Fate/destruction   作:ニーガタの英霊

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今日はバレンタインデー! 君は幾つチョコをもらったかな? ニーガタは自分用の物を普通に買って食べました。おいしかったです明治ミルクチョコレート


第46話

「時間がない、疾く問おう。お前は一体何者だ」

 

 葛西晴彦は問う、傍には鏃を向け、心臓を狙う弓兵を傍に置き、彼はホムンクルスの少女に問いを投げかける。

 周囲には倒れ伏す人形たち、その中央にて彼らは佇んでいた。

 

 どうしてこんなことになったのだろう、ホムンスルスの少女は暫し、このようになった状況を思い出すのだった。

 

 

 

 

 凹凸のある洞穴の道を痛みを堪えながら裸足で駆け抜ける一人の少女、五号は足を引きずりながら人形たちの死角を通って大聖杯がある祭壇まで行こうとするもその警戒網は中々に厳しく、しばしば立ち往生をしていた時だった。

 血の滲んだ足を押さえながら物陰で人形たちの様子を見守る。

 ヨーゼフ・ウッド・アルビオンが創り上げた戦闘用の人形、そのすべては戦闘力はそれほどではなくとも、それでも一級の技術をもって作られた物だ。

 英霊は兎も角、魔術師であっても苦戦は免れない。

 そしてその量は膨大、集団戦となればなぶり殺しにされるのはこちらだろう。

 

 だからこそゆっくりと、慎重に、されど素早く五号は人形に見つからないように死角を利用して進んでいた。

 

 しかし、ほんの些細な一瞬にして人形はこと切れたかのように崩れ落ちた。

 それと同時に周囲を覆っていたマナも少なくなり、五号はキャスターたちが敗れてしまったことを知る。

 困惑する五号を尻目に状況は刻一刻と変化する。

 

 そう、間違いなく好機である瞬間であった。

 状況を理解した五号は真っ先にバーサーカーに撤退命令を下し、合流を図ろうとしたその時に彼らは現れた。

 

 足元に放たれた一矢は恐らく警告の意味を籠めたもの、五号はゆっくり振り向くと新たな矢をつがえたアーチャーとそのマスターがいた。

 

「もう一度聞こう、お前は何者だ。答えなければアーチャーの弓がお前を射抜く」

 

 無論、晴彦は命を取るつもりはない。

 しかし、そうでなければ足を射抜いて行動不能にするぐらいの非情さは持ち合わせている。

 

「・・・・・・私は五号、バーサーカーのマスターです」

 

「ここで何をしていた」

 

「大聖杯のもとへ向かおうとしていました」

 

「・・・・・・」

 

 晴彦は五号の瞳をじっと見つめ、やがて瞳を閉じると張りつめていた空気を霧散させた。

 

「大聖杯の場所がわかるのか?」

 

「はい。あの子の製作者はゲッツ・ゲプハルト・フォン・ローゼンシュタイン。錬金術の機才と呼ばれ、『ノヴァ』においてはヨーゼフ・ウッド・アルビオンとともに三高弟と呼ばれた幹部候補。何より彼女と私たちの産みの親、創作者です」

 

 詳しい話は聞かないが、つまり五号は今次大聖杯である近衛結香とは姉妹作ということになる。

 

「だからこそわかる。創作者の意志で同じ作品が殺しあわないようにプロテクトが、あるいは一定空間であれば互いの場所が分かるようにプログラムされています」

 

 認識できていればそれが可能ではある。

 そして何より五号には大聖杯を止める手段があった。

 

「そして、私の役目は小聖杯の予備としての役割を創作者から与えられています。これによってバーサーカーの霊格そ一時的に保存することができます。それは彼女を本当の怪物にしないための措置でありますから」

 

 怪物とは何か、そもそもお前と創作者の目的は何か、聞きたいことは山ほどある。

 

「晴彦」

 

「ああ、詳しい話は移動しながら聞こう。道案内を頼めるか」

 

