私は「キアナ・カスラナ」ヒーローを目指すものだ   作:伽華 竜魅

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第20話 職場体験3

 

 

 

 

緑谷がビルの壁を飛び回りながらヒーロー殺しの注意を引く。その隙に私は両手を突き出して、真理の境を創造して、熱炎と共に援護する。けどやっぱり早い…まったく当たらない!いや…それ以前にヒーロー殺しの動きが変わった…あれで全然本気じゃなかったってこと!?緑谷の足が深く斬られた。まずい!

 

「緑谷!」

 

轟が声を上げなら炎を出した。私も再度レーザーを放つ。けどそれすらも避けられて、刀に着いた緑谷の血を舐めながら、私たちの方へ迫ってきた。こうなったら、意識の操作を

 

「止めてくれ……もう……僕は……」

 

「くっ……やめて欲しけりゃ立て!」

 

そんな状況でまた後ろから、飯田の声が聞こえて、それに応えるように、腹から出したような轟の叫び声が聞こえた。

 

「なりてえもん、ちゃんと見ろ!!!」

 

その言葉と同時に、ヒーロー殺しに意識の操作をしようとしたけど、ヒーロー殺しは、私が何かしようと気づいて私の視界から消えた。あぁもう!

意識の操作は、"対象物を視界に入れてから数秒、意識の操作を集中することで発動する"のに!!

 

「はっ…ナイフ!?」

 

私の目の前にはナイフが飛んできていた。避けることはできたが頬にかすれてしまう。その間に轟は左の炎でヒーロー殺しを迎え撃っていたが、すべての攻撃を読み切っているのか、かわされながら距離を詰められた。

 

「言われたことはないか? 個性にかまけて、挙動が大雑把だと!」

 

上体を倒し、刀を構えたヒーロー殺しが轟の間合いに入った。急いで亜空の矛を……

 

「轟くん!!」

 

緑谷の叫び声と私が亜空の矛を急いで出そうとする瞬間、一陣の風が吹き、エンジン音を立てながら、飯田が駆け抜けてきて、刀をへし折り、更に一撃を叩き込んだ。私たちの攻撃をすべてかわしていたヒーロー殺しが、回避ではなく防御を優先した。

 

「飯田くん!」

 

「解けたか。意外と大したことねぇ個性だな」

 

「轟くんも緑谷くんもキアナくんも関係ないことで………申し訳ない………」

 

「飯田、そんな事……」

 

「だからもう、三人に血を流させるわけにはいかない」

 

飯田は手を固く握り、顔は決意に満ちていていた。きっと轟の言葉が、飯田の心に届いたんだ。

 

「感化され取り繕おうとも無駄だ。人間の本質はそう易々と変わらない。お前は私欲を優先させる贋物にしかならない! "英雄"(ヒーロー)を歪ませる社会のガンだ。誰かが正さねばならない」

 

「時代錯誤の原理主義だ。飯田、人殺しの理屈に耳貸すな」

 

「いや、奴の言う通りさ。僕にヒーローを名乗る資格など…ない。……それでも、折れるわけにはいかない。俺が折れれば、インゲニウムは死んでしまう

 

「論外ッ!」

 

ヒーロー殺しが動く素振りを見せた瞬間、轟が高出力の炎で攻撃する。ヒーロー殺しの姿が完全に炎に包まれて姿が見えなくなった。その時、まだ動けないでいたプロヒーローが声を上げた。

 

「バカッ! ヒーロー殺しの狙いは、俺とその白アーマーだろ! 応戦するより逃げたほうが――」

 

「それは難しいって結論が出たの! 飯田も動いて4人、だけど逃げる隙を与えてくれない! それに……」

 

「動きが変わってる。明らかに奴も焦ってる!」

 

轟は氷結と火炎の両方を織り交ぜた攻撃を続けるが、すべて避けられる。

 

「轟くん! 温度の調節は可能なのか!?」

 

「左はまだ出来ねぇ! なんでだ!?」

 

「俺の脚を凍らせてくれ! 排気筒を塞がずにな!」

 

「防御は私がする! 急いで!!」

 

キューブシールドを展開して、二人を守る!!

 

「轟! できた!?」

 

「あぁ!」

 

「飯田、解除するよ!!」

 

「頼む! レシプロ…

 

キューブシールド、解除!!

 

エクステンド!

 

キューブシールドを解除して消えた瞬間、飯田はレシプロを全開にして、空中にいたヒーロー殺しに向かって飛んでいった。右を見ると、緑谷も緑の雷光を纏いながら、ヒーロー殺しに向かって飛び上がっていた。

 

「飯田! 緑谷ァ!!」

 

「行け!」

 

飯田の脚と緑谷の拳が、ヒーロー殺しを完全に捉えた。

 

「うっ! うりゃああっ!」

 

ヒーロー殺しはすぐに刀を掴んで飯田に斬りかかった。私は咄嗟に、亜空の矛・布状で刀を掴んで止める。

 

「ッ!?」

 

「今だよ!」

 

「畳みかけろ!」

 

私が刀を抑えてる間に、轟が炎を放つ。

 

「お前を倒そう! 今度は犯罪者として…! ヒーローとして!」

 

飯田もそのまま二撃目の蹴りをたたき込んだ。そして轟の炎で燃やされる。そのまま三人落下してきた。轟が飯田と緑谷を氷で滑らせて地面に着地させてる間に、私は亜空の矛・布状で捕らえて、動けないようにした。

 

「立て! まだ奴は……ッ?」

 

「…気絶してる…ね」

 

「…本当だ」

 

そのままゆっくりと降ろした。さすがに拘束するものがない以上、このままのほうがよさそうだ。

 

「じゃあ拘束して通りに出よう。なにか縛れるもんは…」

 

