私は「キアナ・カスラナ」ヒーローを目指すものだ 作:伽華 竜魅
『個性状態回復、65%上昇。状態回復完了まで、残り35%』
「順調…キアナの状態も安定している…これなら行けるわね」
メイ博士は、キアナの個性状態回復を確認しながら、双銃「空無の鍵」の改造に取り掛かった。
「(キアナの個性登録は、"ハッカーバニー"が持ってきてくれた。でもまさか、"終焉"すら個性として宿しているなんてね……)」
メイ博士の目の前、ガラス越しには双銃「空無の鍵」が置いてあり、いくつものアームなどがいじりだした。最初は分解、そして他のサポートアイテムなどを取り出し、それも分解して、組み合わせたりしている。
「(仮にこれでキアナの弱体化が消えて、前世の力を完全に出せるようになったら……もしかしたら"オール・フォー・ワン"をも……)…あら?」
メイ博士は、ポケットに入った自分のスマホの振動に気づき、取り出すと、何件もの着信が来ていた。
「パーティーに出席してないからかしら? でもまあ、今回は仕方ないからいいわよね♪」
メイ博士はスマホを机に置いて、着信を無視して作業に取り掛かった。その時だった。突如緊急の放送が鳴り響いた。
『I・アイランド管理システムよりお知らせします。警備システムにより、I・エキスポエリアに爆発物が仕掛けられたという情報を入手しました』
この放送にメイ博士は驚いた。だが行動もまた早く、すぐに監視カメラと、I・エキスポエリア全域をシステムから確認をした。
「……爆発物なんてどこにもないわね。ならなぜ? 不具合はありえないわ。常に私も加わって調整とか状態の確認は行っていたから。I・アイランド関係者の誰かが意図的にやった?」
メイ博士は、キーボードを素早く打ち込み、真っ先にレシェプション会場の監視カメラを一つだけ権限をで動かした。そこに映っていたのは……。
『そういうわけだ……警備システムが俺達が握らせてもらった。反抗しようとは思わない事だ。もしそんなことをしたら……』
「ヴィラン…でもなぜタルタロスと同等の警備システムを持つこのI・アイランドにすんなり入って、警備システムを乗っ取ったの?」
そう考えている間に、監視カメラ越しには、セキュリティ捕縛装置が起動し、オールマイトを含むすべてのプロヒーローが拘束されてしまった。
「これは……ピンチのようね。AI、キアナの状態は?」
『個性状態回復、79%。100%まで残り21%、訳15分です』
「10分で終わらせて。完了次第、カプセルから排出。電気ショックで起こして。私は準備をするわ」
『了解です』
メイ博士は、作業していたサポートアイテムの改造を一度中断し、もう一つの部屋へ向かった。否、そこは部屋ではなく、格納庫並み大きい倉庫だった。その倉庫にはいくつのも人型兵器や、戦闘機などの戦闘で使われるようなものばかり置いてある。その倉庫の真ん中で、メイ博士はスイッチを押すと、床に丸形に穴が開き、そこから何かが上がってきた。
「まさか、こんな形でキアナに上げることになるなんてね」
上がってきたのはバイクだった。だがそのバイクは、一般的にはどこにも売られていない。いや、全国各地探っても見つけることはない、この世でたった一つのバイクだった。メイ博士はディスプレイを開いて、システムを確認する。
「最も、あの子の個性で本当に完成するからむしろ好都合なのかもね……」
バイクは、オレンジ部分から目のような形で光を発した。
研究所。
『個性状態回復完了』
キアナの個性状態回復が完了し、カプセルの周りに円状に穴が開く。そしてカプセルが上がると、液体がその穴に流れていった。AIの操作でアームがキアナの酸素マスクを取り出す。そして二つの小さな板状の機械がキアナの胸に触れ、電気ショックを行った。それによってキアナの身体が反応する。そしてキアナは目を覚ました。
「……あ、れ…?」
私…眠って…そうだ…個性状態回復をして寝ちゃったんだっけ?てことはもう回復は終わったってこと?あれ、なんでメイ博士いないの?身体をふらつかせながら歩くと、機械の一つが服を持ってきてくれた。脱いだバトルスーツかなって思ったけど、私はその服を見て意識が完全に目を覚ました。
「え…この服って!?」
とても懐かしくて、これもまた着れるなんて思ったらうれしくなった。あ、でもパーティーだからドレスじゃないと……。
『キアナ、聞こえる?』
「うわぁ!? メ、メイ博士!?」
急に後ろからメイ博士の声が聞こえて、振り返るとそこには映像越しにメイ博士がいた。
『手短に話すわ。I・アイランドがヴィランに占拠されたわ』
「…え、はぁ!?」
いや状態回復から目を覚ましたらヴィランに占拠されてるって、ゲームとかそういう展開が何で起きてるの!?
