Fate/destruction   作:ニーガタの英霊

47 / 54
ニーガタ版F/GOを考えてみた。なお制作日は未定

第一特異点 BC―― ■■洪水神話アトラハシス 第一の聖杯 不死の賢人
第二特異点 AD184 ■■易姓革命チャイナレボリューション 第二の聖杯 死せる英雄、奔る凡人
第三特異点 AD1001 回教専制帝国ドゥルーズ 第三の聖杯 砂漠に消えたマフディー
第四特異点 AD1784 ■■■■■■■■■■■■ 第四の聖杯 第七光線の大師
第五特異点 AD―― ■■■■■■ニュークリアボム 第五の聖杯 ■■■■■の神
第六特異点 AD1941 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 第六の聖杯 南部仏印進駐
最終特異点 AD―― 神代回帰黙示録■■■■■■ 第七の聖杯 救世の王


第47話

「―――『嘆きの聖槍(ロンギヌス)』」

 

 鈍く黒く、煌めく聖槍。

 それはまさしく聖槍というカテゴリーにおける最上の武装。

 神の子と呼ばれた預言者すら死に至らしめ、その血を啜った神造兵器に勝るとも劣らないそれ自体が信仰を受けているとさえ言われるそれは、いまや彼の騎士のものであり、その輝かんばかりに輝いていた穂先は瘴気を纏い、その姿は詳しくは伺えない。

 

 だが、晴彦は知っている、あの槍の恐ろしさをまさしく眼で見たのだから。

 今はあの時とは状況が違う。

 まさしく槍は今まさに向けられ、あの大技が今にも自分等を襲おうとしているのだ。

 

 それはまさしく決死の一撃。

 守るべものさえ守れれば己を顧みること無いその無私。

 その姿はまさしく騎士と言えるものだろう。

 

「甘いぞ、ベイリン。その程度では僕は敗れることはない―――!」

 

 穿たれる灼熱の矢。

 目にも止まらぬ速度で射出された赤き矢はまるでレーザー光線のように直線状に敵を射抜かんとする。

 

「『梵天よ、地を覆え(ブラフマーストラ)』!!」

 

 灼炎の矢は岩盤を貫き、倉敷山に大穴を開け放つ。

 時刻は未だ暁頃、東には今かと昇ろうとしている日輪がみえる。

 

 大地を枯渇させる呪いすら焼き払う創造神の矢、互いの持つ最大火力による打ち合いは凡百の英霊では敵うはずもない。

 まさしくこれが神話の再現、大英雄と呼ばれ、その信仰を身に受けた英霊。

 

「往くぞ、ベイリン」

 

 マントラによる強化を身に、ナルタモンガによる支援のもと、超高速の移動を可能としたアーチャーによる速射の嵐をガーディアンは弾き、或いは切り裂く。

 息を呑む攻防、しかしついに不動を貫いていたガーディアンは動く。

 

「『ダヴィデの呪い(カース・オブ・ダヴィデ)』」

 

 身を纏う瘴気の一部が己が剣に纏わせ、高速の剣戟により生み出された剣閃。

 黒き瘴気は溜りとなり、アーチャーを狙う。

 

「甘いな―――『毘紐天よ、天を翔けよ(サルンガ)』」

 

 赤光の散弾、それはまさしく矢の雨、直線状に穿ち射抜く散弾の嵐。

 分裂した矢は光学兵器のように直線、或いは軌道を変えながら、不規則な動きの下ガーディアン、或いは溜りを狙う。

 

 その矢を見て、ガーディアンは受けの姿勢を取る。

 そう、それこそアーチャーの狙いと知らずに。

 

「!?」

 

 ガーディアンの間合いに入る寸前、その矢の向きは軌道を変え、頭上の岩盤を貫く。

 大きな揺れと共に、岩盤は崩れ落ち、ガーディアンに向かい落下する大量の土石。

 

 しかし、相手は円卓成立以前において最強と呼ばれた騎士。

 逃亡し、汚名をそそごうとした逃避行の中で数々の武勲をあげた悲劇の騎士。

 

 高々崩れ落ちた岩盤程度でやられるほど柔ではない。

 

「そう、君なら簡単に凌ぐと信じていたよ」

 

 そしてその程度は分かりきっていることだ。

 高まる魔力、不意を突いた攻撃、その攻撃に対し、ガーディアンは避けきることは出来ない。

 

「―――『毘紐天よ、天を翔けよ(サルンガ)』ッ!」

 

 宝具に次ぐ宝具の連発。

 それは自身のマスターにおける負担は並大抵のものではない、それでもこうしなければ勝機は掴めない。

 

