たった一つの願い事 わがまま少女あやの物語   作:まめた みか

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No.383
HN:MM
〈質問〉
 体育の日とは具体的に何をする日なのですか?
〈回答〉
 そりゃあ勿論、身体を動かすことだな。俺はとりあえず筋力トレーニングをいつもの三割くらい増しでやってる。常日頃やってるのとは一味違うトレーニングをしてみるのもいいかもしれねぇ、謙吾の奴なんかは集中力を鍛えるとか言って、わざわざ郊外の滝に打たれにいくくらいだしな。


ま、日頃から運動不足な奴は、まずはトレーニングの方法なんかを調べてみるこった。


温故知新、古い筋肉をバネに新しい筋肉を創る。まったく、いい言葉があるもんだな。


最後に一つ、筋肉はいつもお前さんを見守ってるぜ、あばよ。



第十七話 彼女は礼儀正しくて、可愛くて、和食が得意で、いつも一生懸命な子なんです!

 

午後からの授業が始まった。

 

 

合間の休憩時間を見計らって沙耶さんがやってくる。

 

 

とりあえず作戦を立てるらしい。

 

 

「どうやってルームメイトさんを探したらいいんでしょうか?」

 

 

クドが不安そうに言う

 

 

そんなクドを見て、沙耶さんが口を開いた

 

「さっき恭介に相談してみたんだけど『現在部屋に一人でいる知り合いに頼むのが一番手っ取り早いだろう』って言ってたわ」

 

「顔見知りの女子生徒に当たってみましょう」

 

 

「一人部屋の女子か……」

 

 

「パッと思い付くのは鈴と来ヶ谷さん、何人部屋なのか分からないのが小毬さんと三枝さん、ってところかな」

 

 

「まずは、鈴に訊いてみようか」

 

「はい」「そうね」

 

 

鈴の席へ向かう

 

 

「ルームメイト?」

 

 

「お前たちがか?」

 

僕とクドを指差す

 

 

「いやいや、僕は男子だから」

 

「じゃあこっちか」

 

 

沙耶さんとクドを指差す

 

 

「いや、沙耶さんは三年生だからさ」

 

 

「そうか? 案外お似合いだと思うぞ」

 

少し想像してみる

 

 

 

 

沙耶さん「あはははは」

 

クド「うふふふふ」

 

 

 

「そうだね」

 

 

昨日から見ていて普通に相性が良さそうだ

 

 

「理樹くんがアホになった」

 

 

「確かに、鈴さんの言うとおりかもしれませんね」

 

 

沙耶さんが驚く

 

 

「能美さんまで!?」

 

 

「ちょっとやることがあるから中庭に行ってくる」

 

 

僕らを尻目に鈴が教室を出て行こうとする。

 

「いや、僕や沙耶さんじゃなく、鈴にクドのルームメイトになって欲しいんだよ」

 

 

 

そう声を掛けると

 

 

「なにぃ?」

 

 

「あたしが……か?」

 

 

びっくりしたように立ち止まった

 

 

「ルームメイトか……」

 

 

そのまま考え込む

 

 

「うーん」

 

 

いくら最近まで部屋が同じだったとはいえ、多分クドとほとんど話をしたこともないんだろう。

 

 

「う……」

 

 

鈴が顔を赤くした。

 

 

ましてや本格的なルームメイトになるということは、寝食を共にするということだ。春までの人見知りな鈴なら、決して出来なかった事だろう。こうして悩んでいるだけ、成長したとも言える。

 

 

「すまない。あたしには多分無理だ。ルームメイトになったら、能美さんに嫌な思い沢山させると思う」

 

 

目を伏せ、申し訳なさそうに頭を下げた

 

「だから、ごめん」

 

 

「いいんです」

 

 

クドが笑顔で言う

 

 

「鈴さんにはこれまで迷惑を掛けっぱなしでしたし、私のためにこんなに悩んでくださったのですから」

 

 

「鈴さんの気持ちだけで、私はとっても嬉しいのです」

 

 

「鈴さん、ありがとです」

 

 

クドはにっこりと笑った。

 

 