『すぐにその服を着て、もう一つの扉から私の所に来て』
「え、ちょ…」
メイ博士の通信はすぐに切れた。でも、ヴィランに占拠されたって、どういう状況下は詳しくわからない。とりあえずいうことに従ってメイ博士の所に向かおう。私は「天穹遊侠」を身に着けて、髪をストレートにした。えっと……あ、この扉の先かな?
「廊下? まっすぐ行けばいいのかな?」
何もない、ただただ真っすぐ進むしかない道……小走りでその先に向かうと、格納庫?みたいな場所に着いた。
「ここは……」
「来たみたいね!」
「ッ! メイ博士……え、えぇぇぇぇ!!!?」
私の目の前にメイ博士が来たと思ったら、メイ博士はメカメカしいバイクを押してきたんだけど、そのバイクが……。
「そ、それって……"重装ウサギ19c"!?」
「えぇ、変形機能を取り除いて、バイク単体での製造はできたの」
「すっご……じゃなくて! ヴィランがI・アイランドを占拠したって言ってたけど!?」
「本当よ。目的はわからないけど、理由もなく占拠する奴らじゃないわ」
そう言って、メイ博士はI・アイランドの様子の映像を見せてくれた。その映像は、I・アイランド全体が、警備システムで制圧されていて、市民が動けないでいた。
「緑谷たちは、友達は大丈夫なの!?」
「タワー内の監視カメラの映像よ」
映像が、タワー内に切り替わった。その映像に映ったのは、植物が生えているフロアで、そこにいたのは……。
「爆豪に切島!? それに轟まで!?」
映像には、爆豪と切島、轟がヴィランと思わしき二人の男と交戦中だった。
「あなたのお友達も、きっと警備システムを取り戻そうと動いているのよ。私たちも急ぎましょう」
「え、でもI・アイランド全体は警備システムで動けないんじゃ…」
「ここからタワーの地下まで移動して、そのまま頂上に行くことができるわ。キアナはこれに乗って向かって」
するとメイ博士は、アタッシュケースを取り出して、重装ウサギの横に接続させた。
「それとそのコスチュームと重装ウサギは私のプレゼントよ。あなたの自由に使って」
「……なんか、何から何までありがとう。メイ博士」
「お礼は解決してからでいいわ」
私は重装ウサギにまたがり、ハンドルを握った。何気に初のバイクで緊張するけど、何となく行けるってわかる気がする。それと「薪炎」の中の「創造」が重装ウサギを取り込んだ。いや、正確には、解析と分析をして、私が創造した物として登録された。私が起動って意識すると、重装ウサギが起動して、エンジンが動き出した。
「個性の確認もできなかったけど、今のあなたならきっと大丈夫よ」
「うん、行ってくる!」
「行ってらっしゃい!」
扉が開ききって、通路が照らされていく。重装ウサギを動かして、私はタワーまで続く地下通路を走りだした。
「……さて、私は私で準備をしなくちゃね」
メイ博士はメイ博士で、準備に取り掛かった。
―――
キアナ。重装ウサギ19cでタワーへ進行開始。
轟、爆豪、切島。ヴィランと交戦中。
緑谷、メリッサ一同。最上階まで移動中。
―――
自動で、立体のマップが現れて、ナビをしてくれるのはとてもありがたい。それにしてもメイ博士、よくブローニャの重装ウサギを作ることができたよね……やっぱ天才はこういうのは簡単なのかな?いや、今は皆のほうが心配だ。急がないと……。
「ッ! あそこがタワーの地下!」
重装ウサギをひねらせて、ドリフトでブレーキを掛ける。止まってから上を見れば、階段が上まで続いていた。ここから最上階はどうやっても時間がかかる……なら!
