私は「キアナ・カスラナ」ヒーローを目指すものだ 作:伽華 竜魅
緑谷がビルの壁を飛び回りながらヒーロー殺しの注意を引く。その隙に私は両手を突き出して、真理の境を創造して、熱炎と共に援護する。けどやっぱり早い…まったく当たらない!いや…それ以前にヒーロー殺しの動きが変わった…あれで全然本気じゃなかったってこと!?緑谷の足が深く斬られた。まずい!
「緑谷!」
轟が声を上げなら炎を出した。私も再度レーザーを放つ。けどそれすらも避けられて、刀に着いた緑谷の血を舐めながら、私たちの方へ迫ってきた。こうなったら、意識の操作を
「止めてくれ……もう……僕は……」
「くっ……やめて欲しけりゃ立て!」
そんな状況でまた後ろから、飯田の声が聞こえて、それに応えるように、腹から出したような轟の叫び声が聞こえた。
「なりてえもん、ちゃんと見ろ!!!」
その言葉と同時に、ヒーロー殺しに意識の操作をしようとしたけど、ヒーロー殺しは、私が何かしようと気づいて私の視界から消えた。あぁもう!
意識の操作は、"対象物を視界に入れてから数秒、意識の操作を集中することで発動する"のに!!
「はっ…ナイフ!?」
私の目の前にはナイフが飛んできていた。避けることはできたが頬にかすれてしまう。その間に轟は左の炎でヒーロー殺しを迎え撃っていたが、すべての攻撃を読み切っているのか、かわされながら距離を詰められた。
「言われたことはないか? 個性にかまけて、挙動が大雑把だと!」
上体を倒し、刀を構えたヒーロー殺しが轟の間合いに入った。急いで亜空の矛を……
「轟くん!!」
緑谷の叫び声と私が亜空の矛を急いで出そうとする瞬間、一陣の風が吹き、エンジン音を立てながら、飯田が駆け抜けてきて、刀をへし折り、更に一撃を叩き込んだ。私たちの攻撃をすべてかわしていたヒーロー殺しが、回避ではなく防御を優先した。
「飯田くん!」
「解けたか。意外と大したことねぇ個性だな」
「轟くんも緑谷くんもキアナくんも関係ないことで………申し訳ない………」
「飯田、そんな事……」
「だからもう、三人に血を流させるわけにはいかない」
飯田は手を固く握り、顔は決意に満ちていていた。きっと轟の言葉が、飯田の心に届いたんだ。
「感化され取り繕おうとも無駄だ。人間の本質はそう易々と変わらない。お前は私欲を優先させる贋物にしかならない!
「時代錯誤の原理主義だ。飯田、人殺しの理屈に耳貸すな」
「いや、奴の言う通りさ。僕にヒーローを名乗る資格など…ない。……それでも、折れるわけにはいかない。俺が折れれば、インゲニウムは死んでしまう」
「論外ッ!」
ヒーロー殺しが動く素振りを見せた瞬間、轟が高出力の炎で攻撃する。ヒーロー殺しの姿が完全に炎に包まれて姿が見えなくなった。その時、まだ動けないでいたプロヒーローが声を上げた。
「バカッ! ヒーロー殺しの狙いは、俺とその白アーマーだろ! 応戦するより逃げたほうが――」
「それは難しいって結論が出たの! 飯田も動いて4人、だけど逃げる隙を与えてくれない! それに……」
「動きが変わってる。明らかに奴も焦ってる!」
轟は氷結と火炎の両方を織り交ぜた攻撃を続けるが、すべて避けられる。
「轟くん! 温度の調節は可能なのか!?」
「左はまだ出来ねぇ! なんでだ!?」
「俺の脚を凍らせてくれ! 排気筒を塞がずにな!」
「防御は私がする! 急いで!!」
キューブシールドを展開して、二人を守る!!