 

~~~

 

 

「どうしましょう……」

 

 

来ヶ谷さんが見当たらなかったので、教室に居た三枝さんと小毬さんに頼んでみたけど、

 

 

三枝さんは

 

「クド公とルームメイトになれたら楽しそうなんだけど、はるちんは三人部屋でもうルームメイトが居るから、駄目なんだなぁー、残念。クド公なら一日に三回はくるくる回してあげるのに」

 

 

との事で駄目だった。

 

 

小毬さんにも

 

「ごめんねー、クーちゃん、私ももうルームメイトの人が居るんだー」

 

 

と、断られてしまった。

 

 

三人揃って中庭のベンチに座る

 

 

「やっぱり鈴にもう少し強く頼んでみるべきだったかな」

 

 

「うーん」

 

 

沙耶さんがベンチから立ち上がった。

 

 

「理樹くん、能美さんについていてあげて」

 

 

「あたしはちょっと、別の手を考えてみるわ」

 

 

そう言うと、沙耶さんは校舎内に消えていった。

 

 

「ときどさんは何をなさるつもりなんでしょうか?」

 

 

「多分、間の抜けたことだよ」

 

最近格好いいシーンが多かったから、そろそろボケた姿を見てみたい。

 

 

「じゃあ、僕たちは来ヶ谷さんを探しにいこうか」

 

「はい」

 

 

「呼んだか? 少年」

 

 

 

「うわあぁぁっ!」

 

 

ベンチから立ち上がった瞬間に後ろから声を掛けられた。

 

 

 

「なんだ、そんなに驚いて」

 

 

「びっくりさせないでよ、来ヶ谷さん」

 

 

来ヶ谷さんの方に向き直る

 

 

クドも立ち上がった。

 

 

「来ヶ谷さん、こんにちは」

 

 

それに対し、来ヶ谷さんはうむ、と頷いてみせる

 

 

「君たちは今日の朝から能美女史と一緒にいるが、何かあったのか?」

 

 

こちらが話題を出すより先に、尋ねられる

 

「実は、クドのルームメイトを探してるんだ」

 

 

「来ヶ谷さんがもしよろしければ、私のルームメイトになってもらえませんか?」

 

 

「なんだ、独り寝は寂しいのか? おねーさんはいつでもウェルカムだぞ」

 

はっはっは、と笑いながらクドを抱き寄せる

 

「むぐ……」

 

 

胸に押し付けられ、もがいている。

 

「かわいい」

 

あ、一度離したあとまた抱き寄せた。

 

「来ヶ谷さん、クドが目を回してるよ」

 

 

「む……」

 

 

僕の言葉を受け、クドから手を離す

 

 

「……わ、ふー」

 

 

クドが来ヶ谷さんに斜めに寄りかかった。

 

 

「これはすまない、つい夢中になってしまった」

 

 

「わ、ふー?」

 

 

再び抱き締める来ヶ谷さん

 

 

「はあ、クドリャフカくんは斜め45°が一番抱き心地がいいな」

 

「大丈夫かね、能美女史」

 

 

 

来ヶ谷は目を回しているクドをベンチに座らせた。

 

 

 

「ちょっと来い、少年」

 

 

ネクタイをつかまれた。そのまま引きずられる

 

 

「うわぁ、何っ!」

 

 

「いいから来い」

 

ベンチから数メートル離れた植木の陰までやってきたところで、ようやく手を離された。

 

 

来ヶ谷さんが鋭い眼光でこちらを睨む

 

 

「少年、貴様、私を悶絶死させるつもりか」

 

 

「ルームメイトということは、だ、あんな娘が夜すぐ近くで寝てたら、私はどうすればいい!?」

 

クドを指差し、強い口調でそう言われる

 

「ど、どうって、別に何もしなければいいと……」

 

僕の言葉を遮る

 

 

「風呂上がりにパジャマでベッドに座ってもみろ」

 

 

「……余裕で押し倒すぞ、良いのか?」

 

 

「駄目に決まってるでしょう! 何てこと考えてんだあんたはっ!」

 

 

「いやまあ、本妻はあやくんとはいえ、ハーレムでうっはうはだぜ、ひゃっほいというのは女の夢だろう?」

 

 

「クドリャフカくんをその第一号に……」

 

 

「いやいやいや、今時、男でもそんなこと言わないし、やらないからさ」

 

 

「そうか?」

 

 

「そうだよ」

 

 

「それに、沙耶さんは誰にも渡さないから」

 

何故か口からそんな言葉が出た

 

「なんだ少年、知っていたのか?」

 

意外そうな顔をされる。

 

 

「いや、今のはなんか口をついたっていうか、無意識に出たっていうか」

 

 

何で沙耶さんの姿が浮かんだんだろう、不思議だ

 

 

「ふむ、やはり恋だとか愛だとかいうものは私にはよく分からないな」

 

「……いつかそれを知りたいと思う日が来るのだろうか」

 

 

来ヶ谷さんにじっと見つめられる。

 

 

「な、何さ?」

 

情けないことに、声が少し上擦ってしまった

 

 

そんな僕を見て、ふっと微笑む。

 

 

「理樹くんは可愛いなぁ」

 

 

来ヶ谷さんはそう一言呟くと、僕に背を向けた。

 

 

「さて、すまんが私はそろそろお暇(おいとま)するよ、やらなければならない事があるのでね」

 