「念のため武器は全部外しておこう。それに、ずっとキアナさんの個性で拘束してでもダメだし」

 

「そうだな」

 

 

――

―――

 

 

「さすがゴミ置き場、あるもんだな」

 

近くのゴミ置き場を漁ってちょうどいい縄を見つけたため、それを使ってヒーロー殺しを拘束。私の個性も解除していた。

 

「武器はこれらだけかな?」

 

「あぁ、とりあえず通りに出るぞ」

 

プロヒーローが緑谷を背負い、轟がヒーロー殺しを引きずって運ぶことになった。私と飯田は怪我の差こそあるが、腕を怪我している。

 

「悪かった……プロの俺が完全に足手まといだった」

 

「いえ、一対一でヒーロー殺しの個性だと、仕方がなかったと思います。強すぎる……」

 

「四対一の上に、こいつ自身のミスがあって、ギリギリで勝てたわけだしな」

 

「最後、緑谷の復活時間が頭から抜けてたんでしょ?」

 

そういう話をしながら通りに出た。まだ左腕が痛い。

 

「な! なぜお前がここに!?」

 

おじいさんのような声が聞こえた。

 

「グラントリノ! …グラントリ「新幹線で座ってろっつったろ!」」

 

コスチュームを着た小さいおじいさん。急に緑谷の顔面に蹴りを入れた。緑谷を気にしてるってことは、この人が緑谷の職場体験先のプロの人なのかな?二人のやり取りを眺めていると、他のプロヒーローたちが次々と駆け付けてきた。きっとエンデヴァーが伝えてくれたんだ。傷だらけの私たちと拘束されたヒーロー殺しを見て警察と救急に連絡を入れてくれているヒーローたち、後のことはこの人達に任せればいいか。長いようで短かった戦いもこれで終わった。すると飯田が声をかけてきた。

 

「僕のせいで……君たちに傷を負わせた。本当に済まなかった。僕は何も…見えなくなってしまっていた……!」

 

飯田は深く頭を下げて、謝ってきた。

 

「……僕もごめんね。君があそこまで追い詰めてたのに全然見えてなかったんだ。友だちなのに…」

 

「しっかりしてくれよ、委員長だろ?」

 

「自分を責めることはないよ、誰だって怒りや憎しみで周りが見えなくなるはあるから」

 

「……うん!」

 

うん、飯田もこれで安心だ。そう思った直後だった。

 

「伏せろ!!」

 

グラントリノが突然大声を出した。グラントリノが見上げたほうに顔を上げて見ると、何かが飛んできてた。

 

「なっ……の、脳無…!!」

 

USJ事件とはまた形と色が違うけど、脳みそが出てる化け物、脳無だった。しかも翼が生えてる。脳無がいる……てことは…!!

 

「感じないけど…"アイツ"も近くに…!!」

 

プロが身構えようとしている。けど、それよりも脳無の動きは速かった。

 

「緑谷!!」

 

「緑谷くん!!」

 

脳無は、なぜか緑谷に一直線で狙ってきた。足で緑谷を掴み、そのまま上空へ…

 

「ッ! 行かせな――」

 

「贋物が蔓延るこの社会も…」

 

私が個性を使おうとしたとき、直後、脳無の動きが止まって、ゆっくりと落下し始めてる。そして何度も聞いた声が、隣を駆け抜けていった。

 

「徒に力を振りまく犯罪者も…」

 

落ちていく脳無に、飛びかかった。飛びかかった人物は、ヒーロー殺しだった。ヒーロー殺しは、脳無から緑谷を奪い取ると、そのまま脳無の頭に、どこに隠していたのかナイフを突き刺した。そのまま地面に落下していった。

 

「粛清対象だ……全ては、正しき社会の為に……!」

 

ヒーロー殺しは、ゆっくりと立ち上がった。

 

 

ふざけんじゃないよ!!

 

 

ッ!!アイツの声が聞こえた……苛立ってる声が…間違いない、近くにいる…多分、私たちを見てる!!

 

 

なんであのガキが、女がいる!!

 

 

どうする、今はプロもいるからきっとヒーロー殺しは、任せれる。けど、今のはアイツの微かな感情の声が聞こえただけで、位置とかは感じない。それに、頭にささやいてこない。アイツのあの声も、私がいるのをさっき気づいたみたいな感じだった。

 

「た、助けた……!?」

 

「バカ、人質を取ったんだよ! 躊躇なく人殺しやがった!」

 

「いいから戦闘態勢取れ! とりあえず!」

 

プロたちが、私たちを庇うように前に出た。

 

「何故ひと固まりで突っ立っている!! そっちに一人逃げたはずだが?」

 

「エンデヴァーさん!? あちらはもう!?」

 

「多少、手荒になったがな! して…あの男は……ヒーロー殺し!!」

 

エンデヴァー!あの脳無を追ってきていたんだ。でもヒーロー殺しを見つけると、すぐに炎を出して戦闘態勢になった。

 

「待て轟!!」

 

けど、グラントリノが止めた。

 

「贋物……!!」

 

目元の包帯が落ちて、ヒーロー殺しの素顔が見えた。私は、いや、私たち全員がその表情を目の当たりにして、気圧されてしまった。

 

「正さねば……誰かが、血に染まらねば……!!」

 

ヒーロー殺しが一歩、また一歩踏み出す……

 

「ヒーローを、取り戻さねば!!」

 

あのエンデヴァーですら、一歩引くほどの圧…そしてヒーロー殺しは言った。

 

「来い、来てみろ贋物ども……俺を殺していいのは、本物の英雄(オールマイト)だけだ!!!

 

ヒーロー殺しがとんでもない殺意を放ち続けているが、ナイフが落ちたところで、立ったまま気絶していることが分かった。

 

 

 

 





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