Fate/destruction   作:ニーガタの英霊

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 内容ちょっと薄め、俺はいつこの物語を完結させることが出来るのか・・・・・・。


第5話

 ―――その日彼女は欠けた夢を見た。

 

 彼は最強。

 彼は無敵。

 彼は英雄。

 

 敗北を知らず。

 大敵も無く。

 彼を満たすものは誰一人としていなかった。

 

 彼が持つのは鋼の肉体。

 その身を傷つけるものはなく、されど慢心することもなく、彼は自身の思う最強を求め続けた。

 

 求めて、求めて、求めたその先。

 最強の玉座に、聖杯の守護者としての栄誉を賜った彼を待っていたのは、ただただ、虚しいだけの孤独だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――『荒れ狂う溶鉄の剣(サファ・アキナケス)』!」

 

 ―――その一撃は神威の一撃・・・・・・!

 大地を削り、散弾する溶鉄は木々を容易に薙ぎ倒す。

 襲い掛かるはとてつもないほどの暴力。

 

「■■■■―――!」

 

 その暴力の中心にいた者などはとてもじゃない。

 皮膚を溶かし、肉を焼き、骨を焦がすほどの熱量にどうしようもなく蹂躙される狂戦士。

 

「なんと! これほどのものが―――!」

 

 レイヴ・ロザンは驚きを隠せない。

 対城宝具の可能性自体は考慮していた。

 そのために、あの巨人を使ったのだ、それは間違いない。

 ようはレイヴのリサーチ不足が祟ったのだろう。

 しかし、腐っても時計塔が要する貴族(ロード)の一角、流れるような捌きで付け焼刃といえど早々に防御壁を構築する様は流石としかいいようがない。

 

 その灼熱の一撃によって、まるで昼であるかのように錯覚せざるを得ないほどのそれを、各々が切り抜けた後に見たものはなんだっただろうか。

 

「・・・・・・」

 

 セイバーはやや不満げに前方を見据える。

 

「・・・・・・」

 

 そこには多少の傷を付けられつつも未だ健在たる青銅の巨人が立ち尽くしていた。

 

「やるじゃねェか、人形」

 

 いくら全力を出せなかったとはいえ、セイバーの宝具を真正面から食らい生きていた―――立っていたのは何しろセイバーにとってもはじめてのことであったのだ。

 

 巨人は、全身から蒸気を発し、自身が主を守るよう構えを解く様なことはない。

 何しろ、ここにいるのはセイバーとライダーだけではない。

 

「やるじゃねェか、ランサー。まさか、あんな隠し玉があったとはなァ・・・・・・」

 

「なに、そういう君も最優に恥じない剣を持っているじゃないか。お相子様だよ」

 

 ランサーは爆心地から離れた場所で結香を抱えたまま、いつでも行動を移せるように一歩引いたところから戦場を俯瞰していた。

 

 この場所は自然公園。

 一歩進めば森林という入り組んだ地形をしている。

 セイバーや巨人もそのような障害など力づくでの強行軍も可能だが、神秘の秘匿という縛りがある以上、そういった破壊活動は憚れる。

 今は、後がないほどの危機ではないのだ。

 監督役やほかのマスター達に目を付けられてまで行うメリットはない。

 

 このにらみ合いが続く中、早々に行動を起こしたのもまたバーサーカーであった。

 

「■■■■―――!!」

 

 バーサーカーは爆心地に程近く、ほとんどの分体に重篤なダメージを負うものも多い。

 この時点でバーサーカーに勝ち目はほとんどない。

 

 特に重症かつ、回復の見込みがないものを殿とし、バーサーカーは撤退戦に移行する。

 

「ハッ、狂戦士の癖に、忠義だけは立派なもんだ。いいねェ、燃えてきたぜ・・・・・・!」

 

「あんなのに燃えるなんてあんたくらいよ、セイバー」

 

 涼しい顔で、七海はセイバーに突っ込みを入れる。

 強大な対城宝具を撃った後とは思えないほど、七海は整然としている。

 おそらく、否、かなり強力な魔術師であることがその態度から予想される。

 

(これは・・・・・・、失敗だったか)

 

 レイヴ・ロザンは自身の策が不完全だったことに嘆息する。

 しかし、そんなことはおくびにも出さない。

 ここは戦場、一瞬の心の乱れが隙となり、敗北へと繋がる。

 『荒れ狂う溶鉄の剣(サファ・アキナケス)』。

 それが、セイバーがセイバー足らしめている象徴であるセイバーの持つ最強の剣。

 その宝具を見たのだ、真名など看破可能。

 そのはずだった。

 

(『荒れ狂う溶鉄の剣(サファ・アキナケス)』、鋼の肉体、高い身長の偉丈夫・・・・・・、一体何者なんだ!!)