「ブローニャ、参考にさせてもらうね! 創造!!」
重装ウサギを動かして、一度旋回してから真っすぐ走る。同時に創造で道路を創って、上まで道を繋げる!同時に通った道路は消していって邪魔にならないようにする!さらに熱炎の炎と、私自身を浮遊で加速させて、より速度を上げる!
「重装ウサギ! ブースト!!」
もっと速度を上げて、上に真っすぐ向かって走り続ける。行ける……!今まで以上に個性がすぐに出せるし、弱くなるが消えて、強くなっていってる!進んでいると、天井が見えた。あれは……、この先のある階層のフロアの床かな?どうする?このタワーが何階建てかも知らないから、虚数空間でやっても下手したら壁に盛り込んじゃうかもしれない。だったら、被害を最小限にして進めばいい……つまりただ穴をあければいいだけ!!
「亜空の矛!」
亜空の矛をだして、私と重装ウサギがちょうど通れるほどの綺麗にくり抜いて穴をあける。私たちはそのまま穴を通過して真っすぐ上に向かう。この方法ならそのフロアに被害を及ばす行ける!!
―――
キアナ。タワーの階層に穴をあけて真っすぐ上昇を開始。
轟、爆豪、切島。麗日と合流し、風力発電システムにて警備システムを足止め。
飯田、八百万、耳郎、葉隠、上鳴、峰田。サーバーフロアで警備システムを足止めするも、拘束されてしまう。
緑谷、メリッサ。最上階へ進行中。
―――
今ここは何階なんだろう?まっすぐ上を見てひたすら進んでるからわからない。でも進むしかない。その時、重装ウサギから通信が入った。
『キアナ、キアナ! 聞こえる?』
「ッ! メイ博士!?」
メイ博士からの通信だった。
『そのまま真っすぐ向かって大丈夫よ。今あなたのいる階層は11解。次の床に穴を開ければ12階だから』
「本当!? てかこのタワー何階建てなの!?」
『200階建てよ』
へ…?2…200階?
「そ、それ本当なの…?」
『本当よ。でも大丈夫。今のあなたのその速度ならそのまま200階まで行けるわ』
「あ、うん……」
200階て……やば…いや、前世にもそういった建物はあったけど……。
「というかメイ博士は何してるの?」
『私は今このI・アイランドの警備システムの一部の権限を使って操作してるわ。おそらく範囲の広い戦闘がおこると思うから』
「用意周到はまさにこのことってことだね……」
ここでちょうど20階だから、あと180階。
研究所。
「裏でこのI・アイランド全域を守るように作ったシステムを……」
メイ博士は、キーボードを打ち込み、システムの起動に取り掛かっていた。
「まさか……このシステムを使う時が来るとは思わなかったわ」
エンターキーを押すと、システムが起動しI・アイランド全域の立体マップが映りだした。
「全エリアの対襲撃防止用シールドを展開」
『I・アイランド全域に、襲撃防止シールドの展開が始まりました。繰り返します。I・アイランド全域に、襲撃防止シールドの展開が始まりました』
「あとはセントラルタワーの屋上だけを外して……」
メイ博士は、I・アイランド全域を覆いつくし、外部からの核などの襲撃すらも守る防御システムを作っており、それを今起動させたのだ。高さなども調整が可能であり、今回は、キアナや緑谷たちがいるセントラルタワーの屋上だけを除外としてシールドから外したのだ。
「これで、キアナが戦闘する際の被害は防げるわね」
