もっと、投稿スピードを上げなきゃ!(使命感)
とあるビルの屋上、アーチャー陣営はセイバー、ランサー、ライダー、バーサーカー陣営の戦況の推移を見ていた。
「・・・・・・終わったのか」
「うん、どうやらそのようだね」
晴彦は先ほどの戦場を回想する。
とんでもないものであったと。
「あんなものが、あんな奴が・・・・・・、あと四騎も?」
「いや、流石にあれほどの大英雄は早々いないと思うけど、そう思ってもらっても構わないよ」
晴彦は絶句する。
あれクラスがまだいることに、そして、このアーチャーもその一角に入るのだと。
「ははは、本当、とんでもないなぁ。俺、生きて帰れるかな」
「なに、安心してくれ、君は僕が守るよ」
それは心強いことで、と晴彦は思う。
同時に彼は考える、この後の行動を。
「アーチャーはどうすべきだと思う」
晴彦の問いの意味を察したアーチャーは自身の考えを告げる。
「うん。まず、僕の第一印象から言って、バーサーカー。彼を仕留める絶好の好機だと、同時にそんな状態だ。バーサーカーもなりふり構っちゃいないだろうね。全力で、油断の隙もなく、令呪の使用も辞さないだろう・・・・・・」
『窮鼠猫を噛む』という言葉もあると、アーチャーは付け加える。
なるほど、あの陣営にとってみれば、初戦からの敗戦続き、余裕なんてかなぐり捨ててる。
「泳がすのも手だと、そういうんだな」
「失望したかい?」
「いや、考え無しよりよっぽといい、俺もあの陣営はどうにかしたいと思うが、それでこっちが手痛い一撃を受けるのも業腹だ。それに、俺はバーサーカーに対していい感情を持っていないのもあっちは知ってるはずだ。・・・・・・とすると」
「金髪陣営か、セイバー(双剣)陣営かな」
「そうだな、あの戦いで終始優勢だったセイバー(大剣)に会うのは危険だ」
アーチャー陣営は視覚で戦場を観測していただけで、実際のクラス名までは把握していない。
クラスの重複は無いと思うが、消去法的に、アサシンとキャスターは外していた。
「宝具を見るに対城クラスだ、好き好んで街中で使うわけにはいかないだろうしね、一応は仮想的として考えたほうがいいと思うよ」
並み居る英雄の中で、対城クラスの宝具を持つものはそうはいない。
そして、その宝具をもってして、平静を保つマスターもそういない。
(敵としては、セイバー(大剣)陣営はこの上なく純粋に強いタイプだ。地力が違う。僕が優勢に立とうとも、晴彦を狙われたら、流石に難しい。)
アーチャーは容易に動けないのにはアサシンというクラスがある。
(アサシンのクラスは流石に僕では対応できない。晴彦はあまりにも無力、ならば・・・・・・)
「僕は、同盟相手を探すべきだと思う」
「同盟か・・・・・・」
晴彦は考える。
現状、自陣に現状を打破する程の力は無いことに。
「いいと思うが、初めてあった相手に同盟まで持っていけるのか」
「無理だ」
「いや、即答かよ」
晴彦は出鼻を挫かれたというように、驚き、そして、突っ込んだ。
しかし、アーチャーは憮然として堂々だった。
「同盟は出来ずとも、共闘関係は構築可能だろう。対セイバー陣営に対する共闘、不戦協定、情報の交流とかかな」
「・・・・・・なる程、それならば可能だろう。賛成だ。と、するとだ」
「同盟相手は金髪陣営か、セイバー(双剣)陣営だね」
