Fate/destruction   作:ニーガタの英霊

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 原作セイバー枠→アーチャー
 凛枠→レイヴさん
 桜枠→???

 ニーガタの作品で足りないのはヒロイン力だと思うの。どうやったらかわいい女の子書けるんだろう?


第36話

「ふはははははは! 見たまえ! 海巨人がゴミのようだぁ!!」

 

「うるさい! さっさと投げなさい!」

 

 屋上にて高笑いを上げるアサシンと、そのアサシンに魔石を手渡す七海。

 魔石はアサシンの手から投擲させられると爆発、何事かと驚き上を見上げた海巨人に目がけてさらに魔石を投擲する。

 アサシンの手から放たれる魔石はうまい具合に海巨人の口に投入、体の内部から見事に爆発。

 

「ふはははは、そうだ! これだ! 私はこういうことがしたかったんだ! もっと私にヒャッハーさせろぉ!」

 

「次、早く投げて!」

 

 人殺しって言うのはね、自由でなきゃいけないんだ、一人で、誰にも邪魔されなくて成し遂げるからこそ意味があるんだ。

 けど、現界してからはめっきりそういうのはない、路地裏で数人ほど殺した程度だ。

 

「俺は! もっと! 人を! 殺したいんだ! 殺すのは! できるだけ! 悪い奴! カタルシスを感じたいんだよぉ!」

 

「うるさい! 異常者!」

 

 響く爆音の中、大声で喧嘩する七海とアサシン。

 今まさに犠牲になっている海巨人からしたら堪ったものじゃない。

 

 そして見るからに倒れ伏す海巨人、専科百般は伊達じゃない、投擲した魔石、そのほとんどが命中とは中々に出来ることじゃない。

 

「殲滅! 殲滅ぅ! ヒャッハー! 脊髄が悲しく踊り、鼓膜が歓喜に震えるぜ!」

 

 アサシンは実に楽しそうだった、これまでも色々と楽しかったが、なにも考えずに馬鹿をやるのもまた楽しい。

 そんな雰囲気だった。

 

「さあ女史! 道は開けた、新たな戦場が我らを待つわけだが、どうかね? 御同伴に預かりたいかね」

 

「貴方ね・・・・・・ここで単独行動するほど馬鹿じゃないわよ。連れていきなさい」

 

 連れてってもいいが、お前の態度が気に入らない。

 

 一瞬そう言おうと思ったが、アサシンはぐっとこらえた、遺憾ながら、ちょっとだけ言いたいなと思いながらも、アサシンは七海をお姫様抱っこして、屋上から飛び降りた。

 

「了解! トランザム!」

 

 この子はちょっと頭が可笑しいんじゃないだろうかと七海は思うが、よくよく考えてみたら平常運転であったという事実でしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然の爆音、そんな状況に際し真っ先に危機を感じたのは八号であった。

 

 キャスターから借り受けた軍勢、確かに強力な一軍ではあるが、そいつらには自爆などという機能は無かった筈だ。

 ならば必然的にアサシンらの策か何かということは分かる。

 

 しかし、考えるのはそこそこ、今は目の前の障害を何とかするのが先決であった。

 そして、これからの策としては撤退すら視野に入れなければなるまいということも承知していた。

 

「―――クッ!」

 

 だが撤退そのものこそ、バーサーカー陣営としての敗北を意味する。

 この状況で何一つ戦果が無ければそれこそ親元に切られる可能性もあるだろう。

 今回は上手く、そう、あまりにもうまくしのぎ切られた。

 攻撃側としてみれば明らかな失策であったのだから。

 

 ちらりと八号は己が甲にある令呪を見る。

 

 令呪、最早一画しかない最後の奇跡、それにすがるしかないというのか?

 

 迷いは剣先を鈍らせる。

 手を伸ばせば届くモノ、それが段々と遠くなる感覚を、八号は感じていた。

 

 進むも地獄、退くも地獄。

 堂々巡りのこの状況に際し、最早どう足掻こうが無駄ではないのか?

 そんな一抹の不安を、八号は抱えていた。

 

(馬鹿を言うな、ボク! ここで諦めたらすべて終わりじゃないか・・・・・・)

 

 八号は短剣を強く握りしめる。

 

 生きたい、せめて人間らしく。

 

 世界は広く、八号は知らないことばかりだ。

 そしてそれは姉である五号も同じ。

 培養液の中で生まれ、そして創造主の命令の下その命を使う。

 

 それが本来のホムンクルスの役割だろう。

 だが、彼の主人は違った。

 ホムンクルスを生成し、そして知識を与えた。

 他ならぬ聖杯戦争を勝ち抜けるための知恵を、八号は与えられたのだ。

 

 戦闘技術、戦略、そしてどれ程ホムンクルスが矮小な存在であるかのその証明をだ。

 

 だからこそ、これは自身の願い他ならない。

 例えそういったふうに誘導されたとしても、それでも彼は自分で決めたと誓言するだろう。

 

 幻想種のように悠久の時を生きたいわけじゃない。

 ただ、ホムンクルスではあまりに短すぎるのだ。

 

 世界を回るというのは、たった五年かそこらでは完遂できないだろうから。

 

 金をためて、仕事をして、そして世界を見て回りたい。

 きっとそれは、人間じゃないとできないだろうから、他ならぬ自身の手でやりたいことだから。

 五年じゃ届かない景色に、五十年ならきっと届くと信じているから。

 

(だから、頼むから・・・・・・!)