 今は信じよう、信じることが最大限の効率を生むならそうするべきだ。

 それほどまでに五号の提案は魅力的だった。

 

「いいでしょう。私にも願いはある。それでも妹を犠牲にしてでも叶えるものじゃありません。八号なら、あの優しい子なら、目の前の兄弟姉妹を守ろうとするでしょうから、私もそれに従いましょう」

 

「貴方と貴方のサーヴァントに思うところがないとは言わない。それでも共闘してくれるのなら心強い限りだ、だが妙な真似をすれば俺は貴方を殺さなければならない。せいぜいそうならないようにしてほしい」

 

 それは晴彦なりの忠告。

 極力無益な殺生を控えようとした心遣いであるり、アーチャーはそんな晴彦を見て少しだけ微笑んだ。

 

「大聖杯はこの道を進んで、分かれた道の左側の更に奥にあります」

 

 アーチャーに担がれながら順調に進むが、大聖杯に向かう道筋にそれは現れた。

 

「晴彦ッ!」

 

「これは・・・・・・!?」

 

 瘴気のような濃い魔力、大聖杯を目前として現れたソレは一目でサーヴァントとわかる超常のモノであり、今までのサーヴァントとはけた違いの能力を持つことが感じられた。

 

「あんた、あれを知っているか?」

 

「いえ、初めて見ます。ただ、簡単な手合いではないでしょう」

 

「成る程、キャスターの懸念はこいつだったか・・・・・・」

 

 黒い甲冑を身に纏い、肉体から瘴気をまき散らす黒き剣と呪われた聖槍の持ち手。

 そしてその甲冑には見覚えがあり、かつての時とは全く違う雰囲気を醸し出していた。

 

「敗者復活にしても、そりゃないだろ。ランサー、いやガーディアンか・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

【CLASS】ガーディアン

【マスター】近衛結香

【真名】ベイリン

【性別】男性

【身長・体重】185cm・77kg

【属性】秩序・中庸

【ステータス】筋力A+ 耐久A+ 敏捷A+ 魔力A 幸運E 宝具EX

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:B

 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。

 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

 

 

守護騎士:A

 他者を守る時、一時的に防御力を上昇させる。

 鎧に付属された「島を守る騎士」としての在り方

 彼の場合、それはマスターである結香以外ないだろう

 

 

【固有スキル】

勇猛:A+

 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。

 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。

 

 

戦闘続行:A

 往生際が悪い。

 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

 

 

無窮の武練:A+

 ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。

 心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。

 

 

心眼(偽):A

 視覚妨害による補正への耐性。

 第六感、虫の報せとも言われる、天性の才能による危険予知である。

 

 

 

 

 

 

 かつての大英雄、ランサーのサーヴァント、ベイリン。

 潤沢な魔力供給とそして再召喚によって守護に対して高い技能を持つクラスをひっさげて現れた今次最高峰の実力の持ち主。

 

「こうやって対面するのは初めてだな。初めましてとでも言っておこうか」

 

「・・・・・・」

 

 黙して語らず。

 ガーディアンは粛々とアーチャーに対して構え、戦闘態勢へと入っている。

 すべては己がマスターを守るため、己の不甲斐なさを責め、何としても守り抜くと誓った騎士の祈りがこうして再現された奇跡とでも言える存在であった。

 

「だんまりか・・・・・・まったく、とんでもないな、アーチャー」

 

「確かに、簡単な手合いじゃないだろうね」

 

 脱落したとされたサーヴァントがまたもやこうして出てきている状況に困惑しつつも何とかそれを呑むしかない。

 視線を五号に向けると彼女はゆっくりと語りだした。

 

「おそらく、聖杯としての防衛機構か何かでしょう。創作者は聖杯が悪用されるのを恐れていました。だからこその措置かと」

 

「・・・・・・解く方法は?」

 

 晴彦の問いに対し五号は首を横に振った。

 聖杯を手に入れるのは文字通り力ずくと言うことだろう。

 

「行けるか、アーチャー」

 

「勿論」

 

 晴彦の問いに対し、アーチャーは力強く肯定した。

 