理由は、キアナの個性による被害を防ぐためであった。
セントラルタワー最上階。
緑谷とメリッサは最上階の200階についていた。
「メリッサさん、制御ルームの場所は……?」
「中央エレベーターの前よ」
二人は警戒しながら廊下を走っていると、保管庫ルームの扉が開いているのに気付いた。二人はその中を除くと、そこには保管室で懸命にコンソールを操作しているデヴィット博士がいた。
「どうして最上階に…?」
「ヴィランに連れてこられて、何かさせられている?」
「救けないと!」
「はい!」
二人は、デヴィット博士がヴィランに何かをやらされていると思い、助けようと保管庫に向かった。だがデヴィット博士の会話は、衝撃的な内容だった。内容とは、この事件がデヴィット博士と助手のサムの仕向けたことであり、自身の開発した発明品を取り戻そうとしただけなのだ。その発明品は、"機械的に個性を増幅させる"という物。メイ博士の、"個性因子や他者から受けた個性の状態を回復"するものとは違う。いわば、副作用のないトリガーともいえる発明品だ。だがその発明品は、スポンサーによって没収。研究そのものも凍結させられたのだ。それを取り戻すべく、二人は、ヴィランを装ったものに盗ませられたように見せかけて取り返し、その後博士たちは別の場所で研究を続けるという計画だったのだ。
全ては平和の象徴である、オールマイトという光を再び取り戻す為に。
「(僕が、ワン・フォー・オールを受け継いだから……オールマイトの力が失われている事を憂いて、博士は……)」
緑谷は、自分の存在が引き金となっていたことに、体の奥が冷えた。
「頼む! オールマイトにこの装置を渡させてくれ! もう作り直している時間はないんだ! その後でなら、私はどんな罰を受ける覚悟も―――」
「命がけだった…! 捕らわれた人たちを救けようと、デクくんやクラスメイトのみんなが、ここに来るまでどんな目に遭ったと思ってるの!?」
メリッサは、最上階に向かうまでに、緑谷たちがどれほど頑張ったか、大変な目に遭ったかを激高しながら言い放った。その言葉に、デヴィット博士は困惑した。
「ど、どういう事だ? ヴィランはニセモノ、全ては芝居のはず……」
「もちろん芝居をしてたぜ。ニセモノ敵という芝居をな」
―――
キアナ。階層を上り中。
轟、爆豪、切島、麗日。最上階、屋上へ移動中。
飯田、八百万、耳郎、葉隠、上鳴、峰田。最上階、屋上へ移動中。
緑谷。ヴィランと交戦。逃亡を防ぐため追跡。
メリッサ。警備システムを復旧。
―――
数十分前に、I・アイランドの警備システムが通常に戻ったって放送が流れた。つまり緑谷たちが何とかしたってことだ。でもまだ肝心のヴィランがこのタワーにいる。そいつらをどうにかしないと解決とまでにはいかない。私はそのまま真っすぐ最上階まで向かった。それと、100階まで来てから横の外側から大きな衝撃が伝わってタワーが揺れた。何だったんだろう今のは?
『キアナ、最上階の屋上でオールマイトと、おそらくデヴィット博士の発明品によって強化されたヴィランが交戦しているわ』
「……マジ?」
『えぇ。それとあなたの個性は完全に復活しているかはまだ完璧には確認できてないけど、確実に"最強"よ』
「急に何? ま、私が"最強"なのは、当たり前だけどね!!」
あと1階!!もうちょい!!!
