たった一つの願い事 わがまま少女あやの物語   作:まめた みか

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申し訳ありませんでした。葉留佳さんの入団テストの描写が抜けていました。

そのため、一部話の繋がりがおかしくなっている部分があったと思います。

先ほど修正を加えましたので、良かったらもう一度見てやって下さい。


第十二話 ふたりの新入部員

掃除をするために男子寮倉庫へと向かう。

 

沙耶さんが連れてきた三枝さんも一緒だ。

 

今日の四文字熟語辞典騒動の時には、まさかメンバーに加わるなんて思ってもみなかった。

 

 

「へー、朱鷺戸沙耶さんって言うんだ。沙耶さんって呼んでもいい?」

 

 

楽しそうな三枝さん。

 

 

「ええ、構わないわ。これから宜しくね、三枝さん」

 

 

「私のことは、葉留佳と呼び捨てて下さいな」

 

 

「葉留佳ね、わかったわ」

 

 

天使のような笑みを浮かべる沙耶さん。

 

 

思わず見とれてしまう

 

 

今、財布にいくらあっただろうか……

 

 

「おい理樹、どうした大丈夫か?」

 

 

鈴に揺すられ、正気を取り戻した。

 

 

「しっかりしろ、着いたぞ」

 

 

 

恭介が扉を開く。

 

 

中は酷い有り様だった。蜘蛛の巣が辺り一面に張り巡らされ、棚や床には何年分もの埃が積もっている。

 

 

「確かに酷いな……」

 

 

「最後に掃除したのは恐らく、明治維新前夜だろう……」

 

 

鈴と恭介が言葉を失う。

 

 

「ありゃー、これは確かに散らかってますネ」

 

 

三枝さんは中を覗いて能天気に、誰に言うでもなく、まるで独り言のようにそう言った。

 

 

「……」

 

 

謙吾はあまりの惨状に目を逸らしている。

 

 

「止めとこうぜ掃除なんて、俺はな……はっきり言って掃除をしようとすると、へその裏が痒くなって筋肉いぇいいぇいを踊ってしまうという特異体質なんだ」

 

 

くねくねと踊り出す真人。

 

「ふぉーっ」

 

 

意味不明な叫び声をあげている。

 

 

「筋肉いぇいいぇい……か、何か引っ掛かるのよね」

 

 

 

そんな真人を見て、何故か深刻な表情を浮かべる沙耶さん。

 

 

どうしたんだろう?

 

 

「お、これはお宝発見だ!」

 

 

突如、恭介がそんな声を上げ、段ボールの前にしゃがみ込んだ。

 

 

「シリーズ全巻揃ってるじゃないか」

 

「お、こっちにも」

 

さらに奥の段ボールも覗き込み、目を輝かせる。

 

 

「こらっ、これから片付けようって時に撒き散らすなっ!」

 

 

鈴がそう言って恭介のそばまで歩み寄っていき、説教を始めたが、当の恭介はどこ吹く風だ。

 

 

「まったくあいつは……」

 

 

謙吾が呆れたように笑いながら腕を組む。

 

 

「あー!」

 

 

と、後ろから声がした。

 

 

「みーつけた!」

 

 

この声は確か、

 

 

「神北さん、どうしたの?」

 

 

昼休みに会った神北小毬さんが、扉の前に立っていた。

 

 

「あたしね、決めたの。勧誘されちゃうことにしました」

 

 

「草で野球、直枝君のお役に立てたら、とっても嬉しいから」

 

 

ミトンを付けたまま、ニコニコと神北さんが言う。

 

 

「それって、リトルバスターズのメンバーになるってこと?」

 

「そう、なるのかな?」

 

 

僕の問いかけに笑顔で答える神北さん。

 

 

三枝さんが僕の後ろからぴょこっと顔を出した。

 

 

「ありゃ、こまりんも勧誘されたの?」

 

「うん、はるちゃんも一緒なんだねぇ、よろしく」

 

 

「まあ、まだ正式に入れてもらったわけじゃないんだけどね」

 

やはは、と頭を掻く。

 

 

 

神北さんが奥の方に逃げていた鈴と、興味深そうに観察している沙耶さんの方へ向き直る。

 

「棗さんと……えーっと」

 

 

 

「三年の朱鷺戸よ」

 

 

沙耶さんが短く答える

 

「よろしく、朱鷺戸さん!」

 

 

「ええ」

 