「轟! できた!?」
「あぁ!」
「飯田、解除するよ!!」
「頼む! レシプロ…」
「キューブシールド、解除!!」
「エクステンド!」
キューブシールドを解除して消えた瞬間、飯田はレシプロを全開にして、空中にいたヒーロー殺しに向かって飛んでいった。右を見ると、緑谷も緑の雷光を纏いながら、ヒーロー殺しに向かって飛び上がっていた。
「飯田! 緑谷ァ!!」
「行け!」
飯田の脚と緑谷の拳が、ヒーロー殺しを完全に捉えた。
「うっ! うりゃああっ!」
ヒーロー殺しはすぐに刀を掴んで飯田に斬りかかった。私は咄嗟に、亜空の矛・布状で刀を掴んで止める。
「ッ!?」
「今だよ!」
「畳みかけろ!」
私が刀を抑えてる間に、轟が炎を放つ。
「お前を倒そう! 今度は犯罪者として…! ヒーローとして!」
飯田もそのまま二撃目の蹴りをたたき込んだ。そして轟の炎で燃やされる。そのまま三人落下してきた。轟が飯田と緑谷を氷で滑らせて地面に着地させてる間に、私は亜空の矛・布状で捕らえて、動けないようにした。
「立て! まだ奴は……ッ?」
「…気絶してる…ね」
「…本当だ」
そのままゆっくりと降ろした。さすがに拘束するものがない以上、このままのほうがよさそうだ。
「じゃあ拘束して通りに出よう。なにか縛れるもんは…」
「念のため武器は全部外しておこう。それに、ずっとキアナさんの個性で拘束してでもダメだし」
「そうだな」
―
――
―――
「さすがゴミ置き場、あるもんだな」
近くのゴミ置き場を漁ってちょうどいい縄を見つけたため、それを使ってヒーロー殺しを拘束。私の個性も解除していた。
「武器はこれらだけかな?」
「あぁ、とりあえず通りに出るぞ」
プロヒーローが緑谷を背負い、轟がヒーロー殺しを引きずって運ぶことになった。私と飯田は怪我の差こそあるが、腕を怪我している。
「悪かった……プロの俺が完全に足手まといだった」
「いえ、一対一でヒーロー殺しの個性だと、仕方がなかったと思います。強すぎる……」
「四対一の上に、こいつ自身のミスがあって、ギリギリで勝てたわけだしな」
「最後、緑谷の復活時間が頭から抜けてたんでしょ?」
そういう話をしながら通りに出た。まだ左腕が痛い。
「な! なぜお前がここに!?」
おじいさんのような声が聞こえた。
「グラントリノ! …グラントリ「新幹線で座ってろっつったろ!」」
コスチュームを着た小さいおじいさん。急に緑谷の顔面に蹴りを入れた。緑谷を気にしてるってことは、この人が緑谷の職場体験先のプロの人なのかな?二人のやり取りを眺めていると、他のプロヒーローたちが次々と駆け付けてきた。きっとエンデヴァーが伝えてくれたんだ。傷だらけの私たちと拘束されたヒーロー殺しを見て警察と救急に連絡を入れてくれているヒーローたち、後のことはこの人達に任せればいいか。長いようで短かった戦いもこれで終わった。すると飯田が声をかけてきた。
「僕のせいで……君たちに傷を負わせた。本当に済まなかった。僕は何も…見えなくなってしまっていた……!」
飯田は深く頭を下げて、謝ってきた。
「……僕もごめんね。君があそこまで追い詰めてたのに全然見えてなかったんだ。友だちなのに…」
「しっかりしてくれよ、委員長だろ?」
「自分を責めることはないよ、誰だって怒りや憎しみで周りが見えなくなるはあるから」
「……うん!」
うん、飯田もこれで安心だ。そう思った直後だった。
「伏せろ!!」
グラントリノが突然大声を出した。グラントリノが見上げたほうに顔を上げて見ると、何かが飛んできてた。
「なっ……の、脳無…!!」
USJ事件とはまた形と色が違うけど、脳みそが出てる化け物、脳無だった。しかも翼が生えてる。脳無がいる……てことは…!!
「感じないけど…"アイツ"も近くに…!!」
プロが身構えようとしている。けど、それよりも脳無の動きは速かった。
「緑谷!!」
「緑谷くん!!」
脳無は、なぜか緑谷に一直線で狙ってきた。足で緑谷を掴み、そのまま上空へ…
「ッ! 行かせな――」
「贋物が蔓延るこの社会も…」
私が個性を使おうとしたとき、直後、脳無の動きが止まって、ゆっくりと落下し始めてる。そして何度も聞いた声が、隣を駆け抜けていった。
「徒に力を振りまく犯罪者も…」
落ちていく脳無に、飛びかかった。飛びかかった人物は、ヒーロー殺しだった。ヒーロー殺しは、脳無から緑谷を奪い取ると、そのまま脳無の頭に、どこに隠していたのかナイフを突き刺した。そのまま地面に落下していった。
「粛清対象だ……全ては、正しき社会の為に……!」
ヒーロー殺しは、ゆっくりと立ち上がった。
『ふざけんじゃないよ!!』
ッ!!アイツの声が聞こえた……苛立ってる声が…間違いない、近くにいる…多分、私たちを見てる!!
『なんであのガキが、女がいる!!』
どうする、今はプロもいるからきっとヒーロー殺しは、任せれる。けど、今のはアイツの微かな感情の声が聞こえただけで、位置とかは感じない。それに、頭にささやいてこない。アイツのあの声も、私がいるのをさっき気づいたみたいな感じだった。
「た、助けた……!?」
「バカ、人質を取ったんだよ! 躊躇なく人殺しやがった!」
「いいから戦闘態勢取れ! とりあえず!」
プロたちが、私たちを庇うように前に出た。
「何故ひと固まりで突っ立っている!! そっちに一人逃げたはずだが?」
「エンデヴァーさん!? あちらはもう!?」
「多少、手荒になったがな! して…あの男は……ヒーロー殺し!!」
エンデヴァー!あの脳無を追ってきていたんだ。でもヒーロー殺しを見つけると、すぐに炎を出して戦闘態勢になった。
「待て轟!!」
けど、グラントリノが止めた。
「贋物……!!」
目元の包帯が落ちて、ヒーロー殺しの素顔が見えた。私は、いや、私たち全員がその表情を目の当たりにして、気圧されてしまった。
「正さねば……誰かが、血に染まらねば……!!」
ヒーロー殺しが一歩、また一歩踏み出す……
「ヒーローを、取り戻さねば!!」
あのエンデヴァーですら、一歩引くほどの圧…そしてヒーロー殺しは言った。
「来い、来てみろ贋物ども……俺を殺していいのは、
ヒーロー殺しがとんでもない殺意を放ち続けているが、ナイフが落ちたところで、立ったまま気絶していることが分かった。
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