 

 悲しいかな、これほどのヒントがありながらも現時点ではどうしようにも真名に繋がらない。

 おそらく、調べれば特定は可能だろう。

 だが、今の時点ではそれは仮定の話。

 今、分かることはこのサーヴァントは強力かつ、非常に危険であるということ。

 

(やっぱり、解らないわよね、セイバーの真名は)

 

 七海はどこか納得したというような顔で己のサーヴァントを見る。

 七海の視線に気づいたのだろう、こちらをちらりと見つめ、誇らしそうにドヤ顔をする。

 

(どうだ、みんな俺の正体に気づいて慄いてやがるぜ! 見たいな顔するんじゃないわよ。アンタの真名なんて、余程の神話オタじゃないと気づかないわよ。きっと)

 

 七海は若干の苛立ちを含んだ視線をセイバーへと向ける。

 セイバーはしょうがないといわんばかりに再度、敵を見据える。

 

 現状、それほど時間をかけられるような状態ではない。

 ランサー、ライダー共に、バーサーカーを見逃し、セイバーへと相対する。

 

「ランサー、手を組まないか・・・・・・」

 

「それは、私に言うべきではない。私はマスターの指示にしたがっているだけだ」

 

「それは失敬、・・・・・・で、どうだランサーのマスター」

 

「嫌です」

 

 今なお、全くの感情を表さずに戦場を見つめ続ける結香は、レイヴの問いかけ答えた。

 曰く、拒否。

 

「理由を聞いても?」

 

「貴方にそれを言う義理はありません」

 

「・・・・・・それもそうだな」

 

 ランサー陣営からしたら、セイバー陣営との戦いを邪魔された上に、一網打尽にしようとした敵だ。

 第一印象、心象としても弱い。

 

「―――何より」

 

 結香は知っている。

 自身の英雄を、ランサーを。

 

「私のランサーは最強です。セイバーを倒すなど私だけで十分です」

 

「大した自信だな、お嬢さん」

 

 ランサーの宝具『ダヴィデの呪い(カース・オブ・ダヴィデ)』。

 それは、エルサレムの王、ダヴィデの剣そのものだ。

 ならば、ランサーはダヴィデ王? 否、違う。

 ダヴィデならば適性クラスはアーチャー。

 ならば、あのサーヴァントは一体何者なのか。

 

「いい主に恵まれたな、ランサー・・・・・・、『双剣の騎士』ベイリン!」

 

 ベイリン。

 それは、アーサー王物語群に登場する、円卓成立以前の最強の騎士。

 彼の不運を彩る逸話の中で彼はある剣を自身のものとした。

 それが、あのダヴィデの剣。

 

「ランサー・・・・・・」

 

「あぁ、大丈夫だマスター、こうなることは予想していただろう」

 

 ランサーは心配するなと落ち着いた口調で結香を制す。

 そして、レイヴに向かい、姿勢を正す。

 

「いかにも、私がベイリンだ」

 

 ランサーは堂々とその真名を明かした。

 

 

 

 

【CLASS】ランサー

【マスター】近衛結香

【真名】ベイリン

【性別】男性

【身長・体重】185cm・77kg

【属性】秩序・中庸

【ステータス】筋力A 耐久A 敏捷A 魔力B 幸運E 宝具??

 

 

【クラス別スキル】

対魔力:B

 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。

 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

 

 

【固有スキル】

勇猛:A+

 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。

 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。

 

 

戦闘続行:A

 往生際が悪い。

 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

 

 

無窮の武練:A+

 ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。

 心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。

 

 

心眼(偽):A

 視覚妨害による補正への耐性。

 第六感、虫の報せとも言われる、天性の才能による危険予知である。

 

 

 

 

 

 

 途端、レイヴの目にランサーの膨大なデータが表示される。

 

(強い、ステータスもさることながら、スキル構成も戦闘に特化している。これは中々の強敵だ・・・・・・!)