 

 ボクの為に死んでくれ。

 

 姉と一緒に、いろんな景色が見たいんだ。

 

 いつしか、震えは止まっていた。

 諦める、そんなはずはないと、自分に言い聞かせ、前へ、前へと今は前身することしか思い浮かぶことはないから。

 

 輝く甲、それはまさしく令呪の使用他ならない。

 

「―――!」

 

 瞳に浮かぶは強い殺意。

 

 レイヴは細心の注意を払い、視線をバーサーカーへと移す。

 令呪とは文字通り己が従僕へと命じる三画の奇跡と、そう信じて疑わないために。

 

 だからこそ、気づかない、その令呪が一体誰が誰に行使したのかを・・・・・・!

 

 加速する八号、迷いはない。

 赤く輝く閃光の如く、迷いなく放たれた一矢の如く、彼の刃は敵マスターへと襲い掛かる。

 

 レイヴ・ロザンは気づかない、彼の目は遠く離れたバーサーカーを見るだけだ。

 

 取った! そう確信した、その瞬間だった。

 

『バウ―――!』

 

 加速するそのスピードについてくる一つの影、それは他ならぬ猟犬であった。

 

 テウメッソスの狐というデーパイのこの化生は何者にも捕まらない運命をもっていた厄介な獣であった。

 そんな狐の対抗馬として挙げられたのが他ならぬ猟犬、ライラプスであった。

 そしてそのライラプスの持つ運命こそどんな獲物でも決して逃がさないというものであった。

 

 何者にも捕まえることが出来ない狐とどんな獲物でも決して逃がさない猟犬。

 まさしくそれは矛盾の存在、困ったゼウスはともに運命に反しているといい双方とも石へと変わったという。

 

「―――ッ!」

 

 猟犬の牙は、八号の腕に深く噛みつく。

 ジワリと広がる熱を帯びた痛みに顔をしかめながらもなおも前進することをあきらめない八号。

 

「ああぁぁぁああああああアアアア!!」

 

 それは叫び、生きたいともがく人としての意志だ。

 刃はなおも前へ前へと、己が敵を穿つが如く進む。

 

 レイヴは振り返ることは出来ない。

 ただ、何が起きているかは如実にわかっていた。

 そして、だからこそ彼は命を下す、これが彼が猟犬に下す最期の命令だ。

 

「―――爆ぜろ、天星の猟犬(ライラプス)!」

 

 瞬間、輝きを増す令呪。

 『壊れた幻想(ブロークンファンタズム)』、猟犬はその命令を完遂するがごとく受ける。

 

 本の紙一重、突き立てられた刃を受けるその瞬間に閃光は彼らを包んだ・・・・・・。

 

 爆音、そして巻き上がる砂埃。

 主の身に危機が陥ったことを感じたタロスはバーサーカーとの距離を開こうとするが、肝心の狂戦士はなおも果敢にこちらに向かう。

 

 やがて砂埃が晴れると、金糸の髪を乱れさせ、両腕に重い火傷を帯びたレイヴの姿が見えた。

 袖は焼け、黒く焦げたその肌がどれ程のものであったかを如実に物語っていた。

 それに加え、八号の持つナイフが深々と左肩に突き刺さっている。

 急所は外したものの、レイヴは痛みに耐えかね、うめくばかりだ。

 

 そして肝心のもう片方の人影、八号は右腕を欠損、もとい、右半身を大きく焼かれ、右目に関しては完全に潰れている。

 それでもなお立ち続けるのは彼の意思がそうさせるのか、ボロボロの肉体を引きずり、レイヴの下へとゆっくりと歩みを進める。

 

「―――グッ、ハァ―――、ハァ―――!」

 

 歩みを進める度に感じる痛み。

 

 仰向けに倒れるレイヴに馬乗りになると、左肩に突き刺さるナイフを無我夢中で抜く。

 

「ガァァァア!」

 

 朦朧とする意識の中、やけに悲鳴だけは鮮明に感じられた。

 

 握りの甘い左腕でナイフを取り、頭上高く構え、心臓を狙い穿つ。

 

「―――ボクの勝ちだ、魔術師・・・・・・」

 

 八号は勝利を確信する。

 頬が引きつり、背筋が寒気を帯び、そして体が軽い、それなりに重いはずのナイフですら、その重さを感じないほどに。

 

 そして気づく、ナイフの重さを感じないという不自然さに。

 