 

沙耶さんに手を差し出し、握手する

 

 

 

続いて鈴に走り寄る神北さん

 

 

「棗さんもメンバーなんだね! 一緒に野球がんばろー」

 

 

鈴の手を握りしめ、顔を覗き込む。

 

「……う、うみゅ、」

 

 

困惑している鈴だったが

 

 

「よ、よ、よ……よろしく」

 

 

何度もつっかえながらも何とか挨拶した。

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、神北とかいったか」

 

恭介が不思議そうに言う。

 

「え?」

 

 

「なぜ、ミトンを着けているんだ?」

 

「だって、野球で使うでしょう? それくらいは知ってるよ」

 

 

謙吾と恭介が頭を抱える。

 

 

「こまりん、違うよ」

 

 

真人と三枝さんが前に出てきた。

 

「そうとも!」

 

「本物はこれなんですヨ」

 

 

ふたりとも、人形劇に使われるようなパペットを手に持っている。

 

「へぇー」

 

 

「いやいや、それも違うから」

 

思わず突っ込みを入れる。なんかこの二人に任せると際限なく事態が面倒くさくなりそうだ

 

 

 

 

 

「それにしても、ここ随分汚れてるねぇ」

 

 

ようやく落ち着いた神北さんが言葉を発する。

 

 

「ああ、今から俺たちで掃除しようかと思っているんだが、良かったら神北も手伝ってくれないか?」

 

神北さんに協力を申し入れる謙吾。

 

 

「うん、いいよ」

 

 

後ろの方で人形遊びに興じる真人と三枝さんをちらりと伺う

 

「まあ、これだけ人数が居れば直ぐに終わるわ。みんな、頑張りましょう」

 

 

「えー、面倒くせぇな」

 

 

くねくねしている真人

 

 

「真人くん、これは筋トレだって考えればいいのよ。そうすればきっと、掃除も楽しく感じられるわ」

 

 

「そうか?」

 

「そうよ」

 

 

「そうか……よっしゃ、たっぷりと筋トレしてやるぜ!」

 

 

やる気になる真人、さすがに単純だ。

 

 

 

「みんな、これを使いなさい」

 

沙耶さんが軍手を取り出し、みんなに配った。行き渡ったのを確認し、掃除の指示を出す。

 

 

「じゃあ、まず恭介と理樹くんは漫画とかの入った小さめの段ボールを運び出して」

 

 

「よし」「うん」

 

 

 

 

「葉留佳と鈴ちゃんは小物を運び出して、謙吾くんと真人くんは重い荷物を頼むわ」

 

 

「はっ!」

「わかった」

「いいだろう」

「筋肉の出番だな!」

 

 

 

 

「神北さんは臨機応変にお願い」

 

「ラジャーですよ」

 

 

 

 

真人と謙吾の手により、大きな段ボール箱がまるでお手玉のように運ばれていく。

 

 

三枝さんから渡されたゴミを僕が袋に分別していき、鈴と沙耶さんが棚の上の方から物を降ろしていく。神北さんは恭介や鈴の補助に忙しく動き回っていた。

 

 

 

 

やがて、荷物があらかた外に運び出されると、

 

 

 

神北さんと謙吾は箒を使って床を掃き、他のみんなは三枝さんが持ってきたバケツと雑巾を使って、床や棚を綺麗にしていく。

 

 

 

「大分綺麗になってきたわ、あと少しよ」

 

 

拭き掃除をしている沙耶さんに言われ、辺りを見回してみる。確かにあれだけ汚れ放題だった部屋が、この短時間で見違えるように綺麗になった。

 

 

 

「これ終わったら飯だ、飯!」

 

 

「馬鹿、野球だ野球、これからリトルバスターズの初練習が待ってるだろうが」

 

 

談笑しながら、さらに掃き掃除と拭き掃除を続ける。

 

 

 

 

 

「ピッカピカですネ」

 

「うん!」

 

 

床は余すところなく箒で掃かれ、雑巾で綺麗に拭かれた。

 

 

 

みんなで物品の分別に移る。

 

 

 

「沙耶さん、これどうすればいい?」

 

 

三枝さんが茶色く変色した紙袋を差し出す。

 

 

「これは、絵の具と画材のセットね。まだ使えそうだわ」

 

 

残すもの、と書いてある大きな袋に詰め込む

 

 

「沙耶、これはどうすればいい?」

 