「頑張れよ、少年」

 

 

来ヶ谷さんは右手を挙げると、颯爽と歩いていった。

 

 

 

「頑張れ、か……」

 

 

いったい何に対しての頑張れなのか分からないけれど有り難く受け取っておく事にした。

 

 

「って、何も解決してない!」

 

 

〜〜〜

 

 

あれから校内を回って、更に何人かに当たってみたが、良い返事をくれた人は居なかった。

 

 

「……はぁ」

 

 

隣を歩くクドが溜め息をつく

 

 

「元気だして、クド。ほら、まだ明るいしもう何人か当たってみよう」

 

 

僕の言葉を受け、首を縦に振る

 

「そう、ですね」

 

そうは言うものの、顔は沈んだままだ。

 

 

「あら、あなたたち」

 

 

後ろから声を掛けられた。どこかで聞いたことのある声だ。

二人して振り向く

 

 

「こんな所で何をしているのかしら?」

 

 

「えーと、二木さんだったよね、風紀委員の」

 

 

「ええ、はじめまして、二木佳奈多よ」

 

 

この人が噂の氷の風紀委員長か。

 

 

「私のルームメイトになってくださる方を探しているんです」

 

 

クドがおずおずといった調子で話し掛ける。

 

 

「ふーん」

 

 

じっと見定めるような目でクドを見つめる二木さん。

 

 

「な、何でしょうか」

 

 

あれ? 何かデジャヴを感じる。

 

 

「もし相手がまだ見つかっていないのなら、私をあなたのルームメイトにしてもらえないかしら」

 

 

僕がそんな事を考えている間に、二木さんはそう発言した。

 

 

「いいのですか?」

 

クドが信じられない、といった様子で二木さんに言葉を発する。

 

 

「お願いしてるのはこっちの方なのよ?」

 

 

二木さんが苦笑する

 

 

「ぜ、是非お願いします」

 

 

 

クドのルームメイトが無事に決まった瞬間だった。

 

 

 

「私の部屋は三人用の部屋なんだけど、私一人しかいないからスペースが余っているの。能美さんの方が私の部屋に来てくれないかしら」

 

 

「はい、わかりましたっ!」

 

 

「じゃあ、今日中に寮長に書類を提出しておくわね」

 

 

クドのルームメイトが見つかって良かったけど、どうして二木さんはわざわざ名乗り出てくれたのだろうか

 

 

メールを見たから?

 

 

それとも掲示板を見たから?

 

 

「二木さんはどうしてクドのルームメイトになろうって気になったの?」

 

何となく気になったので、そう尋ねてみた。

 

 

「寮会の活動をしていたら、とある三年生が寮長に向かって能美さんのアピールポイントをのべつまくなしに言い立てていたのよ」

 

 

まさか……

 

 

「それで少し気になってね」

 

 

「そ、そうなんだ」

 

 

 

 

二木さんが去るのをクドと共に手を振って見送る。

 

 

見えなくなってから、

 

 

「……何してんだ、あの人は」

 

僕は一つ溜め息をついた。

 

 

「ときどさんのお陰だったのですね、さすが凄いのです」

 

 

クドは素直に感心している。

 

 

「まあ、結果的には良かったのかな」

 

まったく何がしたいのか分からないけど

 

 

 

 

「理樹くん、能美さん!」

また後ろから声を掛けられた。今日はよく背後を取られる日だなぁ

 

 

「遂にやったわよ」

 

 

「どうしたのさ、沙耶さん」

 

 

振り返ると、興奮気味の沙耶さんの姿があった。

 

 

「寮長の説得に成功して、あたしが能美さんのルームメイトになれることになったの」

 

 

「いやー、大変だったわよ」

 

 

沙耶さんが片目をつぶる。

 

 

そのまま右手を挙げ、手のひらを上に向けた

 

 

「能美さんとルームメイトになりたい理由をひたすら挙げていったり」

 

「寮長を褒めまくったり」

 

 

 

「それでも渋ってたから、寮長の飼ってる猫、クロフォード5世をべた褒めしてやったの。そしたら何とか折れてくれたわ」

 

 

沙耶さんが得意げに話している間中、僕は事実をどう伝えようか考えていた。

 

 

 

 

「はあぁぁぁ!? もうルームメイトが決まってた!?」

 

 

「うん、ついさっきなんだけどね」

 

 

「あたしの努力って、いったい……」

 

落ち込む沙耶さん

 

 

「部屋は三人用の部屋だって言ってたから、頼んでみたらいいんじゃないかな、案外OKしてくれるかも」

 

「無責任な言葉ね……」

 

 

睨まれる

 

 

「で、相手は誰なの? 来ヶ谷さん? それとも西園さん?」

 

気を取り直したようにそう尋ねる沙耶さんに対し

 

 

「二木さんです」

 

 

クドが答えた。

 

 

「やっぱり……そうじゃないかと思った」

 

 

沙耶さんは、どうあっても二木さんと縁があるらしい

 

 

「とりあえず二木さんを探して、大丈夫かどうか聞いてみよう」

 

僕の言葉に二人が頷いた。

 

 

 

