私は「キアナ・カスラナ」ヒーローを目指すものだ 作:伽華 竜魅
緑谷と轟の戦い。次は私が出るけど、どうしてもこの目で実際に見ないといけない。なにせ、二人から宣戦布告を受けたんだ。見ないと逆に失礼な気がする。
『今回の体育祭、両者トップクラスの成績だ! 行くぜ!? 緑谷! バーサス、轟! 今……』
ついに、緑谷と轟の戦いが……
『スタート!!!』
開始した瞬間に二人は動いた。轟は氷結攻撃を繰り出し、緑谷は指を弾いて衝撃波を生み出して、氷結を打ち消した。けど、緑谷の個性は体への負担がでかすぎる。言わば、自損覚悟の打ち消しだ。その後も轟は何度も氷結を撃ち続けて、それを緑谷は打ち消していく。そしてもう右手が全滅してしまった。緑谷の狙いはおそらく耐久戦。轟の火力が低下するのが唯一の勝ち筋なんだ。
『轟、緑谷のパワーに怯むことなく近接へ!!』
それに気づいたのか、轟は緑谷との距離を一気に詰めていって、決め切ろうとする。緑谷は間一髪で避けるが、轟は更に空中にいる緑谷に氷結を放つ。距離と空中じゃ、避けられないと判断したんだろう。緑谷は左腕を丸々使って氷結を打ち消した。それに、個性が強いだけじゃない。判断力も、応用力、機動力もある。とてつもなく…強い!……あれ、震えてる?
『圧倒的に攻め続けた轟!! とどめの氷結を――』
あれは…もう……。
「どこ…見てるんだ!」
緑谷の声が聞こえた瞬間、氷結が打ち砕かれた。指も、腕ももう使えないはず…!?
「こ、壊れた指で…!?」
私は、思わず声を漏らしてしまった。すると、また緑谷の声が、会場に響いた。
「皆…本気でやってる。勝って…目標に近づくために…半分の力で勝つ!? まだ僕は、君に傷一つつけられちゃいないぞ! 全力でかかって来い!」
"半分の力だけで勝つ"。この意味は、私以外のみんなはよくわかってなかったけど、私はわかっていた。エンデヴァー……。でも、なんで緑谷はそこまで……。緑谷の挑発(?)に反応したのか、轟は緑谷と距離を詰めようとする。
『モロだぁ~! 生々しいの入った~!!』
怪我の状態で言うなら緑谷のほうがひどい。けど、緑谷の言う通り、あれは自損によるもの。勝負で言うなら、実際攻撃を先にいれたのは、緑谷のほうになる。
「なんでそこまで……!」
また、二人の会話が聞こえた。
「期待に応えたいんだ……! 笑って答えられるような…カッコいい、ヒーローに……なりたいんだ!」
緑谷の言葉に、轟は顔を歪ませた。その顔は戸惑いだった。
「だからみんな……全力でやってるんだ! みんな! 君の境遇も、君の決心も、僕なんかに計り知れるもんじゃない……でも……全力も出さないで一番なって完全否定なんて……ふざけるなって今は思ってる!」
その言葉に、皆は何のことかわからずにいた。多分私の顔は、より真剣な顔になってると思う。私だけは意味を分かっているから。
「君の! 力じゃないか!」
緑谷の、強い言葉が、叫びが響き渡った。それが轟の心に響いたのか、轟は泣きそうなほどに表情を歪め、左半身から炎を生み出した。
「ハハ…そういうことか…」
「? キアナさん、緑谷さんのあの行いの意味がわかったのですか?」
「……うん。もともと轟が炎を使わなかった理由は本人から聞いてたから。」
……ほんと、あのヘドロ事件の時も、USJ事件の時も、そして今回も……。
「……緑谷、あんたはもう…"ヒーロー"だよ!」
私は、笑顔でそういった。
「焦凍ォオオ!」
エンデヴァーが、スタジアム全体に響き渡るほどの声量で轟の名を叫んだ。
「やっと己を受け入れたか! そうだ、いいぞ! 俺の血をもって俺を超えていき、俺の野望をお前が果たせ!」