続いて、鈴がビールの蓋がびっしりと入っているクッキーの缶を持ってきた。缶の蓋には寮祭用、と書かれている

 

 

 

「うーん、多分これは寮祭か何かの飾り付けに使われたビールの蓋ね。多分もう使わないでしょう」

 

 

捨てるものと書いてある袋に詰め込む。

 

 

同じようにして、どんどんと物が分別されていく。

 

 

「沙耶さん、こっち分別終わったよ」

 

 

僕の担当している荷物は大きい物が多かったので、あまり時間をかけずに作業を終えることができた。

 

 

「ありがとう理樹くん、どこか手間取っているところを手伝ってくれる?」

 

「わかったよ」

 

沙耶さんの言葉に頷き、辺りを見回してみる。

 

 

真人は細かい作業はあまり得意じゃないみたいで、手こずっているのがわかる。

 

逆に謙吾は案外こういうのは得意なのか、テキパキと袋に詰めていく。

 

恭介は漫画本を読みながら作業をし、鈴ははしごに登って棚の上を片付けている。

 

 

 

「あ、棗さんスカートが」

 

 

 

梯子のささくれにでも引っ掛けたのか、いつの間にか鈴のスカートが軽く破けていたようだ。

 

 

それを目ざとく見つけた神北さんが、スカートから出した裁縫道具で鈴のスカートの破れを繕う。

 

 

「はい、出来たよ」

 

 

「あ、ありがとう」

 

 

「へへー」

 

照れくさそうな鈴と、嬉しそうな神北さん。

 

 

とても仲むつまじい様子だった。

 

 

 

それから少しして、

 

 

 

「みんな、お疲れ様」

 

 

部屋が綺麗になったのを確認して、沙耶さんが労(ねぎら)いの言葉を口にした。

 

 

「まさか、ここまで綺麗になるとはな」

 

 

さっきまで読んでいた漫画を置き、恭介が目を丸くする。

 

 

「俺は、俺を褒めてやりたい」

 

「こらこら、お前だけの手柄じゃないだろう。ここにいる全員の手柄だ」

 

 

真人をたしなめる謙吾。

 

 

「そうだね、ほら鈴、神北さんと三枝さんにお礼を言わないと。ふたりが手伝ってくれたお陰で、こんなに早く終わったんだから」

 

鈴の肩を叩く。

 

 

「ふたりとも、助かった」

 

 

鈴も少しは慣れたのか、顔を赤くしながら、ぶっきらぼうにお礼を言った。

 

 

「いえいえ、どってことないですヨ!」

 

「うん、私はそこまで大変じゃなかったしね」

 

 

~~

 

掃除が終わったので、みんなでぞろぞろと部室へ向かう。

 

 

 

 

「理樹くん、理樹くん」

 

 

三枝さんに制服の裾を引っ張られる。

 

 

 

「なんか朱鷺戸さんってカッコいいね」

 

 

それは同意見だ。

 

 

「何でも出来るスーパーマンって感じで、尊敬しちゃいますヨ」

「奇遇だね、僕もだよ」

 

 

どうやら、三枝さんは沙耶さんを気に入ってくれたらしい。

 

 

「それに私のこと…………」

 

 

 

「え? 何て」

 

 

途中から声が小さくて聞き取れなかった。

 

 

「何でもないですヨ、理樹くん、それより野球ー野球ー」

 

 

三枝さんのおさげが揺れた。

 

 

~~

 

 

「では、ふたりの入団テストを行いたいと思う」

 

 

 

「おー」「いぇーい」

 

 

 

道具を持って、グラウンドへ

 

 

「よし、三枝、神北グローブを取れ」

 

 

「まず、ふたりにはキャッチボールをしてもらおう」

 

 

「キャッチボールはわかるな?」

 

 

恭介が尋ねると、

 

 

「きゃっちぼーる?」

 

 

神北さんが首を傾げた。

 

 

「……実際に見てもらった方が早そうだな」

 

 

恭介が眉間にしわを寄せつつ、左手でスタンバイしていた沙耶さんに指示を出す。

 

 

ささっと20メートルくらい離れ、沙耶さんが手を振った。

 

 

「いくぞ、沙耶っ!」

 

 

恭介が切れのある球を投げる。

 

 

ボールはパシンと小気味良い音を立てて沙耶さんのグローブにおさまった。

 

 

沙耶さんから返球され、今度は恭介のグローブにおさまる。

 