「ガハッ―――!?」

 

 度重なる吐血、肩を震わせ、晴彦は思わずうずくまる。

 息を大きく吐き、手足は痙攣してまさしく満身創痍の状況である。

 

「まだだッ―――まだッ・・・・・・死ねないッ・・・・・・!」

 

 懸命に、崩れ落ちた膝を抱え、ゆっくりと前を向くとそこには肉体を抉られ、深く傷を負った黒騎士の姿があった。

 それはまさしく致命傷、アーチャーの勝利は決まったようなもの、そう信じて疑わなかった。

 

「―――成る程、そういうからくりか」

 

 ただ一人、アーチャーのみが冷たくその黒騎士の姿見ていた。

 

「―――オ、オオオオオオォォォォオオオッ!!」

 

「マジかよ、おい・・・・・・」

 

 何ということであろう。

 致命とまで言われ、腹部や腕を大きく抉られた傷は、瘴気を色濃く纏うと、逆再生かのように再生していった。

 

「成る程、あの鎧はそう言った造りをしているという訳か。だが、収穫はあった。ベイリン、君は理性を失っているな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『受け継がれる黒の守護者(ブラック・ガーディアン)』

 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:1人

 弟を殺して受け継いだ武具。

 正体を見破らない限り、担い手のステータスを隠蔽し、幸運値以外のステータスをワンランク上昇させ狂化のスキルを付与する。

 さらに、担い手に対する無制限の治癒能力を持ち、手足を欠損しても短時間で修復可能。

 また、現在の担い手を殺して“より強者である”事を証明した者を新たな契約者と認め、所有権を書き換える能力を持つ。

 この宝具の継承を止めるには、現在の担い手が“誰にも殺されずに命を落とす”しかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵は、君はじゃなくて、君の鎧という訳か。双剣の騎士、言い得て妙だ。聞いたかい晴彦、僕が彼に勝ったとしても、その時点で次の瞬間僕は晴彦の敵になるという訳だ。全く、嫌な敵だよ」

 

「アーチャー・・・・・・」

 

「ようやく、キャスターの言葉が分かったよ。晴彦、僕はここで死ぬべきだ、他ならぬベイリンと同じ逸話を辿ることによってね」

 

 双剣の騎士ベイリンの最期、それは島を守る騎士となった弟との相討ちの末に受け継がれる守護者の鎧をその命と引き換えに終わらせたというものだ。

 

「晴彦・・・・・・」

 

「わかってる、止めはしないさ。それがお前の覚悟だろう」

 

「ああ、ありがとう」

 

 短くも長い、そんな相棒との生活。

 いつだってこちらを支え、そしてともに戦った相棒。

 

 だからわかる、この戦いを奪い取ってはいけないんだと。

 

「出来るか、ラーマ」

 

「愚問だ、理不尽を不可能を、それに抗い続けたからこそ、僕は、僕らは英雄と呼ばれたんだ。

―――この程度の苦難、乗り越えずしてどうすると言うんだい?」

 

 それは、純然たる決意と意志。

 輝く英雄、理想の王と呼ばれた彼の生き様。

 

「分かった、だから俺も言うよ、ラーマ」

 

 笑う膝を抱え、引き攣りながらも顔に笑みを浮かべ、晴彦は己が相棒に語る。

 

「後ろを振り返るな、気にするな! お前はお前の進むがまま、戦ってくれ。前を見て、お前の戦いをしてくれ」

 

「晴彦」

 

「敵は満身創痍だ。理性が無いなら純然に最善手を打ってくるはずだ。そこに騎士としての誇りはない、純粋に守るべきものの為に戦うなら俺たちも狙われる。だがそんなことは承知の上だ」

 

 理性のない敵、しかし、ガーディアンには無窮の武錬というスキルがある。あれがある限り、その戦闘技能は劣化せず、加えて守護騎士のスキルで大聖杯を守る為なら何でもすることは先の嘆きの聖槍(ロンギヌス)の解放を見れば一目瞭然だ。

 

 しかしそれは晴彦を、自分のマスターを危険に晒すことと同義。

 

「お前がやるのは、ガーディアンと相討ちすること、俺たちを守ることはない、お前は全力で戦え! 自分の身は自分で守る。

―――約束、してくれるな。」

 

「晴彦、君は・・・・・・」

 

「無茶だ無謀と言われようと、それを成し遂げるのが俺たちだ。そうだろ、アーチャー、いやラーマ」

 

 不敵な笑みを浮かべ、そっとアーチャーの背を押す晴彦。

 