 視界に映るは靡く白衣、慈愛に満ちた笑みを浮かべ、死神はすぐそばまで来ていた。

 

「―――アグッ!!」

 

 なんの感慨も得る間もなく、胸からはナイフの先端が生えていた。

 

 不思議な感覚だ、右半身は大火傷、左腕は切断、心臓を抉られているはずなのに、痛みを感じることはなく、それどころか何処かふわふわとした感覚が身を包む。

 

「無様だな、レイヴ・ロザン。時計塔の貴族が聞いて呆れるな」

 

「アサッ―――シン!」

 

 どこか飄々とした態度のアサシンと、そんなアサシンに怒りをぶつけるレイヴ。

 

 そんな情景にとらえることなく、ゆっくりと肉体からは力が抜け、地面に転がり落ちる。

 胸から流れる生暖かい血が異常に温かく感じた。

 

(あぁ、そうか―――)

 

 意識が落ちる寸前、ようやく八号は理解した。

 

(これが、死か―――)

 

 望みが果たされることなく、八号はその短い生涯を終えたのだった。

 

 

 

 

 

 

「手酷くやられたなレイヴ・ロザン。どれ治療してやろう」

 

「チッ!」

 

 八号の亡骸の傍らにて笑みを浮かべながらレイヴに語り掛けるアサシン、最早八号の存在は目に写って無い様でレイヴの患部を注視する。

 怨敵に治療されるという状況に際し、レイヴはイラつきを感じるが、現状はものを言うことも億劫な状況であった。

 

「ははは、そうカリカリするな。ほれ、チーズ鱈をくれてやろう。校内を散策して見つけたものだが、これが中々イケる」

 

 白衣からは剥き出しのチーズ鱈を取り出し、レイヴの口に無理やり突っ込むが、急に口に物を入れられたレイヴは条件反射のようにそれを吐き出す。

 当たり前だ、だって汚い。

 

「貴方何拾ってるのよ!」

 

 校庭の隅では、投げ捨てられた七海がアサシンに抗議をしているが、当のアサシンはなんのその、無視しながらアサシンはてきぱきと応急手当を進める。

 

「患部圧迫しますねー。女史、清潔な布とか持ってきて、手っ取り早く止血してるけど固定した方が早いから、ああいや、担架の方が先かな、教会で治療した方がよさそうだ。タロスが居たら患部を焼却する方法もあったんだけど、君ショック死しそうだしね。まったく生きた人間はめんどくさい、私は解剖学かじった精神科医だぞ」

 

 アサシンは落ちた八号の手首を拾うと、ナイフを観察し、においを嗅ぎ、しまいには舐めてしまう

 

「うん、毒物反応は無しか。それは上々、喜べレイヴ・ロザン。俄然、生き残る確率が倍ドンだ」

 

「ぬかせ、狂人。・・・・・・それは兎も角、このホムンクルスはどうだ? 仕留めたか?」

 

 アサシンはレイヴの質問に対し、困惑するが、その意味がようやく分かると、ああ! と得心した声をだす。

 

「まぁ大丈夫だろう。サーヴァントになってから、急所を打てば相手がすぐ死ぬんだこれが。いやぁ、不思議なもんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紡がれし殺人鬼(シリアルキラー)

 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:1人

 殺人鬼は人を殺す。

 誰よりも人を殺し、人の死を見取ってきたアサシンの技能と嗜好が昇華されたもの。

 アサシンが殺意を持って傷つけた者、部位は死に、アサシンと対象人物が一対一の場合、加えてアサシンより能力が劣っている者はほぼ100%の確率で殺人に成功する。

 これは如何なる治療行為をもってしても助かることは無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「成る程、そういうことか。さしずめ直死の魔眼を技量として昇華させたものか・・・・・・」

 

 軋む体を動かし、徐々に呼吸を整えるレイヴ。

 アサシンはいまいちわかってはいなかったが、兎も角、暗殺者としては破格だろう、何せアサシンにかかれば不死身の死徒ですら殺せるだろうから。

 

「まぁ、なんだかよくわからんが、褒め言葉として受け取っておこう。さて、レイヴ・ロザン。あとは彼らを待つだけだ」

 

「・・・・・・貴様と意見が合うのは業腹だが、そうだな。あとは彼らの結果を待つだけだ」

 

 固有結界に巻き込まれたアーチャーたちはどうなっているのか、それは彼らではうかがい知れない。

 信じるしかないのだ、必ず勝って帰ってくると、そうでなければ、この町は火の海に沈むだろう。

 

 ふと見れば即席の担架を持ってきた七海がこちらに向かって来る。

 向かい合うタロスとバーサーカーを余所目にアサシンたちは一時教会にて治療に専念するのであった。

 




 令呪一画と自身の命を代償に相手の令呪一画と宝具を破壊した八号とかいう英雄。イリヤとは違うのだよ、イリヤとは!
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