「―――ああ、大丈夫だとも。君の英雄はここにいる。勝利への意志を執念を忘れなければ、いかなる英雄、魔王として我が道は阻むことは出来ない!」

 

 一方は悲劇の道を歩んだ悲しき英霊、一方は長き旅路の末に幸福を掴んだ英霊。

 そのあり方は正反対、されどその身に刻んだ武勇はどちらも勝るとも劣らない。

 

「僕を誰だと思っている、晴彦。僕は君が呼んだ最強のサーヴァントだ。命令をマスター、君の為ならいかなる戦場とて勝利の凱歌を謳い上げて見せよう!」

 

 その身の宿るは自信と矜持。

 いかなる戦場とて勝利を収めた大英雄の背中。

 

 その背を見て、魅せられないものが居ようか、いや居まい。

 胸に手を当て、前を見据え、震えあがる膝を押さえ、葛西晴彦は前に進む。

 

 彼は人間だ、そして葛西晴彦も人間だ。

 ならば、自身がこの大敵を超えられない理由などない。

 少なくとも、葛西晴彦はそう信じている。

 

「ならば、俺も本気を出す・・・・・・!」

 

 回路を起動、吐き気や苦痛を堪えてナルタモンガを起動する。

 血管がちぎれ、内臓が悲鳴をあげようと瞬間的に回復させ、血涙を流しながら目の前の敵を見据える。

 

「―――『英雄守護せし栄光の杯(ナルタモンガ)』ァァアアッ!!」

 

 血反吐はいて、なおも果敢に挑むその闘志は衰えることなく晴彦を支える。

 相手の格は同等、ステータスならば上回る格上。

 だが、そんなものは何度も超えてきた。

 

「往くぞ、アーチャー。一緒に、共に進んでいこう、俺たちの英雄譚を始めよう・・・・・・!」

 

「無論だ、晴彦。さあ往こうか、ガーディアン。双剣の騎士ベイリン。コーサラ国の王ラーマ、いざ参ろう・・・・・・!」

 

 輝く陽光の紅き熱と、あらゆる嘆きを体現する黒。

 多大な魔力の奔流の中、けたたましい音と共に混じりあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にこの道で合っているのかしら?」

 

「当たり前だ! 私を誰だと思っている!」

 

 ゴリゴリと洞窟の壁面を削りながらタロスは窟道を進む。

 そんなタロスの肩に捕まりながら、レイヴ・ロザンはモノクルを片手に道筋を選び続ける。

 

「左折せよ、青銅の巨人(タロス)。良しいいぞ。魔力痕がちゃんと残っている」

 

 レイヴが持っているのは魔力値を視覚的に見分ける礼装であり、とてつもない聖遺物とサーヴァントという魔力の塊だからこそ見分けることが出来たからこそできる業であった。

 

「しかし・・・・・・」

 

 額に汗をにじませ、険しい顔を浮かべるレイヴ。

 モノクルは道を指し示す以上、そのゴールもその見えている。

 混じり合い、目がチカチカするほどの爆ぜるように輝く魔力と魔力のぶつかり合い。

 

(中々どうして簡単にはいかないか・・・・・・)

 

 戦況は終盤も終盤。

 されど状況は未だに厳しく油断ない状況が続いている。

 

(二騎・・・・・・、いや三騎か。敵も総力戦と言うことか。やれやれ、少しは慢心してほしい所だ・・・・・・)

 

 魔力の動きや量を見るに、恐らく三騎の英霊が入り混じる混戦。

 それが余計にレイヴの緊張を誘う。

 なにせここまでいいところがない、大人としては心苦しい状況であり、より陰鬱な気持ちにさせるのだ。

 だが、そこは時計塔の貴族、すぐさま切り替え、気持ちを切り替える。

 

(まったく、時計塔での政争の方がよっぽど楽だ)

 

 予断無い状況の中、最善を模索し続けるレイヴは冷静に、されどその闘志を胸に戦いに身を奮わせるのだった。

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