「行って来いよ相棒、奴が来るぞ」

 

「そうだね。まったく、君って奴は」

 

 嘆息し、深くため息をつくアーチャー。

 しかしその顔はどこか穏やかに、そしてぎらついていた。

 

「―――最高の相棒だよ、晴彦!」

 

 混じり合う閃光、輝く赤き英雄と、呪われた守護者。

 互いに退けないものがあるから、守るべき者の為に、守るべき物の為に彼らは戦う。

 

「―――もらね、ば・・・・・・守護らねば・・・・・・!!」

 

 黒き瘴気に覆われながらも、一段と輝くその瞳には理性を失いながらも、確かなる意志が備わっていた。

 

 高く振り上げられる聖槍。

 それはまさしく宝具解放の時。

 

「甘いよ、ベイリン。僕はもう、振り返らない・・・・・・!」

 

 その両手は弓も矢もなく、まったくの無手。

 弓兵とは誰が言ったか、穿たれる神速の掌打はガーディアンの顎を見事に打ち抜いた。

 

「剣戟の戦いでは僕は君に及ばないだろう。だが、近接格闘(クロスレンジ)ならそうは引けを取らないぞ」

 

 古式ムエタイ。

 その創始者たるアーチャーの掌打を食らってなお立つ英雄はそうはいない。

 

「この程度で死にはしない、さあ行くぞ!!」

 

 繰り返される連撃の嵐。

 ステータスが劣っていようと持ち前の技術をもってそれを覆す。

 それに相手の武器は長物と剣、懐に入り込めさえすればそれだけで行動を制限される。

 

「―――!」

 

 そして、アーチャーのいう通りに武器を捨てればそれこそなぶり殺しだ。

 死ぬことがないとしても、そうすれば敵は大聖杯にたどり着いてしまう、それだけは避けねばならない。

 

「―――ッ!?」

 

「甘いよ、距離は取らせない」

 

 後退の姿勢を取った瞬間、繰り出された蹴り。

 狙いとは逆に横っ腹を抉る痛烈な一撃は内臓器官を揺らし、破裂させ、姿勢を崩す。

 

「消耗戦か、決定的な有効打にはならないが、確実に自分と相手を消耗させる手を取ったか」

 

 晴彦は遠くからその様子をジッと見つめる。

 背後にはホムンクルスの少女が居り、いつでも動けるように態勢を整えていた。

 

「大丈夫なのでしょうか?」

 

「少なくとも時間は稼げる。バーサーカーはまだ脱落していないなら、時間は俺たちの味方だ。それにうまくいけばガーディアンを倒さずして大聖杯までたどり着ける。最も、破壊できるかが一番の問題だがな」

 

「なるほど・・・・・・」

 

「・・・・・・ただ、ガーディアンがその程度で終わるはずがない。今だって、苦痛に苛まれながらも勝利への道を模索している筈だ。現に、徐々にだがアーチャーの動きに対応してきている」

 

 事実、ガーディアンは折れない。

 痛みに震え、苦痛に苛まれ、鎧によって破壊された部位を無理やり治療されてもなお、その手の武器を決して振り解いたりしない。

 わかっているからだ、一時の感情で相手と同じ土俵の立つのはただの自己満足だと、それでは守るものとして失格であると。

 だからこそ、ガーディアンは殴られ続ける。

 

 決して折れてなるものかと、屈してたまるかと、不撓不屈のその想いを籠めて、ガーディアンは何度でも立ち上がろう。

 

「オオオオォォォォ■■■■―――!!」

 

 そして、ガーディアンは一歩前に進んだ。

 

 それを、アーチャーはいとも簡単にいなす。

 それでも、ガーディアンは前に進む。

 足を取られ、殴られ、蹴られ、どれほどの傷を彼が負おうとも、何度でも、何度でも立ち上がる。

 

「見事だよ、ベイリン。その信念は確かに尊敬たるべきものだ。

―――だからと言って加減はしない。僕も譲れないものがあるからだッ!」

 

 戦いは一層苛烈に、されど煌びやかなものでない。

 しかし、その光景は確かに何処か心躍るものであった。

 

 意地と意地のぶつかり合い、古典的な或いは原始的な戦いがそこにはあった。

 

 そして、戦いにはいずれ、終わりがあるものである。

 

「―――島を、守る騎士ハ・・・・・・、己ノ、敗北を・・・・・・認めナい、限りッ! 倒れるコとハなイッ・・・・・・!」

 

「ベイリン、君は・・・・・・!」

 

「捕らエたゾ、アーチャーッ!」

 