 

「これを繰り返す訳だ、わかったな神北?」

 

こちらを振り返りながら、恭介が言う。

 

 

「うん、わかったよ」

 

頷く神北さん。

 

 

謙吾と真人がやれやれという風に肩をすくめた。

 

 

「さて、順番から言って先に来てくれた三枝からテストを始めたいと思う」

 

「よし、三枝。あっちにいる沙耶に投げてみろ」

 

 

「はーい」

 

素直に返事し、左利き用のグローブを装着する三枝さん

 

 

「え? 三枝さんって左利きなの?」

 

全然知らなかった

 

 

「うん、そうだよ。私は左利きなんだ、理樹くんよくわかったね」

 

笑顔になる三枝さん

 

 

「三枝さんの持ってるのが左利き用のグローブだから、そう思っただけなんだけどね」

 

僕が言うと

 

「え? 沙耶さんの真似してこれを取っただけなんだけどな」

 

そんな風に返された

 

 

沙耶さんの方を見る

 

 

「いつでもいいわよーっ!」

 

 

彼女の手にはめられているのは、確かに左利き用のグローブだった。

 

 

手招きして、無言で沙耶さんを呼ぶ恭介。

 

 

「どうしたの?」

 

走り寄ってきた沙耶さんに小声で何事か耳打ちする。

 

ふんふん、と聞いていた彼女だったが、ピタッと動きを止めた。

 

「あはは……、嘘でしょう?」

 

「本当だ……」

 

 

眉間にしわを寄せる恭介。

 

 

「で、でも、あたしの見た雑誌では江夏はこっちにグローブはめてたわよ?」

 

 

「……江夏はサウスポーだ」

 

 

恭介の一言で完全に停止する沙耶さん。

 

 

沙耶さん……

 

 

「グローブは右につけるものだと思ってた……」

 

 

「世間知らずのお嬢様みたいな反応だな」

 

 

真人が腕を組んで言う。

 

 

「完璧超人みたいな沙耶にも、こんな一面があったとはな」

 

 

謙吾も思案顔だ。

 

 

「まあ、こいつがどっか抜けてんのは今に始まったことじゃねぇさ」

 

 

恭介まで…

 

 

ここは僕がフォローするしかないだろう。

 

「でも、左手で投げてたのにコントロール抜群だったじゃない。すごい才能だよ」

 

 

 

「くっ……」

 

 

何故か沙耶さんが呻いた

 

 

「やっぱりあなた、じわじわ来るわ」

 

 

「どうせなら、笑い飛ばしてくれればいいのに……」

 

「はははっ!」

 

 

「筋肉まで笑っちまうぜ」

 

 

「うわっはっはっ!」

 

 

三人が一斉に笑い出した。

 

 

「あんたらに言ったんじゃないわよ」

 

 

「いてっ」

 

 

何故か恭介が代表でデコピンされた。

 

 

~~

 

「よし、ばっちこいこーい」

 

 

右手用のグローブをはめ直した沙耶さんがボールを投げる。

 

 

三枝さんの胸元にふわっとした捕りやすい球が返された。

 

 

三枝さんが振りかぶる。

 

 

「では、いきますよ……」

 

 

「とりゃー」

 

『パシン』

 

「そりゃー」

 

『パシッ』

 

「おりゃー」

 

『パシン』

 

 

 

「ほー、案外普通じゃねぇか」

 

腕組みして、感心したような様子の真人。

 

 

続けて守備練習に入る。

 

 

謙吾の打った高めのフライをしっかりキャッチし、ゴロも割と上手くさばいている。

 

 

この分だとランニングも問題なさそうだ。

 

 

「三枝さん、結構いけるんじゃないかな」

 

 

「ああ、三枝はいい戦力になりそうだな」

 

 

「じゃあ、次は神北か」

 

「うーん」

 

 

神北さんはどうなんだろう

 

 

 

「よし、全員集合っ!」

 

 

恭介が号令をかけ、みんなを集めた。

 

 

「棗先輩、もう良いんですか?」

 

「ああ」

 

三枝さんの問いに首を縦に振り、答える。

 

 

「しかし、三枝は走るのが速いんだな」

 

 

謙吾に言われ、照れたように頭をかく

 

 

「いやー、日頃から走る機会が色々とありましてネ」

 

 

それはきっと、常日頃からイタズラばかりしているから風紀委員に追い掛け回されているってことだろう。

 

 

「そうか」

 

謙吾も多分わかっているのだろうけれど、あえてその事には触れず、静かに一言呟いただけだった。

 

 

「じゃあ、次は神北。いってこい」

 

 

 

 

「ようし」

 

 

神北さんは恭介からボールを受け取ると、グローブを構えている沙耶さんに向かって腕を思いっきり振り回し、

 

 

 

「でぇりゃあああ!」

 

ボールを投げた!