エンデヴァーのその行動に、プレゼントマイク先生は、親バカと言った。まぁ、あんだけ大声で応援すれば、親バカとしか言えなくなるね……。けど、そんなエンデヴァーを無視して、二人は戦闘態勢に入った。そして、轟は最大規模に近い氷結を放ち、緑谷は制御何て忘れて、左足で跳躍してその攻撃を避けて、一気に距離を詰めていく。轟は高熱の炎を放ち、緑谷も渾身の一撃を振るった。直後、ステージが大爆発を起こした。
結果は……、
「み、緑谷くん場外…。轟君、三回戦進出!」
緑谷が場外に吹き飛ばされ、轟がステージに残る形で、終わった。ステージが修復完了次第、すぐに二回戦が行われるため、控室に待機することになった。
―
――
―――
ステージの大崩壊がやっと治り、私と常闇の対決が始まろうとしていた。
『さぁ!! 大崩壊したステージ治り! やっとこさ第二回戦、第二試合! 常闇! バーサス、カスラナ! スタート!!』
常闇の個性、「
「まずは、ステージを味方につける!!」
両手に熱炎を集中して、器用に自分たちを囲うように熱炎をばら撒いた。
「熱炎の舞台ってところかな?」
「……っ。(ステージが炎の光で…!)」
「じゃあ、次は…」
「…だが、負けるわけにはいかない! ダークシャドウ!!」
「アイヨ!!」
「熱炎を、両手に、纏うように……」
もう一度両手に熱炎を溜めて、次は纏った。そして熱炎の矛も出して、距離を詰める!
「ハァ!!」
「ギャア!!」
ダークシャドウを殴れば、熱炎の光のせいか、怯んだ。これなら行ける!
「ヤァ!」
「(ダークシャドウの闇を補充する暇がない! 闇が尽きれば終わる!)。ダークシャドウ! 掴んで場外に――」
「熱炎の矛! 布状!!」
熱炎の矛を亜空の矛同様、布状にして、ダークシャドウを捕まえた。布状になっても、炎は燃え続けているから、光が消えることはない。
「しまった! ダークシャドウ!!」
「フミ…カゲ…」
「どうする? 攻防一体のダークシャドウはもう使えない。あんた自身が戦うなら、受けて立つけど?」
念のため、戦闘態勢を取る。油断は命とりだからね。
「……っく、参った」
「常闇くん、降参! カスラナさんの勝利! そして、三回戦進出!」
「ふぅ…、あ、ごめんねダークシャドウ。今解くから」
熱炎の矛を消して、ダークシャドウを解放した。
「ウゥ…暴力反対」
「光が弱点なだけで、こうもなる?」
「及び腰になっているが、闇を補充すれば元に戻る」
「そっか、よかった!」
二戦目も勝った。次は……轟か。
「(あの小娘の個性、炎だけであんな器用すぎることは俺でもできない。障害物と騎馬戦の時も、炎とは関連性のない個性を使用していた…。彼女もまた、個性を二つ。いや、"複数"と言ったほうがいいか。どちらにしても、あの小娘も個性婚で作られた可能性がある。少し話をする必要がありそうだな)」
その後の三戦目は、飯田がレシプロで塩崎を場外に一瞬で押し出して、勝った。
―
――
―――
四戦目は、爆豪と切島だ。既に戦いは始まっている。それを見ていると、緑谷が戻ってきた。
「緑谷! 怪我は大丈夫なの?」
「うん。歩ける程度には…。キアナさんも、おめでとう」
「ありがとう! …ねぇ、轟と戦った時に言ったあの言葉。そういうことだよね?」
「…うん。轟くんのことを知っているキアナさんは、わかったんだね」
「そりゃあ、轟の家庭事情を聞かされた後に、あの言葉を聞いたら、そうとしか考えられないじゃん」
「アハハ…確かに…」
そうして話していると、爆豪の爆破ラッシュで切島をノックアウト。爆豪が勝った。
「…キアナさんの次の相手は、轟くんだね」
「うん、あんたの分も勝って、優勝するよ!」
「…轟くんも応援するけど…頑張ってね!」
「もちろん!!」
私と緑谷は、グータッチをした。
第三回戦
第1戦 轟 ― カスラナ
第2戦 飯田 ― 爆豪
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