「いっけえぇぇぇーーーーーー!!!!!!!!」
私は最後の床をくり抜いて、屋上に出た。そこで私の視界に映ったのは……同じ高さに浮かんでいるオールマイトと、とてつもなく大きな金属の塊だった。
キアナが屋上に着く数分前。
屋上では緑谷とオールマイト、そして爆豪たち全員が集まっていた。ヴィランであるウォルフラムは、デヴィットが発明した、個性を増幅させる装置で大幅に個性が強化され、オールマイトをも追い詰める力を発揮していた。その言葉通り、オールマイトはピンチになる。だがそこに爆豪たちが駆けつけて、戦闘に参加した。
「金属の塊は俺たちが引き受けます!」
「八百万くん、ここを頼む!」
「はい!」
爆豪、轟、飯田、切島の四人は、ウォルフラムが操る金属を引き受け、交戦に入る。八百万率いる麗日、耳郎、葉隠、上鳴と峰田は、後方にて、ある程度のサポートに回った。そんな生徒たちの奮闘に、オールマイトの底を尽きそうだった力が再び湧き上がってきた。蒸気が消え、力が筋肉を躍動させた。
「教え子たちにこうも発破をかけられては、限界だなんだのと言ってられないな!! 限界を越えて、更に向こうへ!! そう、Plus Ultraだ!!」
オールマイトは襲い掛かってきた鉄柱を砕き、間髪入れずに襲い来る鉄柱も再び粉砕させる。
「観念しろ! ヴィランよ!!」
そのままウォルフラムに向かって勢いよく拳を振りかぶろうとした時、無数のワイヤーがオールマイトの両手足を空中で拘束した。ワイヤーを引きちぎろうとするオールマイトだが、その首にウォルフラムの手が掴み掛かり、さらに異様に膨らみ始めた。
「観念しろ? そりゃお前だ、オールマイト」
「(な、なんだ…このパワーは…!?)」
オールマイトが苦しんでいると、ウォルフラムはもう片方の手で古傷である左脇腹を掴み、的確に抉り出す。その痛みにオールマイトは苦痛の叫びを漏らす。それを耳にした緑谷は助けに行こうとする。だが激痛が走り、蹲ってしまう。オールマイトの状況に遅れて気付いた爆豪たちも、助けに行こうとするが、襲い来る鉄柱への対処に精一杯だった。
「クッソがあ!!!」
「ぐっ!!!」
爆豪と轟は、特に苦戦していた。
「(この力は筋力増強……個性の複数持ち……!)まさか……!?」
オールマイトは、ウォルフラムの個性の複数持ちに、胸騒ぎを覚え、それはやがて確信へと変わった。
「ああ…この強奪計画を練っている時、あの方から連絡がきた。「是非とも協力したい」と言った。何故かと聞いたら、あの方はこう言ったよ」
オールマイトの脳裏には、軽やかに闇を纏った醜悪な声、倒さなければならない宿命の相手の声が響いた。
――――――――
『オールマイトの親友が悪に手を染めるというなら、是が非でもそれを手伝いたい。その事実を知ったオールマイトの苦痛に歪む顔が見られないのが残念だけれどね……』
――――――――
「…"オール・フォー・ワン"…!」
「ようやくニヤケ面がとれたか!」
「Noooooo!!」
ワイヤーを引きちぎろうともがくオールマイト。だが、そんなオールマイトに四角状の大きな金属の塊が左右から挟み潰した。
「……ッ!」
「「「オールマイト!!!」」」
「おじさま……!」
「さらばだ! オールマイト!!」
地面から鋭い鉄柱が何本も瞬時に伸び、オールマイトを閉じ込めている金属の塊を貫いた。
「マイトおじさまあぁぁぁぁ!!」
メリッサが悲痛な叫びを上げたその時だった。ちょうどオールマイトを潰した金属の塊の真下から、何かが貫き、飛び出してきた。そしてそのまま金属の塊を壊して上へ飛びあがっていた。
「なんだ!? ぐっ!!」
「……あれは…!?」
一人はおそらく衝撃でともに飛び上がったオールマイト。そしてもう一人は、重装ウサギ19cに乗ったキアナだった。
「「「キアナ!!!?」」」
屋上について最初に視界に映ったのは、同じ高さに浮かんでいる。いや、正確には吹き飛ばされているオールマイトと、奥にいるでっかい金属の塊だった。そしてオールマイトが傷ついているのを見て、私はとっさに重装ウサギに無茶な命令をした。
「重装ウサギ! オールマイトをキャッチして! そのまま着地するから!」
メイ博士は、重装ウサギが変形を取り除いての製造って言ってたから、変形はできない。そのはずだった。だけど、重装ウサギは変形し、上半身だけのよく見ていた形になった。重装ウサギはその手でオールマイトをキャッチする。私は驚いたけど……なんとなくわかった。「薪炎」の中にある「創造」の、理の力が実現可能にしてくれたんだ。私と、変形してオールマイトをキャッチした重装ウサギは、そのまま屋上に着地した。すると緑谷とメリッサが駆けつけてきた。
「オールマイト!」
「マイトおじさま!」
「ゴホッ! ゴホッ! 大丈夫だ二人とも…」
「遅れてごめんみんな! それと緑谷、オールマイトとメリッサさんをお願い!」
「キアナさんは!?」
「大丈夫! 粗方状況は聞いてるし、見ればわかる! それにここからは……」
重装ウサギに取り付けられたアタッシュケースが飛びだし、その中から二つの光が飛び出して飛んでくる。私は両手でそれをキャッチして、その光を、双銃「スカイリーパー」を構える。
「キアナのターン!!!!」
私は金属の塊ヴィランへと、勢いをつけて走り出した。
「くっ……またガキが増えやがったな? ゴミの分際で、往生際が悪ィんだよ!!!」
鉄の柱のようなものが伸びて迫ってくる。私は銃を両方構えて、トリガーを引く。弾が発射されて、鉄の柱に命中すると、一発で砕け散った。
「何っ!?」
行ける。行ける!力が、思い通りに出せる。弱くなる感じがない…むしろ、湧いてくる!!