 

 

 

 

 

てん、てん、ころころ

 

 

気合い十分に投げられたボールは、神北さんから五メートル程離れた地面に転がり、そのまま止まった。

 

 

 

 

「…………」

 

 

無言の恭介。

 

 

力の入り方が全部無駄になっているというか、無駄の大き過ぎるフォームというか……

 

 

とにかく、かなり残念だった。

 

 

「あ、あれぇ?」

 

 

 

何度か試みるも、結局十メートル以上飛ぶことは無かった。

 

 

「次は、バッティングテスト」

 

恭介が金属バットを差し出す。

 

神北さんはそれを受け取ったはいいが、

 

 

 

「お、重いー」

 

 

ほんの少し持ち上げただけで、神北さんの腕がものすごくプルプルしている。

 

 

「あーあ、見ちゃいらんねぇな。ほれ、貸してみ」

 

 

真人が神北さんに近付いていく

 

 

ゴンッ

 

「……うぁあああ…あああ」

 

鈍い音がした。

 

 

バランスを崩した神北さんの持っていたバットが、真人の弁慶の泣き所に直撃したみたいだ。

 

「うあっ、ごめんなさーい」

 

 

 

「…う…う……」

 

 

声にならない悲鳴を上げて転げ回る真人を放って、恭介が話を進める。

 

 

 

「プラスチックのバットなら軽い、これなら問題ないだろう」

 

 

「うん、頑張ってみるよ」

 

 

問題しか無いような気がする。

 

 

「えいっ!」

 

沙耶さんが緩い球を投げるが、

 

 

「そりゃっ!」

 

 

「おんどりゃあ!」

 

 

全く当たらない

 

 

 

 

 

「……よし、神北、次はベースランニングだ」

 

 

沙耶さんの投球が二十球を超えるころ、恭介が口を開いた。

 

 

「ふぇっ!」

 

 

一塁ベースまで走るだけなのに、神北さんは二回も転んだ。

 

 

タイムにして、二十秒といったところだろうか。

 

 

 

「俺にはどうみても野球に向いているようには見えないんだが」

 

 

ようやく立ち直った真人が腕を組んで言葉を発する。

 

 

 

 

「確かに、神北さんは運動に向いてなさそうだね」

 

 

あ、またこけた。

 

 

 

「……ヤバいな」

 

 

恭介が眉間にしわを寄せる。

 

 

 

反対に、

 

 

 

「面白いじゃない」

 

 

沙耶さんは好戦的な笑顔を浮かべていた。

 





恭介「ふと思いついたんだが」


真人「今度は何を始めようってんだ?」


恭介「次回予告をしよう」


真人「は?」

恭介「予告だよ」


恭介「次回予告のコーナーをつくる、コーナー名は…」


???「本日の井ノ原くんだ」

???「貴様の恥ずかしい事を赤裸々に公開してやる」


真人「望むところだぜ」




沙耶「沙耶っぺの一問一答なんてどうかしら」


謙吾「宮沢式、愛の次回予告なんてのはどうだ」


葉留佳「相変わらず頭沸いてますね」


鈴「今日のにゃんこ」



恭介「よし、コーナー名は『今日のにゃんこ』に決定だ。」


理樹「ええっ」


恭介「じゃあ早速、」



~~今日のにゃんこ~~


鈴「今日紹介するのはヒトラー、トラ猫だ。こいつは65年物の猫じゃらしを、いとも簡単に捕まえた事から五十六(いそろく)というあだ名になった。たまにふてぶてしいが、なかなか可愛い奴だ」


鈴「よし五十六、史上初の二足歩行だ」


鈴「こんじょー、こんじょー」



~~おわり~~



理樹「……恭介、これで良かったの?」


恭介「良いわけないだろうが! 次だ、次」


次回へ続く




真人「次回予告が続くとは、なかなか斬新だな」


真人「次回、第十三話『初練習』気が向いたら見てくれよなっ!」
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