の劣等であるが、その特化した魔術が異常だった。
「有体に言えば、死なないんだよ。死ぬことが出来ない」
「不死身か、何らかの制約で縛ってるとかか?」
不死身と言えば魔術師の世界で思い浮かぶのは死徒である。
それ以外にも不死、あるいはそれに近い存在もあり得なくはないが、基本的に死徒が当てはまるだろう。
しかし、ヨーゼフの肉体はそれとは一線を画す
「いいや、一言でいえば、水の化け物。肉体を液体生物と化している。そして何より厄介なのが、その水の状態から固体、気体へと肉体の形状を変化させることさね。核の部分もなく、どこが欠けようとも接着、体積を増やすことも減らすことも可能。ヨーゼフ・ウッド・アルビオンという存在自体を殺すことは非常に難しい。それこそそういった概念で存在ごと消滅させるのが唯一芽があるけど、アタシじゃ力不足だ」
「封印は出来ないのか?」
「できないし。そもそも封印ていうものはそれなりに時間をかけないといけない。一分一秒が大切な戦闘でそれができるやつはそうはいない。肉体というより、液体の一滴、分子の一つでも逃がしたら奴は必ず再起を図る。ただひたすら死に難い。厄介な生き物と化しちまったのさ
―――けど、それでも可能性があるなら賭けてみたい。アーチャー、アンタの弓ならそれは可能だろう」
アーチャーの最終宝具『梵天よ、終焉へ帰せ』は不死にとっての特攻宝具。
ランクは最上級のEXであり、成る程これならばと思う。
「可能だろう。けど、それこそ分子ひとつ残らず消し去るのは難しいだろうな、何せ対人宝具だ。広範囲に気体と化したら殺し切るのは不可能だ。それこそ、頑丈な檻を容易する必要がある」
何もかもが絶望的。
そして何より、それほどまでにヨーゼフを止めることはほぼ不可能であることだ。
多くを守るためにヨーゼフという個人を殺すやり方しかできない身としては心苦しいが、多くの隣人や友人が巻き込まれる可能性をもつ聖杯を止めるためには避けては通れない道だった。
しかし、晴彦のそんな想いを裏腹に、キャスターは笑みを浮かべると、我が意を得たりという表情でとある一言を口に出した。
「いいや可能さ。そう、アサシンがいるならアタシとアンタとアサシンの力があれば、あれを殺すには事足りる」
そう答えたキャスターの口から告げられるその策に、晴彦たちはしばし聞き入ったのだった。
Prototype風にマスターの力量を決めると
一位熾天使 近衛結香 魔力量。魔術回路の量、質が豊富。加え身体能力も高い。精神性が幼い
二位智天使 五号 魔力量。魔術回路の量、質が豊富。魔力供給に特化
<人外の壁>
三位座天使 レイヴ・ロザン 時計塔のロード。魔術の腕や回路は破格、人生経験豊富
四位主天使 早瀬七海 若いながらも才能に関してはレイヴを上回るが、若く回路の質は劣る
<才能の壁>
五位力天使 アサシンのマスター 死亡済み、アサシンの中、あったかいナリィ
六位能天使 ヨーゼフ・ウッド・アルビオン 凡才で特化型、魔術回路は量が少ない、質は確か
七位権天使 八号 戦闘特化、魔力供給はそれなりであり、身体能力は今次最高
八位大天使 葛西晴彦 巻き込まれ一般人。才能はあるが、未だ開花せず