 狙いはただ一つ。

 鎧の隙間から入れられたアーチャーの拳。

 

 それは度重なる戦いの中出来た裂傷。

 いまだ完全に治癒していなかった傷をアーチャーの攻撃に合わせ、差し込み、疑似的な手錠をかけることだった。

 

「『ダヴィデの呪い(カース・オブ・ダヴィデ)』」

 

 臓物の生暖かい感触を感じながら、アーチャーはその剣を身に受けた。

 

「ガッ・・・・・・!?」

 

 直接的に埋め込まれた呪いの因子が駆け巡り、アーチャーのその身を犯す。

 肉体に鈍重な重みと耐え難い苦痛を受けながらも前を見据えるアーチャー、だがすでに手番は敵のもの。

 

 ガーディアンによる蹴り上げを受け、距離を取られる。

 しかし、それでも大英雄、距離を開け、何とか弓を打ち出そうとするも肉体はいうことを聞かず、敵は圧倒的ステータスをもって接近し、そしてその槍を持って、アーチャーを穿ち抜いた。

 

「―――『嘆きの聖槍(ロンギヌス)』」

 

「・・・・・・ッ!?」

 

 岩壁に貼り付けにされた弓兵に追い打ちをかけるが如く、ガーディアンは最後まで手を抜くことはなかった。

 圧倒的に見えたアーチャーとガーディアンの戦いは勝機の見えないアーチャーでなく、一瞬の勝機を待ち続けたガーディアンに軍配が上がった。

 

 ゆっくりと、体を引きずりながら、呪いに侵食される倉敷の洞窟にゆっくりと迫る黒騎士の目には晴彦たちが映っていた。

 

「倒さねば、倒さねバ、守護レナイ・・・・・・!」

 

 狂気に彩られた瞳に映るは、使命か。

 

「いいか、俺の手を取れ、地面に触れたら死ぬぞ」

 

「えっ」

 

 そういって、晴彦は五号を抱えた。洞穴を侵食する呪いの荒野に立つ一人の騎士と青年。

 聖槍によって発動した呪いはすでに洞窟内を汚染し、時間がたてば経つほどその浸食は町へ、そして国家に渡る。

 

「あなたは本気ですか? サーヴァントに適うとでも」

 

「知らん。けどな、それしか出来ないんだから、それをするしかないだろう。それに、敗北はまだ決まった訳じゃない」

 

「それは一体―――」

 

「来るぞ、舌を噛むなよ―――!」

 

 突如として迫りくる黒き影の騎士。

 その剣はただ、純粋に晴彦の命を狩る為だけにその身に迫りくる死神の足音だった。

 ナルタモンガによる身体の強化、それであっても本来ならただの一般人かつ武術の素養のない晴彦では簡単に殺される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――筈だった。

 

「―――!?」

 

「えっ―――」

 

 横凪ぎの一閃、それを晴彦は見事なまでに紙一重で避けきる。

 縦の一閃、そこからの連撃ですら、晴彦は華麗に避け切った。

 

「―――ありがとよ、アサシン。お前のおかげで、俺は戦えてる」

 

 

 

 

 

専科百般:A

 ハンニバルの持つ技能であり、彼が残した純粋な技能。

 剣術、暗殺術、殺人術、変装、心理学、語学、話術、記憶術、料理、美術など

 その他の専業スキルについて、Cクラス以上の習熟度を発揮できる。

 

 

 

 

 

 剣術によって起動を予測し、経験的観測から見切り、相手の心理を読むことで攻撃を先読みする。

 純粋かつ幅広い技能だからこそ総合的に判断し、単調な相手だからこそ読むことを可能にした彼の技術は確かに晴彦に受け継がれていた。

 

「令呪を以て命ずる。『死ぬな、アーチャー』」

 

「ガハッ、分かっているさ晴彦ッ・・・・・・、この聖槍は・・・・・・死んでも、離さない、さ・・・・・・」

 

 本来なら死んでも不思議ではない傷、歯を食いしばりながら懸命に耐え、アーチャーは槍の柄を握りしめる。

 朦朧とする意識の中、ナルタモンガから支給される魔力とスキルを元手に幸いなことにアーチャーはわずかながらも死の淵を踏ん張る。

 

「―――さあ来い、双剣の騎士。ここからは、全力で抗わせてもらう・・・・・・!」




 カルナが気合で消滅を耐えることができるならラーマだってできるはずだと僕は信じているんだ!
 あと聖杯戦争でマスターがサーヴァントと戦うことなんて普通にあるからへーきへーき。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。