~~~

 

「そういえば、能美さんはあたしがルームメイトになったとしても大丈夫なのかしら?」

 

 

 

 

 

「はい、サヤの事は大好きですから」

 

 

二木さんを探すため南校舎と北校舎に手分けして向かったのだが、僕が離れている少しの間に、沙耶さんの呼び方がサヤになっていた。いったいいつの間にそんな親密に

 

 

くそぅ……

 

「沙耶、クド、二木さんの部屋にいってみよう」

 

 

「え? ええ」

 

「はいっ!」

 

クドめ……可愛い顔してかなりのやり手だ。

 

 

僕は心のノートに『能美クドリャフカ、要注意』と書き込んだのであった。

 




沙耶「寮長と仲良くなったわよ」
あーちゃん先輩「どうも~」


沙耶「わがままを聞いてくれてありがとう」

あーちゃん先輩「クロフをあそこまで褒められたら、流石に断れないかな」

あーちゃん先輩「にゅふふ」


沙耶「なにこの人、可愛い」


理樹(要注意だな)


~~~


恭介「と、言う訳で」


真人「どういう訳だよ」


恭介「次回予告だ」


真人「えー、まだ続けんのかよ」(横断幕、マイク用意中)


恭介「お前、嫌がってる割に熱心だよな」


真人「そりゃあやるからにはちゃんとしねぇとな。あー、あー」(マイクテスト中)


クド「はろー井ノ原さん、恭介さん」


真人「お、クー公か」


恭介「沙耶と理樹はどうした。一緒じゃなかったのか?」


クド「それが……」


あーちゃん先輩「じゃあ次は『雨のち晴れ』」


沙耶「待ってました、よっ流石だね、日本一っ!」


理樹「僕の……は還ってきたのだ。世界をぐるりと一巡りして」


恭介「なるほど」


真人「向こうは完全に骨抜きにされちまったな。どうすんだ恭介?」

恭介「俺を舐めるなよ」


真人「おっ流石だな、なんか打つ手でもあるのか?」


恭介「三人でやる」


真人「えー」


真人「って、いつの間にかクー公まで居ねえし。どうすんだよ恭介」


恭介「次は遥か彼方で頼む」


真人「恭介ーっ!」


真人「くそう、俺一人かよっ!」

真人「謙吾の奴も滝行で居ねえし、鈴は……うわっ着信拒否にされてやがる」

真人「こうなったらものすごい勢いで予告して、ものすごい勢いで次話を書いてやる!」


真人「ま、ダンベルと鉄アレイの友情ストーリーでいいか」


佐々美「あら?」


佐々美「宮沢様が居ると伺って来たのですけど、見当たりませんわね」


真人「おお、救世主様だ!」


真人「突然でわりいんだか、次回予告を手伝ってくれねぇか?」

佐々美「良いですわよ」


真人「やったー!」


佐々美「その前に、ちょっとペンを貸してもらえます?」


真人「おう」


佐々美『筋肉出てけ(怒)』


真人「目から蜂ぃっ!」


ダダダッ

佐々美「あら、冗談でしたのに」

佐々美「次回は野球をする話らしいですわね。全く、隅っこでキャッチボールでもしていればいいものの……あ、宮沢様もいらっしゃるのね、差し入れでも持って行った方がいいかしら」

~つづく~
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