「キアナさん! 後ろ!!」
緑谷の叫び声で、後ろからも攻撃が来ているのが分かる。私は振り返ることなく走り続ける。後ろの攻撃が迫ってきているけど、私に当たることはなかった。チラッとだけ見たら、重装ウサギが鉄の柱を粉砕させていた。けどまた別方向から鉄の柱が攻撃してくる。私は、それをジャストで回避して「時空の渦」を発生させる。そこにある鉄の柱は粉々に砕けて、吸い込まれて行った。
「ッ!」
四角い塊も飛んできている。それ、逆に利用させてもらおうかな!
「空の律者!」
空の律者に姿を変えて、亜空の矛・布状でそれを縛り上げて引っ張る。
「とりゃあ!!!!」
そのままヴィランのほうへ投げ飛ばす。
「それは俺の操ったやつだ! そんな跳ね返しは無意味だあ!!!」
ヴィランの言う通り、四角い塊は止まり、私のほうへ戻ってきた。
「重装ウサギ!!」
重装ウサギを呼ぶと、もう一つのアタッシュケースが重装ウサギから飛びだし、そこから武器が飛び出てきた。スカイリーパーを虚数空間にしまってから、それをキャッチする。その武器は大剣「天火大剣」。空の律者のまま私はヴィランの攻撃を次々と断ち切っていく。
「何なんだよお前は!!?」
塊や柱が一斉に向かってきた。私は「天火大剣」に空と理の力を付与させて、一回だけ振るった。瞬間、すべての塊と柱が全く同時に砕けて、粉みじんになった。
「私はキアナ・カスラナ! ヒーローを目指す者だ!」
「ふざけんなあぁぁぁ!!!!」
ヴィランは両手を上にあげる。すると、無数の金属が上に集まり、今までで一番大きな塊になっていた。
「な、何あれ……」
「ッチ! まさか、タワーごと潰す気か!?」
「キアナ!!」
私は天火大剣を虚数空間にしまって、空の律者の力を限界まで上げていく。少しでも確実に倒そうとするのか、後ろからまた鉄の柱が伸びてきた。だけどそれらは……。
「死ねぇ!!!」
「させねぇ!!!」
「スマッシュ!!!」
爆豪、轟、緑谷の三人が止めてくれた。おかげで私は目の前に集中できる。
「タワーごと潰れちまえぇぇぇぇ!!」
ヴィランは巨大な塊を私に向かって投げ飛ばした。私は巨大な塊に向かって浮遊で加速して接近する。
「
巨大な塊に右手で殴る。巨大な塊は一瞬で砕けた。
「なっ、そんなバカな!? ガハッ!!!」
ヴィランの後頭部についていた機械がなんかビリビリと電流が溢れている、そんなのお構いなしで、私はそのヴィランの目の前に立つ。
「ぐっ!!」
ヴィランはとっさに金属を自分に纏わせて防御に入るだけど、私は空の律者を再び最大まで引き出し……。
「虚界衝撃!!!!!」
ヴィランのお腹を虚界衝撃で殴った。その衝撃は周りの金属たちにも伝わり、タワーの外まで飛び散っていく。ヴィランを貫通して、とてつもなく大きな光が彼方まで伸び、輝いていた。そしてその金属たちを操る本人がいなくなったことによって、金属の塊は崩れていっている。勝てたんだ。空の律者の姿から、天穹遊侠に戻って着地する。振り返って確認すると、そこには金属がほとんどの瓦礫だらけだった。
「すぐに終わらせけど、何個か鉄くずとかが、タワーの外に落ちちゃったな…」
なんかI・アイランド全体が青い光で包まれてるけど、あれはなんだろう?