 

 ほかにもランサーにはランサーたる槍の宝具も所持しているだろう。

 彼はランサー。

 白兵戦最強のサーヴァントの名は伊達じゃない。

 

 ベイリン。

 前述にも示した通り、円卓成立以前における最強の騎士。

 アーサー王にこれほど優れた騎士はいないと賞賛され、アーサー王のブリテン統一にかかわった功労者でありながら、その人生は破滅と罪過に彩られた騎士。

 

 その最期は実の弟との決闘での相討ちという悲劇を遂げた。

 

「ベイリン・・・・・・ランサー・・・・・・もしや、ランサーの宝具は、あの」

 

「そこまでにしてくれ、ライダーのマスター。私は、アレを抜きたくはない。分かってくれ」

 

「・・・・・・分かった、彼の英雄にそのようなことを言われてはかないません」

 

「・・・・・・それこそ止してくれ、私は、英雄なんていう高尚なモノじゃない」

 

 ランサーはそういって自らを皮肉る。

 まるで、そんなものに価値はないとでも言うように。

 ランサーは一瞬だけ、目を逸らすが、その姿に隙はなく、時間は刻々と過ぎていく。

 

「―――チッ、つまらん。マスター、今日はこんくらいでいいか」

 

「あら、珍しいじゃないのセイバー。さっきまで戦いたい、戦いたいって言ってたのに、どういう風の吹き回し?」

 

「どうも、こうもねェ。こんな沈んだ空気の中で戦ったって面白くねェ。―――それによォ」

 

「それに? 何かしら」

 

 セイバーは一泊おいて、言葉を切る。

 七海は不思議そうにセイバーに問う。

 

「―――それに、アレだ、こいつ等とは、邪魔の入らねェとこで、真剣に戦いてェ。負けるにしろ、勝つにしろ、俺はこいつ等と全力で戦いてェんだ。こんな沈んだとこで決めちまったら、俺はこの戦いから降りる。分かってんだろ、俺がこの戦いに参加した理由。確かに、オマエには悪いとは思ってるさ、けど―――」

 

「いいわよ」

 

「―――アァ?」

 

「いいわよ、好きにしなさい。サーヴァントのわがままくらいで、破綻するほど、ヤワな戦略を構築してないわ。それに、私は完璧なの。

―――完璧な私が、従僕のわがままを了承しない狭量な性格に見えたら心外だわ」

 

 七海はなんてことないようにそう答えた。

 当のセイバーはあっけにとられ、そして、すぐに目を輝かせ、嗤う。

 

「アァ、そうだな、全くもってそうだ。俺はとことんついてる! 最高の相手に、最高のマスターを引き当てた。これほど胸高鳴ることはねェ!」

 

 セイバーは背中の鞘に大剣を納刀し、相手サーヴァントと向き合う。

 

「ランサー! ライダー! 勝負は預けた! 精々、俺と戦うまでに負けるなよ! 最後に勝つのは俺達だ・・・・・・!」

 

 その言葉を最後にセイバー陣営は自然公園を後にした。

 

「・・・・・・どうでしょう。ここはお開きということでよろしいでしょうかな、ランサーのマスター」

 

「・・・・・・」

 

 結香は黙して語らず、そのまま背を向ける。

 

「私達もこれで、すまないなライダーのマスター」

 

「うーむ、女性に無視されるとは・・・・・・、私もまだまだということか。なに、魔術師にもあのようなものはいた。気にすることではないよ。Good Night.(さようなら)ランサー、今度は戦争ではなく、共に故国の話について語り合いたいものだ」

 

「・・・・・・えぇ、それはいい、縁があったらまたということで」

 

 自身を嵌めようとした相手にもかかわらず、レイヴと話すランサーもランサーであるが、レイヴもレイヴであった。

 

 




【没鯖】

【CLASS】キャスター
【マスター】
【真名】ハワード・フィリップス・ラヴクラフト
【性別】男性
【身長・体重】180cm・60kg
【属性】中立・中庸
【ステータス】筋力E 耐久E 敏捷E 魔力C 幸運E 宝具EX


【クラス別スキル】
陣地作成:E
 自らに有利な陣地を作り上げる。
 所詮一介の文筆家なので、落ち着いて創作できる場を整えられる程度。


道具作成:E
 本しかかけない。



【固有スキル】
神話作家:A
 クトゥルフ神話という壮大な創作物の産みの親。
 クトゥルフ神話の英雄に対し有利な判定を行える。

無神論:A
 神々を信仰しない信じないそのあり方。
 宗教系、神話系英雄に対し有利な判定を行える。
 また、精神攻撃を完全にブロックする。

【没理由】
御大英霊化、チート宝具持ち。
ここまで考えて気づいた。
こいつは主人公(葛西)が扱うサーヴァントじゃないってことに。
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