「・・・・・・どちらにするべきか、アーチャーは」
「それを選ぶのは晴彦だよ。まぁ、どちらを選んでも構わないけどね」
「・・・・・・」
アーチャーは妙なところで放任だ。
しかし、こちらの意志を尊重してくれることに対しては素直にありがたい。
「そうだな。なら、金髪陣営にしよう。マスターは友好的そうだし、礼を持って対応すれば悪くはないだろう。いいか、アーチャー」
「うん、じゃあいこうか。幸い、彼らはまだそう遠くに行ってない」
「お、おう・・・・・・。また、あれすんのか・・・・・・」
晴彦は少々青ざめた表情でアーチャーに問う。
「もちろんだ。構わないよね」
「出来るだけ安全に気を配ってくれ・・・・・・」
晴彦はそういうと、アーチャーの身体につかまる。
アーチャーはそのままビルを駆け下り、夜の街に消えていった。
今日は散々な日だと、レイヴ・ロザンは反省する。
自分的には上策と思っていたが、蓋を開ければ目も当てられない。
(見誤った、完全な失敗だ)
もしひとりだったなら、彼はその余裕をかなぐり捨てて、眉をひそめ、歯を食いしばり、奇声を上げんばかりだっただろう。
しかし、彼はそんなことはしない。
ちらりと自身の隣を見る。
目を奪うような最愛の彼女が彼の側にいるのだ。
男として、惚れた女の目の前でそのような無様は決してあからさまに出来るものでないからだ。
「マスター、いかがなさいましたか?」
「いや、何でもないさ。・・・・・・むしろ、貴女のような美しい女性にそのような心配をかけてしまったことが心苦しいよ」
―――決まった。と、レイヴは自画自賛する。
完璧に紳士であったと、ダメな点などないと言うようにだ。
「え、えぇ。それはよかったです」
しかし、彼女の心は晴れない。
誰もが魅了される程の美貌を持つ彼女。
子を産み、一国の国母である彼女が苦手としているものこそ男性であるからだ。
しかし、レイヴにとっては至高の時。
あぁ、ずっとこの時が続けば良いのにと、そう思っていた。
「―――!」
「どうした。我が女王」
「猟犬が反応しました。サーヴァントです」
内心、舌打ちをするレイヴ。
当たり前だ。
至福の時間を奪う輩を今の彼は許せないからだ。
しかし、そこは時計塔が誇る貴族(ロード)の末席。
瞬間的に魔術回路を一気に使用可能な状態に持ってゆく。
チリチリと、肉体内部が焼け付くような痛みと熱を感じながら、辺りを見渡す。
「―――!」
「―――そこか!」
背後から現れた、ナイフの一撃。
「―――ガンド!」
飛来する標的に向かい、レイヴ・ロザンは指を指す。
北欧に伝わる呪詛、『フィンの一撃』と呼ばれるガンドてある。
弾かれるナイフの弾丸。
しかし、相手は英霊、一瞬の時もなく、レイヴ・ロザンへと隠し持ったナイフで狙う白の影。
「―――」
白影はとまらない、突きつけたナイフはレイヴ・ロザンを刺し抜く―――!
―――否! それは違う!
『バウ!』
敵に噛み付く、ライダーの猟犬。
敵の腕から血が流れ、その身は白日の下に晒される。
【CLASS】アサシン
【性別】男性
【身長・体重】174cm・58kg
【属性】混沌・悪
【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷D 魔力E 幸運B 宝具??