「「キアナさん!」」
「お?」
二人の声に気づいて振り返ると、緑谷とメリッサさんが来ていた。
「大丈夫なの!?」
「全然! むしろあんたらのほうが心配だよ。ボロボロじゃん」
すると、緑谷の右手についていた赤い装甲のようなものに、亀裂が入って行って、崩れて外れた。
「あ、あぁ! ご、ごめんなさいメリッサさん! せっかくの"フルガントレット"を!」
「ふふっ、そんなこと…あ、パパは!?」
「パパ? あぁ、金属の塊の中にいた眼鏡の人? その人なら、ほらあそこ」
私が少し下の方へ指を指すと、そこにはオールマイトと、メリッサさんのパパがいた。
「よかった…本当に…ありがとう。デク君たちのおかげで皆を救うことができた」
う~ん…私の場合、多分終盤辺りしか戦ってないからな~……。
「メリッサさんもです」
「え?」
「僕は、メリッサさんのフルガントレットに何度も救われました」
「デクくん……」
あれ~これ私いないほうがいい雰囲気になってない?あ、ちょうど太陽も昇ってきて、明るくなっていってる。
「お~い!」
麗日の声が聞こえて、そっちに視線を向けると、何人か手を振っていた。
「三人とも、無事かー!?」
「大丈夫だよー!」
「みんなはー?」
「大丈夫でーす!!」
私がここに来るまでの間に、みんなは本当に大変な目に遭っていたみたいだ。正装がすごくボロボロになってるからわかる。私は重装ウサギを見ると、重装ウサギは青く光り、光の粒になって、私の中に入っていった。うん…わかる。これから重装ウサギは、私が創造すれば出てきてくれるってことが。なんか、ブローニャにしかない重装ウサギを私が使えるようになるって、ちょっと不思議だなあ……。
「…もしもし、メイ博士?」
『キアナ、ヴィランは?』
「圧勝だったよ。個性も元に戻ってる……」
『そう、よかったわ。今プロヒーローたちがそっちに向かってる。私もここからI・アイランドの損傷や、被害がないか確認するから、そこからはみんなと一緒に行動して』
「わかった」
メイ博士と通信を終えて、私はもう一度太陽を見る。
私は…キアナ・カスラナは、
無事キアナは、崩壊世界のキアナに変わることができました。変わるというより、戻ったって言ったほうがいいですね。映画の最高の展開をぜ~んぶキアナが持って行っちゃうという展開。まあ、力を発揮して、本当に復活したかの確認は絶好の機会だからね。うん。うん!
戦闘シーンももっと書きたいけど、バカ強くなったんだったら一瞬で終わらせた方がいいかなって感じで書きました。
時空の渦
敵の攻撃をジャスト回避することで発動する技。回避した場所に渦を発生させて、その近くにあるものを吸い込む。
虚界衝撃。
周囲の敵に攻撃する技。それを体の部位、手か足に集中させて放つことで、より強く、鋭い技にすることもできる。空の律者状態でやれば更に火力が倍になる。
重装ウサギ19c。
理の律者の際のバイク(ライドモード)を、メイ博士が開発。キアナの個性「薪炎」の中にある「創造」(理)が解析と分析をし、取り込むことで、重装ウサギを崩壊世界での重装ウサギに変えることに成功。ほぼブローニャの重装ウサギを、キアナが使えるようになったて感じ。
双銃「スカイリーパー」。
メイ博士が作った双銃。現在はキアナしか使えないサポートアイテム。
大剣「天火大剣」。
メイ博士が作った大剣。現在はキアナしか使えないサポートアイテム。
崩壊世界の武器は、メイ博士が完全に作り再現。ジークフリートも、メイ博士と知り合ったことで、それらを学び、作れるようになっていた。プロヒーロー、トップ10内のヒーローでも扱うのは至難の業ともいえる代物。なお、凍結される恐れもあるため、機密時に製造している。そして現段階でその武器を扱えるのは、キアナただ一人。