「―――アサシンか・・・・・・!」
「・・・・・・」
アサシンのサーヴァント。
七つのクラスの中で、唯一マスター殺しに特化したサーヴァントであり、マスターの敵であるサーヴァントである。
「マスター」
「あぁ、分かってるさ。そちらの目的は私の暗殺だろう・・・・・・逃がさないぞ、ここで仕留めさせて貰う」
レイヴはアサシンをにらみつける。
ぼさぼさの肩にかかる髪に無精ひげと白衣を身に纏った中肉中背の何処にでもいそうな男。
それがアサシンだ。
しかし、その風貌すらかすむようなどす黒い雰囲気とむせ返る血の臭い。
そして、こいつに立ち向かうなとレイヴの全身が警報を鳴らす。
「おいおいwww、ちょっと待ってくれよwww」
「・・・・・・」
「ちょっwwwスルーとかwwwスルーとかwww傷ついちゃうだろwwwクソワロタwwwwwwwww」
「マスター・・・・・・」
「分かってる、相手の挑発には乗らないさ、ライダー、準備を」
「はい」
「うはwwwリア充かよwwwワロタwwwワロタ・・・・・・」
一瞬にして、戦意を沈め、気安くライダー陣営に話しかけるアサシン。
「ほらほら、落ち着いてくれよ。俺はただ、そこのおっさんを殺そうとしただけじゃないか。だから、『ボクは悪くない!』 wwwごめんwwwちょっと真似しただけ。ほら、落ち着いただろwwwwww」
表面上は穏やかに進むように見えるが、相手はアサシン。
(いかんな・・・・・・)
完全に交渉のペースはアサシンが掴んでいる。
レイヴはこの状況に対し危機感を感じている。
専科百般:A
■■■■■■■■■■としての能力と、■■■■■の持つ技能。
剣術、暗殺術、殺人術、変装、心理学、語学、話術、記憶術、料理、美術など
その他の専業スキルについて、Cクラス以上の習熟度を発揮できる。
「まぁさ。ここは、この私と話をしよう。何、ただの挨拶代わりさ。何せ私は最弱だ。これくらい大目に見てほしい。それに、
―――私が本気なら、君はもうこの世にいない」
にっこりと人のいい笑みを浮かべるアサシン。
レイヴは背中からのじっとした冷や汗を感じていた。
(どうする・・・・・・どうする・・・・・・)
レイヴは思考を加速させる。
敵に対し、どのように返すか、対話を続ける? 否、相手はアサシン。
どのような搦め手があるか分かったものではない。
「君の話を聞く価値があるのかと・・・・・・」
「キャスターの情報、知りたくないか?」
「・・・・・・穴熊のキャスターか、それは、暗に自分がキャスターと繋がっているといいたいのかね」
「いかにも、あっちのマスターとはすでに顔合わせ済みだ。拠点も把握している。話だけでも聞く価値はあるんじゃないか」
「君の罠では?」
「そうだったら勝手に思っとけ、そんな思考停止するくらいならな。幸い、サーヴァントはまだ5体いる。うん、あのセイバーと組むのもいいかもしれない。名案だ! で、どうすんだレイヴ・ロザン? 時計塔の貴族(ロード)」
完全に後手に回っている。
レイヴは決して馬鹿ではない。
教養と才覚に恵まれたエリートである。
(賢い、おそらく、私以上に私が思っている以上に彼は頭がいい)
「おい、どうしたwwwデュエルしろよwww。ちょっとー、無視ですかー」
(一筋縄ではいかない相手だろう。それに・・・・・・)
「・・・・・・希望は絶望には負けないんだ!」
(何を考えているかさっぱり読めん・・・・・・!)
「さぁ、ボクと勝負してくれるよね・・・・・・ロザン君」
多種多様なネットスラングや何処でやったのかゲームの台詞を連発するアサシン。
レイヴから見てアサシンは非常に気味の悪い存在であった。
だからこそ、レイヴの考えることは簡単だった。
「やはり貴様は信用できん、ここで潰す。我が女王よ」
「はい!」
ライダーは一瞬にしてその巨人を呼び寄せる。
「あーあ、交渉決裂か・・・・・・、まぁいい。予想はしていたことだ」
単純に考えてアサシンに勝機はない。
しかし、アサシンは動揺した様子もなく、ゆっくりとナイフをレイヴにむける。
そして、レイヴは見た。
アサシンのその余裕の意味を。
「―――きさ・・・・・・!」
それは奇跡。
それはマスターがサーヴァントを御すための絶対命令権。
瞬間移動。
現存する魔術の中でも魔法に近いとされるそれは、よほど優秀な魔術師でも習得することは難しいとされる。
だが、アサシンはいとも簡単にソレをやってのけたのだ。
レイヴの魔術師としての勘が告げる。
(馬鹿な・・・・・・なぜ・・・・・・)
レイヴの感覚は鋭くなり、世界がゆっくりと流れる。
慢心はしていなかった。
しかし、定石にとらわれすぎていたのだった。
(なぜ・・・・・・! サーヴァントが令呪を・・・・・・!)
戦いというものはいつも突然だ。
そして、死というのもまた然り。
飛び出す鮮血。
赤く染まる視界。
その日、彼らは敗北した。